【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当第1四半期連結累計期間における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。また、当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの財政状態または経営成績に重要な影響を及ぼす会計上の見積り、判断および仮定の記載について重要な変更はありません。
(1) 経営成績当社グループの当第1四半期連結累計期間における売上収益は、前年同四半期連結累計期間(以下「前年同四半期」という。)に比べ2,110億円減少し、5,631億円となりました。損益面では、コア営業損益は536億円の損失、営業損益は717億円の損失、親会社の所有者に帰属する四半期損益は332億円の損失となり、それぞれ前年同四半期を下回りました。
(売上収益)医薬品においてラツーダ(非定型抗精神病薬)の独占販売期間終了により販売が減少し、健康・農業関連事業において流通在庫の増加により南米での農薬の出荷が減少しました。また、エッセンシャルケミカルズにおいて市況が低水準で推移したことに加え、情報電子化学においてディスプレイ関連材料、半導体プロセス材料の出荷が減少しました。この結果、売上収益は、前年同四半期の7,741億円に比べ2,110億円減少し、5,631億円となりました。
(コア営業損益/営業損益)医薬品においてラツーダの独占販売期間終了に伴い販売費及び一般管理費は減少しましたが、減収による売上総利益の減少の影響が上回りました。また、エッセンシャルケミカルズにおいて当社の持分法適用会社であるラービグ リファイニング アンド ペトロケミカル カンパニー(以下「ペトロ・ラービグ社」という。)の業績が悪化したことに加え、健康・農業関連事業において農薬の出荷が減少しました。この結果、コア営業損益は、前年同四半期の641億円の利益に比べ1,177億円悪化し、536億円の損失となりました。コア営業損益の算出にあたり営業損益から控除した、非経常的な要因により発生した損益は、医薬品における北米グループ会社再編に伴う費用の計上等により、前年同四半期の22億円の利益に比べ203億円悪化し、181億円の損失となりました。以上の結果、営業損益は、前年同四半期の663億円の利益に比べ1,380億円悪化し、717億円の損失となりました。
(金融収益及び金融費用/税引前四半期損益)金融収益及び金融費用は、当第1四半期連結会計期間末にかけて為替相場が円安に進行したことにより為替差益を計上したため219億円の利益となりましたが、前年同四半期の474億円の利益に比べ255億円減少しました。この結果、税引前四半期損益は、前年同四半期の1,137億円の利益に比べ1,635億円悪化し、499億円の損失となりました。
(法人所得税費用/親会社の所有者に帰属する四半期損益及び非支配持分に帰属する四半期損益)法人所得税費用は13億円となり、税引前四半期損益から法人所得税費用を控除した四半期損益は、512億円の損失となりました。非支配持分に帰属する四半期損益は、主として住友ファーマ株式会社等の連結子会社の非支配持分に帰属する四半期損益からなり、前年同四半期の151億円の利益に比べ331億円悪化し、180億円の損失となりました。以上の結果、親会社の所有者に帰属する四半期損益は、前年同四半期の700億円の利益に比べ1,031億円悪化し、332億円の損失となりました。
当第1四半期連結累計期間のセグメント別の業績の概況は、次のとおりであります。なお、セグメント損益は、営業損益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出したコア営業損益で表示しており、持分法による投資損益を含みます。
(エッセンシャルケミカルズ)合成樹脂やメタアクリル、各種工業薬品等は原料価格の下落により、市況が低水準で推移しました。また、世界的な景気減退に伴う石油化学品の需要減少や合繊原料の事業撤退等により、出荷が減少しました。この結果、売上収益は前年同四半期に比べ、462億円減少し1,924億円となりました。コア営業損益は市況の下落や出荷数量の減少に加え、ペトロ・ラービグ社の業績が悪化したことにより、前年同四半期に比べ、310億円悪化し210億円の損失となりました。
(エネルギー・機能材料)アルミニウムの市況や正極材料の原料貴金属の市況が低水準で推移しました。また、自動車関連用途を中心に出荷が低調となりました。この結果、売上収益は前年同四半期に比べ、130億円減少し734億円となり、コア営業利益は前年同四半期に比べ、36億円減少し30億円となりました。
