【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
■業界動向と当社の状況
当社は、昨年7月の通信障害発生以降、通信基盤強化に向けた検証を徹底的に行うことに加え、品質・サービス向上に向けた推進体制の整備や、全社対策訓練の実施などを通じて、再発防止・品質改善に努めてまいりました。
今後も、社会インフラを支える通信事業者として、より一層、お客さまに安心して快適にご利用いただける通信ネットワークの提供に全社を挙げて取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症の流行により、あらゆる領域で急速なデジタルシフトが進んだことで、通信の果たす役割もますます重要になっています。政府においても、デジタル実装を通じた地域活性化を推進する「デジタル田園都市国家構想」が掲げられ、人々の暮らしやビジネスのデジタル化が加速しています。
当社は昨年5月、事業環境の変化に対応しながら「ありたい未来社会」を実現するため、「KDDI VISION 2030:「つなぐチカラ」を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を新たに掲げ、長期的な視点で社会課題とKDDIグループの経営の重要度を総合的に網羅した新重要課題(マテリアリティ)を策定しました。
加えて、同時に発表した「中期経営戦略(2022-24年度)」では、パートナーの皆さまとともに社会の持続的成長と企業価値の向上を目指す「サステナビリティ経営」を根幹に据えました。5Gの特性を活かすことにより「つなぐチカラ」を進化させ、あらゆるシーンに通信が「溶け込む」ことで、新たな価値が生まれる時代を目指します。また、こうした5Gによる通信事業の進化と通信を核とした注力領域の拡大を図り、さらにそれらを支える経営基盤を強化します。
具体的には①DX(デジタルトランスフォーメーション)②金融 ③エネルギー ④LX(ライフトランスフォーメーション)⑤地域共創(CATV等)からなる5つの注力領域を中心とした「サテライトグロース戦略」を推進していきます。特にDXでは、通信がIoTという形であらゆるモノ(車、工業設備、各種メーターなど)に溶け込み、お客さまが意識することなく5Gを活用できる環境を整備するとともに、さまざまな業界ごとの個別ニーズに応じたビジネスプラットフォームを提供し、お客さまのビジネス創造をサポートしていきます。その中で新たに生まれた付加価値によって、人々の暮らしがトランスフォームされていくようなDXの好循環を目指します。
また当社は、地球規模で大きな課題となっているカーボンニュートラルをはじめとするサステナビリティ課題についても積極的に取り組みます。KDDI単体で2030年度、グループ全体では2050年度のCO2排出量実質ゼロの実現を目指し、携帯電話基地局・通信設備などでの省電力化や再生可能エネルギーへのシフトを強力に推進していきます。なお、KDDIグループは昨年2月、国際的な気候変動イニシアチブ「SBTi(Science Based Targets initiative)」によるSBT認定を取得しました。2021年4月には気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明しています。
従来、財務領域と非財務領域を掲載していた「統合レポート」と、サステナビリティに関する情報を主に掲載していた「サステナビリティレポート」を合冊し、昨年10月には「サステナビリティ統合レポート2022」を発行しました。
さらに、変化の激しい事業環境の中で持続的に成長し続けていくためには、イノベーションの推進、社員や組織の高度な自律性と成長を促す「人財ファースト企業」への変革が不可欠であり、イノベーションの推進においては、5G及びBeyond 5Gの研究開発、設備投資を強化していきます。また、サテライトグロース戦略に基づく事業創造・研究開発・AI・先進セキュリティ技術への取組みを加速し、スタートアップとのコラボレーションなどパートナーシップをより深化させていきます。加えて、「人財ファースト企業」への変革については、「KDDI版ジョブ型人事制度」「社内DXの推進」「KDDI 新働き方宣言の実現」の3つの柱で推し進め、「KDDI DX University」の活用による全社員のDXスキル向上とプロフェッショナル人財の育成により、注力領域への要員シフトも実行していきます。
当社では創業以来、経営層と従業員の共通の考え方・行動規範として「KDDIフィロソフィ」の浸透と実践を図ってきました。こうした企業姿勢と、人権を尊重し、透明性・公正性を担保したコーポレート・ガバナンス体制との相乗効果により、リスクマネジメント・情報セキュリティ体制の強化を進め、グループ一体経営の推進に努めていきます。
■連結業績
(単位:百万円)
2022年3月期
自 2021年4月1日
至 2022年3月31日
2023年3月期
自 2022年4月1日
至 2023年3月31日
比較増減
増減率(%)
売上高
5,446,708
5,671,762
225,054
4.1
売上原価
2,984,589
3,260,030
275,442
9.2
売上総利益
2,462,119
2,411,731
△50,388
△2.0
販売費及び一般管理費
1,422,539
1,408,391
△14,148
△1.0
その他の損益(△損失)
15,221
67,840
52,619
