【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1)
経営成績の状況
①事業全体の状況当第1四半期連結会計期間(令和5年1月1日~令和5年3月31日)における日本経済は、非製造業の景況感は改善しつつあるものの、製造業の景況感は、海外経済の減速による需要の下振れなどから悪化しました。先行きについても、金融引き締めに伴う海外経済減速への警戒感から、引き続き慎重とならざるを得ない状況といえます。
このような環境下で当社及び連結子会社は、いつの時代もお客様や社会から必要とされる企業を目指し、「業界『最速』『最短』『最良』の納品を実現できる企業になりたい。」等、11項目の「ありたい姿」(能力目標)実現のための取組みを継続しました。当社は「がんばれ!!日本のモノづくり」を企業メッセージに掲げ、プロツールの供給を通じて、お客様にとって最高の利便性を提供することが、結果として社会貢献につながると考えています。また環境活動や社会活動・ガバナンスも含めた未来への取組みとして「やさしさ、未来へ」基本方針の下、トラスコの事業活動が社会価値と企業価値の両方を生み出すものとする「TSV活動(TRUSCO Shared Value)」に取り組んでいます。他社がマネできない圧倒的な利便性を実現するための取組みとして、究極の即納を実現する置き薬ならぬ置き工具「MROストッカー」の導入、在庫アイテム数や商品データ保有数の拡充、AI見積「即答名人」[見積自動化システム]の利用推進、欠品・欠量を防ぐための在庫最適化、プライベート・ブランド商品のブラッシュアップ、修理工房「直治郎」の取組み強化など、サプライチェーン全体の合理化と最適化を図りました。これらの取組みに加え、「ニアワセ(荷物合わせ)」・「ユーチョク(ユーザー様直送)」の利用促進を更に強化しました。当社は在庫を多数保有しているだけでなく、最先端の物流機器を駆使することで、複数の商品を1つの梱包に「ニアワセ(荷物合わせ)」し、ユーザー様に直送することが可能です。このサービスにより、納品リードタイムの短縮に加え、得意先様の配送業務や送料が削減できます。また、配送や梱包資材にかかる二酸化炭素排出量などの環境負荷を軽減することができ、環境保全につながる取組みとしてネット通販企業様を中心に高い評価を得ています。また令和5年1月に、当社社員の自律的な成長を促す機会を増やす取組みが評価され、厚生労働省が主催する「グッドキャリア企業アワード 2022」の大賞を受賞しました。社員一人ひとりが自覚を持って仕事と向き合い、多様でユニークな視点で自ら考え、改善・改革をし続ける人材づくりを行い、社員個人の成長を企業の成長につなげています。この結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は659億83百万円(前年同四半期比7.9%増)となりました。一方、上昇した仕入価格の販売価格転嫁のタイムラグなどにより粗利率が20.1%(前年同四半期は21.1%)となりましたが、物流機器にかかる減価償却費が減少したことなどにより販売費及び一般管理費が減少し、営業利益は39億15百万円(前年同四半期比12.3%増)、経常利益は39億72百万円(前年同四半期比8.2%増)、令和3年12月に売却した土地の一部土壌の廃棄にかかる費用(概算)として特別損失78百万円を計上したため、親会社株主に帰属する四半期純利益は26億75百万円(前年同四半期比5.6%増)となりました。
②セグメントごとの経営成績1)ファクトリールート(製造業、建設関連業等向け卸売)ファクトリールートにおいては、全国に28か所ある物流センター及び全国に29か所ある在庫保有支店による欠品・欠量対策などの在庫施策を実施し、得意先様の利便性向上に努めました。また、ユーザー様の工場に、置き薬ならぬ置き工具「MROストッカー」を設置することで、工場内でいつでも商品の調達が可能となるサービスの拡大や、サプライチェーン全体の物流コストや手間を大幅に削減できる「ニアワセ(荷物合わせ)」・「ユーチョク(ユーザー様直送)」、リユースの促進につながる修理サービスの修理工房「直治郎」の取組みを強化するなど、環境負荷の軽減にもつながる営業活動を行いました。これらの取組みにより、環境保全の取組みを加速するとともに、得意先様の課題を迅速に解決することで、売上高の増加につながりました。また、商品分類別では、主に生産工場の稼働に係るハンドツールや作業用品、設備投資に係る工事用品などの売上高が増加しました。その結果、売上高は452億68百万円(前年同四半期比5.0%増)、経常利益は30億3百万円(前年同四半期比17.0%増)となりました。
