【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況当事業年度の工作機械業界は、日本工作機械工業会が発表した工作機械受注実績(2022年1月1日から2022年12月31日まで)が前年比14.2%増加しました。外需については、ロシア・ウクライナ情勢を契機とした資源価格の高騰と急激な円安進行により先行き不透明な状況が続いている一方、内需については、製造現場での人手不足を背景とした複数工程の自動化などの省人化ニーズによる設備投資需要は依然として高く、需要は高水準に継続する状況となりました。当社の受注状況も、通期受注高は前期の約1.4倍となりました。地域別の受注高は、欧州で前期比3.2%の減少となったものの、日本約1.4倍、中国約1.3倍、他主要地域においては総じて増加推移しております。当期においては、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限の緩和により、リアルでの展示会活動等が活発化しました。本社工場においてオープンファクトリーを開催したほか、海外のお客様の来社やJIMTOF2022とドイツAMBへの出展を通して、当社製品の技術力をアピールするとともにお客様の設備投資ニーズを掘り起こし、受注及び引合いの獲得につなげてまいりました。この結果、通期の受注計画は当初の100億円から114億円へ上方修正するに至り、120億円強で着地いたしました。また、売上高は計画通りの90億円を達成することができました。業種別受注状況につきましては、産業機械と工作機械関連は高水準の設備投資需要を背景に堅調に推移しており、軸受関連と半導体関連はクリーンエネルギー分野や世界的な半導体需要を背景に好調に推移しております。今後もお客様のニーズを的確に汲み取り、新市場開拓を見据えた製品開発を進め、検収までのリードタイム短縮にも引き続き注力しながら売上と利益の拡大を図ってまいります。当事業年度の受注高は12,089,506千円(前期比36.8%増)となりました。うち当社主力機種である立形研削盤は9,838,187千円(前期比43.1%増)、横形研削盤は1,791,472千円(前期比6.5%減)、その他専用研削盤は459,847千円(前期比855.1%増)となりました。生産高は7,950,558千円(前期比28.9%増)となりました。うち立形研削盤は6,396,566千円(前期比30.7%増)、横形研削盤は1,492,014千円(前期比16.9%増)、その他専用研削盤は61,977千円(前期比5,554.8%増)となりました。売上高につきましては、9,041,674千円(前期比35.2%増)となりました。うち立形研削盤は7,219,248千円(前期比36.2%増)、横形研削盤は1,650,458千円(前期比23.3%増)、その他専用研削盤は171,968千円(前期比257.2%増)となりました。損益につきましては、営業利益621,772千円(前期比3.7%増)、経常利益624,444千円(前期比4.3%減)、当期純利益440,320千円(前期比0.2%減)となりました。なお、当事業年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細については「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。 (注)当社は、研削盤の製造及び販売を事業内容とする単一セグメントであるため、受注高、売上高及び損益につきましてはセグメントごとに区分しておりません。
② 財政状態の状況(流動資産)当事業年度末の流動資産は前事業年度末に比べて883,544千円減少し、5,906,757千円となりました。これは主に現金及び預金が2,210,640千円、製品が28,484千円、流動資産(その他)に含まれる未収消費税等が50,828千円減少したこと、売掛金が522,221千円、仕掛品が590,487千円、原材料及び貯蔵品が272,614千円、前払費用が18,837千円増加したことによるものです。(固定資産)当事業年度末の固定資産は前事業年度末に比べて1,221,427千円増加し、2,351,312千円となりました。これは主に有形固定資産が1,181,662千円、無形固定資産が32,169千円、投資その他の資産に含まれる繰延税金資産が44,905千円増加したこと、投資その他の資産に含まれる敷金及び保証金が44,088千円減少したことによるものです。
(流動負債)当事業年度末の流動負債は前事業年度末に比べて78,038千円増加し、1,431,950千円となりました。これは主に買掛金が95,593千円、未払金が47,715千円、未払費用が6,667千円、前受金が120,196千円、製品保証引当金が95,345千円増加したこと、リース債務が268,901千円、未払法人税等が17,280千円減少したことによるものです。(純資産)当事業年度末の純資産は前事業年度末に比べて259,843千円増加し、6,826,120千円となりました。これは主に利益剰余金が235,409千円増加したこと、自己株式が23,521千円減少したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べて2,210,640千円減少し、247,825千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果、資金は432,737千円の減少(前期は144,134千円の増加)となりました。これは主に売上債権の増加522,221千円、棚卸資産の増加834,617千円、法人税等の支払241,750千円の資金減少要因と、税引前当期純利益624,444千円の計上、減価償却費136,143千円、製品保証引当金の増加95,345千円、仕入債務の増加95,593千円、未払金の増加68,346千円、未払費用の増加6,667千円、前受金の増加120,196千円の資金増加要因によるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果、資金は1,304,525千円の減少(前期は31,694千円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得1,283,651千円、無形固定資産の取得65,148千円の資金減少要因によるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果、資金は473,377千円の減少(前期は375,110千円の減少)となりました。これは主にリース債務の返済268,901千円、配当金の支払204,475千円の資金減少要因によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績当社は、研削盤の製造及び販売を事業内容とする単一セグメントであるため、当事業年度の生産実績、受注実績及び販売実績につきましては、製品の品目ごとに記載しております。