345.7
持分法による投資利益
5,791
4,569
△1,223
△21.1
営業利益
1,060,592
1,075,749
15,157
1.4
金融損益(△損失)
2,457
1,517
△940
△38.3
その他の営業外損益(△損失)
1,448
612
△836
△57.7
税引前当期利益
1,064,497
1,077,878
13,381
1.3
法人所得税費用
331,957
339,484
7,527
2.3
当期利益
732,540
738,394
5,855
0.8
親会社の所有者
672,486
677,469
4,983
0.7
非支配持分
60,054
60,926
872
1.5
当期の売上高は、前期と比較し、エネルギー事業収入や金融事業収入の増加等により、5,671,762百万円(4.1%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、燃料高騰及び通信障害による影響があったものの、売上高の増加等により、1,075,749百万円(1.4%増)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、677,469百万円(0.7%増)となりました。
当社を取り巻く事業環境において、新型コロナウイルス感染症による影響が生じておりますが、事業戦略の推進及び経営基盤の強化に引き続き取り組んできており、当期における業績においては重要な影響を与えておりません。
b.セグメント別の状況
パーソナルセグメント
パーソナルセグメントでは、個人のお客さま向けにサービスを提供しています。
日本国内においては、「au」「UQ mobile」「povo」のマルチブランドで提供する5G通信サービスを中心に、金融、エネルギー、LXなどの各種サービスを連携し拡充することで、新たな付加価値・体験価値の提供を目指しています。
また、過疎化・高齢化などによる地域社会が抱える課題に向き合い、地域のパートナーとともに、デジタルデバイド解消とサステナブルな地域共創の実現を目指しています。
一方、海外においては、国内で培った事業ノウハウを生かし、ミャンマーとモンゴルの個人のお客さま向けに、通信サービス、金融サービス及び映像等のエンターテインメントサービスの提供にも積極的に取り組んでいます。
<当期のトピックス>
●お客さま一人ひとりのニーズに合った料金を自由にお選びいただけるよう、ブランドスローガンの異なる3つのブランドを5Gにも対応して提供しています。「おもしろいほうの未来へ。」の「au」、「シンプルを、みんなに。」の「UQ mobile」、「君にピッタリの自由へ、一緒に。」の「povo」のマルチブランドで、ブランドごとの特長を生かした取組みを進めています。
auでは、データ使い放題(※1)の料金プラン「使い放題MAX 5G」をはじめ、人気の動画サービスがセットになった「使い放題MAX 5G Netflixパック(P)」など、5Gの高速・大容量通信を生かした、auならではの5Gサービスを提供しています。また、本年2月より、データ通信をあまり使われないお客さま向けに、ご利用のデータ容量に応じた月額料金が自動的に適用される「スマホミニプラン」の提供を開始しました。そのほか、スマートフォンを初めてご利用になるお客さま向けには、月間データ容量が20GBの「スマホスタートプラン」と4GBの「スマホスタートプランライト」の提供を新たに開始するなど、お客さま一人ひとりのライフスタイルにあわせたご利用を提案しています。
UQ mobileでは、余ったデータ容量を繰り越しできるお得なプランを月額990円(税込)から提供するなど、お一人でもご家族でもお得にご利用いただける料金プランを提供しています。また、本年2月からオプションサービスの「安心セキュリティセット」を提供開始し、より安心・安全にスマートフォンをご利用いただけるよう取り組んでいます。
オンライン専用ブランド「povo」では、お客さまのご利用形態に合わせて選べる通常ラインアップのトッピングに加え、多様な使い方ができる期間限定のおトクなトッピングや、対象店舗やサービスのご利用でデータ容量を貯めることができる「#ギガ活」などを提供しています。また、本年3月からご自宅に眠っているスマートフォンをデータ容量に交換する買い取りサービス「スマホギガトレード」を開始するなど、さまざまなご利用スタイルを提案しています。
●サテライトグロース戦略の中核を担う通信の基盤となるエリア構築では、「ずっと、もっと、つなぐぞ。au」をスローガンに、より多くのお客さまに5Gを快適にご利用いただけるよう、生活動線を重視し、主要な鉄道路線や商業地域などの5Gエリア化を進めています。
衛星ブロードバンドインターネット「Starlink」をau通信網のバックホール回線として利用することにより、これまでサービス提供が困難とされていた山間部や島しょ地域など全国約1,200カ所へ基地局の展開を進めていきます。さらに今後、「Starlink」を利用した車載型基地局と可搬型基地局を全国に順次導入し、地震や台風などによる自然災害が発生した際、通信の圏外地域に本基地局を展開することで、迅速な通信の復旧の実現を目指していきます。
また、本年3月から、ソフトバンク株式会社と連携しauまたはUQ mobile回線の通信がつながりにくい時にも通信サービスをご利用いただける「副回線サービス」の提供を開始しました。「副回線サービス」は他社で別途回線を申し込みいただく手間なく、ワンストップの簡易なお手続きでお申し込みいただけます。
