【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要、生産、受注及び販売の状況並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限緩和に伴い、経済活動の正常化が進み、景気回復の兆しが見られました。しかしながら、世界的な金融引き締めに加え、資源高による物価上昇により、景気の先行きは依然として不透明な状況となっております。 精糖業界においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で落ち込んだ消費が十分に回復できておらず、原材料価格、エネルギー価格の高騰などにより、全般的に厳しい事業環境が続いております。 このような環境下、当社グループは、品質管理の徹底を図り、顧客満足度を高めるため、精糖は製品の安定供給に取り組み、機能性素材は高付加価値提案型の販売活動に引き続き、取り組んでまいりました。 以上の結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高22,677百万円(前年同期比12.8%増)、営業利益1,814百万円(同13.1%増)、経常利益2,124百万円(同10.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,672百万円(同3.6%増)の増収増益となりました。 セグメントの業績は次のとおりであります。
(精糖事業) 海外原糖市況は、ニューヨーク先物市場が期初19.42セント(1ポンド当たり)で始まり、ロシアのウクライナ侵攻が長期化するなか、世界経済の低迷観測によるリスクオフの動きと、米国の利上げ継続措置によるドル高傾向に加え、実需面ではインドの白糖輸出が旺盛であったことやブラジルの予想以上の増産の報から17.20セントまで下落しました。しかし、その後はインドの白糖輸出に規制が掛かったことで一転して反発となり、EUの減産観測やタイでのサトウキビ圧搾の遅れが材料視され上昇に転じました。世界砂糖需給の見通しも下方修正されたことで、現物供給への懸念が拡大し、22.25セントで期末を迎えました。 一方、国内製品市況は期初東京現物相場(日本経済新聞掲載)204円~205円(上白大袋1キログラム当たり)で始まりましたが、2022年8月に12円、2023年2月に11円上昇し、227円~229円で期末を迎えました。 製品の荷動きとしましては、新型コロナウイルス感染症拡大による影響がまだ続いておりましたが、飲料・菓子・乳製品関係が年度末に向けて徐々に挽回しました。販売数量は前期に追い付かなかったものの、販売価格上昇により、増収となりました。しかしながら、利益面では販売価格の上昇があったものの、原材料やエネルギーコストを中心に製造コストが大幅上昇し、また、配送運賃の上昇も加わった結果、減益となりました。 以上の結果、売上高は11,678百万円(前年同期比7.4%増)、営業利益1,024百万円(同15.0%減)の増収減益となりました。
(機能性素材事業) 機能性食品素材「イヌリン」は原材料やエネルギーコストが上昇するなか、国内販売において糖質オフ、腸内環境改善の機能性訴求製品の採用増により前期に比べ、販売数量を増加しました。さらに、海外販売においても、販売数量の増加とともに、販売価格の引き上げを行ったことで増収とすることができました。 切花活力剤「キープ・フラワー」は、昨年の巣ごもり需要の反動により、家庭用製品の販売が減った結果、減収となりました。 連結子会社ユニテックフーズ株式会社は、コロナ禍の影響が緩和され、人流が戻ってきたことにより、主にCVS商材向けのペクチン、ゼラチン、コラーゲンなどの主力商品の販売が伸長し、増収とすることができました。
以上の結果、機能性素材事業全体で売上高10,023百万円(前年同期比20.9%増)、営業利益1,087百万円(同50.6%増)の増収増益となりました。(不動産事業) 不動産事業につきましては、売上高573百万円(前年同期比0.1%減)、営業利益533百万円(同0.2%減)の減収減益となりましたが、引き続き安定収益確保に貢献しました。(その他食品事業) その他食品事業につきましては、タイでの食品関連事業が中心でありますが、業績は売上高402百万円(前年同期比12.6%増)、営業利益13百万円(同15.1%減)の増収減益となりました。
② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ1,074百万円増加し、4,875百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果得られた資金は、579百万円(前年同期比4.4%増)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益の計上などによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は、169百万円(前年同期比64.4%減)となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果得られた資金は、633百万円(前年同期275百万円支出)となりました。これは主として短期借入金の増加などによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(A) 生産実績当連結会計年度における生産実績及び商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(a) 生産実績
セグメントの名称
当連結会計年度(千円)
前年同期比(%)
精糖
11,206,745
107.8
機能性素材
3,446,339
140.9
その他食品
―
△100.0
合計
14,653,084
111.7
(注) 上記の金額は、販売価格によっております。
(b) 商品仕入実績
セグメントの名称
当連結会計年度(千円)
前年同期比(%)
精糖
423,932
220.8
機能性素材
6,317,322
147.3
合計
6,741,255
150.4
(B) 受注実績当社グループは受注生産を行っておりません。
(C) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(千円)
前年同期比(%)
精糖
11,678,222
107.4
機能性素材
10,023,387
120.9
不動産
573,541
99.9
その他食品
402,700
112.6
合計
22,677,852
112.8
(注) 1
上記の金額は、セグメント間取引を相殺消去しております。
2
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
双日食料㈱
8,069,816
40.2
9,550,667
42.1
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度は、中期経営計画において成長を目指した基盤固めと新規事業の更なる育成を重点課題として位置づけ、以下の戦略を掲げ、事業活動を推進してまいりました。
