【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、社会活動がウィズコロナの新たな段階へ移行したことで持ち直した一方、世界的なインフレや金利上昇が景気下振れ要因となりました。また、中国のゼロコロナ政策に伴う行動制限が年末まで継続されたことや、長期化するウクライナ情勢の影響がサプライチェーンの混乱と物価上昇を招き経済活動の阻害要因となりました。
我が国経済は、ウィズコロナの下で経済活動の平常化が進んだことから、個人消費や設備投資が緩やかに持ち直しましたが、資源エネルギー価格の高騰や円安を背景とした物価上昇により先行き不透明な状況が続きました。
このような経済状況の中、当社グループは海外事業において各種ホース・継手等の旺盛な需要に対応するための商品供給体制を堅持し、世界的なインフレに伴う石化燃料や資材価格等の高騰を価格転嫁等で相応に吸収できたことに加え、期中における急速な円安進行が増収幅を押し上げたことで売上高が前連結会計年度を上回りました。また、原材料費や物流費、特に欧米における人件費の高騰が価格転嫁のペースを上回ったことが営業利益の伸びを鈍化させましたが、上記増収が奏功したことで、営業利益及び経常利益が前連結会計年度を上回りました。
この結果、当社グループの連結売上高は、714億75百万円(前年同期比20.0%増)、営業利益は45億60百万円(前年同期比6.0%増)、経常利益は49億71百万円(前年同期比4.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は36億37百万円(前年同期比4.5%減)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益の主たる減益要因は、前連結会計年度に特別利益として計上した債務免除益(5億14百万円)が当連結会計年度において剥落したためです。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
◆アジア事業
[産業資材事業]
日系建機・農機メーカーの生産台数が高水準を維持したことで、建機・農機向け尿素水識別センサー及び尿素SCR用モジュール・タンク等の販売が増加しました。一方で長期化するウクライナ情勢や半導体不足による影響を受け、欧州自動車メーカーの生産台数が下振れしたことから、自動車向け尿素水識別センサーの供給量は減少しました。また、中国では新型コロナ感染拡大に伴う防疫措置の強化により、建機の生産台数が減少した影響から、中国関連会社が減収となりました。これらの結果、売上高は183億3百万円(前年同期比3.4%増)となりましたが、原材料費、物流費に加え、円安による海外からの調達コスト増加が利益を下押しし、営業利益は27億29百万円(前年同期比1.9%減)となりました。
[スポーツ・建設資材事業]
民間設備投資が持ち直していることから、国内商業施設向けに大判セラミックタイル「スーパー・マテリアルズ」の販売が増加したことに加え、鉄道各社の安全対策強化に向けた設備投資が積極的に進められたことで、鉄道施設向けにノンスリップタイル「ECOセンタン」の販売が増加しました。また、運動場、体育館等の文教施設における改修、新設物件の需要が旺盛であったことで、ロングパイル人工芝「モンドターフ」及び弾性スポーツシート「タラフレックス」の販売が好調に推移しました。これらの結果、売上高は106億32百万円(前年同期比12.3%増)となり、営業利益は6億16百万円(前年同期比29.5%増)となりました。
[その他事業]
イタリア製スポーツアパレル「MONTURA」は、テレビコマーシャルやSNSをはじめとした広告宣伝活動によるブランド認知度の向上に努めたことが、オンライン及び、店舗販売の増収要因となりました。また、行動制限が緩和されたことから、日本国内のサービス業界の景気が持ち直し、ダストコントロール用マットの販売が増加しました。これらの結果、売上高は7億39百万円(前年同期比16.7%増)となりました。しかしながら、損益面においては広告宣伝活動を含むマーケティング費用の増加を吸収するには至らなかったため、営業損失は1億91百万円(前年同期の営業損失95百万円)となりました。
以上のことから、アジア事業全体では、売上高は296億75百万円(前年同期比6.7%増)となり、営業利益は31億54百万円(前年同期比0.3%減)となりました。
◆北米事業
外食産業向け「飲料用ホース」や住宅外壁塗装用「ペイントスプレーホース」の需要は高水準を維持し、灌漑を含む農業分野向け「レイフラットホース」の需要も底堅く、幅広い業界で各種ホース・継手の販売が好調に推移しました。更に、価格転嫁による増収効果が加わったことで現地通貨ベースでの売上高が前連結会計年度を上回ったことに加え、期中において急速に進行した円安が影響し、売上高は370億39百万円(前年同期比34.3%増)となりました。損益面では人件費をはじめ、原材料費、物流費等が価格転嫁を上回って高騰したことにより、営業利益は20億34百万円(前年同期比9.5%増)に留まりました。
◆欧州・南米事業
スペインとアルゼンチンに拠点を置く製造販売子会社では、当社北米事業の販売ネットワークを活用した消防機関向け「消防用ホース・ノズル」の米国向け輸出が増加しました。また、欧州域内における灌漑を含む農業分野向け「レイフラットホース」の販売が底堅く推移したことに加え、アルゼンチンにおけるオイル・ガス生産量の増加に牽引され、長距離送水用「大口径レイフラットホース」の販売が増加しました。これらの結果、売上高は47億60百万円(前年同期比14.3%増)となり、損益面では欧州におけるエネルギー価格が高止まりしていることに加え、アルゼンチンの超インフレ会計適用がマイナス要因となったものの、適切な需要の取り込みと価格転嫁による増収が奏功したことで、営業利益は3億61百万円(前年同期比10.6%増)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べて20.5%増加し、629億9百万円となりました。これは商品及び製品が63億38百万円増加した他、建物及び構築物(純額)が10億92百万円増加したこと等によるものです。
(負債)
負債合計は前連結会計年度末と比べて19.6%増加し、285億94百万円となりました。これは主に短期借入金が47億74百万円増加したことによるものです。
(純資産)
