【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
昨年7月2日に発生した通信障害では、当社の通信サービスをご利用の全国のお客さまに、多大なご不便とご迷惑をお掛けしましたことを、深くお詫び申し上げます。社会インフラを支え、安定したサービスを提供しなければならない通信事業者として、本件を重く受け止めております。
再発防止策の徹底を図り、サービスの安定的な運用に向けて全社をあげて取り組んでまいります。
わが国経済は、コロナ禍からの経済活動正常化が進み、景気停滞から緩やかに持ち直す動きがみられます。一方で欧米各国の金融引き締めによる海外景気の下振れに加え、エネルギー・食料価格の高騰により、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社業務区域である沖縄県の経済におきましても、物価上昇などによる景気下押しのリスクはあるものの、インバウンド再開の動きや観光支援策により、個人消費や観光産業は持ち直しており、コロナ禍以前の様相を取り戻しつつあります。
通信業界においては、人々の暮らしやビジネスの中で、デジタル化の流れは加速しており、通信の役割がますます重要になっています。また、競争促進政策の強化や異業種からの新規参入に伴い、通信各社のサービス・料金プランが多様化し、経営環境は大きく変化しております。
このような情勢のもと、当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における当社のグループ会社を含めた経営成績は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
増減
増減率(%)
営業収益
73,426
77,299
3,873
5.3
営業費用
58,203
61,367
3,163
5.4
営業利益
15,222
15,932
709
4.7
経常利益
15,321
16,130
809
5.3
親会社株主に帰属する当期純利益
10,660
10,852
191
1.8
当期における営業収益については、マルチブランド通信収入は減少したものの、au でんき売上や端末販売収入が増加したことなどにより、前期比3,873百万円増加(5.3%増)の77,299百万円となりました。
営業費用については、3G設備関連費用が減少したものの、au でんき原価や端末販売原価などが増加し、前期比3,163百万円増加(5.4%増)の61,367百万円となりました。
これらの結果、営業利益は前期比709百万円増加(4.7%増)の15,932百万円、経常利益は前期比809百万円増加(5.3%増)の16,130百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比191百万円増加(1.8%増)の10,852百万円となりました。
また、設備投資の状況については、5G通信を含む高速データ通信サービスに係る設備及びモバイルサービスにおけるデータトラフィックの増加に伴う通信設備の増設、FTTHサービスに係る設備の拡張などを実施したことにより、設備投資額は5,460百万円となりました。
当社グループは単一のセグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
なお、当社グループにおけるサービス別の実績は、次のとおりであります。
(モバイルサービス)
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
増減
増減率(%)
純増数
17,900
12,700
△5,200
△29.1
総契約数
649,400
662,200
12,700
2.0
端末販売台数
178,200
151,200
△27,000
△15.2
マルチブランド総合ARPU(円)
5,202
5,109
△93
△1.8
マルチブランド通信ARPU(円)
4,440
4,283
△157
△3.5
マルチブランド付加価値ARPU(円)
762
826
64
8.4
(注)1.純増数、総契約数及び端末販売台数は百契約未満を四捨五入しており、増減は端数処理後の数値を記載しております。
2.純増数、総契約数、端末販売台数については、au、UQ、povo、3ブランドにおけるスマートフォン、フィーチャーフォンの合計(ハンドセット)に数値を変更しております。
前連結会計年度の数値は改定後に組替えて記載しております。
3.ARPU(Average Revenue Per Unit):1契約あたりの月間平均収入。
マルチブランド通信ARPU :音声ARPU + データARPU + 割引適用額
マルチブランド付加価値ARPU:自社・協業サービス + 決済手数料 + 広告 + 補償サービス
マルチブランド総合ARPU、マルチブランド通信ARPU、マルチブランド付加価値ARPUはスマートフォン、フィーチャーフォンの合計(ハンドセット)に変更しております。
前連結会計年度の数値は改定後に組替えて記載しております。
当期におけるモバイルサービスの状況につきましては、マルチブランド戦略の推進や、ネットワーク品質の向上など、お客さま重視のサービスに取り組んだ結果、前期と比較して総契約数が12,700契約増加(2.0%増)の662,200契約となりました。
ARPUについては、マルチブランド総合ARPUは前期比93円減少(1.8%減)の5,109円となりました。このうち、マルチブランド通信ARPUについては、前期比157円減少(3.5%減)の4,283円となりました。マルチブランド付加価値ARPUについては、前期比64円増加(8.4%増)の826円となりました。
(FTTHサービス)
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
増減
増減率(%)
純増回線数
5,200
4,300
△900
△17.3
累計回線数
114,700
119,100
4,300
3.7
(注)1.純増回線数及び累計回線数は、auひかりちゅら、auひかりちゅらビジネス及びひかりゆいまーるの合計を記載しております。
2.純増回線数及び累計回線数は百回線未満を四捨五入して表示しており、増減は端数処理後の数値を記載しております。
当期におけるFTTHサービスの状況につきましては、純増回線数は前期比900回線減少するも、累計回線数は前期比4,300回線増加(3.7%増)の119,100回線となりました。
