【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における世界経済は、年度前半は世界に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響で大幅に落ち込んだものの、年度後半は総じて回復基調で推移しました。米国では新型コロナウイルスの感染者数が世界で最多となる中、2021年1月に発足したバイデン新政権が打ち出した追加経済対策とワクチンの普及により経済活動が再開し、企業の受注や生産、個人消費や雇用も上向いています。中国は新型コロナウイルス感染症の影響をいち早く解消し、国家の積極的な政策もあいまって、2020年春以降、企業の輸出や設備投資が急速に回復しました。欧州各国では活動制限が長期化する中、外需の改善を背景に輸出が上向き、製造業を中心に緩やかながら回復基調に転じています。我が国においても、度重なる緊急事態宣言の発令やインバウンド需要の消滅により個人サービス関連の業種は厳しい経営環境が続いていますが、リモートワークの増加や外需の高まりを受けて情報通信や電子部品、自動車等の製造業は年度後半に向けて景況感が改善することとなりました。 当社グループが関わる情報通信関連やエレクトロニクス関連市場においては、5Gの本格稼働を控え、世界各国で基地局や光通信網の整備が進められました。我が国においても5Gに対応するスマートフォンの新機種が複数のメーカーからリリースされています。また、新型コロナウイルスの感染対策としてリモートワークが拡大し、ノートパソコンやタブレット端末の需要が増加しました。さらに、IT技術やデジタルデータの活用により生産性の向上や省人化を図り、企業のビジネスモデルや価値提供の方法を抜本的に変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)も進展することとなりました。一方、自動車関連市場は、CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)と呼ばれる大きな転換期を迎えています。当連結会計年度においては、複数の国や都市においてカーボンニュートラルの達成に向けた「脱ガソリン車」の実現目標が示されることとなりました。自動車の需要は中国や米国を中心に拡大傾向にあるものの、市場に流通する半導体や樹脂材料に逼迫感が生じており、先行きに不透明感が生じています。 こうした中で当社グループは、2016年度から取り組んでいる6ヶ年の中期経営計画『マスタープラン2016』に基づき、引き続き「既存事業の収益力強化」、「事業ポートフォリオの最適化」、「経営基盤の強化」の各施策の遂行に努めました。 「既存事業の収益力強化」に向けては、各種の成形品や金型、精密金属加工部品等を主力製品とする精機事業、光通信用部品とその関連機器、レンズ、光伝送装置や光電界センサー等を主力製品とする光製品事業の両セグメントにおいて、販売力と価格競争力を強化すると共に、当社グループの技術資源である精密加工・精密成形・光学技術を応用し、市場や顧客のニーズに応える新製品、新技術の開発に取り組みました。 「事業ポートフォリオの最適化」に向けては、「成長期待事業」に位置付けている精密樹脂成形品やレンズを「成長牽引事業」へと進化させるべく、顧客やパートナー企業との連携強化に努めました。併せて、当社グループの持続的な成長を促す「次世代事業」を創出するため、「成長牽引事業」や「収益基盤事業」で獲得した資金を投資するM&Aや事業提携先の模索も行いました。
「経営基盤の強化」に向けては、WEB会議を積極的に活用して当社グループ会社間のコミュニケ―ションを図り、価値観の共有や事業課題の解決に向けて議論を行いました。本社においては、小集団活動を通してボトムアップによる改善活動を継続的に実施したほか、働き方改革「メリハリワーク」を推進し、より短い時間でより多くの収益を上げる強固な組織体質の確立に努めました。こうした施策と並行して、当社グループの各拠点において、一部社員の在宅勤務や出張の制限、来客の自粛要請、自家用車通勤や時差出勤の奨励、非接触体温計による出勤時の検温、昼食時間の二部制による食堂の過密の回避、マスクの着用義務や手洗いの徹底といった新型コロナウイルスの感染予防対策を講じました。しかしながら2020年12月、国内の子会社、不二電子工業株式会社において数名の陽性者が発生しました。保健所の指導に基づき、当該職場や共用設備の消毒等を速やかに行い、生産への影響はありませんでした。 こうした諸施策を実施した結果、当連結会計年度の売上高は14,818,029千円(前連結会計年度比5.8%減)、営業利益は1,324,727千円(前連結会計年度比17.9%減)、経常利益は1,431,741千円(前連結会計年度比15.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は983,885千円(前連結会計年度比14.7%減)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
〔精機関連〕
精機関連では、金属材料のプレス成形や、樹脂と金属を一体で成形するインサート成形等の技術を活用した精密成形品や、成形品を効率的に量産するための高品質な金型、高い寸法精度が要求される金属部品等を顧客に提供しております。当連結会計年度は、自動車の燃料噴射圧やブレーキ圧、太陽光等を感知するセンサー用基幹部品や、燃料供給を電子制御するエンジンコントロールユニット用ケース等の車載用インサート成形品の売上が増加しました。2016年に北海道千歳市に開設した工場も順調に生産数量を増やしています。一方、スマートフォンやモバイル端末のキーボード等に使用される金属プレス成形品は、新型コロナウイルス感染症の影響により、スマートフォンの消費地であるインドや欧州の需要が縮小したことや、一部の顧客が工場の稼働を停止したこと等により売上が減少することとなりました。開発面では、創業以来培ってきた精密金型技術や薄肉成形技術、樹脂成形品にミクロン単位の凹凸を施す微細転写技術を応用し、自動車や医療、バイオ等の産業領域において、顧客と共に新たな製品の量産化に向けた技術課題の解消に取り組みました。 これらの結果、当連結会計年度の精機関連の売上高は8,675,946千円(前連結会計年度比1.5%減)となりました。
〔光製品関連〕
光製品関連では、光通信インフラに使用される光コネクタ等の接続部品や、これら光通信用部品の製造機器、検査・測定装置、電界の強度分布を正確に測定する光電界センサー、テレビや携帯電話等の電波を安定的に伝送する光伝送装置、スマートフォン等に搭載する超小型の樹脂レンズ等の製品を顧客に提供しております。現在、5Gの本格的な商用化に向けて、基地局やデータセンターを繋ぐ光通信用部品の需要が世界規模で増加傾向にあります。これを受けて中国の子会社は、新型コロナウイルスの中国国内の感染拡大が収束した2020年春以降、光通信用部品の売上が急速に回復しました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響が長引いている北南米や欧州の一部の顧客の稼働率が停滞したほか、先行きの不透明感から設備投資に慎重になる顧客もあり、光コネクタ研磨機や測定装置については売上が減少することとなりました。開発面では、5Gの基地局に設置するアンテナが発する高周波電波の強度を測定する光電界センサーの商品化に向けた試作に取り組みました。 これらの結果、当連結会計年度の光製品関連の売上高は6,142,083千円(前連結会計年度比11.3%減)となりました。
