【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに関する説明における前期及び前連結会計年度末との比較は、当該会計基準等を適用する前の前連結会計年度の数値を用いて算定しております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の業績は、営業収益は523,424百万円(前期比76,346百万円、17.0%増)、営業利益126,147百万円(前期比11,640百万円、10.1%増)、経常利益123,222百万円(前期比13,640百万円、12.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益79,150百万円(前期比9,586百万円、13.7%増)となりました。
財政状態については、当連結会計年度末の資産合計は、2,320,337百万円(前期末比113,011百万円、5.1%増)、負債合計は、1,633,183百万円(前期末比64,190百万円、4.0%増)、純資産合計は、687,153百万円(前期末比48,820百万円、7.6%増)となりました。
各セグメントの業績は、次の通りであります。
(各セグメントの営業収益は、セグメント間の内部営業収益、振替高を含みます。)
(不動産事業)
当社グループの中核事業は、東京23区を中心に、約260件(販売用不動産除く)の賃貸物件・賃貸可能面積約136万㎡を活用した不動産賃貸事業であります。マーケットニーズに即した用途バランスと競争優位性を有する賃貸ポートフォリオを再構築する観点から、ポートフォリオの組替をおこなうとともに、耐震・省エネに優れた開発・建替の加速による優良アセットの積み上げに取り組んでおります。また、高付加価値を創出して収益化するバリューアッド事業の強化にも取り組んでおります。
当連結会計年度の新規物件(固定資産)の取得につきましては、ヒューリック渋谷宇田川町ビル(東京都渋谷区)(追加取得)、日立ソリューションズタワー(東京都品川区)、ヒューリックみなとみらい(横浜市中区)、鈴乃屋本店ビル(東京都台東区)、ワンズモール(千葉県千葉市)及びLF板橋(底地)(東京都板橋区)などを取得いたしました。
開発・建替事業(固定資産)につきましては、HULIC &New GINZA NAMIKI6(東京都中央区)が2022年5月に竣工いたしました。
また、銀座コア(東京都中央区)を取得し、権利者と銀座コア再開発の共同事業に関する基本協定等を締結し、事業パートナーとして参画することを決定しました。そのほか、(仮称)新宿318開発計画(東京都新宿区)及び(仮称)三郷物流開発計画(埼玉県三郷市)の開発用地を取得したほか、(仮称)千駄ヶ谷センタービル建替計画(東京都渋谷区)、(仮称)福岡ビル建替計画(福岡市中央区)、(仮称)札幌建替計画(2期工事)(札幌市中央区)、(仮称)銀座ビル建替計画(東京都中央区)及び(仮称)心斎橋開発計画(大阪市中央区)などが順調に進行しております。
PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)事業につきましては、東京都と渋谷区実施の「都市再生ステップアップ・プロジェクト(渋谷地区)渋谷一丁目地区共同開発事業」において、基本協定締結のうえ事業推進中であるほか、(仮称)錦糸町開発計画(東京都墨田区)(2023年1月竣工済)などが順調に進行しております。
販売用不動産につきましては、FKDショッピングモール宇都宮インターパーク店(栃木県宇都宮市)などを取得し、池袋東急ハンズ(東京都豊島区)、Bleu Cinq Point(東京都港区)、ヒューリック小舟町ビル(東京都中央区)(一部)、リーフみなとみらい(横浜市西区)及びFKDショッピングモール宇都宮インターパーク店(栃木県宇都宮市)(一部)などを売却しております。
このように、当セグメントにおける事業は順調に進行しており、前連結会計年度及び当連結会計年度に竣工、取得した物件によりオフィス等の不動産賃貸収入は安定的に推移したことに加え、販売用不動産の売上も順調に推移したことなどから、当連結会計年度の営業収益は493,143百万円(前期比66,431百万円、15.5%増)、営業利益は139,779百万円(前期比8,534百万円、6.5%増)となりました。
(保険事業)
保険事業におきましては、連結子会社であるヒューリック保険サービス株式会社が、国内・外資系の保険会社と代理店契約を結んでおり、法人から個人まで多彩な保険商品を販売しております。保険業界の事業環境は引き続き厳しい環境にありますが、既存損保代理店の営業権取得を重点戦略として、法人取引を中心に営業展開をしております。
この結果、当セグメントにおける営業収益は3,616百万円(前期比456百万円、14.4%増)、営業利益は1,040百万円(前期比247百万円、31.2%増)となりました。
(ホテル・旅館事業)
ホテル・旅館事業におきましては、連結子会社であるヒューリックホテルマネジメント株式会社は「THE GATE HOTEL」シリーズ、ヒューリックふふ株式会社は「ふふ」シリーズ、日本ビューホテル株式会社は「ビューホテル」シリーズを中心に、ホテル及び旅館の運営をおこなっております。 当連結会計年度においては、コロナ感染者の増加に伴う行動制限の影響がありましたが、稼働・客室単価とも回復してきております。
この結果、当セグメントにおける営業収益は27,635百万円(前期比10,970百万円、65.8%増)、営業損失は5,099百万円(前期は営業損失7,995百万円)となりました。
(その他)
その他におきましては、主に連結子会社であるヒューリックビルド株式会社が、当社保有ビル等の営繕工事、テナント退去時の原状回復工事、新規入居時の内装工事を中心に受注実績を積み上げた結果、営業収益は7,627百万円(前期比△868百万円、10.2%減)、営業利益は607百万円(前期比△202百万円、24.9%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動により266,108百万円増加し、投資活動により345,335百万円減少し、財務活動において11,441百万円増加し、当連結会計年度末には138,300百万円となりました。
(単位:百万円)
2021年12月期
2022年12月期
営業活動によるキャッシュ・フロー
291,736
266,108
投資活動によるキャッシュ・フロー
△286,943
△345,335
財務活動によるキャッシュ・フロー
106,588
11,441
現金及び現金同等物の期末残高
206,086
138,300
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは266,108百万円の収入(前期比△25,627百万円)となりました。これは主に、不動産賃貸収入及び販売用不動産の売却を主因とした税金等調整前当期純利益が117,478百万円、減価償却費が16,253百万円、棚卸資産の減少額が166,066百万円あったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは345,335百万円の支出(前期比58,392百万円)となりました。これは主に、賃貸ポートフォリオの再構築と開発事業及びバリューアッド事業の強靭化の観点から、ポートフォリオの組替や開発・建替等をおこなったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは11,441百万円の収入(前期比△95,147百万円)となりました。これは主に、開発・建替や新規物件の取得に伴う資金調達をおこなった一方で、配当金の支払いがあったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前期比(%)