(情報電子化学)ディスプレイ関連材料、半導体プロセス材料である高純度ケミカルやフォトレジストのいずれも、インフレ懸念に伴う消費マインドの悪化等により出荷が減少しました。この結果、売上収益は前年同四半期に比べ、202億円減少し945億円となり、コア営業利益は前年同四半期に比べ、91億円減少し67億円となりました。
(健康・農業関連事業)農薬は南米におけるジェネリック品の高騰売価が落ち着いたことや流通在庫の増加の影響により出荷が減少したため、販売が減少しました。また、メチオニン(飼料添加物)は前年同四半期に比べ市況が下落しました。この結果、売上収益は前年同四半期に比べ、498億円減少し1,027億円となりました。コア営業損益は農薬の販売減少やメチオニンの交易条件の悪化等により、前年同四半期に比べ、290億円悪化し70億円の損失となりました。
(医薬品)北米ではオルゴビクス(進行性前立腺がん治療剤)、ジェムテサ(過活動膀胱治療剤)、マイフェンブリー(子宮筋腫治療剤)等の売上は伸長しましたが、ラツーダの米国での独占販売期間が終了した影響が大きく減収となりました。この結果、売上収益は前年同四半期に比べ、847億円減少し830億円となりました。コア営業損益はラツーダの独占販売期間終了等に伴い、販売費及び一般管理費は減少しましたが、減収による売上総利益の減少の影響が大きく、前年同四半期に比べ473億円悪化し333億円の損失となりました。
(その他)上記5部門以外に、電力・蒸気の供給、化学産業設備の設計・工事監督、運送・倉庫業務、物性分析・環境分析業務等を行っております。これらの売上収益は前年同四半期に比べ、31億円増加し173億円となり、コア営業利益は前年同四半期に比べ8億円減少し24億円となりました。
(2) 財政状態当第1四半期連結会計期間末の資産合計は、円安による邦貨換算の影響があり、前連結会計年度末に比べ2,083億円増加し、4兆3,738億円となりました。棚卸資産やのれん及び無形資産が増加しました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,475億円増加し、2兆8,239億円となりました。有利子負債は、前連結会計年度末に比べ1,712億円増加し、1兆6,326億円となりました。資本合計(非支配持分を含む)は、親会社の所有者に帰属する四半期損失を計上しましたが、円安の影響により在外子会社に係る邦貨換算差額が増加したため、前連結会計年度末に比べ608億円増加し、1兆5,499億円となりました。親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べて0.1ポイント減少し、28.0%となりました。
(3) キャッシュ・フロー当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期損益の悪化に加えて運転資金の増加等により前年同四半期に比べ1,745億円減少し、1,319億円の支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同四半期は貸付金の回収による収入があったこと等により前年同四半期に比べ595億円減少し、134億円の支出となりました。この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前年同四半期の887億円の収入に対して、当第1四半期連結累計期間は1,454億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の増加等により、1,420億円の収入となりました。以上の結果、当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の四半期末残高は、売却目的で保有する資産への振替額を加味した前連結会計年度末に比べ173億円増加し、3,231億円となりました。
(4) 経営方針・経営戦略等当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動 当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は455億円であります。また、当第1四半期連結累計期間における、当社グループの研究開発活動の状況の変更の内容は、次のとおりであります。
(健康・農業関連事業) 2023年4月、日本において、有効成分アブシシン酸(一般名)を含有する天然物由来の植物成長調整剤「アブサップ液剤」を上市いたしました。「アブサップ液剤」は、当社がグローバル展開を進めるバイオラショナル製品の1つで、巨峰・ピオーネという日本を代表する黒系ブドウ品種に対して果房へ直接散布することで効率的に果皮の着色を促進します。