【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が長期化する中、行動制限の緩和などにより社会経済活動の回復に向けた動きが見受けられました。一方で、ウクライナ情勢に起因するエネルギー、原材料価格の高騰や円安に伴う物価上昇の更なる高まりにより厳しい経営環境が続きました。当社グループの主な事業領域である建設・建材業界では、首都圏の再開発案件や物流施設の増加など民間建設投資が活発化しており、国内の建設投資額は拡大傾向にあります。一方で、建設資材の高騰や材料の納期遅れに伴う工程遅延など先行き不透明な状況となっております。工業製品・エンジニアリング事業領域では、世界的な資源高や供給制約、金融市場の急激な変動、コンテナ不足による輸出入の遅延などが重なり、回復基調であった設備投資意欲への影響が懸念されます。このような環境の下、当社グループは2023年度を最終年度とする「2023中期経営計画(2021年度~2023年度)」を策定し、「次への飛躍を目指し、あらゆる生産性を向上する」をグループスローガンに掲げ、コロナ禍前の利益水準への早期回復に取り組んでおります。また、最終年度となる2023年度には売上高43,000百万円、営業利益3,000百万円の達成を目指しております。当第3四半期連結累計期間の売上高は29,147百万円(前年同期比11.6%増収)、営業利益547百万円(前年同期比9.5%減益)、経常利益576百万円(前年同期比13.3%減益)、親会社株主に帰属する四半期純利益292百万円(前年同期比106.8%増益)となりました。大幅増収の主な要因には、仕掛工事物件(前年同期比44.6%増加)の原価回収基準による収益認識の影響が含まれております。
セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。
建設・建材事業材料販売につきましては、工期の遅れの影響により出荷が伸び悩む中、製造に関わるコスト・物流費の高騰が想定を上回り企業努力のみでは安定した製品の提供を維持することが困難となり、2023年2月より再び商品価格の値上げに取り組みざるを得ない状況になっております。国内では主力商品である けい酸カルシウム板「ハイラックフネン」は、新型コロナウイルス感染症の影響による景気回復の遅れにより出荷が減少いたしましたが、高付加価値商品である内装不燃化粧板は、病院、製薬会社などの医療関係施設や学校、給食センターなどの教育施設への出荷が堅調に推移し、天井施工も可能となった「ステンドSpeed工法」の下支えもあり堅調な出荷となっております。この工法は大手ゼネコンの現場にも次々と採用され、業界での認知も広がりを見せております。また、抗菌性能があり金属痕跡を防ぐ特殊仕上げをした化粧板に、抗ウイルス性能を新たに付加した製品「ステンド#400MB-Vガード」を2022年11月に上市いたしました。新商材を市場に投入することにより、内装不燃化粧板の販売活性化に繋げてまいります。材料販売全体の売上高は7,621百万円(前年同期比6.5%減収)となりました。工事につきましては、関東・関西・九州地区における耐火工事が大型再開発物件などの稼働により需要は堅調に推移しております。しかしながら、各部材の納期遅れや人手不足に伴う工程遅延の影響が懸念されます。工事全体の売上高は仕掛工事物件の収益認識も含め4,228百万円(前年同期比20.1%増収)となりました。以上の結果、材料販売及び工事を合わせた建設・建材事業全体の売上高は11,849百万円(前年同期比1.5%増収)となりました。
工業製品・エンジニアリング事業材料販売につきましては、コロナ禍からの緩やかな市況回復および各事業部で取り組んできた営業施策や価格改定により、売上高、直接利益ともに前年同期を大きく上回りました。環境・エネルギー事業部では、ごみ焼却処理施設における大口案件が少なく減収減益となりましたが、新設・定修計画案件の受注を予定しております。プラント事業部では、積極的な営業活動により大型補修工事案件を受注し、増収増益となりました。船舶事業部では、国内各造船所の船舶建造数が減少している中、防熱材と高利益商品の出荷が増加し、増収増益となりました。保温・築炉事業部は、海外アルミメーカーへの営業強化によりアルミ溶融設備向け断熱材「レセパルHS」の販売が大きく伸長し、大幅な増収増益となりました。産業機械分野では、生産現場の自動化やデジタル化、生産拠点の分散化の動きが加速しており、国内外の製造業で好調を持続しており増収となりました。材料販売全体の売上高は5,929百万円(前年同期比9.5%増収)となりました。工事につきましては、プラント建設工事、石綿除去工事、物流施設外壁断熱パネル工事などの複数の大型物件が完工し、大幅な増収となりましたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大により、工事の縮小や延期、工期短縮による外注費の増加などの影響が出始めております。工事管理を徹底し、利益率改善及び利益確保に努めてまいります。工事全体の売上高は仕掛工事物件の収益認識も含め11,326百万円(前年同期比26.0%増収)となりました。以上の結果、材料販売及び工事を合わせた工業製品・エンジニアリング事業全体の売上高は17,256百万円(前年同期比19.8%増収)となりました。
その他不動産賃貸収入につきましては、売上高は41百万円(前年同期比2.8%増収)となりました。
(当社グループの四半期業績の特性について)当社グループは不燃建材の製造、販売と共に建設・建材関連工事及び工業製品・エンジニアリング関連工事の設計、施工を主な事業としており、それら工事部門の売上高は全売上高のおおよそ5割を占めております。工事契約については一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができないが、当該履行義務を充足する際に発生する費用を回収することが見込まれる場合には、原価回収基準により収益を認識しております。わが国では、事業年度を4月から翌3月までと定めている企業が多いため、工事の検収が年度の節目である第2四半期及び第4四半期に集中する傾向があり、なかでも工事期間の長い工業製品・エンジニアリング関連工事においては第4四半期への集中が顕著であります。このため、当社グループの業績には季節的変動があります。
(資産)当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ2,412百万円増加し38,643百万円となりました。この主な要因は、受取手形及び売掛金、完成工事未収入金が増加したこと等によるものです。
(負債)当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ2,267百万円増加し22,822百万円となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金、短期借入金が増加したこと等によるものです。
(純資産)当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ144百万円増加し15,821百万円となりました。この主な要因は、為替換算調整勘定が増加したこと等によるものです。
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、ウクライナ情勢等による原材料・エネルギーコストへの影響や新型コロナウイルス感染症等の影響も含めて重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、329百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動に重要な変更はありません。
#C5391JP #エーアンドエーマテリアル #ガラス土石製品セクター