【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績の分析当第3四半期連結累計期間の売上高は1兆6,771億円(前年同期比3,145億円・23.1%増加)、営業利益は1,742億円(同196億円・12.6%増加)、経常利益は1,900億円(同294億円・18.3%増加)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,331億円(同39億円・2.9%減少)でした。第3四半期連結累計期間としては、売上高・営業利益・経常利益は過去最高となりました。なお、当第3四半期連結累計期間の為替換算レートは、米ドル128円(前年同期比19円の円安)、ユーロ136円(同6円の円安)でした。売上高は、半導体等電子部品の調達難や新型コロナウイルス感染症によるロックダウンの影響がありましたが、レジャー需要継続による先進国での船外機販売増加や、新興国の経済回復により二輪車販売が前年比で増加したことで増収となりました。営業利益は、原材料価格や物流費、人件費が高騰した一方で、コストダウンや価格転嫁を進めたこと、加えて円安によるプラスの効果もあり、増益となりました。
セグメント別の概況
〔ランドモビリティ〕売上高1兆853億円(前年同期比2,033億円・23.0%増加)、営業利益662億円(同58億円・9.6%増加)となりました。二輪車事業では、各国で新型コロナウイルス感染症の規制が緩和され、経済活動の回復が進んだことにより需要が増加しました。当社の販売台数も、インド・中国・インドネシアなどで増加し、増収となりました。営業利益は、原材料価格高騰、半導体等部品不足は継続しているものの、代替部品の調達開始と高付加価値モデルの優先的な生産、価格転嫁、加えて円安によるプラスの効果により、増益となりました。RV(四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル(ROV)、スノーモビル)では、需要は引き続き旺盛ですが、部品調達難が続いています。販売台数は減少しましたが、重点モデルのWolverine RMAXシリーズは前年を上回りました。加えて、円安によるプラスの効果もあり増収となりました。一方、営業利益は米国生産拠点における原材料価格や人件費の高騰により、減益となりました。電動アシスト自転車では、上海ロックダウンの影響による部品不足で生産遅れが発生し、販売台数は減少しました。足元では改善傾向にあり、コストアップに対して価格転嫁を進めましたが、第1四半期連結会計期間にバッテリーのリコールに伴う製品保証引当金を計上したこともあり、減収・減益となりました。
〔マリン〕売上高3,987億円(前年同期比962億円・31.8%増加)、営業利益843億円(同197億円・30.5%増加)となりました。アウトドアブームは依然続いており、船外機需要は先進国で堅調に推移しました。日本から米国への安定した船積みが継続し、当社も販売台数が増加しました。ウォータービークルでは、高い需要が継続しているものの、部品調達難による生産遅れが発生し、販売台数が減少しました。マリン事業全体では、当第3四半期連結会計期間より価格転嫁が進んだことに加え、円安によるプラスの効果が高まったことで、増収・増益となりました。
〔ロボティクス〕売上高878億円(前年同期比7億円・0.8%減少)、営業利益109億円(同29億円・20.9%減少)となりました。サーフェスマウンターは、中国では上海ロックダウンの影響と内需冷え込みで需要が減少しましたが、欧米では堅調に推移しました。当社の販売は、車載系などの回復で国内販売が増加したものの、半導体等部品不足や中国・台湾・韓国の設備投資の冷え込みの影響を受け、減収となりました。半導体装置市場では、家電など一般消費者向け製品の設備投資需要が減少しましたが、車載系の需要は継続しました。ヤマハロボティクスホールディングス株式会社は、半導体市況全体が調整局面に入ったこともあり減収となりましたが、収益性の改善が進み、増益となりました。ロボティクス事業全体では減収、加えて部材・物流費の高騰により減益となりました。
〔金融サービス〕売上高446億円(前年同期比87億円・24.2%増加)、営業利益135億円(同15億円・10.0%減少)となりました。米国やブラジルで販売金融債権が増加し、増収となりました。営業利益は、利上げ影響により調達コストが増加したこと、前年は一過性要因として貸倒引当費用が減少していたことから、減益となりました。
〔その他〕売上高606億円(前年同期比71億円・13.2%増加)、営業損失7億円(前年同期:営業利益9億円)となりました。ゴルフカーで高価格帯の売上が増加し、増収となりましたが、原材料価格高騰や固定費増加などにより、減益となりました。
なお、各セグメントの主要な製品及びサービスは以下のとおりです。
セグメント
主要な製品及びサービス
ランドモビリティ
二輪車、中間部品、海外生産用部品、四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル、スノーモビル、電動アシスト自転車、電動車いす、自動車用エンジン、自動車用コンポーネント
マリン
船外機、ウォータービークル、ボート、プール、漁船・和船
ロボティクス
サーフェスマウンター、半導体製造装置、産業用ロボット、産業用無人ヘリコプター
金融サービス
当社製品に関わる販売金融及びリース
その他
ゴルフカー、発電機、汎用エンジン、除雪機
(2) 財政状態の分析当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前期末比4,124億円増加し、2兆2,454億円となりました。流動資産は、堅調な需要を背景とした売掛金の増加や、部品調達難による生産遅延等で棚卸資産が増加したことなどにより同3,165億円増加しました。固定資産は、販売金融債権の増加や米国での新リース会計基準適用開始による使用権資産の増加などにより同959億円の増加となりました。負債合計は、運転資金の増加等による有利子負債の増加などにより同2,447億円増加し、1兆1,770億円となりました。純資産合計は、配当金の支払419億円、自己株式の取得200億円、親会社株主に帰属する四半期純利益1,331億円、為替換算調整勘定の増加953億円などにより同1,677億円増加し、1兆684億円となりました。これらの結果、自己資本比率は45.2%(前期末:46.9%)、D/Eレシオ(ネット)は0.26倍(同:0.21倍)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕税金等調整前四半期純利益1,946億円(前年同期:1,716億円)や減価償却費431億円(同:373億円)、仕入債務の増加181億円(同:61億円の増加)などの収入に対して、棚卸資産の増加519億円(同:460億円の増加)、法人税等の支払額441億円(同:229億円)、販売金融債権の増加385億円(同:90億円の減少)、売上債権の増加154億円(同:52億円の増加)などの支出により、全体では1,012億円の収入(同:1,408億円の収入)となりました。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕投資有価証券の売却による収入223億円(前年同期:150億円の収入)などがありましたが、固定資産の取得による支出537億円(同:452億円の支出)、投資有価証券の取得による支出104億円(同:31億円の支出)などにより、364億円の支出(同:286億円の支出)となりました。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕配当金の支払や自己株式の取得などによる支出がありましたが、有利子負債の増加などにより20億円の収入(前年同期:746億円の支出)となりました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間のフリー・キャッシュ・フローは648億円のプラス(前年同期:1,122億円のプラス)、現金及び現金同等物の四半期末残高は3,536億円(前期末比:787億円の増加)となりました。当第3四半期連結会計期間末の有利子負債は6,119億円(同:1,534億円の増加)となりました。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は、762億円となりました。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 生産、受注及び販売の実績当第3四半期連結累計期間において、マリンセグメントにおける販売が著しく増加しました。これは、主に船外機の販売台数が増加したことや、円安によるプラスの効果によるものです。詳細は、「(1)経営成績の分析」をご参照ください。
#C7272JP #ヤマハ発動機 #輸送用機器セクター