【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日から9月30日まで)において、世界株式市場は、新型コロナウイルスやロシア・ウクライナ問題の長期化、インフレの進行と利上げ等不透明材料が徐々に消化されつつあるものの、まだ先行きを不安視する投資家が多く、不安定な値動きとなっています。その中では、円安等を追い風に日本株が世界全体をアウトパフォームする傾向が目立っています。国内株式市場は、春先からの急上昇もあり、高値警戒感から更なる上値を追う力強さに欠けた展開となりました。季節柄第2四半期は夏枯れ相場が危惧されるほか、米国の金利高止まりに対する警戒感等、懸念材料が重なる中ではありましたが、歴史的な円安水準によるグローバル企業の収益改善期待や東京証券取引所による上場企業への資本コストや株価を意識した経営の要請、外国人投資家の買い越し等が要因となり、下落する場面では押し目買いの動きも見られました。当四半期の日経平均株価は-4.01%となりましたが、バリュー株への見直し買い等からTOPIXは+1.52%となっています。米国株式市場は、インフレ率の落ち着きや労働市場の底堅さ等、ソフトランディング期待の高まりから堅調な展開で始まりました。しかし、長期化が予想される高金利や不動産不況の可能性、原油価格の上昇、大手自動車メーカーのストライキ、米債務上限問題による政府機関閉鎖等、複数の懸念要因が重なり8月から9月にかけて状況が一変、下落することとなりました。アジア株式市場は、中国の景気減速や米国の利上げに伴う通貨安圧力が相場の重石になった一方、ベトナムの金融緩和が相場の追い風になった側面もあり、国別でまちまちの展開になりました。その中で、中国は不動産販売の低迷が固定資産投資と個人消費に悪影響を与えたほか、輸出の減少も続いているため、昨年来の上海ロックダウンの反動が剥落した6月以降、景気の減速が目立っています。香港ハンセン指数は9月末に年初来安値を更新、上海総合指数も下落トレンドが続きました。一方、東南アジアでは、ベトナムが連続利下げを実施したことで、実質GDP成長率が2四半期連続で加速し、景気の改善を追い風にベトナムVN指数は4月から9月にかけて約8.4%上昇しました。タイとフィリピンは通貨安に加え、インフレ懸念が再燃したこともあり、タイSET指数とフィリピン総合指数は軟調に推移しました。
このような状況の中、当社グループは「より多くの人に証券投資を通じ より豊かな生活を提供する」という経営理念のもと、資産形成ビジネスの確立に向けて取り組んでおります。今期で2期目となる中期経営計画「Define Next 100~もっとお客様のために~」は、資産形成層の方々を生活の不安から解放することをミッションとしています。金融機関連携やIFAビジネスを通じたプラットフォームビジネスの拡大等によって資産形成層のお客様へアプローチし、資産形成をサポートしてまいります。
当社グループの子会社においては、証券事業を営むアイザワ証券株式会社が7月に御殿場西高等学校と包括連携協定を締結しました。同校とはSDGsの推進、地域創生に取り組んでまいります。また、9月には静岡県小山町と地域活性化に関する包括連携協定を締結しました。地方自治体との連携としては3例目となります。資産形成ビジネスの確立に向けた施策として、投資信託やラップ商品といった積立投資商品を拡充しており、8月にはゴールベースアプローチ型ラップサービス(愛称:スマイルゴール)の販売を開始しました。同サービスでは、お客様一人ひとりの将来の希望(ゴール)に基づいた資産運用プランをご提案し、アフターフォローを継続的に実施することで、長期的なライフプランの実現をサポートするサービスとなっています。店舗戦略においては、9月に静岡支店と島田支店を統合・移転し、新たな静岡支店をオープンしました。地域の拠点である静岡駅近くに移転したことにより、お客様の利便性向上や資産形成層のお客様との接点が増えるものと考えております。
なお、本年2月より実施してきました自己株式取得(取得総数:40万株)は6月19日に終了し、9月から新たな自己株式取得(取得総数:上限40万株、取得総額:上限500百万円、予定期間:2023年9月19日~2024年1月31日)を開始しております。
これからも当社グループは、各グループ子会社がそれぞれの強みを発揮し、連携した活動により総合金融サービスグループを目指してまいります。
当第2四半期連結累計期間における業績の内訳は次のとおりです。
