【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年3月31日)における我が国経済は、政府の諸政策の効果により景気には緩やかな回復の兆しが見えはじめましたが、長期化するロシア・ウクライナ情勢を契機として資源価格・エネルギー価格が高止まりする一方、世界的な金融引き締めに伴い景気の下振れリスクが高まるなど、今後の先行きについては依然として予断を許さない状況が続きました。当油脂加工業界におきましては、バイオ燃料向けの需要拡大により油脂原料価格が高値圏で推移していることに加え、国際情勢の変化や為替等の影響により各種原材料、エネルギー、物流費等の様々なコストが上昇しており、非常に厳しい経営環境で推移しました。このような状況のなかで当社グループは、既存製品の品質向上や市場ニーズに対応した高付加価値製品の開発に取り組むとともに、オンラインツールを活用した販売活動を強化するなど、新規市場の開拓に努めました。また、各種原材料価格の上昇に対応すべく、販売価格の改定を推し進め収益の確保にも努めました。この結果、売上高は13,840百万円(前年同期比17.8%増)、営業損失は123百万円(前年同期は営業損失334百万円)、経常損失は88百万円(前年同期は経常損失249百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は74百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失139百万円)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
① 食品事業食品事業につきましては、ウィズコロナを前提とした経済活動の正常化が続くなかで、外食産業および土産菓子業界等の需要は回復基調となりましたが、油脂原料価格が高値圏で推移したことや、諸物価の上昇による消費者の節約志向の高まり等を受け、全体としては大変厳しい状況で推移しました。このような状況のなか、新規市場の開拓への取り組みを強化するとともに、当社主力製品であるマーガリン・ショートニングを中心とした拡販に注力し、収益の確保に努めました。また、一昨年から数えて5回目となる販売価格の改定を推し進めた結果、売上高は9,240百万円(前年同期比15.4%増)となりましたが、利益面では、各種原材料をはじめエネルギー、物流費等の様々なコストが増加した状況下で、販売価格改定の効果の実現が充分間に合わず、営業損失は260百万円(前年同期は営業損失408百万円)となりました。
② 油化事業
工業用油脂製品につきましては、高付加価値グリセリンの拡販に注力しましたが、中国経済の停滞や自動車、タイヤ、塗料等の国内向け需要減少の影響を受けて、主力の脂肪酸、グリセリンともに低調に推移しました。 界面活性剤関連製品につきましては、コロナ禍からの行動制限が緩和されたことで、紙・パルプ分野の家庭紙用薬剤の需要が回復するとともに、香粧品分野の高付加価値シャンプー向け原料基剤「アンホレックス」やクレンジング製品向け原料基剤「Mファインオイル」の販売が好調に推移しました。また、環境関連分野の飛灰用重金属処理剤は、主要原料の世界的な需給ひっ迫と原料価格上昇による影響を受け低調に推移しました。 この結果、売上高は4,387百万円(前年同期比20.3%増)、営業利益は129百万円(前年同期比147.2%増)となりました。
また、当第1四半期連結会計期間における財政状態の概況は次のとおりであります。(資産)当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,014百万円減の55,654百万円となりました。主な減少は受取手形及び売掛金1,220百万円、現金及び預金1,081百万円、電子記録債権597百万円、流動資産のその他396百万円であり、主な増加は原材料及び貯蔵品317百万円であります。(負債)負債は、前連結会計年度末に比べ2,603百万円減の31,502百万円となりました。主な減少は支払手形及び買掛金2,238百万円、電子記録債務345百万円、借入金190百万円、固定負債のその他60百万円であり、主な増加は流動負債のその他376百万円であります。(純資産)純資産は、前連結会計年度末に比べ411百万円減の24,151百万円となりました。主な減少は利益剰余金383百万円、その他有価証券評価差額金33百万円であります。この結果、当第1四半期連結会計期間末の自己資本比率は、前連結会計年度末の41.8%から43.3%に増加しました。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(3) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は308百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間における研究開発活動の状況の重要な変更はありません。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し当社グループを取り巻く事業環境は、ウィズコロナを前提とした経済活動の正常化が続く一方で、原材料価格の上昇や油脂原料の需給ひっ迫等が懸念され、今後も大変厳しい状況のもと推移するものと思われます。このような事業環境において当社グループは、「中期経営計画(2022~2024年)」の2年目として、食品事業においては「これからの時代の『おいしさ』『健康』『食生活の変化』でウェルビーイングな社会を実現する」を、油化事業においては「使う快適と捨てる安心を基軸とした技術と製品でウェルビーイングな生活を創造する」をミッションとし、次の時代に求められる新製品開発や市場開拓への取り組みを推進し、食品事業、油化事業の成長と発展を目指してまいります。
(5) 経営者の問題意識と今後の方針について当社グループの経営陣は収益性の向上を重点課題とし、そのために事業の最適化の実行および付加価値の高い事業領域へのシフト、さらに新規事業の開拓を力強く推し進めてまいります。メーカーは技術革新が重要であることを認識しつつ、お客様や社会のニーズにお応えする製品やサービスを提供することにより、強固な経営を推進してまいります。