不動産事業 (百万円)
493,143
15.5
保険事業 (百万円)
3,616
14.4
ホテル・旅館事業 (百万円)
27,635
65.8
その他 (百万円)
7,627
△10.2
調整額 (百万円)
△8,597
-
合計 (百万円)
523,424
17.0
(注)1.各セグメントの営業収益は、セグメント間の内部営業収益、振替高を含みます。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次の通りであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額
(百万円)
割合(%)
金額
(百万円)
割合(%)
ヒューリックリート投資法人
44,721
10.0
-
-
アジア5特定目的会社
-
-
(注)4
(注)4
3.販売実績が総販売実績の100分の10未満の相手先については記載を省略しております。
4.同社との間で守秘義務を負っているため、金額の公表は控えさせていただきます。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスワクチンの普及により、行動制限が緩和され経済活動の持ち直しがみられたものの、ウクライナ問題を一因とするエネルギー価格の高騰やインフレの兆しなど、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
不動産業界におきましては、一部の商業施設や宿泊施設においては引き続き収益が低迷し、オフィスの空室率も高い水準で推移したものの、不動産投資マーケットは、低金利等を背景に、不動産投資家の旺盛な投資マインドが継続したため、安定的に推移いたしました。
こうした環境のもと、当社グループは、2020年度を初年度とする中長期経営計画に基づき、「変革」と「スピード」をベースに、環境変化に柔軟に対応した進化を通じて、持続的な企業価値向上の実現に注力してまいりました。
当連結会計年度の達成状況は以下の通りであります。
経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載しております。
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次の通りであります。
a.経営成績の分析
(営業収益)
当連結会計年度の営業収益は、523,424百万円となり、対前期比で76,346百万円増加いたしました。これは、前連結会計年度及び当連結会計年度に竣工、取得した物件によりオフィス等の不動産賃貸収入が安定的に推移したことに加え、販売用不動産の売上が増加したことによるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、126,147百万円となり、対前期比で11,640百万円増加いたしました。これは、物件の竣工、取得によりオフィス等の不動産賃貸収入が安定的に推移したことに加え、販売用不動産の売上総利益が増加したことによるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、123,222百万円となり、対前期比で13,640百万円増加いたしました。これは、上記営業利益の増加に加え、賃貸解約関係収入の増加等により営業外収益が増加したことによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、79,150百万円となり、対前期比で9,586百万円増加いたしました。これは、上記経常利益の増加があった一方で、建替に関連する特別損失や税金費用が増加したことによるものであります。
b.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、2,320,337百万円となり、対前期末比113,011百万円増加いたしました。当社グループにおきましては、賃貸ポートフォリオの再構築と開発事業及びバリューアッド事業の強靭化の観点から、ポートフォリオの組替や開発・建替及びバリューアッド事業を推進しております。
また、ヒューリックリート投資法人及びヒューリックプライベートリート投資法人の中長期的な収益向上と優良アセットの着実な積上げを実現するために、スポンサーとしてのサポートやバックアップにも努めております。
主な項目の増減は以下の通りであります。
・現金及び預金
67,805百万円減少
・販売用不動産
19,007百万円減少
(固定資産からの振替、物件の取得及び売却等)
・土地
108,045百万円増加
(物件の取得及び販売用不動産への振替等)
・投資有価証券
59,158百万円増加
(投資有価証券の取得、売却及び有価証券の含み益の増加等)
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、1,633,183百万円となり、対前期末比64,190百万円増加いたしました。これは主に、設備投資等に伴い、資金調達をおこなったことによるものであります。
当社グループの借入金残高は1,019,986百万円となっておりますが、このうち特別目的会社(SPC)のノンリコースローンが11,745百万円含まれております。金融機関からの資金調達については、高い収益力を背景として安定的に低コストで調達をおこなっております。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、687,153百万円となり、対前期末比48,820百万円増加いたしました。このうち株主資本合計は、646,469百万円となり、対前期末比で47,213百万円増加しております。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加及び配当金の支払による利益剰余金の減少によるものであります。
また、その他の包括利益累計額合計は、40,258百万円となり、対前期末比で1,715百万円増加いたしました。これは主に、有価証券の含み益が3,693百万円増加したことによるその他有価証券評価差額金の増加によるものであります。
c.経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載の通りであります。
d.セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載の通りであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、必要な資金を主に銀行借入、社債や短期社債(コマーシャル・ペーパー)等の発行によって調達する方針としており、当社グループの今後の資金需要は、主に不動産事業に係る設備投資であり、「第3 設備の状況 3.設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。