【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当第3四半期連結累計期間における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。また、当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの財政状態または経営成績等に重要な影響を及ぼす会計上の見積り、判断および仮定の記載について重要な変更はありません。
(1) 経営成績当社グループの当第3四半期連結累計期間における売上収益は、前年同四半期連結累計期間(以下「前年同四半期」という。)に比べ2,192億円増加し、2兆2,570億円となりました。損益面では、コア営業利益は1,422億円、営業利益は714億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は603億円となり、それぞれ前年同四半期を下回りました。
(売上収益)主にエッセンシャルケミカルズやエネルギー・機能材料において市況が上昇しました。また、健康・農業関連事業において南米での農薬の販売が増加し、各セグメントにおいては円安による在外子会社の邦貨換算差の影響がありました。一方で、情報電子化学において、巣ごもり需要が一巡したことにより出荷が減少しました。この結果、売上収益は、前年同四半期の2兆379億円に比べ2,192億円増加し、2兆2,570億円となりました。
(コア営業利益/営業利益)エッセンシャルケミカルズにおいて、原料価格上昇に伴い交易条件が悪化したことに加え、自動車用途での需要減少の影響がありました。医薬品においては、邦貨換算差の影響等により北米での販売費及び一般管理費が増加しました。一方で、健康・農業関連事業において、南米での農薬の販売増加や円安による輸出手取りの増加がありました。この結果、コア営業利益は、前年同四半期の2,057億円に比べ635億円減少し、1,422億円となりました。コア営業利益の算出にあたり営業利益から控除した、非経常的な要因により発生した損益は、減損損失等の計上により、前年同四半期の77億円の損失に比べ630億円悪化し、707億円の損失となりました。以上の結果、営業利益は、前年同四半期の1,979億円に比べ1,265億円減少し、714億円となりました。
(金融収益及び金融費用/税引前四半期利益)金融収益及び金融費用は、年末にかけて為替相場が急速に円高に進んだものの、当第3四半期連結累計期間においては円安方向に推移したため為替差益を計上し、233億円の利益となりました。前年同四半期の116億円の利益に比べ117億円の増加となりましたが、営業利益での減益の影響が大きく、税引前四半期利益は、前年同四半期の2,095億円に比べ1,148億円減少し、948億円となりました。
(法人所得税費用/親会社の所有者に帰属する四半期利益及び非支配持分に帰属する四半期損失) 法人所得税費用は531億円となり、税引前四半期利益に対する税効果適用後の法人所得税費用の負担率は、56.0%となりました。この結果、四半期利益は、417億円となりました。非支配持分に帰属する四半期損失は、主として住友ファーマ株式会社(以下「住友ファーマ」という。)等の連結子会社の非支配持分に帰属する四半期損失からなり、前年同四半期の220億円に比べ406億円悪化し、186億円の損失となりました。以上の結果、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同四半期の1,337億円に比べ734億円減少し、603億円となりました。
当第3四半期連結累計期間のセグメント別の業績の概況は、次のとおりであります。なお、セグメント利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出したコア営業利益で表示しており、持分法による投資損益を含みます。
(エッセンシャルケミカルズ)合成樹脂やメタアクリル、各種工業薬品等は原料価格の上昇により販売価格が上昇しました。また、円安による在外子会社の邦貨換算差の影響もありました。一方で、自動車用途を中心に需要が落ち込んだため出荷が減少しました。この結果、売上収益は前年同四半期に比べ、506億円増加し6,755億円となりました。コア営業利益は、原料価格の上昇に伴う交易条件の悪化や出荷減少の影響により、前年同四半期に比べ540億円悪化し20億円の損失となりました。
(エネルギー・機能材料)アルミニウムや正極材料は市況の上昇に伴い、販売価格が上昇しました。また、リチウムイオン二次電池用セパレータは出荷が堅調に推移しました。さらに、円安による影響もありました。この結果、売上収益は前年同四半期に比べ、304億円増加し2,571億円となりました。コア営業利益は円安に伴う輸出手取りの増加はありましたが、原料価格の上昇に伴う交易条件の悪化等により、前年同四半期に比べ18億円減少し169億円となりました。
(情報電子化学)売上収益は在外子会社において円安による邦貨換算差の影響がありました。また、半導体プロセス材料である高純度ケミカルやフォトレジストは需要の伸長に伴い出荷が増加しました。一方で、ディスプレイ関連材料は巣ごもり需要が一巡したことやインフレ懸念に伴う消費マインドの悪化等により出荷が減少したため、売上収益は前年同四半期に比べ、135億円減少し3,386億円となり、コア営業利益も前年同四半期に比べ22億円減少し437億円となりました。