当連結会計年度は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、精機関連、光製品関連の両セグメントにおいて売上高が減少することとなりました。2022年3月期も海外出張や対面営業が制限されること、感染拡大が著しい国の消費や生産の停滞が続く見通しであること等を受けて、通年を通して若干のマイナス影響が残ると見込んでいます。そうした中、当社グループは引き続き、既存事業の収益力の強化に努める一方、将来に向けて永続的に企業価値を向上することができる強固な経営基盤を確立してまいりたいと考えております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2020年4月1日至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
精機関連(千円)
8,887,498
98.1
光製品関連(千円)
6,192,367
89.5
合計(千円)
15,079,865
94.4
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.金額は販売価格によっております。3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
精機関連
8,610,892
96.6
1,065,234
94.2
光製品関連
6,373,244
96.1
957,521
131.8
合計
14,984,137
96.4
2,022,755
108.9
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2020年4月1日至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
精機関連(千円)
8,675,946
98.5
光製品関連(千円)
6,142,083
88.7
合計(千円)
14,818,029
94.2
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
株式会社デンソー
5,418,576
34.4
5,249,393
35.4
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態当連結会計年度末における総資産の残高は28,966,138千円となり、前連結会計年度末から1,221,383千円増加いたしました。当連結会計年度末における資産、負債の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
〔流動資産〕当連結会計年度末における流動資産の残高は19,026,406千円となり、前連結会計年度末から1,687,175千円増加しました。その主な要因は、現金及び預金や受取手形及び売掛金が増加したこと等に因ります。
〔固定資産〕当連結会計年度末における固定資産は9,939,731千円となり、前連結会計年度末から465,792千円減少いたしました。有形固定資産は7,895,334千円となり、前連結会計年度末から100,617千円減少しました。その主な要因は、建物や機械装置等の減価償却が進んだこと等に因ります。また、無形固定資産は971,323千円となり、前連結会計年度末から382,240千円減少しました。その主な要因は、のれんの減価償却が進んだこと等に因ります。
〔流動負債〕当連結会計年度末における流動負債の残高は3,375,826千円となり、前連結会計年度末から425,009千円増加しました。その主な要因は、材料等の買掛金や未払消費税等が増加したこと等に因ります。
〔固定負債〕当連結会計年度末における固定負債の残高は1,376,919千円となり、前連結会計年度末から111,065千円増加しました。その主な要因は、子会社がオフィス賃借契約を更新したことにより長期リース債務が増加したこと等に因ります。
〔純資産合計〕当連結会計年度末における純資産の残高は24,213,391千円となり、前連結会計年度末から685,308千円増加しました。その主な要因は、利益剰余金が増加したこと等に因ります。
(3) キャッシュ・フロー当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は4,877,382千円となり、前連結会計年度末から1,327,006千円増加いたしました。当該残高は、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みても、現在の事業活動を推進するうえで十分な水準を確保しているものと認識しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、当社グループの成長投資、手許資金、株主還元等の資金の配分のあり方が変わるものではありません。当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕営業活動の結果増加した資金は、2,374,046千円(前連結会計年度は2,225,752千円の増加)となりました。営業活動による資金増加の主な要因は、税金等調整前当期純利益1,434,718千円、減価償却費1,235,570千円、のれん償却額306,581千円、仕入債務の増加額267,184千円等であります。資金減少の主な要因は、法人税等の支払額530,530千円、売上債権の増加額407,778千円、棚卸資産の増加額117,488千円等であります。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕投資活動の結果減少した資金は、626,188千円(前連結会計年度は1,752,988千円の減少)となりました。投資活動による資金減少の主な要因は、機械装置や工具器具等、有形固定資産の取得による支出831,600千円等であります。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕財務活動の結果減少した資金は、411,245千円(前連結会計年度は685,909千円の減少)となりました。財務活動による資金減少の主な要因は、配当金の支払額368,622千円等であります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループの主要な資金需要は、製品製造に使用する原材料や部品の調達等の製造原価と、販売費及び一般管理費の他、既存製品の増産や新規製品の開発に向けた新しい機械装置の購入や既存の機械装置の改修等に使用しております。また、今後に向けては、当社グループの企業価値向上につなげるためのM&Aにも資金を積極的に投入していく考えです。現時点におきましては、これらの資金については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金を充当していく予定であります。
