【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況当第3四半期累計期間における我が国の経済は、コロナ禍の中で感染防止と経済活動の両立を目指しましたが、国際情勢の不安定化を契機とする急激な円安の進行及び資源不足・原材料価格の高騰と物価上昇による個人消費への影響も懸念され、景気の先行きについては依然不透明な状況が続いております。
このような経営環境の中、当社はこれまで取り組んできたEC主軸のビジネスモデルを強みとして、インターネット経由ですべての情報とサービスをお客様に提供してまいりました。これにより、お客様が当社とのお取引きをインターネット上ですべて完結できる仕組みを推し進めることでより利便性を高め、安心・安全にお買い物を楽しんでいただけるように努めてまいりました。
当第3四半期累計期間におきましては、これまで掲げてきました4つの“シンカ”、「進む価値」、「知識を深める価値」、「真実の価値」、「新しい価値」にもとづいた取り組みを進めてまいりました。One To Oneマーケティングとして、前事業年度までに導入しましたPhase4.ではカメラ事業の需給に合わせたタイムリーな買取・販売価格の設定を可能とした「AIMD」、Phase5.ではカメラ事業部がWeb上に保有する記事コンテンツの中から顧客ごとに適切なものを配信する「AIコンテンツレコメンド」を推し進めました。そして、LINE・YouTubeの積極的活用により、お客様の日常の中で一番身近な場所を商圏の中心とし、LINEではOne To Oneで受け取れるお知らせ機能を導入するなど、更なるシェアの拡大に向けた取り組みを行いました。また、グローバル展開の取り組みとしては円安効果を受けて海外への越境ECが順調に伸長し、更に今後の海外販売エリア拡大の為に海外向け販売サポートサービス「Buyee Connect」を新たに導入したことで、筆記具、ロードバイクを含むすべての商材の販売が可能になりました。これらにより、売上高は34,417,145千円(前年同四半期比11.4%増)となりました。
時計事業ではグローバル全体での急激な時計相場の下落に合わせた販売価格の見直し及び積極的な販売を行ったことで、主軸であるカメラ事業は売上高を大きく伸ばしながら売上総利益率は高水準を維持したものの、全体での売上総利益率は前年同四半期から0.8ポイント低下しました。販売費及び一般管理費においては、売上高連動の販売促進費やクレジット利用手数料、新たなシステム開発投資に伴う運用費及びESG経営に係る投資、そして従業員給与のベースアップによる増加等によって3,812,575千円(同13.4%増)となり、AI活用によるスリムな経営は継続してまいりましたが、売上高販売管理費比率は前年同四半期から0.2ポイント増加しました。これらによって、営業利益は2,239,280千円(同3.9%減)、経常利益は2,238,798千円(同5.9%減)、四半期純利益は1,556,909千円(同5.0%減)となりました。
(2) セグメント別経営成績各セグメントにおける経営成績は次のとおりであります。
[カメラ事業]AIMD、AIコンテンツレコメンドといった、AIを積極的に活用した独自機能やサービスによるOne to Oneマーケティングが機能し、EC売上高が順調に増加しました。また、これまで商品情報やおすすめコンテンツはメールやアプリでのプッシュ通知でしたが、その情報をLINEでも受け取ることができるようにすることで、よりスマートフォンでのお客様の利便性を高めました。これらに合わせ、カメラメーカー各社からの注目の新製品の発売もあり、EC売上高は大きく伸長し、店舗売上高も回復したことで、全体の売上高は24,407,517千円(前年同四半期比23.5%増)となり、セグメント利益については2,788,277千円(同25.1%増)となりました。