●ポイント・決済領域では、「たぬきの吉日」として、毎月5のつく日(5日・15日・25日)と8日に、auまたはUQ mobileのお客さま向けに、対象加盟店でau PAYのポイント還元率が最大5%(※2)となる特典を提供しています。auスマートパスプレミアムにおいても、au PAYで使える「毎月毎週もらえるクーポン」を提供し、今後も日常がもっと楽しくなるおトクなサービスで、お客さまとの接点を強化していきます。
また、本年1月から、環境省が推進する「グリーンライフ・ポイント」事業に参画しており、環境に配慮した取組みを行っているau PAY加盟店でのお買い物や、フードロスの削減に貢献するau PAY マーケットでのお買い物などに対するポイント還元を通じ、お客さまとともに環境に優しいライフスタイルを目指していきます。
●金融事業では、昨年8月にau PAY カードの会員数が800万人に、昨年12月にはauじぶん銀行の預金口座数が500万口座に到達しました。本年2月には、月額保険料の1%相当のPontaポイントを還元する「auの生命ほけん」を開始するなど、金融サービスの更なる魅力向上を図っていきます。
また、エネルギー事業では、本年1月にauリニューアブルエナジー企画株式会社(現:auリニューアブルエナジー株式会社)を設立し、「カーボンニュートラルの実現」に貢献するため、再生可能エネルギー発電の事業化を目指し取り組んでいます。さらに同月、auエネルギー&ライフ株式会社では太陽光パネル所有の家庭向けに「auでんき 太陽光電力買取サービス」を提供開始するなど、再生可能エネルギーの普及促進の取組みも進めています。
●LXでは、本年3月から、現実と仮想を軽やかに行き来する新しい世代に寄り添い、誰もがクリエイターになりうる世界に向けたメタバース・Web3サービス「αU(アルファユー)」の提供を開始しています。「もう、ひとつの世界。」のコンセプトのもと、αUを冠として、メタバースでエンタメ体験や友人との会話を楽しめるαU metaverse、デジタルアート作品などのNFTを購入できるαU market、NFTや暗号資産を管理できるαU walletを商用サービスとして提供するほか、360度自由視点の高精細な音楽ライブを楽しめるαU live、実店舗と連動したバーチャル店舗でショッピングができるαU placeなど、メタバース・Web3でのお客様体験を拡張しています。
●ミャンマーでは(※3)、今後も、現地情勢を注視しつつ、関係者の安全確保を念頭に、生活に不可欠な通信サービスの維持に努めていきます。
また、モンゴルでは、連結子会社であるMobicom Corporation LLCが、他者に先駆ける形で本年2月にインターネット上での契約手続きが可能となるポストペイドプラン「hyper」の提供を開始しました。今後はショップがない地域でもモビコム公式アプリで手続きが出来ることとなり、地域格差の解消に貢献しています。引き続き、同国第1位の通信事業者として、同国の経済発展と国民生活の充実に寄与していきます。
※1 データ使い放題のスマートフォン料金プランの場合も、テザリング・データシェア・国際ローミング通信 (世界データ定額) には、データ容量の上限があります。大量のデータ通信のご利用時、混雑時間帯の通信速度を制限する場合があります。動画などの視聴時には通信速度を制限します。
※2 ベースポイント還元0.5%と合わせ、auのお客さまは最大5%還元、UQ mobileのお客さまは最大3%還元となります。本特典は毎月エントリーをしていただいたお客さまが対象となります。
※3 連結子会社であるKDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.が、ミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)の通信事業運営のサポートを行っています。
パーソナルセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
(単位:百万円)
2022年3月期
自 2021年4月1日
至 2022年3月31日
2023年3月期
自 2022年4月1日
至 2023年3月31日
比較増減
増減率
(%)
売上高
4,669,208
4,833,567
164,360
3.5
営業利益
867,092
880,308
13,216
1.5
当期の売上高は、前期と比較し、エネルギー事業収入や金融事業収入の増加等により、4,833,567百万円(3.5%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、売上高の増加等により、880,308百万円(1.5%増)となりました。
ビジネスセグメント
ビジネスセグメントでは、日本国内及び海外において、幅広い法人のお客さま向けに、スマートフォン等のデバイス、ネットワーク、クラウド等の多様なソリューションに加え、「TELEHOUSE」ブランドでのデータセンターサービス等を提供しています。
さらに、当社は、「中期経営戦略(2022-24年度)」において、5Gによる通信事業の進化と、通信を核とした注力領域の事業拡大を図る「サテライトグロース戦略」を発表しました。ビジネスセグメントでは、5G通信を中心としてIoTやDXなど、お客さまのビジネスの発展・拡大に貢献するソリューションを、パートナー企業との連携によってグローバルにワンストップで提供していきます。
