【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績当第3四半期連結累計期間における経済情勢は、行動制限緩和によるコロナ禍からの持ち直しの動きが見られたものの、ウクライナ情勢の悪化・長期化に伴う資源価格の高騰など世界的な物価上昇の深刻化や海外主要国での金融引き締めによる景気減速にくわえ、中国でのコロナ政策転換に伴う感染急拡大の影響が懸念されるなど、先行き不透明かつ厳しい状況にありました。このような状況のもと、当社グループは、原材料価格上昇に応じた適切な価格転嫁やコスト削減施策による収益性の改善に注力するとともに、液晶ディスプレイ分野をはじめとする既存事業領域における収益基盤の維持・拡大を図っております。また、持続的成長と企業価値向上を果たすために、自動車、情報・電子など成長分野での新たな事業機会の創出による成長基盤の構築、医療ヘルスケア・環境・エネルギー分野での研究機関やスタートアップ企業との連携による社会課題解決を志向した新規事業開発体制の確立に取り組んでおります。当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、液晶ディスプレイ関連分野での急激な生産調整の影響を受けてケミカルズの販売が落ち込みましたが、価格改定の効果や円安に伴う中国子会社売上高の為替換算額の増加などにより、売上高は290億91百万円(前年同期比4.4%増)となりました。利益面では、原材料価格の上昇に対する価格転嫁やコスト削減を進めたものの、ケミカルズの販売数量の減少に伴う減益をカバーするには至らず、営業利益は14億75百万円(前年同期比20.4%減)、経常利益は16億57百万円(前年同期比22.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は11億42百万円(前年同期比32.2%減)となりました。セグメントの状況は、以下のとおりです。<ケミカルズ>ケミカルズについては、売上高は265億92百万円(前年同期比7.7%増)となりました。製品別の状況は、以下のとおりです。粘着剤関連製品は、液晶ディスプレイ関連用途向けの販売数量が生産調整の影響を受けて減少しましたが、価格改定の効果などにより、売上高は168億94百万円(前年同期比6.2%増)となりました。微粉体製品は、中国市場での光拡散用途の在庫調整の長期化や電子部品関連用途の需要低迷の影響を受けて販売数量が減少したことなどにより、売上高は19億57百万円(前年同期比13.2%減)となりました。特殊機能材製品は、中国市場でのスマートフォンの市況悪化などによる影響を受けて電子材料用途向けの販売数量が減少したことなどにより、売上高は22億90百万円(前年同期比7.3%減)となりました。加工製品は、中国市場を中心に機能性粘着テープの販売が自動車内装部材や情報電子機器用途向けで増加したことなどにより、売上高は54億49百万円(前年同期比34.4%増)となりました。<装置システム>装置システムについては、国内設備投資が堅調に推移するなか、前期を上回る受注残高を確保しておりますが、設備関連の工事完成高が前年同期に比べ減少し、売上高は24億99百万円(前年同期比21.3%減)となりました。
② 財政状態当第3四半期連結会計期間末(以下「当期末」という。)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比べて12億89百万円増加し、468億72百万円となりました。流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産、棚卸資産が増加したものの、現金及び預金、電子記録債権、有価証券が減少したことなどにより、前期末に比べ4億43百万円減少し、274億30百万円となりました。固定資産は、有形固定資産が増加したことなどにより、前期末に比べ17億33百万円増加し、194億41百万円となりました。一方、負債については短期借入金、長期借入金が増加したものの、支払手形及び買掛金が減少したことなどにより、前期末に比べ7億61百万円減少し、164億73百万円となりました。当期末における純資産は、利益剰余金、為替換算調整勘定が増加したことなどにより、前期末に比べ20億51百万円増加し、303億99百万円となりました。この結果、自己資本比率は前期末62.2%から2.7ポイント増加し64.9%となりました。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(3) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は10億80百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4) 主要な設備当四半期報告書提出日現在における主要な設備の新設の計画は次のとおりであります。
会社名
事業所名(所在地)
セグメントの名称
設備の内容
投資予定額
着手年月
完了予定年月
総額
既支払額
綜研高新材料(南京)有限公司
中国江蘇省南京市
ケミカルズ
粘着剤生産設備
187百万元
182百万元
2018年11月
2023年3月
綜研高新材料(南京)有限公司
中国江蘇省南京市
ケミカルズ
粘着剤生産設備
64百万元
37百万元
2021年9月
2023年12月