【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の状況当期の連結業績につきましては、連結売上収益は3兆8,744億円(前年同期は3兆1,639億円)、連結事業利益は5,417億円(前年同期は4,778億円)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は3,723億円(前年同期は2,987億円)となりました。セグメント別の業績は以下のとおりです。当社グループは、製鉄事業を中核として、エンジニアリング、ケミカル&マテリアル、システムソリューションの4つのセグメントで事業を推進しており、製鉄セグメントが連結売上収益の約9割を占めています。
(当期のセグメント別の業績の概況)
(単位:億円)
売上収益
事業利益
当第2四半期連結累計期間
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
前第2四半期連結累計期間
製鉄
35,286
28,514
5,158
4,482
エンジニアリング
1,640
1,238
53
△29
ケミカル&マテリアル
1,449
1,225
136
135
システムソリューション
1,350
1,312
140
146
合計
39,726
32,290
5,488
4,735
調整額
△982
△651
△71
43
要約四半期連結損益計算書計上額
38,744
31,639
5,417
4,778
<製鉄>足元の鉄鋼需要については、中国は回復の目途が立たず、米国はインフレ抑制を優先、欧州はインフレにより購買力が低下、新興国は通貨安により景気悪化、ASEAN鋼材市況も下落するなど、世界的に需要が急減速しています。国内についても、建設等の分野では実需が底堅いものの、半導体供給制約により自動車生産の回復が遅れており、エネルギー・資源価格の高騰やさらなる円安の進展等で景気下押し圧力が強い状況にあります。こうしたなか、世界の粗鋼生産量は前年同月比で減少となる期間が、昨年8月以降、約1年間もの長期にわたっており、かつその減少規模が大きく、過去に例を見ない状況が継続しています。当社単独粗鋼生産量も2012年の経営統合後ピークとなった2014年度実績4,823万トンから、2022年度は3,400万トン程度にまで著しく減少する見通しです。このような極めて厳しい事業環境が継続するなかにおいても、当社はこれまで進めてきた抜本的な収益構造対策を継続するとともに、経営環境変化に対する臨機応変な所要変動対応、適正マージン確保等による収益の最大化に取り組んだ結果、当第2四半期の業績は、生産・出荷数量の減少やさらなる原燃料コストの高騰・急激な円安進行があるものの、鋼材価格やコストの改善、在庫評価差等により、前年同期比で増収・増益となりました。製鉄セグメントとして、売上収益は3兆5,286億円(前年同期は2兆8,514億円)、事業利益は5,158億円(前年同期は4,482億円)となりました。
<エンジニアリング>日鉄エンジニアリング㈱においては、製鉄プラントセクターの大規模設備改修や都市インフラセクターの大型物流施設建設が完了したことに加え、環境・エネルギーセクターの洋上風力発電設備建設、廃棄物発電施設建設・運営受託、海外海洋ガス田開発案件等で、着実なプロジェクト実行管理を行ったことにより、堅調な売上を計上することができ、前年同期比で増収・増益となりました。引き続き、資材の高騰やコロナ感染状況等、事業環境の変化を注視し、事業に取り組んでまいります。エンジニアリングセグメントとして、売上収益は1,640億円(前年同期は1,238億円)、事業利益は53億円(前年同期は△29億円)となりました。
<ケミカル&マテリアル>日鉄ケミカル&マテリアル㈱においては、世界的な原燃料価格の高騰や景気減速に伴う半導体等の在庫調整による需要減少などの影響があり、事業環境は悪化しましたが、コスト増分の販売価格への転嫁や高付加価値品の拡販に加えて、円安の進行やコスト増に伴う在庫評価益の拡大により事業利益は前年同期とほぼ同額となりました。コールケミカル事業では黒鉛電極用ニードルコークスの需要が弱含みで推移しました。化学品事業ではスチレンモノマーの需要低迷、ビスフェノールAも主用途のポリカーボネート樹脂向けの需要低迷により収益が悪化しました。機能材料事業では半導体関連材料、スマートフォン向け材料及びディスプレイ関連材料は需要が減少しましたが、金属箔及びメタル担体の販売は堅調に推移しました。複合材料事業では土木・建築補強向け炭素繊維複合材料や、スポーツ・産業分野向け炭素繊維の販売が好調を維持しました。ケミカル&マテリアルセグメントとして、売上収益は1,449億円(前年同期は1,225億円)、事業利益は136億円(前年同期は135億円)となりました。
<システムソリューション>日鉄ソリューションズ㈱においては、今後の日本企業のDX本格展開を見据え、お客様との関係性を深化させながら、全社を挙げてDXニーズを最大限に獲得し、事業拡大に取り組んでおります。注力領域の一つであるデジタル製造業領域では、無線IoTセンサ活用プラットフォーム「NS-IoT」を構築し、当社の製鉄所設備の早期異常検知を目的とした実運用を開始したほか、統合データマネジメントサービスをベースに統合データプラットフォーム「NS-Lib」を構築するなど、当社のDX推進に向けた取組みを進めてまいりました。また、AI領域での対応力や業務プロセスのデジタル化支援及びデータ利活用領域等に強みを持つ企業との資本業務提携や戦略的パートナーシップ契約の締結に加え、電力業界、金融業界及び食品業界向けの新規ソリューション開発を行うなど、DXニーズへの対応力の強化に取り組んでまいりました。システムソリューションセグメントとして、売上収益は1,350億円(前年同期は1,312億円)、事業利益は140億円(前年同期は146億円)となりました。
