【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、ウイズコロナの下で、緩やかな持ち直しの動きがみられました。しかし、供給面での制約や物価の上昇が継続していることと、世界的な金融政策の引締めによる海外経済の悪化懸念等の下振れリスクが、その先行きに不透明感を増加させています。
当社グループが属するエレクトロニクス業界は、年度当初より旺盛な半導体需要と、円安基調に為替相場が推移したことで活況を呈しました。また、DX(デジタル・トランスフォーメーション)関連市場への投資拡大や、GX(グリーン・トランスフォーメーション)による電子機器の高機能・高効率化への需要拡大が期待されております。一方、足元においては、メモリや液晶等の商材の供給難が緩んできたことに伴う価格の下落、それら商材における顧客の在庫水準の高止まりに起因する需要の減少、一部部品の供給制約の継続が散見されており、予断を許さない状況が続いています。
このような情勢の下、当社グループは、商材の激しい需給動向への対応と、成長軌道の実現のための「収益構造改革」の一環として、DX(デジタル)関連市場や、GX(脱炭素・再生可能エネルギー)関連市場への新規開拓等、中長期的取組みを推進しております。
当連結会計年度における販売面は、当社グループの中核分野である半導体製品分野において、年度前半の旺盛な半導体需要の取込みに注力したことに加え、為替相場が円安に進行したため、第3四半期までは増加基調にありました。しかし、年度後半から半導体市況の潮目が変化したところに、第4四半期より為替相場が円高に転換したことと、年度を通してディスプレイ分野の直接取引への商流変更、足元では回復基調にあるもののシステム製品分野及びバッテリ&電力機器分野の一部商材の供給難による顧客の生産調整の影響を受けたため売上高は減少しました。利益面は、半導体製品分野の増収効果と、ディスプレイ分野の利益率が改善し、そして為替相場が第3四半期まで円安に進行したことが奏功して売上総利益が増加したため、営業利益も増益となり過去最高益を更新しました。一方、年度当初の半導体をはじめとする各種商材の納期長期化への対応として在庫確保を行い供給の安定化を図ったため、外貨建て負債が大きくなっていたところへ急激な円安進行によって為替差損を大幅に計上したことと、ドル金利の上昇により支払利息が増加しました。しかし、営業利益の増加が、これらのマイナス影響を打ち消したため、経常利益以下の利益指標も増益となり、営業利益と同様に過去最高益を更新しました。
その結果、売上高は419億24百万円(前年同期比3.5%減)、営業利益は22億42百万円(前年同期比49.3%増)、経常利益は13億2百万円(前年同期比22.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8億97百万円(前年同期比20.0%増)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(日本)
当連結会計年度は、直接取引に商流変更となった液晶モジュールビジネスの影響を受けたため、売上高は383億41百万円(前年同期比5.4%減)となりましたが、利益率の改善によりセグメント利益は22億26百万円(前年同期比49.6%増)となりました。
(海外)
当連結会計年度は、年度前半の中国のロックダウン施策や海外顧客の生産調整の影響を受けつつも、半導体製品を中心に需要の取込みに注力したため、売上高は35億83百万円(前年同期比21.5%増)、セグメント利益は48百万円(前年同期比112.6%増)となりました。
当連結会計年度末の財政状態は、総資産は168億56百万円(前連結会計年度末比19.3%減)、負債は99億14百万円(前連結会計年度末比31.6%減)、純資産は69億42百万円(前連結会計年度末比8.6%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度において、現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ21億43百万円減少し41億73百万円となりました。主な要因は、営業活動による資金は増加したが、財務活動による資金の減少によるものであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果増加した資金は、45億77百万円(前年同期は7億47百万円の増加)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益を13億2百万円、為替差損を12億70百万円計上したこと、売上債権の減少20億29百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は15百万円(前年同期は7百万円の増加)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出17百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果減少した資金は67億72百万円(前年同期は8億66百万円の減少)となりました。主な要因は、短期借入金の純減額59億円、長期借入金の返済による支出が10億17百万円あったことによるものであります。
③ 仕入及び販売の実績
a. 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
日本(千円)
37,099,780
90.0
海外(千円)
12,440
15.0
合計(千円)
37,112,220
89.9
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の仕入実績及び当該仕入実績の総仕入実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額
(千円)
割合
(%)
金額
(千円)
割合
(%)
GigaDevice Semiconductor Inc.
