【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
業績等の概要
■業界動向と当社の状況
近年、通信の機能は、社会のさまざまなところに溶け込み、一人ひとりの生活に無くてはならないものになっています。政府においても、地方を中心にデジタル技術の実装を進めていく「デジタル田園都市国家構想」を掲げており、社会課題の解決や地域活性化に向けたDX推進がますます重要になっています。
当社は昨年5月、事業環境の変化に対応しながら、「ありたい未来社会」を実現するため、「KDDI VISION 2030:「つなぐチカラ」を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を策定しました。当社の使命は、人々の「命」「暮らし」「心」をつなぐことであり、「KDDI VISION 2030」の実現に向けて、事業の核である通信をさらに磨き、「つなぐチカラ」を進化させていきます。そして「KDDI Digital Twin for All」を掲げ、フィジカル空間とサイバー空間の融合による新たな付加価値の創造と、事業を通じた社会の持続的成長に貢献していきます。
同時に、2030年を見据えた「中期経営戦略 (2022-24年度)」を推進しています。中期経営戦略では、サステナビリティ経営を根幹に、事業戦略であるサテライトグロース戦略と、それを支える経営基盤の強化を通じて、パートナーの皆さまとともに、企業価値の向上と社会の持続的成長を目指していきます。
サテライトグロース戦略では、鉄道、商業地域といった生活動線に徹底的にこだわった5Gエリアの構築と体感品質の向上を推し進め、通信事業の進化と、通信を核とした注力領域の拡大を推進しています。
具体的には①DX (デジタルトランスフォーメーション) ②金融 ③エネルギー ④LX (ライフトランスフォーメーション) ⑤地域共創 (CATV等)の5つを注力領域とし、特にDXでは、通信をIoTという形であらゆるものに溶け込ませ、お客さまが意識することなく5Gを活用できる環境を整備します。そのために、さまざまな業界ごとの個別ニーズに応じたビジネスプラットフォームを提供し、法人のお客さまのDXを加速していきます。その中で新たに生まれた付加価値によって、人々の暮らしがトランスフォームされていくようなDXの好循環を目指します。また、金融では通信とのシナジーの最大化を目指し、さまざまな事業を展開しています。モバイル通信サービスと、インターネット専業銀行の「auじぶん銀行」、キャッシュレス決済の「au PAY」、クレジットカードの「au PAY カード」などの各種金融サービスを連携し、スマートフォンひとつでさまざまな金融サービスをお得に便利にご利用いただけるよう、サービスの拡充を進めています。さらにLXでは本年3月に、メタバース・Web3サービスである「αU (アルファユー)」を始動しました。リアルとバーチャルがつながり、いつどこにいても、音楽ライブやアート鑑賞、友人との会話やショッピングなどが楽しめる「豊かな未来社会」を創造します。
また当社は、地球規模で大きな課題となっているカーボンニュートラルをはじめとするサステナビリティ課題についても積極的に取り組みます。本年4月から、auリニューアブルエナジー株式会社が事業を開始し、地域や自治体、パートナー企業の皆さまとともに、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの発電事業を推進しています。当社単体で2030年度、当社グループがTELEHOUSEブランドで展開している全世界のデータセンターにおいては2026年度、グループ全体では2050年度のCO2排出量実質ゼロの実現を目指し、携帯電話基地局・通信設備などでの省電力化や再生可能エネルギーへのシフトを強力に推し進めます。
さらに、変化の激しい事業環境の中で持続的に成長し続けていくためには、イノベーションの推進、社員や組織の高度な自律性と成長を促す「人財ファースト企業」への変革が不可欠です。イノベーションの推進においては、5G及びBeyond5Gの研究開発、設備投資を強化していきます。また、サテライトグロース戦略に基づく事業創造・研究開発・Web3/AI・先進セキュリティ技術への取組みを加速し、スタートアップとのコラボレーションなどパートナーシップをより深化させていきます。さらに、日本電信電話株式会社との光ネットワーク技術のグローバル標準化に向けた取組みや、ソフトバンク株式会社との5G設備の共用等、競合他社との協調にも取り組んでいきます。加えて、「人財ファースト企業」への変革については、「新人事制度の浸透」「KDDI版ジョブ型人事制度によるプロ人財育成」「社員エンゲージメント向上」の3つの柱で推し進め、「KDDI DX University」の活用による全社員のDXスキル向上とプロフェッショナル人財の育成により、注力領域への要員シフトも実行していきます。
当社は、経営層と従業員の共通の考え方・行動規範として掲げる「KDDIフィロソフィ」と、人権を尊重し、透明性・公正性を担保したコーポレート・ガバナンス体制との相乗効果により、リスクマネジメント・情報セキュリティ体制の強化を進め、グループ一体経営の推進に努めていきます。
