【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間は、新型コロナウイルス感染症からの経済活動の再開に伴う需給ギャップの発生や、ロシア・ウクライナ情勢の長期化により、世界的なインフレの進行や急激な円安の進行など事業環境の変動は大きく、先行きの不透明な厳しい状況が続きました。
当第2四半期連結累計期間の売上高は、経済活動の再開に伴う海外食品事業の伸長を始めとする各事業の販売回復に加えて、一部製品・サービスにおいて順次価格改定を実施していることなどにより1,338億31百万円、前年同期比7.8%の増収となりました。営業利益は、香辛・調味加工食品事業における原材料価格高騰による影響が大きく、76億32百万円、前年同期比15.5%の減益となりました。経常利益は89億64百万円、前年同期比13.3%の減益、親会社株主に帰属する四半期純利益は54億93百万円、前年同期比23.8%の減益となりました。
セグメント別の経営成績の概況(セグメント間取引消去前)は、次のとおりであります。
事業の種類別
セグメント
売上高
営業利益
(セグメント利益又は損失(△))
金額(百万円)
前年同期比(%)
金額(百万円)
前年同期比(%)
香辛・調味加工食品事業
58,013
101.8
3,205
59.3
健康食品事業
8,521
121.1
1,076
-
海外食品事業
22,620
116.4
3,106
96.2
外食事業
22,947
103.8
647
123.0
その他食品関連事業
26,387
115.4
521
65.1
小計
138,489
107.8
8,555
88.9
調整(消去)
△4,658
-
△923
-
合計
133,831
107.8
7,632
84.5
(注)1.調整(消去)の内容は、セグメントに配分していない損益およびセグメント間取引に係る相殺消去であります。
<香辛・調味加工食品事業>
当事業セグメントは、本年4月よりマロニー㈱の一部事業をハウス食品㈱に譲渡するなど、グループ全体の効率化、提案力強化に努めています。
家庭用事業の売上高は、インフレの進行による消費マインドの停滞が懸念されるなか、レトルト製品やスナックが堅調に推移した他、ルウカレーも底堅く推移しました。業務用事業の売上高は、コロナ禍前の水準には至らないものの回復傾向にあり、前年同期を上回りました。
一方利益面は、原材料やエネルギー価格の高騰など、コスト環境の急激な悪化の影響が大きく、減益となりました。このようなコスト環境の悪化を受け、当事業セグメントでは順次、製品価格の改定を実施させていただいており、新価格の早期定着に努めています。
以上の結果、香辛・調味加工食品事業の売上高は580億13百万円、前年同期比1.8%の増収、営業利益は32億5百万円、前年同期比40.7%の減益となりました。結果、売上高営業利益率は5.5%となり、前年同期より4.0pt減少しました。
<健康食品事業>
当事業セグメントは、国内の構造改革の推進とともにグローバルな機能性素材系バリューチェーンの早期構築に取り組んでいます。
売上高は、行動制限の緩和に伴い「ウコンの力」が前年同期を上回ったほか、注力するゼリー製品が営業機能をハウス食品に統合したことによる効果や地方自治体のコロナ療養者向け食料品として採用されるなどもあり伸長しました。利益面は、従来から取り組んでまいりました構造改革の成果に加え、増収効果もあり営業黒字に転換いたしました。
以上の結果、健康食品事業の売上高は85億21百万円、前年同期比21.1%の増収、営業利益は10億76百万円、前年同期からは14億9百万円改善いたしました。結果、売上高営業利益率は12.6%となり、前年同期より17.4pt向上しました。
<海外食品事業>連結対象期間:主として2022年1月~6月
当事業セグメントは、重点3エリア(米国・中国・アセアン)において成長スピードの加速に取り組んでいます。
米国では、事業構成の約9割を占める豆腐事業は、本年1月より実施の価格改定もあり増収となりましたが、物流費や人件費等の増加を吸収するには至らず減益となりました。また、事業構成の残りの約1割を占める日本からの輸入事業は、サプライチェーンの混乱に伴うコンテナ入荷遅延や物流費の増加から大幅な減収減益となりました。
中国カレー事業は、中国当局のゼロコロナ政策による影響を色濃く受ける形となりました。家庭用事業は、原料高騰の影響を受けたものの、本年4月より実施の価格改定の早期定着に加え、為替影響もあり増収増益となりました。なお、上海ロックダウン下の政府配給品には一部当社製品が採用されており、カレーメニュー浸透への貢献が期待されます。一方、業務用事業は、ロックダウンによる受注減を余儀なくされ減収減益となりました。結果、事業全体では増収減益となりました。
タイ機能性飲料事業は、主力製品「C-vitt」の発売10周年記念キャンペーンの効果やビタミン飲料市場が継続的に成長軌道にあることから増収増益となりました。
以上の結果、海外食品事業の売上高は226億20百万円、前年同期比16.4%の増収、営業利益は31億6百万円、前年同期比3.8%の減益となりました。結果、売上高営業利益率は13.7%となり、前年同期より2.9pt減少しました。
<外食事業>連結対象期間:㈱壱番屋は2022年3月~8月、海外子会社は2022年1月~6月
当事業セグメントは、ウィズコロナでの環境変化や利便性向上に対応しながら、常に期待値を超える外食チェーンとして、国内外でのさらなる成長に取り組んでいます。
㈱壱番屋の国内既存店売上高は、3月下旬に営業時間短縮等の要請が全面解除となって以降、徐々に客数は回復傾向にあり、6月の価格改定後も同水準を維持したことから、前年同期比4.5%増となりました。海外店舗の既存店売上高は、アメリカでコロナ前水準を上回る推移となる一方、ゼロコロナ政策を維持する中国ではロックダウン長期化の影響を受けるなど、エリア毎に状況は異なるものの、全体では11.8%増となりました。
