【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1)
経営成績の状況
①事業全体の状況
当第2四半期連結累計期間(令和5年1月1日~令和5年6月30日)における日本経済は、金融引き締めに伴う欧米経済減速の影響があるものの、輸入物価の低下により収益環境が改善したことに加え、半導体不足が緩和されたことにより自動車生産に持ち直しの動きが見られるなど、景況感は改善に向かいました。先行きについても、半導体不足の緩和から自動車産業を中心に景況感の改善が見込まれます。 このような環境下で当社及び連結子会社は、いつの時代もお客様や社会から必要とされる企業を目指し、「業界『最速』『最短』『最良』の納品を実現できる会社になりたい。」等、11項目の「ありたい姿」(能力目標)実現のための取組みを継続しました。当社は「がんばれ!!日本のモノづくり」を企業メッセージに掲げ、プロツールの供給を通じて、お客様にとって最高の利便性を提供することが、結果として社会貢献につながると考えています。また環境活動や社会活動・ガバナンスも含めた未来への取組みとして「やさしさ、未来へ」基本方針の下、トラスコの事業活動が社会価値と企業価値の両方を生み出すものとする「TSV活動(TRUSCO Shared Value)」に取り組んでいます。サプライチェーン全体の最適化・合理化を図る主な取組みとして、究極の即納を実現する置き薬ならぬ置き工具「MROストッカー」の導入、在庫アイテム数や商品データ保有数の拡充、AI見積「即答名人」[見積自動化システム]の利用推進、欠品・欠量を防ぐための在庫最適化、プライベート・ブランド商品のブラッシュアップ、修理工房「直治郎」の取組み強化を実施しました。これらの取組みに加え、「ニアワセ+ユーチョク」(荷物詰合わせ+ユーザー様直送)の利用促進を更に強化しました。当社は在庫を多数保有しているだけでなく、最先端の物流機器とデジタルを組み合わせて活用することで、複数の商品を1つの梱包に「ニアワセ(荷物詰合わせ)」し、ユーザー様に直送することが可能です。このサービスにより、納品リードタイムの短縮に加え、得意先様の配送業務や送料が削減できます。また、配送や梱包資材にかかる二酸化炭素排出量などの環境負荷を軽減することができ、環境保全につながる取組みとしてネット通販企業様を中心に高い評価を得ています。また令和5年1月に、当社社員の自律的な成長を促す機会を増やす取組みが評価され、厚生労働省が主催する「グッドキャリア企業アワード 2022」の大賞を受賞しました。加えて令和5年5月に、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」において、特に傑出した取組みを制度開始当初から継続している企業として「DXプラチナ企業2023-2025」に選定されました。この結果、当第2四半期連結累計期間における売上高は1,313億90百万円(前年同四半期比8.9%増)となりました。また、急速に物価の高騰が進む中、価格改定前に仕入れた在庫商品を改定価格で販売した影響などにより、粗利率が21.5%(前年同四半期は21.0%)と上昇したことに加え、前期に臨時賞与を支給した反動や、物流機器にかかる減価償却費が減少したことなどにより販売費及び一般管理費が減少したことで、営業利益は91億56百万円(前年同四半期比54.3%増)、経常利益は92億69百万円(前年同四半期比50.8%増)となりました。また、当社が保有する投資有価証券の一部について、帳簿価額に比べて実質価額が下落したことによる投資有価証券評価損や、令和3年12月に売却した土地の一部土壌の廃棄にかかる費用(概算)など、特別損失として4億14百万円を計上し、親会社株主に帰属する四半期純利益は60億66百万円(前年同四半期比42.7%増)となりました。
②セグメントごとの経営成績1)ファクトリールート(製造業、建設関連業等向け卸売)ファクトリールートにおいては、全国に28か所ある物流センター及び全国に29か所ある在庫保有支店による欠品・欠量対策などの在庫施策を実施し、得意先様の利便性向上に努めました。また、ユーザー様の工場に、置き薬ならぬ置き工具「MROストッカー」を設置することで、工場内でいつでも商品の調達が可能となるサービスの拡大や、サプライチェーン全体の物流コストや手間を大幅に削減できる「ニアワセ+ユーチョク」(荷物詰合わせ+ユーザー様直送)、リユースの促進につながる修理サービスの修理工房「直治郎」の取組みを強化するなど、環境負荷の軽減にもつながる営業活動を行いました。これらの活動により、環境保全の取組みを加速するとともに、得意先様の課題を迅速に解決することで、売上高の増加につながりました。また、商品分類別では、生産工場の稼働に係るハンドツールや作業用品、環境安全用品などの売上高が増加しました。
その結果、売上高は895億93百万円(前年同四半期比6.4%増)、経常利益は68億18百万円(前年同四半期比58.2%増)となりました。
2)eビジネスルート(ネット通販企業等向け販売)