■連結業績
第2四半期連結累計期間
(単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
自 2022年4月1日
至 2022年9月30日
当第2四半期
連結累計期間
自 2023年4月1日
至 2023年9月30日
比較増減
増減率(%)
売上高
2,740,836
2,778,967
38,131
1.4
売上原価
1,516,817
1,556,562
39,746
2.6
売上総利益
1,224,019
1,222,405
△1,614
△0.1
販売費及び一般管理費
693,882
685,148
△8,734
△1.3
その他の損益(△損失)
26,098
19,775
△6,323
△24.2
持分法による投資利益
3,050
3,288
238
7.8
営業利益
559,284
560,319
1,035
0.2
金融損益(△損失)
1,398
11,720
10,322
738.4
その他の営業外損益(△損失)
33
11,219
11,186
-
税引前四半期利益
560,715
583,258
22,542
4.0
法人所得税費用
174,351
176,165
1,814
1.0
四半期利益
386,364
407,093
20,729
5.4
親会社の所有者
355,136
368,695
13,559
3.8
非支配持分
31,228
38,397
7,170
23.0
(注)その他の営業外損益の増減率は1,000%以上となるため、「-」と記載しております。
第1四半期連結会計期間より、組織変更に伴い当社事業、連結子会社及び関連会社の一部所管セグメントを見直しております。これに伴い、前第2四半期連結累計期間のセグメント情報については、変更後のセグメント区分に基づき作成したものを開示しております。
また、第1四半期連結会計期間よりIFRS第17号「保険契約」を適用しております。これに伴い、前第2四半期連結累計期間及び前連結会計年度末の数値については、当該会計基準を遡って適用した後の数値を開示しております。
当第2四半期連結累計期間の売上高は、前年同期と比較し、モバイル通信料収入(ローミング収入等含む)の減少や前期の一時的な金融事業収入がなくなったことによる減少等があったものの、コーポレートDX・ビジネスDX・事業基盤サービスで構成されるNEXTコア事業の成長によるソリューション収入の増加等により、2,778,967百万円(1.4%増)となりました。
営業利益は、前年同期と比較し、売上高の増加等により、560,319百万円(0.2%増)となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は、368,695百万円(3.8%増)となりました。
セグメント別の状況
パーソナルセグメント
パーソナルセグメントでは、個人のお客さま向けにサービスを提供しています。
日本国内においては、「au」「UQ mobile」「povo」のマルチブランドで提供する5G通信サービスを中心に、金融、エネルギー、LXなどの各種サービスを連携し拡充することで、新たな付加価値・体験価値の提供を目指しています。
また、過疎化・高齢化などによる地域社会が抱える課題に向き合い、地域のパートナーの皆さまとともに、デジタルデバイド解消とサステナブルな地域共創の実現を目指しています。
一方、海外においては、国内で培った事業ノウハウを生かし、ミャンマーとモンゴルの個人のお客さま向けに、通信サービス、金融サービス及び映像等のエンターテインメントサービスの提供にも積極的に取り組んでいます。
<当第2四半期のトピックス>
●お客さま一人ひとりのニーズに合った料金を自由にお選びいただけるよう、ブランドスローガンの異なる3つのブランドを5Gにも対応して提供しています。「おもしろいほうの未来へ。」の「au」、「シンプルを、みんなに。」の「UQ mobile」、「君にピッタリの自由へ、一緒に。」の「povo」のマルチブランドで、ブランドごとの特長を生かした取組みを進めています。
auでは、本年9月から、携帯業界として初めて(※1)、金融サービス利用時の特典が上乗せされるスマートフォン向け料金プラン「auマネ活プラン」の提供を開始しました。「貯蓄から投資へ」という政府方針や、高校での「金融教育」必修化、来年1月の新NISA制度開始などにより、若年層を含む全世代で金融意識の高まりが見られる中、お客さまがスマートフォンから手軽に、将来のための貯蓄や投資でお金やポイントなどの資産を形成する「マネ活」をサポートしていきます。
UQ mobileでは、「コミコミプラン」「トクトクプラン」「ミニミニプラン」の3つのプランを、本年6月から新たに提供しています。いずれもデータ通信が増える5G時代を見据えたプランですが、とりわけ「コミコミプラン」「トクトクプラン」については、サービス開始以降、想定を上回る契約者数となるなど、多くのお客さまからご好評いただいています。