(A)収益力の向上精糖事業においては、減少する消費のなか、営業体制を強化し、顧客との関係強化を図り、商権の維持に取り組むこととし、また、原料糖の効率的な仕入や生産の集約などで採算性の改善に努めてまいりました。また、機能性食品素材イヌリンの安定生産を実現し、日本国内だけでなく海外での販路開拓も推進いたしました。
(B)事業の多角化の展開当社グループにおいて、新しい顧客ニーズを吸い上げ、それに伴った新たな販路を開拓し、事業拡大を図ってまいりました。機能性食品素材イヌリンは、整腸作用・血糖値の上昇抑制効果・血中中性脂肪の低減効果の機能性表示だけでなく、更なる機能性を訴求し、販売活動を行ってまいりました。
(C)海外展開への更なる挑戦当社グループは、日本国内のみならず、海外での事業活動を積極的に展開してまいりました。タイにおいては機能性食品素材イヌリンの拡販を図り、その他食品事業における製パン事業会社 DAY PLUS (THAILAND) Co.,Ltd.の採算性の向上を目指し、海外での積極的な事業拡大を図ってまいりました。
(a)経営成績の分析
(売上高)当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ2,581百万円増加し、22,677百万円(前年同期比12.8%増)となりました。これは主に機能性素材事業の販売数量増加によるものであります。報告別セグメントの売上高の連結売上高に占める割合は、精糖事業51.5%、機能性素材事業44.2%、不動産事業2.5%、その他食品事業1.8%となりました。
(売上総利益)当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ440百万円増加し、5,276百万円(前年同期比9.1%増)となりました。売上高売上総利益率は、精糖事業の原料糖仕入コストが上昇したことにより、前連結会計年度に比べ0.8%減少し、23.3%となりました。
(営業利益)当連結会計年度における営業利益は、上記の結果、前連結会計年度に比べ209百万円増加し、1,814百万円(前年同期比13.1%増)となりました。売上高営業利益率は、前連結会計年度と変わらず、8.0%となりました。
(経常利益)当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ3百万円増加し、334百万円(前年同期比1.2%増)となりました。営業外費用は、前連結会計年度に比べ7百万円増加し、24百万円(前年同期比41.9%増)となりました。以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ206百万円増加し、2,124百万円(前年同期比10.7%増)となりました。売上高経常利益率は、前連結会計年度に比べ0.1%減少し、9.4%となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度における特別利益は、前連結会計年度に比べ95百万円減少し、5百万円(前年同期比94.9%減)となりました。特別損失は、前連結会計年度に比べ12百万円減少し、15百万円(前年同期比45.3%減)となりました。法人税等合計は、前連結会計年度に比べ192百万円増加し、464百万円(前年同期比71.0%増)となりました。さらに非支配株主に帰属する当期純利益又は非支配株主に帰属する当期純損失は、前連結会計年度に比べ128百万円減少し、△24百万円(前年同期104百万円の非支配株主に帰属する当期純利益)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ58百万円増加し、1,672百万円(前年同期比3.6%増)となりました。売上高に対する親会社株主に帰属する当期純利益率は、前連結会計年度と比べ0.6%減少し、7.4%となりました。
(b)財政状態の分析
(資産)当連結会計年度における資産は、流動資産で前連結会計年度末に比べ24.6%増加し、14,262百万円となりました。これは主として現金及び預金の増加などによるものであります。また、固定資産では、前連結会計年度末に比べ5.2%増加し、13,994百万円となりました。これは主として投資有価証券の増加などによるものであります。
(負債)当連結会計年度における負債は、流動負債で前連結会計年度末に比べ51.1%増加し、5,176百万円となりました。これは主として短期借入金の増加などによるものであります。また、固定負債では、前連結会計年度末に比べ2.6%減少し、1,565百万円となりました。これは主として長期借入金の減少などによるものであります。
(純資産)当連結会計年度における純資産は、前連結会計年度末に比べ9.1%増加し、21,514百万円となりました。これは主として利益剰余金の増加などによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報(A)キャッシュ・フローの状況の分析当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(B)資本の財源及び資金の流動性当社グループの運転資金需要の主なものは、原材料及び商品の仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資などであります。当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを重点事項と考えております。短期運転資金、設備投資や長期運転資金の調達は、ともに自己資金とし、不足が発生した場合には金融機関からの借入をすることを基本としております。なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は2,230百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,875百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。当該連結財務諸表の作成について、一部見積りや仮定によることがあります。採用する見積りや仮定は、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、連結決算日において、入手可能な情報を総合的に勘案し、合理的であると考えられるものを継続的に使用しております。連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているとおりであります。(A)繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(B)固定資産の減損処理当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(C)棚卸資産の評価当社グループの保有している棚卸資産は、設定されている賞味期限内での予定販売数量を用いて販売可能性を評価しております。用いている予定販売数量は、取締役会にて承認された計画でありますが、市場環境の変化などにより、予定販売数量の見込みに変更が生じた場合、評価損が計上となる可能性があります。