[時計事業]これまで取り組んできた戦略的商品ラインナップの拡充として、人気ブランド「ROLEX」の買取強化を継続したことでEC売上高は大きく伸長し、また、越境ECとして出店している「eBay」及び「Chrono24」では顧客高評価を得て順調に成長しています。レディースブランドサロン「BRILLER」ではブランドバックの店舗フロア拡張と高級ブランドジュエリーの取り扱いを開始し、SNSを中心とした情報発信によって認知度も高まっております。一方、店舗では国内需要は引き続き高いものの、国際情勢等(入国規制等)の影響によって免税売上高は未だ低迷しており、全体の売上高は9,025,886千円(前年同四半期比11.9%減)となりました。セグメント利益については、時計相場全体の下落が影響し、特に、ROLEX等の人気商品においては、通年をとおして30%強の下落となりました。このような外部環境の悪化の中、当社としては販売価格の見直しや商品在庫の入れ替えを進める施策をおこなった結果、売上総利益率が大幅に低下したことで136,604千円(同80.9%減)となりました。なお、第4四半期(1~3月)においても価格相場は回復しないという保守的な外部環境予想のもと、在庫の入れ替えを考慮し、時計事業の業績予想を見直しております。
[筆記具事業]メーカーとの協業によるオリジナル商品の企画・販売については継続実施し、限定品や国内未発売のレアモデルの万年筆等を多数取り揃えるなどで、「KINGDOM NOTE」でしか手に入らない商品ラインナップを充実させ、同時にYouTubeを活用し筆記具の魅力を広く伝えることにも努めました。また、店舗では売り場改装を実施して生産性の改善を図りました。買取及び商品化においては強化を行い、新着商品のWeb掲載数の増量を図ったことで中古商品の売上高は大きく増加し、売上高は328,138千円(前年同四半期比15.3%増)となりました。セグメント利益については、売上高の拡大と同時に適切な販売価格の設定による売上総利益率の改善によって28,276千円(同1,417.4%増)となりました。
[自転車事業]コロナ禍における生活スタイルの変化と健康志向に伴う自転車需要の高まりも一巡した中で、スマホアプリによる日常的な情報発信や自転車専門サイトでの広告宣伝とECサイト上の様々な営業施策を実施しました。店舗では世界的に人気が高い日本メーカーのパーツに対する免税需要が高まったことが全体に寄与し、売上高は655,603千円(前年同四半期比9.7%増)となり、セグメント利益については48,017千円(同34.2%増)となりました。
(グローバル戦略について)海外での販売エリアの拡大を図るために、「Map Camera」として世界最大級のオンラインマーケットプレイス「eBay」へ、「GMT」として「eBay」及び高級腕時計マーケットプレイス「Chrono24」へ出店し、サービスの質を重視した越境ECを展開しつつ、各サイトの利用者は順調に増加しております。その売上高はカメラ事業、時計事業それぞれに含まれて計上されており、当第3四半期累計期間はカメラ1,282,403千円、時計692,192千円となっています。
(3) 財政状態当第3四半期会計期間末の総資産は18,207,349千円となり、前事業年度末と比較し、3,800,303千円の増加となりました。流動資産は16,474,841千円となり、前事業年度末と比較して3,654,051千円の増加となりました。これは主として商品が2,904,999千円増加したこと、売掛金が478,684千円増加したこと、現金及び預金が216,215千円増加したことによるものであります。固定資産は1,732,507千円となり、前事業年度末と比較して146,252千円の増加となりました。これは主としてソフトウエア仮勘定が184,520千円増加したこと、ソフトウエアが56,667千円減少したことによるものであります。負債につきましては11,885,054千円となり、前事業年度末と比較して2,947,605千円の増加となりました。流動負債は8,806,834千円となり、前事業年度末と比較して2,682,593千円の増加となりました。これは主として短期借入金が3,050,000千円増加したこと、買掛金が287,018千円増加したこと、1年内返済予定の長期借入金が188,133千円増加したこと、未払法人税等が734,961千円減少したことによるものであります。固定負債は3,078,219千円となり、前事業年度末と比較して265,011千円の増加となりました。これは主として長期借入金が256,760千円増加したことによるものであります。純資産につきましては6,322,295千円となり前事業年度末と比較して852,697千円の増加となりました。これは主として自己株式が564,895千円減少したこと、利益剰余金が275,579千円増加したことによるものであります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動該当事項はありません。