povoでは、お客さまのご利用形態に合わせて選べる通常ラインアップのトッピングに加え、SNSや人気の動画サービス利用時のデータ通信が使い放題となるトッピングのほか、有効期間がこれまでで最長の365日となった超大容量のデータトッピングなどを期間限定で提供しました。また、本年8月には、アイスクリームやアプリなどさまざまなサービスや商品がセットとなった「+α(プラスアルファ)トッピング」の提供を開始するなど、新たな取組みも進めています。
●通信の基盤となるエリア構築では、「ずっと、もっと、つなぐぞ。au」をスローガンに、お客さまの日常において5Gを快適にご利用いただけるよう、生活動線を重視し、主要な鉄道路線や商業地域などの5Gエリア化を進めています。
また、衛星ブロードバンドインターネット「Starlink」をau通信網のバックホール回線として利用することにより、これまでサービス提供が困難とされていた山間部や島しょ地域など全国約1,200カ所へ基地局の展開を進めています。
本年7月からは、お客さまの非日常の体験も広く支えるべく、山小屋の通信環境改善による安全で快適な登山活動の支援や、利用者が局所的に集まる音楽フェスにおける通信回線混雑の緩和やキャッシュレス決済への活用、災害時の迅速な通信エリアの提供に向けた車載型基地局や可搬型基地局にも「Starlink」の活用シーンを拡大しています。
さらに、auスマートフォンと衛星の直接通信サービスの提供に向けて、本年8月にSpace Exploration Technologies Corp.と新たな業務提携を行いました。これによって、これまでどの通信事業者も5Gや4G LTEでは提供困難であった通信エリアを日本全土にまで拡張でき、「空が見えれば、どこでもつながる」体験を実現していきます。本サービスは、2024年内を目途に提供開始予定です(※2)。
●ポイント・決済事業では、「たぬきの吉日」として、毎月5のつく日(5日・15日・25日)と8日に、auまたはUQ mobileのお客さま向けに、対象加盟店でau PAYのポイント還元率が最大5%(※3)となる特典を提供しています。auスマートパスプレミアムにおいても、au PAYで使える「毎月もらえるクーポン」を引き続き提供するとともに、本年8月からは「三太郎の日」(毎月3日・13日・23日)に提供している特典を、さらにおトクにお買い物いただける内容にリニューアルしました。今後も日常がもっと楽しくなるおトクなサービスで、お客さまとの接点を強化していきます。
また、au経済圏の取組みの一つとして、本年7月にはオンライン特化型の薬局である「au薬局」を開業しました。本サービスでは、医療機関が発行した処方せんを「auウェルネス」アプリを通じて登録することで、薬剤師からオンラインでの服薬指導を受けたうえで、ご自宅などで配送されたお薬を直接受け取りいただけます。オンライン・対面を問わず、さまざまな医療機関受診後の、薬局の店舗に出向く手間や待ち時間がなくなることで、スムーズなオンライン薬局体験を提供していきます。
●金融事業では、au PAYカードの会員数が本年10月に900万会員を突破するなど、順調に推移しています。auじぶん銀行株式会社においても、本年8月に株式会社oricon MEが発表した「2023年 オリコン顧客満足度®調査 住宅ローン」において、「金利」などの項目で第1位を獲得したほか(2021年から3年連続)、本年9月には預金口座数が545万口座を突破しました。また本年8月には、当社の子会社であるJCOM株式会社(以下「J:COM」)や中部テレコミュニケーション株式会社(以下「ctc」)の提供するサービスとセットで利用することで、住宅ローンの金利が引き下げとなる金利優遇サービスを発表しました(J:COMは本年9月より、ctcは本年11月より開始)。今後もさらなる魅力的なサービスの提供を目指していきます。
●エネルギー事業では、当社とauリニューアブルエナジー株式会社は、本年6月に群馬県と「GX(グリーントランスフォーメーション)推進による自立分散型社会の実現に向けた連携協定」を締結しました。本協定により、再生可能エネルギーの拡大を目指し、県内の太陽光発電所建設候補地の現地調査等を実施しています。また同月には、当社の子会社であるauエネルギー&ライフ株式会社と株式会社エナリスが、経済産業省により「令和5年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用実証事業」の事業者として採択されました。本実証では、太陽光発電などで家庭用蓄電池にためた電気の効率的活用の実用化に向け、実証システムの仕様検討及びシステム開発を進めています。今後もカーボンニュートラルの実現に向けた取組みを強化していきます。
●ミャンマーでは(※4)、国民の皆さまに寄り添った活動を継続しています。今後も、現地情勢を注視しつつ、関係者の安全確保を念頭に、生活に不可欠な通信サービスの維持に努めていきます。
また、モンゴルでは、連結子会社であるMobicom Corporation LLCが、従業員が安心して働ける労働環境の提供を目指し、本年8月から同国通信業界初の年金基金を導入しました。引き続き、同国第1位の通信事業者として、同国の経済発展と国民生活の充実に寄与していきます。