(健康・農業関連事業)農薬は南米において販売が大幅に増加し、インド等においても出荷が堅調に推移しました。また、メチオニン(飼料添加物)は前年同四半期に比べ市況が上昇しました。さらに、円安による在外子会社の邦貨換算差の影響もありました。この結果、売上収益は前年同四半期に比べ、1,082億円増加し4,392億円となりました。コア営業利益は原料価格上昇の一方、販売の増加や円安に伴う輸出手取りの増加等により、前年同四半期に比べ194億円増加し472億円となりました。
(医薬品)北米では前年同四半期に共同開発・販売提携契約による一時金の計上がありましたが、円安による在外子会社の邦貨換算差の影響に加え、ラツーダ(非定型抗精神病薬)やオルゴビクス(進行性前立腺がん治療剤)、ジェムテサ(過活動膀胱治療剤)等の売上伸長等により、増収となりました。一方、国内においては、薬価改定等の影響があったものの、売上収益は前年同四半期に比べ、262億円増加し4,825億円となりました。コア営業利益は、売上収益が増加した一方で、邦貨換算差の影響等により販売費及び一般管理費や研究費が増加したため、前年同四半期に比べ194億円減少し431億円となりました。
(その他)上記5部門以外に、電力・蒸気の供給、化学産業設備の設計・工事監督、運送・倉庫業務、物性分析・環境分析業務等を行っております。これらの売上収益は前年同四半期に比べ、172億円増加し642億円となり、コア営業利益は前年同四半期に比べ44億円減少し77億円となりました。
(2) 財政状態当第3四半期連結会計期間末の資産合計は前連結会計年度末に比べ2,425億円増加し、4兆5,506億円となりました。現金及び現金同等物や棚卸資産が増加しました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,413億円増加し、2兆7,475億円となりました。有利子負債は、前連結会計年度末に比べ999億円増加し、1兆4,503億円となりました。資本合計(非支配持分を含む)は、為替換算調整勘定の増加や親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上等により、前連結会計年度末に比べ1,012億円増加し、1兆8,031億円となりました。親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べて0.5ポイント増加し、28.8%となりました。
また、当第3四半期連結会計期間において、住友ファーマが同社の連結子会社である住友ファーマフード&ケミカル株式会社および住友ファーマアニマルヘルス株式会社の株式譲渡契約を締結したことに伴い、関連する資産については売却目的で保有する資産、負債については売却目的で保有する資産に直接関連する負債、資本については売却目的で保有する資産に関連するその他の包括利益にそれぞれ分類しております。
(3) キャッシュ・フロー当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金の減少等により前年同四半期に比べ13億円増加し、1,003億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、貸付金の回収による収入や、投資の売却及び償還による収入等により、前年同四半期に比べ868億円増加し、17億円の収入となりました。この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前年同四半期の139億円の収入に対して、当第3四半期連結累計期間は1,020億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、130億円の収入となりました。また、当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の四半期末残高は、前連結会計年度末に比べ1,366億円増加し、売却目的で保有する資産への振替額も加味すると4,996億円となりました。
(4) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動 当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は1,409億円であります。また、当第3四半期連結累計期間における、当社グループの研究開発活動の状況の変更の内容は、次のとおりであります。
(健康・農業関連事業)2022年5月、世界最大の大豆生産国であるブラジルにおいて、当社が独自に開発した新規有効成分「インディフリン」を含む大豆用殺菌剤「エクスカリア マックス」を上市いたしました。「エクスカリア マックス」は、大豆の最重要病害であるさび病を含む複数の病害に対し優れた効力を示します。同剤は、当社の連結子会社であるスミトモ ケミカル ブラジル インダストリア キミカ S.A.を通じて販売を開始しております。