【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営成績の状況当第3四半期連結累計期間のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和等により社会経済活動に回復の動きが見られました。しかしながら、7月以降の第7波、11月以降の第8波による感染拡大、さらに世界的なインフレの加速に伴う原材料価格やエネルギーコストの高騰に為替相場の円安進行も重なり、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。このような状況下において、油脂製品の主な原料である大豆や菜種およびパーム油などの購入油も高値水準での推移が続いており、当社は高騰する原料価格に見合った販売価格への改定や成長ドライバーとなる高付加価値品の拡販、継続的なコストダウンを推進いたしました。以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高1,946億80百万円(前年同四半期比31.0%増)、営業損失3億53百万円(前年同四半期は営業利益1億92百万円)、経常損失1億39百万円(前年同四半期は経常利益5億57百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益3億11百万円(前年同四半期比79.9%減)となりました。
セグメントの概況は、次のとおりであります。
(油脂事業)油脂事業環境につきましては、主原料である大豆相場は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や米国産大豆の需給逼迫予想、植物油相場の高騰などから、1ブッシェル当たり17米ドル台後半まで上昇しましたが、その後、米国産地の良好な天候推移や世界的な景気後退懸念の高まりを受け軟調に推移し、9月には1ブッシェル当たり13米ドル台後半まで下落しました。10月以降は中国の需要回復期待やアルゼンチンの乾燥天候懸念などを材料に再び上昇傾向に転じ、12月末には1ブッシェル当たり15米ドル台まで上昇するなど、前年同四半期との比較では高位での推移となりました。菜種相場は、鉱物原油相場や植物油相場の高騰などを受け4月下旬には期近限月で1トン当たり1,200加ドル台まで上昇しましたが、その後はカナダ菜種の生産量回復予想や世界的な景気後退懸念、鉱物原油価格の高値修正を受けて軟調に推移し、7月には1トン当たり800加ドル割れまで下落、その後は700加ドル台後半から900加ドル台前半で推移しました。前年同四半期との比較では第1四半期は高位、第2四半期及び第3四半期は低位での推移となりました。ドル円相場は、米国のインフレ懸念の高まりを受け利上げペースが加速するとの観測が強まる中で、日米の金融政策の方向性の違いから10月に一時150円/1米ドルを超えるなど円安ドル高が進行したものの、政府日銀の為替介入や米国でのインフレ率上昇の一服と経済減速懸念の高まりから12月末には130円/1米ドル付近まで円が買い戻されましたが、前年同四半期との比較では円安水準での推移となりました。油脂部門につきましては、家庭用の汎用油においては、急激な原料コスト上昇に伴う度重なる価格改定による節約志向の高まりや外食の需要回復等の影響により、販売数量は前年同四半期を大きく下回りましたが、価格改定により売上高は前年同四半期を大きく上回りました。家庭用の高付加価値品においても、オリーブオイル、その他のあらゆる油種において原料コストが大幅に上昇したため、価格改定を実施しました。市場価格の上昇に伴い、オリーブオイルは市場が縮小しており、売上高は前年同四半期をやや下回りました。また、環境負荷の低減やお客様の使いやすさ(含む捨てやすさ)が特長の「スマートグリーンパック®」(紙パック製品)のラインナップを拡充し、汎用油から高付加価値品まで幅広いアイテムを展開しました。業務用は、10月以降のインバウンド需要の回復や全国旅行支援など、外食の需要を喚起する動きがあったものの、油脂価格改定に伴うお客様の使用日数延長やフライメニューの削減の影響で需要が減退し、販売数量は前年同四半期をわずかに下回りました。家庭用と同様に、更なる価格改定を実施した結果、売上高は前年同四半期を大きく上回りました。市場価格の上昇に伴い、「長徳®」シリーズについてはお客様のコスト負担軽減への貢献と、CFP(Carbon Footprint of Products)認証を軸にした店頭でのコミュニケーション(BtoBtoC)を強化したことが奏功し、販売数量は前年同四半期を大きく上回りました。油糧部門につきましては、大豆ミールは、搾油量が前年同四半期を大きく上回ったことから、販売数量は前年同四半期を大きく上回りました。販売価格はシカゴ相場の上昇と為替相場の大幅な円安進行により前年同四半期を大きく上回りました。菜種ミールは、搾油量が前年同四半期を大きく下回ったことから、販売数量は前年同四半期を下回りました。販売価格は大豆ミール価格の上昇に連動して前年同四半期を大きく上回りました。以上の結果、当事業は売上高1,767億41百万円(前年同四半期比35.2%増)、セグメント利益2億23百万円(前年同四半期比24.7%増)となりました。
(スペシャリティフード事業)乳系PBF部門につきましては、家庭用はマーガリンの主原料であるパーム油や大豆油、菜種油など、原料相場の歴史的な高騰や為替相場の円安進行などを受け、価格改定に注力しましたが、マーガリン市場の縮小の影響や価格改定による反動により販売数量が計画を下回ったことから、売上高は前年同四半期をやや下回りました。また、プラントベースフードに関する消費者への浸透に時間を要しておりますが、Violifeブランドの拡販に向けて注力しました。2021年9月から関東先行発売のプラントベースチーズ、プラントベースバターについては3月より全国販売をスタートし、6月にはブランド認知度アップのために関東エリアにてテレビCMを実施しました。また秋季新商品としてプラントベースチーズ3商品を発売するとともに、商品ラインナップの見直しを進めました。業務用マーガリンは、家庭用と同様に価格改定を進めたことにより売上高は前年同四半期を上回りましたが、価格改定の実現は想定より遅れました。