5,159,823
12.5
10,185,211
27.4
SK hynix Japan(株)
11,055,212
26.8
9,165,673
24.7
エルジーディスプレイジャパン(株)
5,135,143
12.4
-
-
BOE TECHNOLOGY (HK) LIMITED
4,637,236
11.2
-
-
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の仕入実績のうち、当該仕入実績の総仕入実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
b. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
日本(千円)
38,341,304
94.6
海外(千円)
3,583,167
121.5
合計(千円)
41,924,471
96.5
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額
(千円)
割合
(%)
金額
(千円)
割合
(%)
Amkor Technology Korea, Inc.
-
-
6,436,121
15.4
JCET STATS ChipPAC Korea Ltd.
-
-
4,306,079
10.3
NECパーソナルコンピュータ(株)
4,699,385
10.8
-
-
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
(a) 売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3.5%、15億34百万円減少し、419億24百万円となりました。
品目別売上高は、次のとおりであります。
(半導体製品分野)
年度前半の世界的な半導体不足の中、その旺盛な需要への対応に注力したことと、メモリ価格上昇や為替相場が円安基調に推移したことで大幅に増加した結果、売上高は281億33百万円(前年同期比31.7%増)となりました。
(ディスプレイ分野)
当年度より再構築分野として、高利益商材の販売に注力し利益率の改善に努めております。直接取引に商流変更となった液晶モジュールビジネスの影響を受け、売上高は57億85百万円(前年同期比52.8%減)となりました。
(システム製品分野)
異物検出装置は堅調に推移しましたが、一部部品の供給不足継続の影響による顧客の生産調整のためEMSビジネスが減少し、売上高は55億60百万円(前年同期比13.4%減)となりました。
(バッテリ&電力機器分野)
顧客製品における開発遅延や、一部部品の供給不足継続の影響による顧客の生産調整のため、売上高は21億11百万円(前年同期比29.9%減)となりました。
(その他分野)
売上高は3億32百万円(前年同期比17.5%減)となりました。
(b) 売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ6.0%、24億15百万円減少し、376億20百万円となり、売上原価率は同2.4ポイント改善し89.7%となりました。これは主に、為替の円安効果とディスプレイ分野のメーカ構成に変化があり売上原価率が改善しました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ7.3%、1億40百万円増加し、20億61百万円となりました。これは主に、ウイズコロナの下で感染拡大に留意しつつ販売活動が徐々に活発化したことと、半導体ビジネス拡大のための販売手数料が増加したことが要因となります。
(c) 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ49.3%、7億40百万円増加し、22億42百万円となり、営業利益率は同1.9ポイント増加し5.3%となりました。これは売上総利益の増加が、販売費及び一般管理費の増加分を上回ったことによるものであります。
(d) 営業外損益及び経常利益
当連結会計年度は、支払利息の増加や為替差損の増加等があり、営業外損益は前連結会計年度と比べ5億円の減少となりました。営業利益の増加により、経常利益は13億2百万円(前年同期比22.6%増)となりました。
(e) 特別損益
前連結会計年度は、Shinden Hightex Korea Corporationの清算による関係会社清算益を計上したため、特別損益は前連結会計年度と比べ14百万円の減少となりました。
(f) 法人税等及び当期純利益
法人税、住民税及び事業税、並びに法人税等調整額を合わせた税金費用の合計は4億4百万円であり、税金等調整前当期純利益に対する負担率は31.0%であります。
b. 財政状態の分析
(a) 資産
総資産は168億56百万円となり、前連結会計年度末に比べ40億31百万円(19.3%)減少しました。主な要因は、現金及び預金が21億43百万円(33.9%)、売掛金が17億88百万円(22.0%)減少したことによるものであります。
(b) 負債
負債は99億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ45億83百万円(31.6%)減少しました。主な要因は、その他の流動負債が6億円(248.0%)増加しましたが、有利子負債が50億83百万円(44.4%)減少したことによるものであります。
(c) 純資産
純資産は69億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億51百万円(8.6%)増加しました。主な要因は、自己株式を1億75百万円取得しましたが、利益剰余金が6億73百万円(18.3%)増加したことによるものであります。
(d) 経営指標
流動比率は、短期借入金の減少等により前連結会計年度末と比べ29.9ポイント増加し、182.2%となりました。自己資本比率は、利益剰余金の増加による純資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ10.5ポイント増加し41.1%となりました。有利子負債対純資産比率は0.9倍となり、前連結会計年度末と比べ0.9ポイント減少しました。
c. 資本の財源及び資金の流動性について
(a) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、45億77百万円の資金の増加(前年同期は7億47百万円の増加)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益を13億2百万円、為替差損を12億70百万円計上したこと、売上債権の減少20億29百万円があったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、15百万円の資金の減少(前年同期は7百万円の増加)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出17百万円があったことによるものであります。
