【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当第1四半期よりIAS第12号「法人所得税」(2021年5月改訂)を適用しており、前期については遡及適用後の数値を表示しております。会計方針の変更の詳細は、「第4 経理の状況 要約四半期連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」に記載のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況企業環境第1四半期の世界経済は、物価上昇とそれに伴う金融引き締めの影響を受け減速しつつあるものの、緩やかな成長が継続しています。約40年振りとなった消費者物価の上昇は、金融引き締めやエネルギーや食料品価格の安定を背景に、その勢いは弱まりつつありますが、一部地域や業種で人手不足感が強まっていることや通貨安を通じた輸入物価の上昇により、依然として高水準で推移している国・地域もあります。先進国経済の中では、米国経済は物価高騰と金融引き締めの影響で成長は鈍化しています。ユーロ圏経済も同様に物価高騰と金融引き締めの影響を受け、減速基調が続いています。一方、日本経済はコロナ規制の緩和を受けて、内需を中心に持ち直しの動きが続いています。新興市場では、中国経済は、不動産セクターの低迷に加え、今年1月から本格的に経済が再開したものの、減速感が強まっています。その他の多くの新興国では、内需がけん引役となって、回復の動きが続いています。国際商品市況は、供給網の混乱は徐々に落ち着き、世界的な景気減速を受けて需給が緩和したことで、価格は相対的に高い水準であるものの、安定した動きが続いています。
業績当第1四半期の収益は、1兆6,714億円となり、前年同期の1兆6,152億円に比べ、562億円の増益となりました。売上総利益は、3,067億円となり、前年同期の2,955億円に比べ、112億円の増益となりました。これは建設機械事業が好調に推移したことや、国内電力小売事業が契約更改により業績が回復したことなどによるものです。販売費及び一般管理費は、2,189億円となり、前年同期の1,881億円に比べ、307億円の増加となりました。有価証券損益は、16億円の損失となり、前年同期の175億円の利益に比べ、191億円の減益となりました。これは前年同期に北海油田英領事業で売却益を計上した反動などによるものです。持分法による投資損益は、727億円の利益となり、前年同期の717億円の利益に比べ、10億円の増益となりました。これは資源・エネルギー価格の下落により減益となった一方、米国タイヤ販売事業において、直営小売事業売却に伴う一過性利益を計上したことなどによるものです。これらの結果、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、1,294億円となり、前年同期の1,553億円に比べ、258億円の減益となりました。
なお、親会社の所有者に帰属する四半期利益のセグメント別の状況は次のとおりです。IAS第12号「法人所得税」(2021年5月改訂)の前期数値への遡及適用額は、その全額を「消去又は全社」に含めております。
・金属事業部門では、236億円となり、前年同期の243億円に比べ、7億円の減益となりました。これは鋼管事業が堅調に推移した一方、海外スチールサービスセンター事業で前年同期に北米事業が好調だった反動などによるものです。・輸送機・建機事業部門では、395億円となり、前年同期の204億円に比べ、191億円の増益となりました。これは建設機械事業が好調に推移したことや、リース事業が堅調に推移したことに加え、米国タイヤ販売事業において、直営小売事業売却に伴う一過性利益を計上したことなどによるものです。
・インフラ事業部門では、137億円となり、前年同期の82億円に比べ、55億円の増益となりました。これは国内電力小売事業が契約更改により業績が回復したことや、欧州洋上風力発電事業で風況が改善したことなどによるものです。・メディア・デジタル事業部門では、72億円となり、前年同期の84億円に比べ、13億円の減益となりました。これは国内主要事業会社が堅調に推移した一方、エチオピア通信事業で立ち上げコストが増加したことに加え、ミャンマー通信事業で現地通貨安等の影響があったことなどによるものです。・生活・不動産事業部門では、101億円となり、前年同期の157億円に比べ、57億円の減益となりました。これは不動産事業で前年同期に大口案件の引渡しがあったことの反動などによるものです。・資源・化学品事業部門では、312億円となり、前年同期の809億円に比べ、497億円の減益となりました。これは資源・エネルギー価格や、化学品・エレクトロニクスビジネスの市況が下落したことに加え、前年同期に北海油田英領事業の売却益を計上したことの反動などによるものです。