純資産合計は前連結会計年度末に比べて21.2%増加し、343億15百万円となりました。これは利益剰余金が33億円増加した他、為替換算調整勘定が26億2百万円増加したことによるものです。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ2億26百万円増加し、74億46百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、21億18百万円の減少(前年同期は32億21百万円の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益50億36百万円、棚卸資産の増加額69億35百万円等が主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、10億10百万円の減少(前年同期は12億10百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出9億57百万円等が主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、28億37百万円の増加(前年同期は26億20百万円の減少)となりました。これは主に短期借入金の増加額46億90百万円等が要因であります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
アジア事業
産業資材事業
3,710,260
87.1
北米事業
12,843,053
141.2
欧州・南米事業
3,553,303
139.9
合計
20,106,618
126.5
(注)1 上記金額は製造原価によっております。
2 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
アジア事業
産業資材事業
16,283,977
100.8
スポーツ・建設資材事業
5,645,849
116.3
その他事業
396,749
161.1
北米事業
26,124,300
170.6
欧州・南米事業
3,905,737
158.9
合計
52,356,613
134.2
(注)1 上記金額は実際仕入価格によっております。
2 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
c.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
アジア事業
産業資材事業
783,713
102.5
241,545
81.4
スポーツ・建設資材事業
4,164,379
98.9
1,089,480
75.1
合計
4,948,093
99.4
1,331,025
76.2
(注)1 上記金額は連結子会社であるクリヤマジャパン㈱の工事完成高(工事進行基準を適用しているものを含む)に係るものを表示しております。
2 製造子会社は、販売計画に基づく生産計画によって生産しており、受注生産は行っておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
アジア事業
産業資材事業
18,303,828
103.4
スポーツ・建設資材事業
10,632,412
112.3
その他
739,499
116.7
北米事業
37,039,894
134.3
欧州・南米事業
4,760,232
114.3
合計
71,475,868
120.0
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 販売実績の内、工事完成高(工事進行基準を適用しているものを含む)は以下のとおりであります。
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
金額(千円)
アジア事業
産業資材事業
663,671
838,857
スポーツ・建設資材事業
4,313,445
4,525,109
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績
① 売上高
当連結会計年度における売上高は、714億75百万円(前年同期比20.0%増)となりました。売上高の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照下さい。
② 売上総利益
当連結会計年度における売上総利益は、205億94百万円(前年同期比19.3%増)となりました。主な増加要因としましては、売上高の増加によるものであります。
③ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、160億34百万円(前年同期比23.8%増)となりました。主な
増加要因としましては、運賃荷造費や給与手当の増加によるものであります。
④ 営業利益
当連結会計年度における営業利益は、45億60百万円(前年同期比6.0%増)となりました。主な増加要因としましては、売上高が増加したことによるものであります。
⑤ 経常利益
当連結会計年度における経常利益は、49億71百万円(前年同期比4.0%増)となりました。主な増加要因としましては売上高が増加した他、持分法による投資利益が増加したことによるものであります。
⑥ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、50億36百万円(前年同期比4.2%減)となりました。主な減少要因としましては、債務免除益が剥落したことによるものであります。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、36億37百万円(前年同期比4.5%減)となりました。
2)財政状態
当連結会計年度における財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
3)流動性及び資金の源泉
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
② 資金需要
当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。
運転資金需要のうち主なものは商社として機能するための商品の仕入、製造子会社では製品を製造するための材料仕入、製造費、共通するものとして販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては、主に工場設立などによる建物や機械装置等固定資産購入によるものであります。
③ 財務政策
当社グループは現在、運転資金につきましては、内部資金より充当し、不足が生じた場合は短期借入金で調達を行っております。また、設備資金につきましては、設備資金計画に基づき調達計画を作成し、内部資金で不足する場合は、長期借入金等により調達を行っております。
なお、海外子会社につきましては、運転資金、設備資金とも、直接邦銀現地法人等より調達を行っております。
4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されており、その作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告数値及び収益、費用の報告数値について影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は過去の実績や状況に応じた合理的な見積り、判断及び仮定により継続的に検証し意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響を含めた重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。