また、日本国内の中小企業のお客さまについては、連結子会社のKDDIまとめてオフィスグループによる地域に密着したサポート体制を全国規模で実現しています。
<当期のトピックス>
●当社のIoT累計回線数は、昨年12月に当社単独で3,000万回線を突破するなど順調に拡大しており、国内ではトップシェアとなっています。とりわけ社会インフラ(コネクティッドカーや電力、ガス、スマートメーター等)とグローバルの領域で大きく伸長しており、このような重要インフラでのIoTの活用について、約20年にわたる豊富な運用実績と保守管理体制を有していることが強みです。中期的には2025年度内に4,400万回線の到達を目指しており、通信その他の社会インフラ・つながるクルマに対して革新的なソリューションを提供することで、サステナブルな産業・インフラ環境の実現に貢献していきます。
海外においては、ローカライズとグローバル標準の最適な組み合わせにより、支援範囲はコネクティッドカーに留まらず、お客さまの海外拠点のDXや、幅広い産業へのプラットフォーム提供など、大きな拡がりを見せています。
今後、新たな付加価値をさらに生み出していくために、さまざまな業界ごとのプラットフォームを提供し、お客さま企業のDXを加速していきます。
●当社は、企業のDX支援を強化するため、昨年5月に中間持株会社であるKDDI Digital Divergence Holdings株式会社(以下「KDH」)を設立しました。KDHはDX推進に必須となるケイパビリティを持つ事業会社をグループに有しており、今後さらにM&Aや業務提携などの実施も検討し、お客さま支援体制を強化していきます。
また、昨年6月には三井物産株式会社と共同で、AI・人流分析で都市DXを推進する株式会社GEOTRA(以下「GEOTRA」)を設立しました。GEOTRAではAIやau位置情報を活用して、人々の移動手段・時間・目的などを把握・予測可能とするプラットフォーム・分析サービス「GEOTRA Activity Data」の提供を開始しており、スマートシティ開発などに関わる企業や自治体など、さまざまな事業者の企画・政策に関する意思決定高度化への貢献を目指します。
●KDDIスマートドローン株式会社(以下「KDDIスマートドローン」)と、株式会社補修技術設計(以下「補修技術設計」)は、昨年6月にドローンを活用した橋梁点検サービスの提供を開始しました。現在、日本にある約73万橋(橋長2m以上)の橋梁のうち、2025年には約42%(約30万橋)が建設後50年を迎え、橋梁の老朽化対策が急務となる一方、近年では事業者の人手不足などが課題となっています。また、道路における橋長2m以上の橋梁である道路橋の点検は5年に1回の頻度での近接目視点検を基本とすることが定められていますが、2019年3月からはドローンで撮影した映像での点検も認められるようになりました。
本サービスは、KDDIスマートドローンがこれまで培ったドローンの運用ノウハウに加え、補修技術設計が長年取り組んできた社会基盤構築物(橋梁、トンネル、上下水道など)の補修・補強分野における工事サポートや、調査・補修設計技術のノウハウを組み合わせたものとなります。ドローンを遠隔自律飛行させ、一度のフライトで点検作業を行うことや、橋梁撮影画像の3Dモデリングにより老朽化インフラの補修箇所をAIで瞬時に判定し、橋梁の損傷個所などを細部まで確認することが可能となる本サービスを通じて、事業者の作業効率化に加え、日本の橋梁の安全性の確保に貢献していきます。
●当社の欧州現地法人であるTelehouse International Europeは、昨年3月に英国ロンドン市内のTELEHOUSEで5棟目となるCO2排出量実質ゼロのデータセンター「TELEHOUSE South」を開業しました。当データセンターは接続性、拡張性、セキュリティを求めるお客さまのニーズに対応していることから、英国最大手の通信事業者やISPなど、合計900社以上が接続している世界有数のインターコネクションデータセンターで、風力、太陽光、バイオマス、水力発電から調達した再生可能エネルギー100%で運営しています。昨年4月には、この「TELEHOUSE South」を含め、TELEHOUSEブランドで展開している全世界のデータセンターについて、2026年度までにCO2排出量実質ゼロ実現を目指すことを発表しました。
当社は30年以上にわたって世界10カ国以上において「TELEHOUSE」ブランドでデータセンター事業を展開してきた実績があり、ビジネスセグメントにおける成長分野と位置付けています。2023年度には、バンコク、パリ、フランクフルトにも新棟の開業を予定しており、拠点数は合計47拠点となります。今後も最新設備とコネクティビティを生かしたデータセンター事業で、お客さまのビジネス成長をサポートしていくとともに、グローバルで高品質なデータセンターを展開するTELEHOUSEの経験を生かし、データセンター事業のさらなる拡大を図っていきます。
当社は、法人のお客さまのビジネスの発展・拡大に一層貢献し、お客さまから真の事業パートナーとしてお選びいただくことを目指し、事業の変革に取り組んでいきます。
ビジネスセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
(単位:百万円)
2022年3月期
自 2021年4月1日
至 2022年3月31日
2023年3月期
自 2022年4月1日