※1 4キャリア・MVNO主要20ブランドとの比較(過去10年間)料金プラン加入で銀行の預金利率・証券の投資信託ポイント還元率がアップするというサービス特徴において。2023年8月時点 MMD研究所調べ。
※2 電波関連法令の整備に基づき提供予定。
※3 ベースポイント還元0.5%と合わせ、auのお客さまは最大5%還元、UQ mobileのお客さまは最大3%還元となります。本特典は毎月エントリーをしていただいたお客さまが対象となります。
※4 連結子会社であるKDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.が、ミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)の通信事業運営のサポートを行っています。
パーソナルセグメントにおける、当第2四半期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
第2四半期連結累計期間
(単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
自 2022年4月1日
至 2022年9月30日
当第2四半期
連結累計期間
自 2023年4月1日
至 2023年9月30日
比較増減
増減率
(%)
売上高
2,339,979
2,325,912
△14,067
△0.6
営業利益
460,577
457,366
△3,211
△0.7
当第2四半期連結累計期間の売上高は、前年同期と比較し、モバイル通信料収入(ローミング収入等含む)の減少や前期の一時的な金融事業収入がなくなったことによる減少等により、2,325,912百万円(0.6%減)となりました。 営業利益は、前年同期と比較し、売上高の減少等により、457,366百万円(0.7%減)となりました。
ビジネスセグメント
ビジネスセグメントでは、日本国内及び海外において、幅広い法人のお客さま向けに、スマートフォン等のデバイス、ネットワーク、クラウド等の多様なソリューションに加え、「TELEHOUSE」ブランドでのデータセンターサービス等を提供しています。
引き続き、5G通信を中心にIoTやDXなどを活用したソリューションを、パートナー企業との連携によってグローバルにワンストップで提供し、お客さまのビジネスの発展・拡大をサポートしていきます。
また、日本国内の中小企業のお客さまについては、連結子会社のKDDIまとめてオフィスグループによる地域に密着したサポート体制を全国規模で実現しています。
<当第2四半期のトピックス>
●本年9月に、Microsoft Corporationの生成系AIサービス「Azure OpenAI Service(以下「本サービス」)」の提供を開始しました。当社では本年5月から、社員1万人を対象に生成系AIを活用したAIチャットサービス「KDDI AI-Chat」を実業務で利用開始しており、今後「KDDI AI-Chat」の運用経験を生かした本サービス導入時のコンサルティングから設計、構築までをトータルでサポートすることで、生成系AIによるお客さまの業務効率化や課題解決の実現に貢献します。
さらに、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社と連携し、生成系AIの社会実装の加速に向けて、企業・自治体での活用を包括的に支援していきます。本連携により、人手不足や業務効率化などの課題を抱える企業や自治体に対して、スタートアップが開発した生成系AIやオープンソースの生成系AIを活用するための支援とAIソリューションを提供していきます。
今後も生成系AIを提供するさまざまなパートナーと連携し、お客さまが最適な生成系AIを選択可能な環境を提供します。また、KDDIアジャイル開発センター株式会社、アイレット株式会社、株式会社フライウィールなどの当社グループが有するケイパビリティを活用することで、コンサルティングやクラウドを活用したAIサービスを提供していきます。
●昨年10月より「認定Starlinkインテグレーター」として法人・自治体向けに「Starlink BUSINESS」を提供しています。建設現場や屋外施設の遠隔監視、災害対策などさまざまな場所で「Starlink」の利用が広がっており、本年7月には、「Starlink」の海上利用向けサービスの提供を開始しました。従来から、海上における通信手段として静止軌道衛星を利用したサービスを提供してきましたが、PCやスマートフォンなど近年のデジタル機器の通信の高速化には対応できていなかったほか、気象情報や海洋情報がインターネット経由でやり取りされるようになったことで、海上でのリアルタイムな情報収集や発信が困難になりつつあります。「Starlink」の高速通信が海上でも利用できるようになることで、気象情報や海洋情報のリアルタイムな取得・送信による安全な運航の支援や、データを大量に取り扱う海洋研究のDX化、船舶の自動航行等が実現可能になります。加えて、緊急時の連絡手段の確保や、長期乗船という特殊な環境下で働く船員の満足度向上などの課題解決にもつながります。