当第1四半期末の資産合計は、10兆5,965億円となり、前期末の10兆1,054億円に比べ、4,911億円の増加となりました。これは円安の影響などによるものです。資本のうち親会社の所有者に帰属する持分合計は、4兆797億円となり、前期末の3兆7,787億円に比べ、3,010億円の増加となりました。これは配当金の支払い及び自己株式を取得した一方、円安の影響による増加に加え、親会社の所有者に帰属する四半期利益を認識したことなどによるものです。現預金ネット後の有利子負債(注1)は、2兆6,103億円となり、前期末の2兆4,844億円に比べ、1,258億円の増加となりました。これらの結果、ネットのデット・エクイティ・レシオ(有利子負債(ネット)/親会社の所有者に帰属する持分合計)は、0.6倍となりました。
(注)1 有利子負債=社債及び借入金(流動・非流動)の合計 (リース負債は含まれておりません)
(2) キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金が増加した一方で、コアビジネスが着実に資金を創出し、基礎収益キャッシュ・フロー(注2)が1,503億円のキャッシュ・インとなったことなどから、合計で1,530億円のキャッシュ・インとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、米国タイヤ販売事業において直営小売事業売却に伴う資金回収などのキャッシュ・インがあった一方で、米国硫酸事業の買収や、国内外不動産案件の取得などの投融資を行ったことなどから、608億円のキャッシュ・アウトとなりました。これらの結果、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加えたフリーキャッシュ・フローは、923億円のキャッシュ・インとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入を実施した一方、配当金の支払や自己株式の取得などにより、714億円のキャッシュ・アウトとなりました。以上に加え、為替変動による影響などを加味した結果、現金及び現金同等物の当第1四半期末残高は、7,098億円となり、前期末の6,569億円に比べ、530億円の増加となりました。
(注)2 基礎収益キャッシュ・フロー=(売上総利益+販売費及び一般管理費(除く貸倒引当金繰入額)+利息収支+受取配当金)×(1-税率)+持分法投資先からの配当
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に関しては、「第4 経理の状況 要約四半期連結財務諸表注記 4 見積り及び判断の利用」を参照願います。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期における事業上及び財務上の対処すべき課題について、前期の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動特記事項はありません。
(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社は、一般的に、営業活動によるキャッシュ・フローや、銀行借入、資本市場における社債発行、及びコマーシャルペーパーの発行等により、資金調達を行っております。当社の財務運営の方針・目的は、中長期にわたり、安定的かつ低利な資金調達を行うこと、及び十分な流動性を保持することです。当社は当第1四半期末において総額3兆3,317億円の有利子負債を有しております。このうち流動負債に区分される社債及び借入金は、前期末比1,311億円増加の8,165億円となっており、内訳は短期借入金(主として銀行借入金)2,015億円、1年以内に返済予定の長期借入金3,273億円、コマーシャルペーパー2,098億円、1年以内に期限の到来する社債779億円となっております。また、流動性については、従来、金融市場の混乱等、いくつかの有事シナリオを想定の上、必要な流動性額の保持につとめており、当第1四半期末時点においても十分な流動性を保持しております。当社は、当第1四半期末時点で、総額1,210百万米ドル及び2,850億円を上限とする即時に借入可能な複数のコミットメントラインを締結しておりますが、当第1四半期末時点で、これらのコミットメントラインに基づく借入はありません。また、これらのコミットメントラインには、借入の実行を制限する重大なコベナンツ、格付トリガー条項などは付されておりません。なお、これらのコミットメントラインのほかに、当社は、コミットメントベースでない借入枠を有しております。当社は、資本市場での直接調達を目的として、国内外で複数の資金調達プログラムを設定しております。当第1四半期末時点での当社の長期及び短期の信用格付は、ムーディーズでBaa1(見通し安定的)/P-2、スタンダード&プアーズでA-(見通し安定的)/A-2、格付投資情報センターでA+(見通しポジティブ)/a-1となっております。(格付投資情報センターについては、提出日現在、AA-(見通し安定的)/a-1+となっております。)
(7) 主要な設備の状況当第1四半期において、国内のオフィスビルを取得しております。