【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況当第1四半期連結累計期間のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和などにより社会経済活動の正常化が進み、緩やかな持ち直しの動きが継続しました。一方で、世界的な金融引き締めによる景気の後退リスクや原材料価格やエネルギーコストの高止まりに為替相場の急速な円安進行も重なり、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。このような状況下において、当社は油脂汎用品の収益力改善に取り組むとともに成長ドライバーとなる高付加価値品の拡販に努めました。以上の結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高635億84百万円(前年同四半期比5.9%増)、営業利益23億55百万円(前年同四半期比230.9%増)、経常利益24億19百万円(前年同四半期比209.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益16億9百万円(前年同四半期比201.9%増)となりました。
セグメントの概況は、次のとおりであります。
(油脂事業)油脂事業環境につきましては、主原料である大豆相場は、ブラジルの豊作期待の高まりとアルゼンチンの減産懸念を材料に期近限月で4月は1ブッシェル当たり15米ドル前後で推移しましたが、5月には米国における順調な作付進捗や米国産大豆の需給緩和予想などから一時12米ドル台まで下落しました。その後は米国産地の降雨不足による作柄悪化懸念の高まり、米国における再生可能エネルギー向け植物油需要の増加期待などから上昇傾向に転じると、当初の予想を下回る米国作付面積発表などもあり、6月末には15米ドル台まで再度上昇しました。前年同四半期との比較では低位での推移となりました。菜種相場は、欧州・豪州の豊作を受け期近限月で4月は1トン当たり700加ドル台で推移しましたが、5月にはカナダ産地での作付の進展とともに軟調に推移し600加ドル台中盤まで下落しました。その後は米国の植物油需要の増加期待やカナダ産地の乾燥による作柄悪化懸念から上昇傾向に転じ、6月下旬には700加ドル台中盤まで再び上昇しました。前年同四半期との比較では低位での推移となりました。ドル円相場は、一時的な金融不安の高まりを受けて4月には一時129円台/1米ドルまで円高ドル安が進行しましたが、その後は日米の金融政策の方向性の違いが意識される中、円安ドル高傾向が継続し、6月末には144円台/1米ドルを付けるなど、前年同四半期と比較して円安水準での推移となりました。油脂部門につきましては、家庭用油脂は、値上げによる節約志向の高まりや外食需要の回復などの影響で中食需要が減少し、販売数量は前年同四半期をわずかに下回りました。汎用油においては、販売数量は前年同四半期をわずかに下回りましたが、昨年来実施した価格改定の影響もあり売上高は前年同四半期を上回りました。原料価格高騰の影響によりオリーブオイルの市場は足元では縮小傾向にあるものの、価格改定により売上高は前年同四半期をやや上回りました。環境負荷の低減やお客様の使いやすさが特長である「スマートグリーンパック®」はパッケージを刷新し、ラインナップを拡充しました。今春から販売店舗数も増加し、6月にはTVCMと連動したキャンペーンを展開することで、認知率向上によるトライアル促進を図りました。業務用油脂は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う人流の回復を受け、外食を中心に一定の市場回復はあったものの、油脂市場においては、油脂価格高騰によるお客様のフライ油の使用日数延長やフライメニュー減少の影響を受け、販売数量は前年同四半期をやや下回りました。一方、売上高については、価値に見合った適正価格での販売に努め、前年同四半期をわずかに上回りました。当社独自技術「SUSTEC®(サステック)」を導入した商品である「長徳®」シリーズについては、市場の回復により深刻化する人手不足を背景に、長持ちすることによるフライ油交換の労働負荷の軽減と、CFP(Carbon Footprint of Products)認証による環境負荷の低減を軸に提案を推進し、販売数量は堅調に推移しました。油糧部門につきましては、大豆ミールは搾油量が前年同四半期をやや上回ったことから、販売数量は前年同四半期をやや上回りました。販売価格はシカゴ相場の上昇と為替相場の大幅な円安進行により前年同四半期を大きく上回りました。菜種ミールは搾油量が前年同四半期を下回ったことから、販売数量は前年同四半期を大きく下回りました。販売価格は大豆ミール価格の上昇に連動して前年同四半期を大きく上回りました。以上の結果、当事業は売上高577億46百万円(前年同四半期比6.0%増)、セグメント利益24億39百万円(前年同期比128.3%増)となりました。
(スペシャリティフード事業)乳系PBF部門につきましては、家庭用はマーガリンの主原料であるパーム油や大豆油、菜種油など原料相場の歴史的な高騰や為替相場の円安進行などを受け、価格改定に注力しましたが、食品全体の値上げによる消費者マインド低下の影響を受け、販売数量は前年同四半期を大きく下回り、売上高は前年同四半期を下回りました。プラントベースブランド「Violife」は2022年3月より全国展開を開始し、2023年春には、スライス モッツァレラタイプを5枚入にリニューアルするなど、お客様が選びやすい商品提案を行いました。業務用は行動制限の緩和による人流回復やインバウンド人口の増加により、土産菓子、外食などの需要に回復傾向が見られましたが、パンや流通菓子の需要は引き続き低調に推移していることから、販売数量は前年同四半期を下回りました。家庭用と同様に、更なる価格改定を進めたことにより、売上高は前年同四半期をやや上回りました。粉末油脂事業は生産数量が安定したことにより、販売数量は好調に推移し、売上高は前年同四半期をわずかに上回りました。食品素材部門につきましては、テクスチャーデザインは宅配用段ボール需要が減少したことにより段ボール用コーンスターチの出荷が伸びなかった影響で販売数量は前年同四半期をやや下回りました。売上高は、原料価格上昇の影響を受けた製品価格の適正化を推進したため、前年同四半期を大きく上回りました。業務用スターチの新ブランド「TXdeSIGN®(テクスデザイン)」シリーズにつきましては、製菓製パン用途への提案を強化することでターゲット顧客での採用が進みました。ファインの販売数量は前年同四半期を下回りましたが、ビタミンK2の販売数量は輸出の継続とともに国内での採用や使用拡大が進んだ結果、前年同四半期を大きく上回りました。売上高は価格改定の実施などにより前年同四半期を大きく上回りました。大豆たん白をベースとしたシート状大豆食品「まめのりさん®」の販売は、価格改定により販売単価は上昇したものの、主要販売先である北米において昨年下期からの景気後退懸念に伴う外食控えにより出荷が減少し、販売数量、売上高ともに前年同四半期を大きく下回りました。以上の結果、当事業は売上高55億78百万円(前年同四半期比5.8%増)、セグメント損失1億27百万円(前年同四半期はセグメント損失3億98百万円)となりました。
(その他)その他の事業につきましては、売上高2億60百万円(前年同四半期比1.0%増)、セグメント利益43百万円(前年同四半期比5.1%増)となりました。
(2) 財政状態の状況当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ76億12百万円減少し1,710億8百万円となりました。主な増加は、投資有価証券が9億93百万円、現金及び預金が4億92百万円であります。主な減少は、受取手形、売掛金及び契約資産が53億25百万円、棚卸資産が34億89百万円、有形固定資産が3億96百万円であります。負債は、前連結会計年度末と比べ104億47百万円減少し739億10百万円となりました。主な増加は、支払手形及び買掛金が36億30百万円、繰延税金負債が8億34百万円であります。主な減少は、短期借入金が139億円、未払消費税等が7億99百万円であります。純資産は、前連結会計年度末と比べ28億34百万円増加し970億98百万円、自己資本比率は56.5%となりました。
(3) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は3億33百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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