(ライフデザインサービス)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
増減率(%)
(自 2021年4月1日
(自 2022年4月1日
至 2022年3月31日)
至 2023年3月31日)
純増件数
26,100
△17,500
△43,600
-
契約件数
80,200
62,600
△17,500
△21.8
(注)1.純増件数及び契約件数は、au でんきの契約数を記載しております。
2.純増件数及び契約件数は百契約未満を四捨五入して表示しており、増減は端数処理後の数値を記載しております。
当期におけるライフデザインサービスの状況につきましては、燃料費調整額の上限を撤廃した影響により解約が増加し、純増件数は前期比43,600契約減少の△17,500契約、契約件数は前期比17,500契約減少(21.8%減)の62,600契約となりました。
②財政状態の状況
前連結会計年度
(2022年3月31日)
当連結会計年度
(2023年3月31日)
増減
増減率(%)
資産(百万円)
118,609
119,651
1,041
0.9
負債(百万円)
18,419
18,529
110
0.6
有利子負債(百万円)
199
106
△92
△46.3
純資産(百万円)
100,190
101,121
931
0.9
自己資本比率(%)
81.3
82.6
1.3ポイント
-
当連結会計年度末の資産の合計は、前連結会計年度末と比較して1,041百万円増加(0.9%増)の119,651百万円となりました。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末と比較して110百万円増加(0.6%増)の18,529百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産の合計は、前連結会計年度末と比較して931百万円増加(0.9%増)の101,121百万円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
増減
営業活動によるキャッシュ・フロー
18,774
14,642
△4,132
投資活動によるキャッシュ・フロー
△13,824
△3,938
9,886
財務活動によるキャッシュ・フロー
△4,854
△10,633
△5,779
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)
95
70
△25
現金及び現金同等物の期首残高
3,097
3,193
95
現金及び現金同等物の期末残高
3,193
3,263
70
フリー・キャッシュ・フロー
4,950
10,704
5,753
(注)フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は3,263百万円となりました。
なお、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは10,704百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益が増加したものの、減価償却費の減少や未払金の増減額が減少に転じたこと、売上債権の増減額が増加に転じたことなどにより、前連結会計年度と比較して4,132百万円収入が減少し、14,642百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローについては、投資有価証券の取得による支出が増加したものの、関係会社短期貸付金の回収による収入が増加したことなどにより、前連結会計年度と比較して9,886百万円支出が減少し、3,938百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローについては、自己株式の取得による支出や、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が増加したことなどにより、前連結会計年度と比較して5,779百万円支出が増加し、10,633百万円の支出となりました。
④仕入及び営業の実績
a.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
品種別
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比
(%)
携帯電話端末機器及び付属品
12,654
106.0
b.営業実績
当連結会計年度の営業実績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
事業部門
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比
(%)
電気通信事業
49,287
98.9
附帯事業
28,011
118.8
合計
77,299
105.3
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本稿に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所感などの将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、不確実性を内在、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意ください。
また、新型コロナウイルス感染症拡大によりわが国の企業業績や金融市場に影響が生じております。
当社業績や事業活動へは現時点では過大な影響はございませんが、経済環境、競争状態などの不確実な要因の影響を受け、業績に変動を与える事象が生じた場合には、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えています。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループは、特に当社の連結財務諸表の作成において使用される以下の重要な会計方針が、当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.固定資産の耐用年数及び償却方法
固定資産の耐用年数については適正に見積もっております。当連結会計年度末時点では新たに耐用年数及び償却方法の変更が必要な重要な資産はありません。なお、今後、市場、環境及び技術上の変化が急速に進展した場合、あるいは新たな法律や規制が制定された場合には、適正な見積りを実施した上で耐用年数及び償却方法を変更する可能性があります。