以上の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは45億61百万円の資金の増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、67億72百万円の資金の減少(前年同期は8億66百万円の減少)となりました。主な要因は、短期借入金の純減額59億円、長期借入金の返済による支出が10億17百万円あったことによるものであります。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は41億73百万円(前年同期は63億16百万円)となりました。
(b) 資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、商品の仕入費用、販売費及び一般管理費等の営業費用等であります。これらの資金需要に対し、主として金融機関からの借入により調達することとしております。
なお、当社グループの資金需要等の動向につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (8)資金調達」に記載のとおりであります。
d. 経営成績に重要な影響を与える要因について
世界的な物価の上昇や金融政策の引締めによる海外経済の悪化懸念等の下振れリスクが顕在化し、景気低迷による消費マインドが低下した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
併せて、当社グループは、仕入れ及び販売にかかる外貨取引の割合が高いため、わが国を含めた各国の中央銀行による金融政策の変更や経済動向の変化、金融不安等によって為替の急激な変動があった場合、為替差損益が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
足元の供給面での制約が継続し、他社を含めた部品の調達難による顧客の生産調整の影響が拡大した場合等、当社グループの主要販売先が属する市場の需給動向に影響を及ぼす可能性があり、それらの要因等より、主要販売先の所要数量に変動が生じた場合は収益が減少し、さらに利益面では、棚卸資産の廃棄、または資産価値評価の見直しを必要とする等、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
昨今の情勢より地政学的リスクが高まっており、仕入価格や物流費用等の各種費用も増加基調にあるとともに、事態が緊迫化した場合は、サプライチェーンが混乱する懸念があります。そこへ供給制約に拍車がかかり、商品の需給バランスが崩れた場合、主要仕入先(メーカ)に高い依存をしている当社グループの経営成績へ影響を及ぼす可能性があります。
また、上記の景気変動並びに、為替変動及びサプライチェーンの混乱、または、その他の要因による、販売先の事業環境の急激な変化によって財政状態が極端に悪化した場合、売掛債権等が取立遅延や不能になるおそれがあります。そのような場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、上記の事象の顕在化等により著しく当社グループの財政状態や経営成績が悪化し、資金調達環境が変化した場合は、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
したがいまして、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の中で、経営者の視点により分析・検討した結果、「特に重要なリスク」として認識しているリスクは、以下のとおりとなります。
・(1) 景気変動の影響
・(2) 為替リスク
・(3) 地政学的リスク
・(5) 商品の需給動向の変動
・(6) 主要仕入先(メーカ)への高依存
・(7) 主要販売先への高依存
・(8) 資金調達
・(11) 棚卸資産廃棄及び棚卸資産評価の影響
・(12) 売掛債権回収リスク
e. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
2022年5月12日に公表しました、2023年3月期通期業績予想にかかる当連結会計年度の達成状況は以下のとおりです。
なお、2022年11月9日に2023年3月期通期業績予想を修正しておりますが、以下の記載は当初の2022年5月12日の公表値に基づき記載しております。
売上高は当初計画に比べ7.0%、31億75百万円減少しました。年度前半の半導体をはじめとした主要取扱商材の供給ひっ迫による影響と、年度後半からのそれら汎用品における需給動向の変化による需要減が主な要因となります。
営業利益は当初計画に比べ42.8%、6億72百万円増加となりました。これは主に、為替相場が第3四半期まで円安に推移したことと、年度後半よりシステム製品分野におけるEМSビジネスが復調してきたために売上総利益が増加したことが要因となります。
経常利益は当初計画に比べ4.2%、52百万円増加となりました。これは主に、年度前半の商材の需給ひっ迫への対応として在庫確保を行なったため為替差損を計上したことと、ドル金利の上昇により支払利息が増加しましたが、営業利益の増加が、これらのマイナス要因を上回ったことが要因となります。
親会社株主に帰属する当期純利益は、当初計画に比べ4.3%、37百万円増加となりました。また、1株当たり当期純利益は当初計画に比べ6.1%、25円94銭増加となりました。
指標
2023年3月期(当初計画)
2023年3月期(実績)
増減額(当初計画比)
売上高
45,100百万円
41,924百万円
3,175百万円 ( 7.0%減)
営業利益
1,570百万円
2,242百万円
672百万円 (42.8%増)
経常利益
1,250百万円
1,302百万円
52百万円 ( 4.2%増)
親会社株主に帰属する当期純利益
860百万円
897百万円
37百万円 ( 4.3%増)
1株当たり当期純利益
422円86銭
448円80銭
25円94銭 ( 6.1%増)
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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