その他にも、「Starlink」を活用したauエリア構築ソリューション「Satellite Mobile Link」や、公衆Wi-Fiサービスと組み合わせた「イベントWi-Fi」の提供など、ニーズに合わせたソリューションやサービスの提供を拡充しています。
●本年9月に、企業のCO2排出量の見える化・削減や、評価機関への報告等を支援するクラウドサービス「アスエネ」を提供するアスエネ株式会社、サステナビリティ経営への移行と変革を支援するコンサルティングファームのKPMGコンサルティング株式会社、戦略とデジタルを掛け合わせ、目に見える成果を生み出すコンサルティングを提供するグロービング株式会社の各社と業務提携を行いました。加えて、本年10月からは、法人のお客さま向けに、企業のカーボンニュートラル実現をワンストップで支援する「KDDI Green Digital Solution」の提供を開始しました。本ソリューションにより、CO2排出量の可視化や情報開示のレポート作成、CO2排出量削減に寄与する戦略策定を行えるようになるほか、各社との連携により、カーボンニュートラルを実現するために必要なプロセスをお客さまの課題や状況にあわせて支援することが可能となります。
●当社グループの一員としてコンタクトセンターを中心としたBPO事業を手がけていた株式会社KDDIエボルバと、三井物産株式会社の持分法適用会社であったりらいあコミュニケーションズ株式会社は、本年9月に経営統合を行い、アルティウスリンク株式会社(以下「アルティウスリンク」)が発足しました。
労働人口の減少に伴う人手不足や、新型コロナウィルス感染症拡大に伴う企業のデジタル化の加速により、コンタクトセンター業界においては、従来業務の人主導からAI主導への代替、消費者接点のデジタル化に伴うコール(音声)からテキスト・Webへのシフトなど、ビジネス環境が転換期を迎えています。企業が自社のみですべてのデジタル化を進めるには課題のある状況ですが、アルティウスリンクは両社の顧客基盤を生かし、生成系AIの活用などでサービスの高度化を進め、コンタクトセンターやバックオフィスを含むデジタルBPO(※1)事業を国内・海外で展開することで、お客さま企業の成長に貢献します。
●当社は本年6月に、カナダでデータセンター事業を運営するAllied Properties Real Estate Investment Trustから、カナダにおける土地・建物・設備等の資産を譲り受けることについて、契約を締結(以下「本締結」)いたしました。また、本締結を受け同月、同国に子会社「KDDI Canada, Inc.」を新たに設立しました。当社は、コネクティビティデータセンターの接続数としては世界トップ(※2)である「TELEHOUSE ロンドン」、フランス国内トップ(※2)となる「TELEHOUSE パリ」に加え、本年5月にタイ・バンコクにも「TELEHOUSE バンコク」を新設し、ヨーロッパだけではなく東南アジアにも事業エリアを拡大しています。本締結により、カナダ国内トップ(※2)のコネクティビティデータセンターを取得し、北米エリアにおけるデータセンター事業を強化することで、世界規模の事業推進を行います。
当社は、お客さまのビジネスの発展・拡大に一層貢献し、お客さまから真の事業パートナーとしてお選びいただくことを目指し、事業の拡大に取り組んでいきます。
※1 人的なリソースのみで業務受託するのではなく、AIなどのデジタル技術を活用の上、受託業務の効率化を実現した上で一連業務のアウトソーシングを受託するBPO手法のこと。
※2 データセンターのお客さま相互接続数のこと。2023年6月21日時点。出典元:PeeringDB
ビジネスセグメントにおける、当第2四半期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
第2四半期連結累計期間
(単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
自 2022年4月1日
至 2022年9月30日
当第2四半期
連結累計期間
自 2023年4月1日
至 2023年9月30日
比較増減
増減率
(%)
売上高
544,046
584,668
40,622
7.5
営業利益
96,221
101,664
5,443
5.7
当第2四半期連結累計期間の売上高は、前年同期と比較し、コーポレートDX・ビジネスDX・事業基盤サービスで構成されるNEXTコア事業の成長によるソリューション収入の増加等により、584,668百万円(7.5%増)となりました。
営業利益は、前年同期と比較し、売上高の増加等により、101,664百万円(5.7%増)となりました。
財政状態及びキャッシュ・フローの状況
① 財政状態
前連結会計年度
2023年3月31日
当第2四半期
連結会計期間
2023年9月30日
比較増減
資産合計(百万円)
11,923,522