全国旅行支援の再開をはじめとする人流の回復により、土産菓子、外食等の需要に回復傾向が見られましたが、パンの需要は引き続き低迷しており、お客様の油脂使用量の削減や最終製品の容量減などもあり、販売数量は前年同四半期を下回りました。粉末油脂製品は原料油脂相場の上昇により販売価格が上昇し、売上高は前年同四半期を上回りましたが、販売数量は前年同四半期を下回りました。食品素材部門につきましては、菓子用途のコーンスターチが好調に推移し、段ボール用途や食品用加工でん粉も堅調に推移しましたが、高値警戒感により飼料用途がやや低調となり、販売数量は前年同四半期をわずかに下回りました。また原料価格などの大幅な上昇に伴い、価格改定を進めたことで、売上高は前年同四半期を上回りました。前年度第2四半期に上市しました業務用スターチ製品の新ブランド「TXdeSIGN ®(テクスデザイン)」シリーズにつきましては、専用ホームページの設置など、拡販に向けて提案を強化することで、ターゲット顧客に採用が進みました。ビタミンK2は価格改定を実施しましたが、売上高は前年同四半期を下回りました。大豆たん白をベースとしたシート状大豆食品「まめのりさん®」の販売は、主要販売先である北米において、コロナ以降、外食需要が回復してきたものの、現地での流通在庫が増加したため出荷が鈍化し、販売数量は前年同四半期を下回りました。また原料価格などの大幅な上昇に伴い、価格改定を進めたことで、売上高は前年同四半期をわずかに上回りました。以上の結果、当事業は売上高171億72百万円(前年同四半期比6.9%増)、販売価格の改定に努めたものの原料価格の高止まりなどの影響により、セグメント損失6億89百万円(前年同四半期はセグメント損失2億29百万円)となりました。
(その他)その他の事業につきましては、売上高7億65百万円(前年同四半期比57.1%減)、セグメント利益1億12百万円(前年同四半期比53.5%減)となりました。
(2) 財政状態の状況当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ196億68百万円増加し、1,813億68百万円となりました。主な増加は、受取手形、売掛金及び契約資産が144億59百万円、棚卸資産が55億30百万円、現金及び預金が11億91百万円であります。主な減少は、流動資産その他が16億99百万円、有形固定資産が5億27百万円であります。負債は、前連結会計年度末と比べ212億46百万円増加し、884億23百万円となりました。主な増加は、安定的な運転資金確保のための短期借入金が127億円、長期借入金が63億90百万円、流動負債その他が21億67百万円、支払手形及び買掛金が16億33百万円であります。主な減少は、繰延税金負債が5億55百万円、賞与引当金が4億96百万円であります。純資産は、前連結会計年度末と比べ15億78百万円減少し、929億45百万円となり、自己資本比率は51.0%となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、2021年5月20日に、2024年度を最終年度とする第六期中期経営計画「Transforming for Growth」を発表し、各戦略目標達成に向け取り組んでまいりましたが、策定当初と比べて原料調達に関する環境が大きく変化しました。バイオディーゼル向けなど世界的な食用油需要の増大や主な原料生産国の天候不順、新型コロナウイルス禍に端を発する人手不足による減産といった複数の要因を受けた需給のひっ迫に加え、世界情勢が大きく変化したことで穀物や油脂原料の供給見通しが悪化したことから、大豆、菜種、パーム油をはじめとする原料相場は総じて高騰した状態が継続しております。加えて、原油相場高騰によるエネルギーコストや物流費の上昇、為替相場の円安進行も重なり、食用油脂関連に及ぶ調達コストは先行き不透明な状況が続くと見込まれています。以上の環境変化を踏まえ、当社グループは第六期中期経営計画を見直し、定量目標および今後の取り組みを策定いたしました。
A)方針および戦略2021年5月に公表いたしました第六期中期経営計画で掲げた目指すべき姿や主な戦略目標に変更はありませんが、事業環境の大きな変化に耐えうる対応力の高い体制とすべく、事業基盤を強化し、収益を回復していくための期間として、定量目標の達成年度を2年間延長することといたしました。また、中期経営計画の見直しにあたり、改めて中長期的な事業環境変化から当社の機会とリスクを特定するとともに、当社の強みに鑑み、以下3点を重点ポイントとして設定いたしました。これらの取り組みを達成していくことで、収益性を回復し、成長へとつなげてまいる所存です。<重点ポイント>
見直し方針①
構造改革
収益基盤の強化 -SCM※1改革・生産拠点の最適化-
見直し方針②
成長戦略
“低負荷”を強みとした成長ドライバーとなる商品の育成/拡売
見直し方針③
投資戦略
海外や新たな事業領域進出への積極的投資
※1
SCM(Supply Chain Management):サプライチェーンマネジメント
B)定量目標
<当初目標>
<修正目標>
2024年度
2026年度
売上高
2,200億円
売上高
-※2
営業利益
110億円
営業利益
110億円
営業利益率
5.0%
→
営業利益率
-※2
ROE
8.0%
ROE
8.0%
ROIC
5.5%
ROIC
5.0%
EPS
260円
EPS
260円
※2
経営環境の変化に機動的に対応するとともに、資本効率を重視した成長を図るため、売上高および営業利益率は定量目標から除外することといたしました。
C)配当方針当社は、株主の皆様への安定した利益還元の維持に努めますとともに、企業体質の強化や積極的な事業展開など、長期視野に立った安定的かつ適正な利益配分を行うことを基本方針としております。連結配当性向40%を目安として、株主の皆様への還元を安定的・継続的に強化してまいります。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は10億21百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
#C2613JP #J-オイルミルズ #食料品セクター