営業利益は、原材料や物流コスト等の高騰に加え、中国でのロックダウンによる海外子会社の売上減少等の影響を受けましたが、増収効果が寄与し前年同期を上回りました。
以上の結果、外食事業の売上高は229億47百万円、前年同期比3.8%の増収、営業利益は6億47百万円、前年同期比23.0%の増益となりました。結果、売上高営業利益率は2.8%となり、前年同期より0.4pt向上しました。
<その他食品関連事業>
㈱デリカシェフは、焼成パン類の伸長により増収は確保したものの、原材料価格の高騰や製造経費の増加により営業利益を大きく落としました。
㈱ヴォークス・トレーディングは、外食需要の回復や輸出商材が好調に推移したことに加え、MA米(ミニマム・アクセス米)の落札増加もあり、増収増益となりました。
以上の結果、その他食品関連事業の売上高は263億87百万円、前年同期比15.4%の増収、営業利益は5億21百万円、前年同期比34.9%の減益となりました。結果、売上高営業利益率は2.0%となり、前年同期より1.5pt減少しました。
(2)財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の財政状態は以下のとおりであります。
総資産は、3,870億72百万円となり、前連結会計年度末に比べて50億51百万円の増加となりました。
流動資産は、現金及び預金が減少した一方で、受取手形及び売掛金や棚卸資産が増加したことなどから、36億52百万円増加の1,607億76百万円となりました。固定資産は、投資有価証券が減少した一方で、退職給付に係る資産、建設仮勘定、建物及び構築物が増加したことなどから、13億99百万円増加の2,262億96百万円となりました。
負債は、871億50百万円となり、前連結会計年度末に比べて36億96百万円の増加となりました。
流動負債は、未払金が減少した一方で、支払手形及び買掛金や短期借入金が増加したことなどから、12億34百万円増加の528億44百万円となりました。固定負債は、退職給付に係る負債が増加したことなどから、24億62百万円増加の343億7百万円となりました。
純資産は、自己株式の取得により自己株式が増加したことや、保有する投資有価証券の時価下落によりその他有価証券評価差額金が減少した一方で、為替換算調整勘定が増加したことや、親会社株主に帰属する四半期純利益により利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べて13億55百万円増加の2,999億22百万円となりました。
この結果、当第2四半期連結会計期間末の自己資本比率は69.6%(前連結会計年度末は70.4%)、1株当たり純資産は2,763円23銭(前連結会計年度末は2,700円99銭)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は728億54百万円となり、前連結会計年度末に比べて28億50百万円減少いたしました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は84億19百万円(前年同四半期比+29億6百万円)となりました。これは主に税金等調整前四半期純利益94億41百万円、減価償却費55億33百万円、法人税等の支払額27億36百万円、その他の資産の増加額26億55百万円によるものであります。
また、前年同四半期に比べての増加は、主に退職給付に係る負債の増減額の増加(前年同四半期比+24億35百万円)、その他の負債の増減額の増加(前年同四半期比+20億35百万円)、税金等調整前四半期純利益の減少(前年同四半期比△27億78百万円)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は58億16百万円(前年同四半期比+22億64百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出62億95百万円、投資有価証券の取得による支出22億69百万円、有価証券の売却による収入27億65百万円によるものであります。
また、前年同四半期に比べての増加は、主に投資有価証券の取得による支出の減少(前年同四半期比+49億96百万円)、定期預金の預入による支出の減少(前年同四半期比+13億96百万円)、有価証券の売却による収入の減少(前年同四半期比△32億35百万円)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は85億33百万円(前年同四半期比△17億83百万円)となりました。これは主に短期借入金の返済による支出341億68百万円、自己株式の取得による支出60億2百万円、配当金の支払額22億90百万円、短期借入れによる収入348億80百万円によるものであります。
また、前年同四半期に比べての減少は、主に短期借入金の返済による支出の増加(前年同四半期比△145億33百万円)、自己株式の取得による支出の増加(前年同四半期比△24億19百万円)、短期借入れによる収入の増加(前年同四半期比+151億63百万円)によるものであります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題について、重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は21億53百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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