【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。(1) 財政状態及び経営成績の状況当第3四半期連結累計期間(2022年1月1日~2022年9月30日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響からの持ち直しの動きが見られ、経済・社会活動の正常化が進みましたが、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に伴う資源価格・エネルギー価格の高騰や急速な円安の進行等の影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。当油脂加工業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が継続するなか、バイオ燃料向けの需要拡大を背景とした油脂原料の需給ひっ迫や、各種原材料価格の高騰により非常に厳しい経営環境で推移いたしました。 このような状況のなかで当社グループは、市場ニーズに合わせた新たな製品の開発や用途開拓を推進するとともに、展示会への出展やWEBサイト等のデジタル施策を取り入れた販売促進活動を積極的に展開する一方、油脂原料価格の高騰に伴う販売価格の改定を推し進め収益の確保に努めました。
この結果、売上高は38,454百万円(前年同期比11.4%増)となりましたが、油脂原料価格が一段と高騰した影響により、営業損失は1,261百万円(前年同期は営業利益696百万円)、経常損失は1,079百万円(前年同期は経常利益905百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は754百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益643百万円)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
① 食品事業食品事業につきましては、大口取引先である製パン業界は巣ごもり需要等が下支えとなり回復傾向で推移しました。一方、外食産業および土産菓子業界は回復の兆しは見られたものの依然として低調であったことに加え、物価上昇に伴う消費者の節約志向の高まり等により、主力製品であるマーガリン・ショートニングが伸長せず、苦戦を強いられました。また、油脂原料価格が軒並み高騰し記録的な高値で推移したことや、急速な円安の進行等により原材料調達コストが大幅に増加した影響を受け、非常に厳しい環境で推移しました。このような状況のなか、既存製品の販売価格改定を推し進めるとともに、プラントベースフード等の新規市場への開拓の取り組みを強化した結果、売上高は26,022百万円(前年同期比13.4%増)となりましたが、利益面では、販売価格改定が油脂原料価格の上昇スピードに追い付かず、営業損失は1,389百万円(前年同期は営業利益207百万円)となりました。
② 油化事業工業用油脂製品につきましては、原料価格高騰の影響を大きく受けるなか、グリセリンは、化粧品、家電、塗料等の需要が堅調で、高付加価値製品の販売が好調に推移しましたが、脂肪酸は、原料の需給ひっ迫の影響を受け低調に推移しました。界面活性剤関連製品につきましては、高付加価値シャンプーやクレンジング製品向け原料基剤が好調に推移したものの、紙・パルプ分野の家庭紙用薬剤は、マスク着用の常態化による需要の減少と原料価格の高騰により低迷しました。また、環境関連分野の飛灰用重金属処理剤は、事業系ごみの減少が継続したことに加え、主要原料の価格高騰と需給ひっ迫による影響を受け低調に推移しました。
この結果、売上高は12,145百万円(前年同期比9.7%増)となりましたが、原料価格高騰の影響を受け、営業利益は67百万円(前年同期比85.0%減)となりました。
また、当第3四半期連結会計期間における財政状態の概況は次のとおりであります。(資産)当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,988百万円増の55,611百万円となりました。主な増加は原材料及び貯蔵品1,521百万円、商品及び製品1,004百万円、流動資産のその他687百万円、受取手形及び売掛金497百万円、投資その他の資産のその他437百万円、電子記録債権415百万円であり、主な減少は現金及び預金1,781百万円であります。(負債)負債は、前連結会計年度末に比べ4,087百万円増の31,419百万円となりました。主な増加は借入金2,457百万円、支払手形及び買掛金2,354百万円であり、主な減少は電子記録債務438百万円であります。(純資産)純資産は、前連結会計年度末に比べ1,099百万円減の24,192百万円となりました。主な減少は利益剰余金1,171百万円であります。この結果、当第3四半期連結会計期間末の自己資本比率は、前連結会計年度末の48.0%から43.4%に減少しました。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(3) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は931百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の状況の重要な変更はありません。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続するなか、原材料価格の上昇や油脂原料の需給ひっ迫等も続くこと、さらに、急激な為替変動、エネルギー価格の上昇等により、極めて不透明な状況が続くものと思われます。このような事業環境において当社グループは、「中期経営計画(2022~2024年)」の初年度として、食品事業は「これからの時代の『おいしさ』『健康』『食生活の変化』で持続可能な社会を実現する」を、油化事業は「これからの時代へ、ボタニカルを提唱した技術や製品を創出することで、持続可能な社会を実現する」をミッションとし、次の時代に求められる新製品開発や市場開拓に積極的に取り組んでまいります。
(5)
経営者の問題意識と今後の方針について当社グループの経営陣は収益性の向上を重点課題とし、そのために事業の最適化の実行および付加価値の高い事業領域へのシフト、さらに新規事業の開拓を力強く推し進めてまいります。
メーカーにとって技術革新が重要であることを認識しつつ、お客様のニーズにお応えする製品やサービスを提供することで、強固な経営を継続してまいります。