【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年12月31日まで)の世界経済は、新型コロナウイルス感染症による影響からの正常化が見られた一方で、ロシアのウクライナ侵攻、燃料・資源高による世界的なインフレ進行、中国におけるゼロコロナ政策などにより一層不透明感が増しました。このような状況の中、当社グループは本年度より新中期事業計画“KAYAKU Vision 2025”をスタートし、事業ごとに定めた「ありたい姿=Vision」に向けたロードマップを実行するとともに、ありたい姿実現に向けて定めた全社重要課題に対し取り組みを進めています。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、医薬事業が前年同四半期を下回ったものの、機能化学品事業、セイフティシステムズ事業及びその他事業が前年同四半期を上回ったことにより、1,536億2千7百万円となり、前年同四半期に比べ155億3千2百万円(11.2%)増加しました。営業利益は、190億6千2百万円となり、前年同四半期に比べ17億2千2百万円(9.9%)増加しました。経常利益は、209億9千4百万円となり、前年同四半期に比べ22億1千2百万円(11.8%)増加しました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、152億4千1百万円となり、前年同四半期に比べ11億8千2百万円(8.4%)増加しました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
(機能化学品事業)売上高は654億3千3百万円となり、前年同四半期に比べ68億8千8百万円(11.8%)増加しました。機能性材料事業は、半導体関連部材となるエポキシ樹脂が民生向けに当第3四半期に需要が落ち込んだものの、MEMS等の複合材が好調に推移したことにより、機能性材料事業全体で前年同四半期を上回りました。色素材料事業は、コンシューマ用インクジェットプリンタ用色素及びテキスタイル用染料が減速したものの、産業用インクジェットプリンタ用色素・インクの市況が回復基調にあり、色素材料事業全体で前年同四半期を上回りました。触媒事業は国内、輸出ともに受注が好調に推移したことにより前年同四半期を上回りました。ポラテクノ事業は、染料系偏光フィルムが低調に推移したものの、X線分析装置用部材が堅調に推移し、また外貨建て売上の為替が有利となったことにより、ポラテクノ事業全体で前年同四半期を上回りました。セグメント利益は機能性材料事業、触媒事業の売上高が増加したことにより100億6千7百万円となり、前年同四半期に比べ5億2千7百万円(5.5%)増加しました。
(医薬事業)売上高は392億9千3百万円となり、前年同四半期に比べ4億5千3百万円(1.1%)減少しました。国内向け製剤は、2022年8月に血液がんに対する新薬「ダルビアス®点滴静注用」を上市し、ジェネリック抗がん薬「ペメトレキセド点滴静注液」、光線力学診断用剤「アラグリオ®顆粒剤分包」が伸長したものの、薬価改定の影響を受け、前年同四半期を下回りました。国内向け原薬、輸出は、前年同四半期を上回ったものの、受託事業、診断薬は前年同四半期を下回りました。セグメント利益は69億4千4百万円となり、前年同四半期に比べ4千6百万円(0.7%)増加しました。
(セイフティシステムズ事業)売上高は409億5千1百万円となり、前年同四半期に比べ76億7千9百万円(23.1%)増加しました。国内事業は、半導体不足等の影響による自動車の減産を受け需要が低調に推移したことにより、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータは前年同四半期を上回ったものの、エアバッグ用インフレータは前年同四半期を下回り、国内事業全体で前年同四半期を下回りました。海外事業は、世界的なインフレ進行や半導体不足の影響を受ける一方で、各国の各種政策等により新型コロナウイルス感染症拡大の影響による世界的な需要低迷からの回復が続き、エアバッグ用インフレータ、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ、スクイブは前年同四半期を上回りました。セグメント利益は需要の回復及び為替の影響による売上高の増加により、61億6千5百万円となり、前年同四半期に比べ14億4千7百万円(30.7%)増加しました。
(その他)売上高は79億4千9百万円となり、前年同四半期に比べ14億1千7百万円(21.7%)増加しました。アグロ事業は国内、輸出とも前年同四半期を上回りました。不動産事業は、前年同四半期並となりました。セグメント利益は15億3千6百万円となり、前年同四半期に比べ1億2千1百万円(8.6%)増加しました。
(2) 財政状態の分析総資産は3,314億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ159億4千5百万円増加しました。主な増加は、原材料及び貯蔵品81億1千万円、商品及び製品73億6千2百万円、受取手形及び売掛金36億3千1百万円、現金及び預金30億5千5百万円、主な減少は有価証券89億6千5百万円であります。負債は756億9千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ66億5千7百万円増加しました。主な増加は短期借入金74億2千8百万円、支払手形及び買掛金53億4百万円であり、主な減少は1年内償還予定の社債40億円であります。純資産は2,557億1千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ92億8千8百万円増加しました。主な増加は利益剰余金76億6千7百万円、為替換算調整勘定33億1千万円であります。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題前事業年度の有価証券報告書の「優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の記載から、重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は98億8千1百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 主要な設備前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。 新設
会社名
所在地
セグメントの名称
設備の内容
投資予定額
資金調達方 法
着手及び完了予定
事業所名
総 額(百万円)
既支払額(百万円)
着手
完了
当社福山工場
広島県福山市
機能化学品
産業用インクジェットインク製造設備
4,320
761
自己資金
2022年2月
2024年4月
(注)下線部分は前連結会計年度末に対しての変更部分を示しております。
また、当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した主要な設備の新設の計画は、次のとおりであります。
会社名
所在地
セグメントの名称
設備の内容
投資予定額
資金調達方 法
着手及び完了予定
事業所名
総 額(百万円)
既支払額(百万円)
着手
完了
当社厚狭工場
山口県山陽小野田市
機能化学品
エポキシ樹脂製造設備
6,550
14
自己資金
2022年8月
2025年3月
当社厚狭工場
山口県山陽小野田市
機能化学品
触媒研究開発及びパイロット評価設備
1,585
6
自己資金
2022年8月
2024年6月
カヤク セイフティシステムズ マレーシア Sdn. Bhd.
マレーシアネグリ・センビラン州センダヤン
セイフティシステムズ
インフレータ、ガス発生剤製造設備
3,052
143
自己資金
2022年12月
2025年3月
(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループは、事業活動に必要な資金を確保するため、安定的な営業キャッシュ・フローの創出と幅広い資金調達手段の確保に努めております。必要な資金については、主に手元資金と営業活動からのキャッシュ・フローに加え、金融機関からの借入や社債発行等により調達しております。大型投資案件等の大規模な支出が必要な際には、当社グループの経営動向や財政状態及び市場環境等を考慮しながら、最適かつ最も効率的な方法により、資金調達を実施しております。