(注)
上記の記載には、2022年11月1日決算発表時点の将来に関する前提・見通し・計画に基づく予測や目標が含まれている。これらはその発表又は公表の時点において当社が適切と考える情報や分析、一定の前提等に基づき策定したものであり、かかる見積りに固有の限界があることに加え、実際の業績は、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性がある。
(2)当第2四半期連結会計期間末の資産、負債、資本及び当第2四半期連結累計期間のキャッシュ・フロー当第2四半期連結会計期間末の連結総資産は、棚卸資産の増加(3,799億円)、有形固定資産の増加(1,230億円)、持分法で会計処理されている投資の増加(1,824億円)等があった一方で、現金及び現金同等物の減少(1,700億円)等があり、前期末(8兆7,523億円)から5,666億円増加し9兆3,189億円となりました。負債については、有利子負債が2兆6,068億円と前期末(2兆6,533億円)から465億円減少した一方で、営業債務及びその他の債務の増加(430億円)、未払法人所得税等の増加(376億円)、その他の非流動債務の増加(104億円)等により、前期末(4兆8,553億円)から576億円増加し4兆9,129億円となりました。資本については、親会社の所有者に帰属する四半期利益3,723億円による増加、配当金の支払いによる減少(829億円)に加え、在外営業活動体の換算差額の増加(1,599億円)等により、前期末(3兆8,970億円)から5,089億円増加し4兆4,059億円となりました。なお、当期末の親会社の所有者に帰属する持分は3兆9,541億円となり、親会社の所有者に帰属する持分に対する有利子負債の比率(D/Eレシオ)は0.66倍(劣後ローン・劣後債資本性調整後0.52倍)となりました。当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益5,325億円に、減価償却費及び償却費(1,651億円)の加算がある一方、持分法による投資損益(813億円)の控除の調整に加え、棚卸資産の増加(3,563億円)、法人所得税の支払(1,250億円)による支出等があり、1,719億円の収入(前年同期は2,312億円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入(463億円)等があった一方、有形固定資産及び無形資産の取得による支出(2,350億円)等により、1,822億円の支出(前年同期は1,228億円の支出)となりました。この結果、フリーキャッシュ・フローは102億円の支出(前年同期は1,083億円の収入)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の減少(961億円)、前期末の配当(829億円)等により、1,838億円の支出(前年同期は1,460億円の支出)となりました。以上により、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は3,809億円となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書(第97期有価証券報告書)に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について、重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等当第2四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等について、重要な変更及び新たに定めたものはありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針当第2四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について、重要な変更及び新たに定めたものはありません。
(7)研究開発活動当第2四半期連結累計期間における当社及び連結子会社全体の研究開発費は333億円です。なお、当第2四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況について、重要な変更はありません。
(8)従業員数当第2四半期連結累計期間において、従業員数について、著しい変動はありません。
(9)生産、受注及び販売の実績当第2四半期連結累計期間において、生産及び販売の実績金額が著しく増加しております。なお、詳細については、本報告書「第一部
企業情報
第2
事業の状況
2
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)経営成績の状況」に記載しております。
(10)主要な設備当第2四半期連結累計期間において、重要な設備の新設、除却等の計画について、以下の計画が加わりました。
新設
会社名事業所名
所在地
セグメントの名称
設備の内容
投資予定金額(億円)
資金調達方法
着手及び完了予定
能力等
総額
既支払額
着手
完了
当社名古屋製鉄所
愛知県東海市
製鉄
次世代熱延設備
2,700
315
自己資金及び借入金等
2022年5月
2026年度第1四半期
600万t/年
改修
会社名事業所名
所在地
セグメントの名称
設備の内容
投資予定金額(億円)
資金調達方法
着手及び完了予定
能力等
総額
既支払額
着手
完了
当社九州製鉄所
大分県大分市
製鉄
第2コークス炉(付帯設備を含む)
500
0
自己資金及び借入金等
2022年6月
2025年度下半期
80万t/年