イ 生産実績
品目
生産高(千円)
前年同期比(%)
立形研削盤
6,396,566
30.7
横形研削盤
1,492,014
16.9
その他専用研削盤
61,977
5,554.8
合計
7,950,558
28.9
(注)金額は、販売価格によっております。
ロ 受注実績
品目
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
立形研削盤
9,838,187
43.1
6,248,204
72.2
横形研削盤
1,791,472
△6.5
1,320,126
12.0
その他専用研削盤
459,847
855.1
287,879
―
合計
12,089,506
36.8
7,856,209
63.4
ハ 販売実績
品目
販売高(千円)
前年同期比(%)
立形研削盤
7,219,248
36.2
横形研削盤
1,650,458
23.3
その他専用研削盤
171,968
257.2
合計
9,041,674
35.2
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前事業年度(自 2021年1月1日至 2021年12月31日)
当事業年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
DMG森精機株式会社
2,340,126
35.0
3,100,837
34.3
ユアサ商事株式会社
282,244
4.2
997,117
11.0
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しているとおりであります。当社の財務諸表の作成において、損益又は資産・負債の状況に影響を与える見積り及び判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 財政状態の分析当事業年度末の財政状態につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
ロ 経営成績の分析当事業年度における工作機械業界では、世界的なエネルギー・原材料価格高騰や欧米各国の金融引き締めによる、先行き不透明な状況が継続したものの、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進み、工作機械受注総額が過去2番目の高さになるなど、設備投資需要は総じて高水準で推移しました。一般社団法人日本工作機械工業会の発表によると、2022年暦年の研削盤全体の受注額は1,156億円(前年比20.9%増)となりました。その中で、当社の提供する研削盤は、円筒・平面研削盤を除く「その他NC研削盤」の市場に属しており、その受注額は498億円であります。2022年暦年の工作機械全体の受注額17,596億円の規模に対して2.8%と極めてニッチな市場ではありますが、当社は引き続き独自の技術を開発しつつ、研削盤市場においてニッチ・トップの企業を目指して事業展開を進めてまいりました。当事業年度における当社売上高は前事業年度比35.2%の増加、営業利益は同比3.7%の増加となりました。販売数量の増加により増収となり、物価高の影響によりコストが増加しましたが、生産効率の改善により営業利益は増益となりました。
2023年度の工作機械業界は、日本工作機械工業会が年間の工作機械受注額を1兆6,000億円になるとの見通しを示しております。コロナ禍で急減した2020年以来3年ぶりの減少に転じ、外需については、先進国のインフレ・利上げや中国の景気減速懸念、新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、世界経済の不透明な状況が続くことによる落ち込みが予想されますが、内需については、半導体事業の強化や自動車の電動化に伴う設備投資の動きが活発になるとみて、堅調に推移する見通しです。当社におきましても、受注については、国内の堅調な設備投資需要により産業機械、工作機械、半導体関連企業向けは引き続き高水準で安定的な受注を見込んでいるほか、クリーンエネルギー産業向けの引合いも増加しており、今後もさらなる需要の獲得に努めてまいります。また業績については、売上高は当事業年度比10.6%増、営業利益率10.0%を計画しております。期初受注残高約78億円(売上計画比約78%)を既に確保している他、好調な需要環境を背景に、生産・売上の拡大、利益の確保・拡大を進めます。
(売上高、売上台数)当事業年度の売上高は9,041,674千円(前期比35.2%増)、売上台数は200台となりました。うち立形研削盤は7,219,248千円(前期比36.2%増)、横形研削盤は1,650,458千円(前期比23.3%増)、その他専用研削盤は171,968千円(前期比257.2%増)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)当事業年度の売上原価は6,868,808千円(前期比40.9%増)となりました。また販売費及び一般管理費は1,551,093千円(前期比28.1%増)となりました。これは主に販売促進費348,776千円、給料及び手当194,371千円、運賃148,634千円、研究開発費96,979千円を計上したことによるものです。
(営業利益、営業利益率)当事業年度の営業利益は621,772千円(前期比3.7%増)、営業利益率は6.9%となりました。これは主に売上原価及び販売費及び一般管理費の増加によるものです。
(当期純利益)当事業年度における当期純利益は440,320千円(前期比0.2%減)となりました。これは税引前当期純利益624,444千円、法人税等184,123千円を計上したことによるものです。
ハ キャッシュ・フローの分析当事業年度末のキャッシュ・フローの分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社の資金需要の主なものは、原材料費、外注費、労務費、販売費及び一般管理費等に係る運転資金と、生産設備の更新・改修等に係る設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、自己資金にて対応することを基本とし、必要に応じて銀行借入を行うこととしております。一方、中長期的な事業の拡大の実現のための成長投資を支える資金需要については、財務基盤の強化も視野に入れ、調達方法の多様化に向けた検討を進めてまいります。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高及び営業利益率を重要な指標と位置付けております。なお、当事業年度における各指標の目標及び実績は次のとおりであります。
目標
実績
売上高
9,000百万円
9,041百万円
営業利益率
9.4%
6.9%