至 2023年3月31日
比較増減
増減率
(%)
売上高
1,042,120
1,108,807
66,687
6.4
営業利益
187,072
190,808
3,736
2.0
当期の売上高は、前期と比較し、コーポレートDX・ビジネスDX・事業基盤サービスで構成されるNEXTコア事業の成長によるソリューション収入の増加等により、1,108,807百万円(6.4%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、燃料高騰及び通信障害による影響はあったものの、売上高の増加等により、190,808百万円(2.0%増)となりました。
c. 財政状態の状況
2022年3月期
2023年3月期
比較増減
資産合計(百万円)
11,084,379
11,917,643
833,264
負債合計(百万円)
5,573,715
6,252,863
679,148
資本合計(百万円)
5,510,663
5,664,780
154,116
親会社の所有者に帰属する持分(百万円)
4,982,586
5,122,409
139,823
親会社所有者帰属持分比率(%)
45.0
43.0
△2.0
1株当たり親会社所有者帰属持分(円)
2,249.27
2,374.65
125.38
有利子負債残高(百万円)
1,600,104
1,651,437
51,332
(資産)
資産は、現金及び現金同等物等が減少したものの、金融事業の貸出金、営業債権及びその他の債権等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、833,264百万円増加し、11,917,643百万円となりました。
(負債)
負債は、コールマネー等が減少したものの、金融事業の預金、債券貸借取引受入担保金等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、679,148百万円増加し、6,252,863百万円となりました。
(資本)
資本は、親会社の所有者に帰属する持分の増加等により、5,664,780百万円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の45.0%から43.0%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
2022年3月期
2023年3月期
比較増減
営業活動によるキャッシュ・フロー
1,468,648
1,078,869
△389,780
投資活動によるキャッシュ・フロー
△761,593
△732,480
29,112
フリー・キャッシュ・フロー ※
707,056
346,389
△360,667
財務活動によるキャッシュ・フロー
△727,257
△669,837
57,420
現金及び現金同等物に係る換算差額
7,012
7,087
74
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)
△13,189
△316,361
△303,172
現金及び現金同等物の期首残高
809,802
796,613
△13,189
現金及び現金同等物の期末残高
796,613
480,252
△316,361
※ フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。
営業活動によるキャッシュ・フロー(収入)は、前期と比較し、金融事業の貸出金の増加幅が大きくなったこと等により、389,780百万円減少し、1,078,869百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前期と比較し、金融事業の有価証券の売却または償還による収入の増加等により、29,112百万円減少し、732,480百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前期と比較し、社債発行及び長期借入による収入の増加等により、57,420百万円減少し、669,837百万円の支出となりました。
また、上記キャッシュ・フローに加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額により7,087百万円増加した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較し、316,361百万円減少し、480,252百万円となりました。
③ 営業実績
当連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
パーソナル
4,833,567
3.5
ビジネス
1,108,807
6.4
その他
89,465
4.7
セグメント間の内部売上高
△360,077
-
合計
5,671,762
4.1
(注)金額は外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高の合計であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により、国際会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)見積り及び判断の利用」に記載しております。