eビジネスルートにおいては、約348万アイテムに及ぶ商品データベースと得意先様のシステムとの連携を強化することで当社への商流集約が進みました。また、4か所の物流センターに6ライン導入しているI-Pack®(アイパック)[高速自動梱包出荷ライン]を活用し、サプライチェーン全体の物流コストや手間を大幅に削減できるユーザー様直送サービスも売上高増加に寄与しました。これらの活動により、eビジネスに必要な高品質のサービスを提供することで、お客様の利便性が向上し、売上高の増加につながりました。また、商品分類別では、生産工場の稼働に係るハンドツールや作業用品、設備投資に係る工事用品などの売上高が増加しました。その結果、売上高は289億11百万円(前年同四半期比14.5%増)、経常利益は20億91百万円(前年同四半期比32.1%増)となりました。
3)ホームセンタールート(ホームセンター、プロショップ等向け販売)
ホームセンタールートにおいては、建築現場などで働くユーザー様をターゲットとしたプロショップなど、各得意先様に対し売場の改善提案や商品納入権の獲得に向けた営業活動を強化しました。また、ホームセンター各社がEC事業を強化していることから、当社の約57万アイテムに及ぶ在庫と物流設備を活用したサービスを積極的に提案しました。これらの活動により、得意先様のリアルとネットを融合したビジネスへの需要に応えることができ、売上高の増加につながりました。また、商品分類別では、作業用品や環境安全用品などの受注が増え、売上高増加に寄与しました。その結果、売上高は117億4百万円(前年同四半期比14.7%増)、経常利益は2億16百万円(前年同四半期比126.9%増)となりました。
4)海外ルート(連結子会社業績、諸外国向け販売)海外ルートにおいては、連結子会社であるTRUSCO NAKAYAMA CORPORATION(THAILAND)LIMITED 及びPT.TRUSCO NAKAYAMA INDONESIAの業績と海外部の諸外国向け販売を含めています。連結子会社では、在庫アイテムの見直しによりリードタイムを短縮し、また現地得意先様及び仕入先様の開拓を進め、販売活動を強化しました。さらに、海外部の諸外国向け販売では、アジア太平洋地域を中心にEC企業との口座を開設するなど、取引を拡大しました。 その結果、売上高は11億80百万円(前年同四半期比17.4%増)、経常利益は51百万円(前年同四半期比24.8%増)となりました。
(2)
財政状態の状況
[資産]資産合計は、前連結会計年度末に比べ61億67百万円増加の2,313億75百万円(前連結会計年度末比2.7%増)となりました。その主な要因は、売掛金が6億30百万円増加、商品が37億81百万円増加、建設仮勘定が31億2百万円増加、現金及び預金が44百万円減少したことによるものです。[負債]負債合計は、前連結会計年度末に比べ10億14百万円増加の752億19百万円(前連結会計年度末比1.4%増)となりました。その主な要因は、買掛金が4億51百万円増加、未払法人税等が5億90百万円増加したことによるものです。[純資産]純資産合計は、前連結会計年度末に比べ51億53百万円増加の1,561億55百万円(前連結会計年度末比3.4%増)となりました。その主な要因は、利益剰余金が親会社株主に帰属する四半期純利益60億66百万円の計上により増加し、配当金15億49百万円の支払により減少したことによるものです。自己資本比率は前連結会計年度末の67.1%から67.5%となりました。
(3)
キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ3億15百万円減少し、390億85百万円(前連結会計年度末は394億円)となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、62億96百万円の収入(前年同四半期連結累計期間は65億8百万円の収入)となりました。その主な要因は、税金等調整前四半期純利益88億55百万円、減価償却費31億70百万円、売上債権の減少1億12百万円、仕入債務の増加4億37百万円の収入に対し、棚卸資産の増加36億53百万円、法人税等の支払額23億15百万円の支出によるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、51億48百万円の支出(前年同四半期連結累計期間は34億61百万円の支出)となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出39億28百万円(プラネット愛知マテハン設備設置工事費及び本町セントラルビル改修にかかる工事費の支払など)、無形固定資産の取得による支出9億43百万円(ソフトウエア構築費の支払など)によるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、15億48百万円の支出(前年同四半期連結累計期間は10億22百万円の支出)となりました。その主な要因は、配当金の支払15億48百万円によるものです。