【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況①経営成績の分析当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、景気に緩やかな回復の動きが見られました。しかしながら、長引くウクライナ情勢や円安等の影響による物価上昇に加え、金融資本市場の変動など先行きに対する不透明感が高まりました。建設業界におきましては、政府建設投資が堅調に推移する見込みであり、民間建設投資も企業の設備投資意欲の高まりから前年度と同水準になることが予想されるなど、建設投資は総じて増加する見通しとなりました。このような情勢下におきまして当社グループは、「長期経営計画 “To zero, from zero.”」に基づき、国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とした5つの重点戦略(「東急建設ブランドの訴求・確立」「コア事業の深化」「戦略事業の成長」「人材・組織戦略」「財務・資本戦略」)に取り組んでまいりました。 当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高は62,860百万円(前年同四半期比2.3%増)となりました。損益面では、営業利益は229百万円(前年同四半期は517百万円の営業損失)、経常利益は928百万円(前年同四半期は186百万円の経常損失)となりました。これに、税金費用等を加味した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は769百万円(前年同四半期は340百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。(建設事業(建築))受注高は、国内民間工事及び国内官公庁工事が増加したものの、海外工事の減少により、26,946百万円(前年同四半期比4.0%減)となりました。 完成工事高については、海外工事が減少したものの、国内民間工事及び国内官公庁工事の増加により、48,076百万円(前年同四半期比4.0%増)となりました。損益面については、1,701百万円(前年同四半期比183.6%増)のセグメント利益となりました。
(建設事業(土木))受注高は、海外工事、国内民間工事及び国内官公庁工事の減少により、13,085百万円(前年同四半期比59.3%減)となりました。 完成工事高については、海外工事が増加したものの、国内官公庁工事及び国内民間工事の減少により、14,296百万円(前年同四半期比2.1%減)となりました。損益面については、17百万円(前年同四半期比93.6%減)のセグメント利益となりました。
(不動産事業等)不動産事業等売上高については、487百万円(前年同四半期比22.3%減)となりました。セグメント利益については、213百万円(前年同四半期比21.2%増)となりました。
②財政状態の分析当第1四半期連結会計期間末の資産の部につきましては、未成工事支出金が3,494百万円増加した一方、現金預金が20,507百万円、受取手形・完成工事未収入金等が5,587百万円それぞれ減少したことなどにより、資産合計は前連結会計年度末と比較して22,708百万円減少(9.1%減)し、226,455百万円となりました。負債の部につきましては、賞与引当金が1,061百万円増加した一方、支払手形・工事未払金等が10,562百万円、電子記録債務が4,852百万円それぞれ減少したことなどにより、負債合計は前連結会計年度末と比較して22,179百万円減少(14.5%減)し、130,964百万円となりました。純資産の部につきましては、親会社株主に帰属する四半期純利益を769百万円計上したものの、配当を1,912百万円実施したことなどにより、利益剰余金が減少した結果、株主資本は1,096百万円減少しました。一方、株式相場の影響によりその他有価証券評価差額金が380百万円増加したことなどから、その他の包括利益累計額は536百万円増加しました。また、非支配株主持分が30百万円増加した結果、純資産合計は前連結会計年度末と比較して529百万円減少(0.6%減)し、95,491百万円となりました。なお、自己資本は94,688百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末と比較して3.6ポイント増加し、41.8%となりました。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題わが国経済の今後の見通しにつきましては、雇用・所得環境の改善により、緩やかな回復の継続が期待されます。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。今後の国内建設市場につきましては、建設投資は堅調に推移することが見込まれますが、技能労働者の減少や原材料価格の高止まり等が懸念されるとともに、新設等を主体とした「フロー」型から維持・修繕等の「ストック」型への需要の質的変化や、時間外労働に関する上限規制の適用開始に向けた対応およびデジタルによる技術革新など構造変革が迫られております。このような情勢下におきまして当社グループでは、協力会社との関係強化や物価高騰への対応を図りつつ、「長期経営計画 “To zero, from zero.”」に基づき、国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、既存事業の深堀りと新規分野の模索など「知の深化」と「知の探索」を実践してまいります。また、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として、3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とし、この3つの提供価値と人材・デジタル技術の競争優位構築による「東急建設ブランドの訴求・確立」をはじめとする5つの重点戦略を実行することで当社グループの持続的な企業価値向上を目指してまいります。また、施工中工事の不具合や、過年度引渡し物件に係る施工瑕疵に対し、当社では、安全・品質・工程管理等のコア業務に関する技術員教育の強化、本社による作業所支援体制の強化、特定工事に対する専門委員会の設置等、品質管理体制の強化による再発防止策を徹底し、施工品質の向上に引き続き努めてまいります。
(4) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間における研究開発費は249百万円であります。 なお、当第1四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。