【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績
当第1四半期連結累計期間における日本経済は、新型コロナウイルスの2類から5類への感染症分類移行をはじめとするウィズコロナによる経済正常化の進展などから、景気は総じて緩やかな持ち直しの動きがみられましたが、建設資材の価格上昇などから住宅および非住宅着工は弱含んで推移しました。
世界経済におきましては、米国では個人消費が底堅く推移する一方でインフレは長期化しております。中国では雇用情勢の悪化、不動産市場の低迷などの影響から景気の停滞がみられており、加えてウクライナ情勢の長期化の影響などから、不透明感が増しております。
鉄鋼業においては、日本国内では、半導体の供給制約の緩和などにより自動車生産が増加した一方で、住宅着工や機械生産の減少などから、鉄鋼生産・受注ともに減少傾向が続いております。
海外鉄鋼市場では、アジア市場を中心に中国の鉄鋼需給ギャップの影響などから、市況は弱含んでおります。
このような環境のなか、当社グループの当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高51,062百万円(前年同期比6,570百万円減)、営業利益2,893百万円(同1,133百万円減)、経常利益3,734百万円(同2,244百万円減)、親会社株主に帰属する四半期純利益2,017百万円(同1,326百万円減)となりました。
日本国内では主に鋼板商品の販売数量減少に伴う売上減などから減収減益となりました。
海外では、主に台湾の子会社である盛餘股份有限公司(以下、SYSCO社という。)の売上減などから減収減益となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
①鋼板関連事業
売上高は48,470百万円(同6,901百万円減)、営業利益は2,896百万円(同1,222百万円減)となり、減収・減益となりました。
<鋼板業務>
日本においては、各品種で販売価格は改善しましたが、建築需要の停滞などからひも付き(特定需要家向け)店売り(一般流通向け)いずれにおいても販売量は減少し、減収・減益となりました。
海外では、台湾のSYSCO社は、輸出向け販売量が減少し、販売価格も下落したことなどから減収・減益となりました。中国の子会社である淀川盛餘(合肥)高科技鋼板有限公司(YSS社)は、ゼロコロナ政策撤廃に伴う経済正常化から販売量は回復傾向にありますが、不動産市場の調整などの影響から回復の勢いは鈍く経営成績の改善は小幅に留まりました。タイの子会社であるPCM PROCESSING(THAILAND)LTD.(PPT社)は、概ね前年と同水準で推移しましたが、為替の影響から増収増益となりました。
<建材業務>
建材業務では、エクステリア商品では物置など、また外装建材商品についてはヨドルーフの販売数量減少などの要因からいずれも減収となりました。
②ロール事業
売上高は888百万円(同248百万円増)、営業利益は53百万円(前年は営業損失60百万円)であります。
主に日本国内向けの販売量が増加し、販売価格も改善したことなどから増収・黒字化となりました。
③グレーチング事業
売上高は855百万円(同25百万円増)、営業利益は16百万円(同0百万円減)であります。
販売価格改善の影響などから増収となりましたが、損益については前年並みとなりました。
④不動産事業
売上高は312百万円(同4百万円増)、営業利益は198百万円(同6百万円減)であります。
売上・損益ともにほぼ前年並みに推移しました。
⑤その他事業
売上高は535百万円(同51百万円増)、営業利益は65百万円(同29百万円減)であります。
倉庫運送事業などの売上減などにより減益となりました。
b.財政状態
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末より2,338百万円減少し148,529百万円となりました。主な要因としては、現金及び預金の増加(1,598百万円)、有価証券の減少(1,489百万円)、商品及び製品の減少(607百万円)、原材料及び貯蔵品の減少(1,686百万円)等となっております。
固定資産は前連結会計年度末より3,531百万円増加し、103,720百万円となりました。主な要因としては、有形固定資産の減少(280百万円)、投資有価証券の増加(3,756百万円)等となっております。
以上の結果、連結総資産は252,250百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,192百万円増加しました。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末より3,737百万円減少し、31,354百万円となりました。主な要因としては、支払手形及び買掛金の減少(871百万円)、未払法人税等の減少(2,281百万円)等となっております。
固定負債は前連結会計年度末より1,326百万円増加し、15,385百万円となりました。主な要因としては、その他に含まれる繰延税金負債の増加(1,297百万円)等となっております。
この結果、連結負債合計は46,739百万円となり、前連結会計年度末より2,411百万円減少しました。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末より3,604百万円増加し、205,510百万円となりました。主な要因としては、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加(2,017百万円)、配当による利益剰余金の減少(2,089百万円)、その他有価証券評価差額金の増加(2,643百万円)、為替換算調整勘定の増加(448百万円)、非支配株主持分の増加(590百万円)等となっております。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、130百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
日本経済は、新型コロナウイルスの分類移行による人流の回復、供給制約の緩和などから2023年度中は緩やかな回復が見込まれているものの、世界経済はゼロコロナ政策の撤廃に伴う中国経済の持ち直しが期待される一方で、ウクライナ情勢の長期化の影響や、欧米の金融引締めに伴う景気後退への懸念に加え金融不安の兆しも疑われるなど、引き続き不透明な状況が続くものと想定されます。
鉄鋼市場においては、日本国内市場・海外市場いずれにおいても、鉄鋼原材料と資源・エネルギーコストの上昇に一服の動きがみられるものの、ウクライナ情勢の長期化などの地政学リスクに中国経済の停滞への懸念も加わり、当面は需給バランスも含め不安定な状況が続くものと予想されます。
当社グループにとっても、各地域の需要およびコスト環境は予断を許さない不安定な動きが続くものと考えられ、厳しい事業環境が継続するものと予想されます。
このような不透明な事業環境の中、当社グループとしましては、変化の激しい市況に応じた機動的な営業・生産活動につとめるとともに、「淀川製鋼グループ中期経営計画2025」の着実な実行に取り組むことで、収益力強化を図ってまいります。