12,858,776
935,254
負債合計(百万円)
6,252,863
7,102,101
849,238
資本合計(百万円)
5,670,659
5,756,675
86,016
親会社の所有者に帰属する持分(百万円)
5,128,288
5,164,714
36,425
親会社所有者帰属持分比率(%)
43.0
40.2
△2.8
(資産)
資産は、その他の短期金融資産が減少したものの、金融事業の貸出金、有形固定資産等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、935,254百万円増加し、12,858,776百万円となりました。
(負債)
負債は、引当金等が減少したものの、借入金及び社債、金融事業の預金等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、849,238百万円増加し、7,102,101百万円となりました。
(資本)
資本は、親会社の所有者に帰属する持分の増加等により、5,756,675百万円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の43.0%から40.2%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
自 2022年4月1日
至 2022年9月30日
当第2四半期
連結累計期間
自 2023年4月1日
至 2023年9月30日
比較増減
営業活動によるキャッシュ・フロー
594,202
706,657
112,455
投資活動によるキャッシュ・フロー
△447,735
△475,897
△28,162
フリー・キャッシュ・フロー ※
146,467
230,760
84,293
財務活動によるキャッシュ・フロー
△403,624
△218,467
185,158
現金及び現金同等物に係る換算差額
11,547
7,434
△4,112
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)
△245,611
19,728
265,338
現金及び現金同等物の期首残高
796,613
480,252
△316,361
現金及び現金同等物の期末残高
551,002
499,979
△51,023
※ フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。
営業活動によるキャッシュ・フロー(収入)は、前年同期と比較し、コールマネーが減少から増加に転じたこと等により、112,455百万円増加し、706,657百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前年同期と比較し、金融事業の有価証券の売却または償還による収入等が増加したものの、有形固定資産の取得や金融事業の有価証券の取得による支出の増加等により、28,162百万円増加し、475,897百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前年同期と比較し、社債発行及び長期借入による収入の増加等により、185,158百万円減少し、218,467百万円の支出となりました。
また、上記キャッシュ・フローに加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額により7,434百万円増加した結果、当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較し、19,728百万円増加し、499,979百万円となりました。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、13,016百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動に重要な変更はありません。
(4)従業員数
① 連結会社の状況
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの臨時従業員数(平均人員)は、前連結会計年度末から4,419名増加し、41,091名となっています。主な要因は、ビジネスセグメントにおいて、2023年9月1日付で、株式会社KDDIエボルバとりらいあコミュニケーションズ株式会社の経営統合を実施したことによるものです。
② 提出会社の状況
当第2四半期連結累計期間において、当社の従業員数の著しい増減はありません。
(5)設備の新設・除却等の計画
前連結会計年度末における当連結会計年度1年間の設備投資計画(新設・拡充)は6,200億円としておりましたが、主にカナダでデータセンター事業を運営するAllied Properties Real Estate Investment Trustからカナダにおける土地・建物・設備等の資産を譲り受けたこと等により、当第2四半期連結会計期間末において、7,700億円に変更しております。
#C9433JP #KDDI #情報通信業セクター