b.固定資産の減損
減損損失の算定にあたっては、他の資産又は資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位によって資産のグループ化を行っております。
固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
現時点では、当社グループに重要な含み損を抱える資産等はありませんが、今後、保有する固定資産等の使用状況等によっては、損失が発生する可能性があります。
c.退職給付費用及び退職給付債務
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、死亡率、退職率、予想昇給率などがあります。割引率は複数の社債利回りを基礎に算出しており、死亡率、退職率、予想昇給率は統計数値に基づいて算出しております。
実際の結果が前提条件と異なる場合、または変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される退職給付費用、退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債に影響を及ぼします。
d.引当金等
引当金については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項 (3)重要な引当金の計上基準」に記載しております。
当期の連結財務諸表の作成にあたって、新型コロナウイルス感染症による影響は、当社グループの財政状態及び経営成績へ一定程度の影響はあったものの重要な影響はありませんでした。当社グループを取り巻く事業環境は予断を許さない状況が続いており、今般の状況を踏まえ現時点で入手可能な情報に基づき、少なくとも翌連結会計年度を通して影響を及ぼすとの仮定のもと、会計上の見積りを行っております。
ただし、今後の状況の変化によって判断を見直した結果、当社グループの財政状態及び経営成績において重要な影響を与える可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
当連結会計年度における営業収益は77,299百万円となり、前期比3,873百万円増加となりました。営業利益は15,932百万円となり、前期比709百万円の増益、経常利益は16,130百万円となり、前期比809百万円の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は10,852百万円となり、前期比191百万円の増益となり、過去最高益を更新することができました。
(連結業績推移)
(営業収益)
当連結会計年度における営業収益は77,299百万円となり、前期比3,873百万円増加となりました。その主な増減要因は以下のとおりです。
増減要因
増加要因
・総契約数の増加
当連結会計年度末のモバイルサービスの総契約数は662,200契約となり、前期末比12,700契約増加(2.0%増)となりました。
・FTTH回線数の増加
ひかりゆいまーるの新規回線増加やシェア5割超のモバイルとのバンドルが推進力となり、当連結会計年度末のFTTH累計回線数は119,100回線となり、前期末比4,300回線増加(3.7%増)となりました。
・auでんきの売上増加
auでんき売上は前期比2,881百万円増加(45.3%増)となりました。
減少要因
・マルチブランド通信ARPU収入が前期比716百万円減少となりました。
(営業費用)
当連結会計年度における営業費用は、3G関連設備費用などの減少に加えコスト削減があったものの、auでんき燃料費調整額上限超過分の負担があり、前期比3,163百万円増加の61,367百万円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は15,932百万円となり、前期比709百万円の増加となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は10,852百万円となり、前期比191百万円の増益となりました。
b.財政状態の分析
(資産)
資産については、関係会社短期貸付金が減少したものの、建設仮勘定や売掛金が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して1,041百万円増加(0.9%増)の119,651百万円となりました。
(負債)
負債については、未払法人税等が減少したものの、未払金が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して110百万円増加(0.6%増)の18,529百万円となりました。
(純資産)
純資産については、自己株式の取得や配当金の支払いがあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上によって利益剰余金が増加し、前連結会計年度末と比較して931百万円増加(0.9%増)の101,121百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は82.6%(前連結会計年度末は81.3%)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、携帯端末機器及び付属品の購入費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであり、設備資金等の所要資金は自己資金で賄っております。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、資金調達に関し、低コストかつ安定的な資金の確保を基本に、財務状況や金融環境に応じ、最適と思われる調達手段を選択しております。
なお、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は106百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,263百万円となりました。これらのいわゆる手元流動性残高につきましては、当社の財政状態及び金融環境に応じ変動しております。
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