【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載しております。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、感染症対策とともに経済活動の正常化が進み、景気に持ち直しの動きが見られました。
しかしながら、長期化する半導体等の部品不足や国際情勢に伴う資源価格の高騰、急激な円安の進行等もあり、依然として先行き不透明な状況が続きました。
このような環境の中、当社は2022年3月31日に公表いたしました「当社の一部製品に関する不正行為について」に記載のとおり、引き続き代替製品への交換及び再発防止に全社一丸となって取り組み、お客様をはじめ、関係各位の信頼回復に努めてまいります。新たな経営体制のもと、今まで以上に社内の組織風土改革、人材強化及び育成、生産設備増強等に取り組んでまいります。
業績につきましては、サーマル部門が半導体市場の活況により引き続き好調に推移したこと等により受注高は増加したものの、売上高は消防ポンプ部門等の減少により、前年同四半期比で減少いたしました。
以上の結果、受注高は9,992百万円(前年同四半期比3.1%増)、売上高は8,505百万円(前年同四半期比6.2%減)となりました。利益面におきましては、営業利益は、売上高の減少による売上総利益の減少及び不正行為に対する調査費用の発生による販売費及び一般管理費の増加等により589百万円(前年同四半期比36.1%減)、経常利益は、円安による為替差益の増加等があったものの728百万円(前年同四半期比23.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、製品改修関連損失引当金繰入額を特別損失に計上したことにより202百万円(前年同四半期比65.8%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により売上高及び売上原価が404百万円増加しておりますが、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益に与える影響はありません。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
SSP(Safety Security Protection)部門
当該部門におきましては、受注高は第2四半期連結会計期間に大型工事案件を獲得したこと等により増加いたしました。一方、売上高は特定顧客向けの警報・消火設備を中心に堅調に推移したものの、不正問題に伴う出荷停止及び半導体電子部品不足に伴う製品の生産調整等により減少いたしました。
以上の結果、受注高は4,209百万円(前年同四半期比1.9%増)、売上高は3,526百万円(前年同四半期比6.0%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により売上高及び売上原価が404百万円増加しております。
今後の見通しにつきましては、出荷停止となっていた一部製品の出荷を2022年8月より再開したことに加え、電力基幹産業向けの受注活動及び既存設備の更新等により、業績は堅調に推移するものと見込んでおります。
また、引き続き不正問題に真摯に取り組むとともに課題である人材育成と体制の強化に向けた取組みを継続してまいります。
開発の状況につきましては、自動火災報知設備にかかる中継器の後継機種や感知器のリニューアル、産業用異常検知システム、最新規格での防爆型煙感知器の開発に継続して取り組んでおります。
サーマル部門
当該部門におきましては、引き続き半導体市場における旺盛な設備投資需要が高水準で推移していることから、主力製品である半導体製造装置向け熱板及びセンサーの受注高が増加したことにより売上高は増加いたしましたが、前第3四半期連結会計期間において特定客先向け制御機器の大口受注があったことにより受注高は若干減少いたしました。
以上の結果、受注高は1,923百万円(前年同四半期比0.2%減)、売上高は1,546百万円(前年同四半期比14.3%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用による売上高に与える影響はありません。
今後の見通しにつきましては、主力製品である半導体製造装置向け熱板及びセンサーは引き続き堅調な推移を見込んでおりますが、急激な円安による一部輸入製品に対する利益の圧迫、世界景気の減速を背景とした半導体需要の減速が懸念されます。
開発の状況につきましては、主力製品である熱板の特定顧客及び市場ニーズに合わせた機能、性能の向上を目指した製品開発を継続しており、試作、性能評価を進めております。また、温度調節器のリニューアル及び新製品の開発にも取り組んでおります。
メディカル部門
当該部門におきましては、国内市場向け人工腎臓透析装置の関連製品につきましては堅調に推移したものの、主力製品である海外市場向け人工腎臓透析装置及び当該関連製品の出荷は、新型コロナウイルス感染症の長期化に伴う需要減や客先における在庫調整等もあり、減少いたしました。
以上の結果、受注高は858百万円(前年同四半期比13%減)、売上高は856百万円(前年同四半期比15.2%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用による売上高に与える影響はありません。
今後の見通しにつきましては、海外市場向け人工腎臓透析装置の出荷は、新型コロナウイルス感染症に伴う需要減及び客先における在庫調整等が引き続き見込まれるものの、客先における販売力向上を支援すべく原価低減活動を推進するとともに、人工腎臓透析装置以外の新製品の開発・販売等に注力してまいります。
開発の状況につきましては、新型人工腎臓透析装置の更なる利便性の向上に向けた機能改善に着手するとともに、その他の医療機器の新規開発、従来の要素部品の改良開発、制御ソフトウエアの開発を継続して進めております。
PWBA(Printed Wiring Board Assembly)部門
当該部門におきましては、半導体をはじめとする電子部品不足等の影響は継続しているものの、事務機器、医療機器、産業機器向け製品の受注は堅調に推移しており、受注高、売上高ともに増加いたしました。
以上の結果、受注高は940百万円(前年同四半期比6.7%増)、売上高は938百万円(前年同四半期比15.8%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用による売上高に与える影響はありません。
今後の見通しにつきましては、電子部品の調達リードタイムの長期化及び部品価格の高騰等による生産への影響が懸念されるものの、サプライチェーンの一層の連携強化等により、製品の安定供給体制の構築に努めてまいります。
消防ポンプ部門
当該部門におきましては、国内市場の受注高は総務省向け消防車の大口受注により好調に推移したものの、売上高は新型コロナウイルス感染症の影響により、官公庁における防災関連の予算が縮小したため、特に消防ポンプの売上高が減少いたしました。
海外市場では中国・台湾向け消防ポンプが引き続き堅調に推移しており、東南アジア市場も回復の兆しを見せております。
以上の結果、受注高は2,059百万円(前年同四半期比16.6%増)、売上高は1,638百万円(前年同四半期比23.6%減)となりました。なお、事業の特性により、前連結会計年度後半に受注した製品の出荷が、第1四半期連結累計期間に集中するため、受注高と売上高が大きく乖離する傾向があります。
また、収益認識会計基準等の適用による売上高に与える影響はありません。
今後の見通しにつきましては、官公庁及び地方自治体向け予算は回復傾向にあり、国内受注は消防車を中心に増加しつつありますが、原材料の高騰により、国内海外ともに利益面では厳しい状況が続くものと予想しております。
開発の状況につきましては、空冷式及び水冷式消防ポンプのモデルチェンジ等に取り組んでおります。
②財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、18,593百万円となり、前連結会計年度末18,686百万円に比べ92百万円(0.5%)減少しております。主な減少要因は「未成工事支出金」530百万円(-%)、「受取手形及び売掛金」307百万円(16.6%)であり、主な増加要因は「原材料」460百万円(36.3%)、「完成工事未収入金及び契約資産」(前連結会計年度においては完成工事未収入金)359百万円(26.6%)によるものであります。
負債合計は、6,824百万円となり、前連結会計年度末6,764百万円に比べ60百万円(0.9%)増加しております。主な増加要因は製品改修関連損失引当金301百万円(65.7%)であり、主な減少要因は「未払法人税等」270百万円(96.8%)であります。
純資産合計は、11,769百万円となり、前連結会計年度末11,921百万円に比べ152百万円(1.3%)減少しております。主な減少要因は配当金の支払額379百万円によるものであり、主な増加要因は親会社株主に帰属する四半期純利益202百万円によるものであります。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、216百万円であります。