【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年6月30日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大による行動制限の緩和が進み、経済・社会活動が一段と正常化へ向かうなかで、景気には緩やかな回復の兆しが見られました。一方、資源価格・エネルギー価格の高止まりや、為替等の影響による諸物価の上昇に加え、世界的な金融引き締めによる景気への影響が懸念されるなど、今後の先行きについては依然として予断を許さない状況が続きました。 当油脂加工業界におきましては、バイオ燃料向けの油脂需要が拡大する状況が継続する一方で、国際情勢の変化や為替等の影響により各種原材料、エネルギー、物流費等の様々なコストが上昇しており、非常に厳しい経営環境で推移いたしました。 このような状況のなかで当社グループは、市場ニーズに対応した高付加価値製品の開発と拡販に努めるとともに、国内外の各種展示会への出展やオンラインツールを利用した市場開拓への取り組みを強化いたしました。また、経費節減に努める一方で、各種原材料コストの上昇に対応すべく、販売価格の改定を推し進め収益の確保にも努めました。 この結果、売上高は28,006百万円(前年同期比10.0%増)、営業利益は570百万円(前年同期は営業損失589百万円)、経常利益は687百万円(前年同期は経常損失409百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は590百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失267百万円)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりです。
① 食品事業 食品事業につきましては、主要販売先である製パン業界が堅調に推移し、外食産業および土産菓子業界等の需要も回復基調で推移しましたが、各種原材料コストが上昇した影響や、諸物価の上昇による消費者の節約志向の高まり等により、全体としては厳しい状況で推移しました。 このような状況のなか、プラントベース(植物由来)食品やフードロス低減に繋がる製品の市場開拓への取り組みを強化するとともに、当社主力製品であるマーガリン・ショートニングの拡販に注力し、収益の確保に努めました。また、国際情勢の変化や為替等の影響により、ユーティリティ費、副原料費、包装材費、発送運搬費等の各種コストが上昇するなかで、原材料・資材の見直し、生産改善等、効率化を図るとともに、一昨年から数えて5回目となる販売価格の改定を推し進めました。 その結果、売上高は18,980百万円(前年同期比10.0%増)、営業利益は118百万円(前年同期は営業損失668百万円)となりました。
② 油化事業 工業用油脂製品につきましては、高付加価値グリセリンの拡販に注力しましたが、中国経済の停滞や自動車、タイヤ、塗料等の国内向け需要減少の影響を受けて、主力の脂肪酸、グリセリンともに低調に推移しました。 界面活性剤製品につきましては、コロナ禍からの行動制限の緩和が進んだことにより紙・パルプ分野の家庭紙用薬剤の需要が回復するとともに、香粧品分野の高付加価値シャンプー向け原料基剤「アンホレックス」やクレンジング製品向け原料基剤「Mファインオイル」の販売が好調に推移しました。一方、環境関連分野の飛灰用重金属処理剤は、主要原料の需給ひっ迫の影響を受け低調に推移しました。
その結果、売上高は8,687百万円(前年同期比8.8%増)、営業利益は431百万円(前年同期比1,090.1%増)となりました。
また、当第2四半期連結会計期間における財政状態の概況は次のとおりです。(資産)
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,478百万円減の57,191百万円となりました。主な減少は受取手形及び売掛金936百万円、電子記録債権617百万円、流動資産のその他360百万円、商品及び製品345百万円、現金及び預金324百万円であり、主な増加は投資有価証券942百万円、有形固定資産のその他(純額)289百万円です。(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べ2,430百万円減の31,676百万円となりました。主な減少は支払手形及び買掛金2,702百万円、借入金370百万円、電子記録債務343百万円であり、主な増加は流動負債のその他574百万円、固定負債のその他384百万円です。(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ952百万円増の25,514百万円となりました。主な増加はその他有価証券評価差額金678百万円、利益剰余金281百万円です。
この結果、当第2四半期連結会計期間末の自己資本比率は、前連結会計年度末の41.8%から44.5%に増加しました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ324百万円減少し、4,631百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における活動ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において営業活動の結果、1,037百万円の資金の増加(前年同期は1,648百万円の資金の減少)となりました。これは、主に税金等調整前四半期純利益840百万円に、売上債権の減少1,553百万円、減価償却費866百万円、未収消費税等の減少356百万円、棚卸資産の減少261百万円、法人税等の還付68百万円の資金の増加に対し、仕入債務の減少3,045百万円による資金の減少があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において投資活動の結果、669百万円の資金の減少(前年同期は563百万円の資金の減少)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出653百万円、無形固定資産の取得による支出208百万円の資金の減少に対し、投資有価証券の売却による収入201百万円の資金の増加があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において財務活動の結果、692百万円の資金の減少(前年同期は689百万円の資金の増加)となりました。これは、主に長期借入金の返済370百万円、配当金の支払309百万円による資金の減少があったことによるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は627百万円です。なお、当第2四半期連結累計期間における研究開発活動の状況の重要な変更はありません。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し当社グループを取り巻く事業環境は、ウィズコロナを前提に経済・社会活動の正常化が続く一方で、バイオ燃料向けの需要の増加を背景とした油脂原料の需給ひっ迫に加え、各種原材料価格の上昇等が懸念され、今後も大変厳しい状況のもと推移するものと思われます。このような事業環境において当社グループは、「中期経営計画(2022~2024年)」の2年目として、食品事業においては「これからの時代の『おいしさ』『健康』『食生活の変化』で持続可能な社会を実現する」を、油化事業においては「これからの時代へ、ボタニカルを提唱した技術や製品を創出することで、持続可能な社会を実現する」をミッションとして、次の時代に求められる新製品開発や市場開拓への取り組みを推進し、食品事業、油化事業の成長と発展を目指してまいります。
(6) 経営者の問題意識と今後の方針について当社グループの経営陣は収益性の向上を重点課題とし、そのために事業の最適化の実行および付加価値の高い事業領域へのシフト、さらに新規事業の開拓を力強く推し進めてまいります。
メーカーにとって技術革新が重要であることを認識しつつ、お客様のニーズにお応えする製品やサービスを提供することにより、強固な経営を推進してまいります。