【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策としての行動制限の緩和等により経済活動が正常化に向かうなど、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。
しかしながら、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念、国際情勢に伴う資源価格の高騰、円安の進行など先行き不透明な状況が続きました。
このような環境の中、半導体市況の一服感によりサーマル部門を中心に受注高が減少したものの、消防ポンプ部門で出荷台数が大きく伸張したこと等により、売上高は前年同四半期比で増加いたしました。
なお、当社は2023年10月31日に「不具合の発生に伴う製品の自主回収について」を公表いたしておりますが、頻発している製品不具合に対する真因を究明するとともに、引き続き社内風土改革を柱とした再発防止への取り組みを推進しております。
以上の結果、受注高は9,383百万円(前年同四半期比6.1%減)、売上高は9,083百万円(前年同四半期比6.8%増)となりました。利益面におきましては、売上高の増加に伴う売上総利益の増加により営業利益が705百万円(前年同四半期比19.7%増)、経常利益は801百万円(前年同四半期比9.9%増)となりました。一方、親会社株主に帰属する四半期純利益は、製品改修関連損失引当金繰入額を特別損失に計上したことにより46百万円(前年同四半期比77.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
SSP(Safety Security Protection)部門
当該部門におきましては、感知器をはじめとした機器販売が好調であり、売上高は増加いたしました。一方、受注高は改修・メンテナンス等は増加したものの、昨年の不正問題の対応により営業活動が一部停滞したこと等により、減少いたしました。
以上の結果、受注高は4,177百万円(前年同四半期比0.8%減)、売上高は3,543百万円(前年同四半期比0.5%増)となりました。
今後の見通しにつきましては、受注高は不具合対応により営業活動に一部制約があるものの、改修・メンテナンス等の好調もあり、ほぼ計画通りに推移するものと見込んでおります。
売上高は電力等基幹産業向けの警報工事の減少等が見込まれるものの、保守点検やリプレイス等の既存案件を確実に取り込み、収益の確保に努めてまいります。
開発の状況につきましては、中継器の後継機種の開発について型式を取得し、販売を開始いたしました。また、装置内部の環境や温度の異常を検出するための機器及び制御ユニットのリニューアル開発を継続しております。
サーマル部門
当該部門におきましては、半導体製造装置市場におけるメモリー及び先端ロジックを中心とする投資に落ち着きが見られ、主力製品である半導体製造装置向け熱板及びセンサーの受注高が減少いたしました。一方、売上高は概ね堅調に推移いたしました。
以上の結果、受注高は1,202百万円(前年同四半期比37.5%減)、売上高は1,941百万円(前年同四半期比25.6%増)となりました。
今後の見通しにつきましては、半導体製造装置市場における調整局面が続くものと見ておりますが、今後の更なる半導体製造装置市場の成長を見据え、引き続き生産体制の強化を図ってまいります。
開発の状況につきましては、熱板、サーモスイッチについて、特定顧客や市場ニーズに合わせた機能・性能の実現を目指した開発を継続しております。また、温度調節器につきましても、既存製品のリニューアルを進めております。
メディカル部門
当該部門におきましては、長期化していた新型コロナウイルス感染症の影響等から一部の国において徐々に透析装置需要が回復しており、主力製品である海外市場向け人工腎臓透析装置及び関連製品の受注高が増加いたしました。一方、国内市場向け人工腎臓透析装置の関連製品につきましては部品入手難及び原材料価格の高騰等により、供給に一部支障が出るなど売上高が減少いたしました。
以上の結果、受注高は1,118百万円(前年同四半期比30.2%増)、売上高は834百万円(前年同四半期比2.5%減)となりました。
今後の見通しにつきましては、主力製品である海外市場向け人工腎臓透析装置及び関連製品の出荷状況が徐々に好転するものと見込んでおります。
開発の状況につきましては、医療現場のニーズや利便性向上など、更なる機能改善に着手し、それを可能とするソフトウエアの開発や要素部品の開発を継続して進めております。
PWBA(Printed Wiring Board Assembly)部門
当該部門におきましては、一部の電子部品の入手難による産業機器向け製品の減産や事務機器向け製品の在庫調整等の影響により、受注高、売上高ともに減少いたしました。
以上の結果、受注高は656百万円(前年同四半期比30.2%減)、売上高は689百万円(前年同四半期比26.5%減)となりました。
今後の見通しにつきましては、医療機器向けの需要は回復傾向にはあるものの、産業機器、事務機器向けは、客先における在庫調整等の影響により、厳しい状況が続くものと予想しております。
消防ポンプ部門
当該部門におきましては、総務省や地方自治体向けの消防車及び消防ポンプの販売台数が伸張したことで、国内向け売上高が増加いたしました。海外市場では中国・韓国向け消防ポンプの売上が引き続き堅調に推移いたしました。
以上の結果、受注高は2,228百万円(前年同四半期比8.2%増)、売上高は2,074百万円(前年同四半期比26.6%増)となりました。
今後の見通しにつきましては、国内市場では、消防車のベースとなる車両納期が若干不透明な状況にはあるものの、艤装工場との連携を強化し、年内売上の獲得に向け取り組んでまいります。海外市場では、韓国・台湾・ベトナム等の受注及び売上が堅調に推移すると予想しており、また、中国向け入札案件も増加傾向にあることから、今後は中国を中心とした受注活動の強化に注力してまいります。
開発の状況につきましては、空冷式消防ポンプのモデルチェンジが完了し、今後は水冷式消防ポンプのモデルチェンジの開発に注力してまいります。
②財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、19,091百万円となり、前連結会計年度末18,813百万円に比べ277百万円(1.5%)増加しております。主な増加要因は「現金及び預金」856百万円(13.6%)、「原材料」396百万円(25.7%)、「製品」292百万円(55.4%)であり、主な減少要因は「受取手形及び売掛金」665百万円(32.6%)、「完成工事未収入金及び契約資産」617百万円(35.0%)によるものであります。
負債合計は、6,829百万円となり、前連結会計年度末6,500百万円に比べ328百万円(5.1%)増加しております。主な増加要因は「製品改修関連損失引当金」334百万円(48.1%)によるものであります。
純資産合計は、12,262百万円となり、前連結会計年度末12,312百万円に比べ50百万円(0.4%)減少しております。主な減少要因は配当金の支払額396百万円によるものであり、主な増加要因は「その他有価証券評価差額金」178百万円(33.5%)、「為替換算調整勘定」109百万円(26.1%)によるものであります。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、278百万円であります。