前連結会計年度末においては、新型コロナウイルス感染症による影響は、少なくとも2022年度を通して影響を及ぼすとの仮定をおいておりました。当期の連結財務諸表の作成にあたって、新型コロナウイルス感染症による翌連結会計年度以降の影響は軽微との仮定を置いて、会計上の見積りを行っております。ただし、今後の状況の変化によって判断を見直した結果、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
前期と比較し、エネルギー事業収入や金融事業収入の増加等により、5,671,762百万円(4.1%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 24.売上高」をご参照ください。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
前期と比較し、エネルギー事業原価や通信設備使用料及び賃借料の増加等により4,668,421百万円(5.9%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 25.費用の性質別内訳」をご参照ください。
(その他の収益及びその他の費用)
補助金収入等55,392百万円、賠償金等2,366百万円の計上等により67,840百万円の利益(345.7%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 26.その他の収益及びその他の費用」をご参照ください。
(持分法による投資利益)
持分法適用関連会社のauカブコム証券株式会社における投資利益の減少等により、4,569百万円(21.1%減)となりました。
(営業利益)
以上の結果、営業利益は1,075,749百万円(1.4%増)となりました。なお、営業利益率は、19.0%(0.5ポイント減)となりました。
(金融収益及び金融費用)
受取配当金7,910百万円、支払利息7,142百万円の計上等により、1,517百万円の利益(38.3%減)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 27.金融収益及び金融費用」をご参照ください。
(その他の営業外損益)
負ののれん発生益584百万円の計上等により、612百万円(57.7%減)の利益となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 28.その他の営業外損益」をご参照ください。
(法人所得税費用)
将来減算一時差異の解消の増加等の影響により339,484百万円(2.3%増)となりました。なお、2023年3月期の法人税等負担率は31.4%となりました。法人所得税費用に関する詳細については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 15.繰延税金及び法人所得税」をご参照ください。
(非支配持分に帰属する当期利益)
主にauフィナンシャルホールディングス株式会社の利益増加等の影響により、60,926百万円(1.5%増)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
上記の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は677,469百万円(0.7%増)となりました。
なお、報告セグメントの売上と営業利益の概況については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループは、運転資金及び設備投資については、自己資金及び借入金等により資金調達することとしております。このうち、借入金等による資金調達に関しては、通常の運転資金については短期借入金で、設備投資などの長期資金は固定金利の長期借入金及び社債で調達することを基本としております。また金融事業については、資金調達やリスクアセットの削減を目標として、債権流動化を行っております。
なお、当連結会計年度末における借入金等を含む有利子負債の残高は1,651,437百万円、現金及び現金同等物の残高は480,252百万円となっております。
流動性リスクとその管理方法につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記31.金融商品」に記載しております。
c.経営上の財務目標の達成状況について
当社グループは、事業環境の変化に迅速に対応しながら、持続的な成長を実現し、企業理念に掲げる「豊かなコミュニケーション社会の発展」に貢献するため、中期経営戦略(2022-24年度)を策定しております。財務目標において、営業利益については、持続的な成長を目指し、EPSについては、2024年度1.5倍(2018年度比)の実現、株主還元については、安定的な配当を継続し、連結配当性向は40%超を掲げております。
当連結会計年度においては、通信障害や燃料価格高騰等、事業を取巻く環境が激しく変化しましたが、5Gによる通信事業の進化と、通信を核とした注力領域を拡大していくことで、事業戦略の中核となる「5Gを中核に据えた事業変革の推進」を進めたことにより、過去最高益を更新するとともに、配当性向40%超を達成いたしました。
今後もサテライトグロース戦略の推進と、それを支える経営基盤の強化により、パートナーとともに社会の持続的成長と企業価値の向上を目指していきます。
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