①経営成績の状況(受入手数料) 株式委託取引の増加等により、受入手数料は63億93百万円(前年同期比54.0%増)となりました。(トレーディング損益) 外国株式国内店頭取引の増加等により、トレーディング損益は22億16百万円(同69.7%増)となりました。(金融収支) 金融収益は3億9百万円(同46.8%増)、金融費用は42百万円(同21.8%増)となり、差引金融収支は2億66百万円(同51.7%増)となりました。(その他の営業収益・その他の営業費用)不動産賃貸収入の増加等により、その他の営業収益は3億58百万円(同29.8%増)となりました。営業投資有価証券売上原価の減少等により、その他の営業費用は2億44百万円(同26.9%減)となりました。(販売費・一般管理費) 取引関係費及び人件費の増加等により、販売費・一般管理費は82億76百万円(同10.7%増)となりました。(営業外損益) 営業外収益は受取配当金2億36百万円等により3億63百万円、営業外費用は支払利息19百万円等により26百万円となりました。これにより営業外損益は3億36百万円(同11.3%増)の利益となりました。(特別損益) 特別利益は投資有価証券売却益等により3億54百万円、特別損失は減損損失14百万円等により16百万円となりました。これにより特別損益は3億38百万円の利益となりました。
以上により、当第2四半期連結累計期間の営業収益は92億77百万円(同56.0%増)、営業利益は7億14百万円、経常利益は10億50百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は9億24百万円となりました。
②セグメントごとの経営成績の状況(証券事業)当第2四半期連結累計期間における証券事業は株式委託取引及び外国株国内店頭取引の増加等により、受入手数料及びトレーディング損益が増加し、営業収益は88億12百万円(前年同期比58.2%増)、セグメント利益は8億5百万円となりました。(運用事業)当第2四半期連結累計期間における運用事業は運用報酬の減少等により、営業収益は1億13百万円(同3.8%減)、セグメント損失は1億13百万円となりました。(投資事業)当第2四半期連結累計期間における投資事業は不動産賃貸収入の増加等により、営業収益は3億74百万円(同33.0%増)、セグメント損失は2百万円となりました。
なお、上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれております。
③財政状態の状況
(資産の状況)
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は1,142億90百万円と、前連結会計年度末に比べ154億55百万円の増加となりました。主な要因は、現金・預金53億39百万円の増加、預託金43億56百万円の増加、営業投資有価証券10億89百万円の増加、信用取引資産13億40百万円の増加、投資有価証券15億86百万円の増加によるものです。
(負債の状況)
当第2四半期連結会計期間末の負債合計は577億65百万円と、前連結会計年度末に比べ129億61百万円の増加となりました。主な要因は、預り金106億58百万円の増加、繰延税金負債6億85百万円の増加によるものです。
(純資産の状況)
当第2四半期連結会計期間末の純資産合計は565億24百万円と前連結会計年度末に比べ24億94百万円の増加となりました。主な要因は、その他有価証券評価差額金16億55百万円の増加、為替換算調整勘定5億82百万円の増加によるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ40億47百万円増加し、当第2四半期連結累計期間末には177億81百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における営業活動の結果獲得した資金は56億76百万円(前年同期は11億39百万円の支出)となりました。これは主に顧客分別金信託の増加、預り金の増加によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における投資活動の結果支出した資金は7億48百万円(前年同期は12億50百万円の収入)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出、投資有価証券の売却による収入によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における財務活動の結果支出した資金は12億98百万円(前年同期は16億1百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出、自己株式取得による支出、非支配株主への分配による支出、配当金の支払いによるものです。
(3) 経営方針・経営戦略等当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し当社グループの中核事業が金融商品取引業であることから、営業収益は国内外の金融商品取引市場の変動に大きく影響を受けます。このため、当社グループの経営成績は金融商品取引市場の環境により大きく変動する可能性があります。
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