2)eビジネスルート(ネット通販企業等向け販売)
eビジネスルートにおいては、3,376社の仕入先様との協業を基軸に、約331万アイテムに及ぶ商品データベースと得意先様のシステムとの連携を強化し、得意先様毎のご要望に合わせた物流加工を行いました。また、4か所の物流センターに6ライン導入しているI-Pack®(アイパック)[高速自動梱包出荷ライン]を活用し、ユーザー様への直送のニーズにお応えしました。これらの取組みにより、eビジネスに必要な高品質のサービスを提供することで、お客様の利便性が向上し、売上高の増加につながりました。また、商品分類別では、生産工場の稼働に係るハンドツールや、設備投資に係る工事用品などの売上高が増加しました。 その結果、売上高は145億18百万円(前年同四半期比14.4%増)、経常利益は8億56百万円(前年同四半期比6.8%減)となりました。
3)ホームセンタールート(ホームセンター、プロショップ等向け販売)
ホームセンタールートにおいては、建築現場などで働くユーザー様をターゲットとしたプロショップなど、各得意先様に対し売場の改善提案や商品納入権の獲得に向けた営業活動を強化しました。また、ホームセンター各社がEC事業を強化していることから、当社の約57万アイテムに及ぶ在庫と物流設備を活用したサービスを積極的に提案しました。これらの取組みにより、得意先様のリアルとネットを融合したビジネスへの需要に応えることができ、売上高の増加につながりました。また、商品分類別では、作業用品やハンドツールなどの受注が増え、売上高増加に寄与しました。その結果、売上高は56億43百万円(前年同四半期比16.2%増)、経常利益は51百万円(前年同四半期比18.6%減)となりました。
4)海外ルート(連結子会社業績、諸外国向け販売)海外ルートにおいては、連結子会社であるTRUSCO NAKAYAMA CORPORATION(THAILAND)LIMITED 及びPT.TRUSCO NAKAYAMA INDONESIAの業績と海外部の諸外国向け販売を含めています。連結子会社では、在庫アイテムの見直しによりリードタイムを短縮し、また現地得意先様及び仕入先様の開拓を進め、販売活動を強化しました。さらに、海外部の諸外国向け販売では、アジア太平洋地域を中心にEC企業との口座を開設するなど、取引を拡大しました。その結果、売上高は5億52百万円(前年同四半期比13.1%増)、経常利益は19百万円(前年同四半期比11.8%減)となりました。
(2)
財政状態の状況
(資産)資産合計は、前連結会計年度末に比べ39億60百万円増加の2,291億68百万円(前連結会計年度末比1.8%増)となりました。その主な要因は、売掛金が22億17百万円増加、商品が12億58百万円増加、建設仮勘定が28億21百万円増加、現金及び預金が8億11百万円減少、電子記録債権が12億16百万円減少したことによるものです。(負債)負債合計は、前連結会計年度末に比べ26億13百万円増加の768億19百万円(前連結会計年度末比3.5%増)となりました。その主な要因は、買掛金が34億50百万円増加、賞与引当金が7億1百万円増加、未払金が7億26百万円減少、未払法人税等が11億56百万円減少したことによるものです。(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末に比べ13億46百万円増加の1,523億49百万円(前連結会計年度末比0.9%増)となりました。その主な要因は、利益剰余金が親会社株主に帰属する四半期純利益26億75百万円の計上により増加し、配当金15億49百万円の支払により減少したことによるものです。自己資本比率は前連結会計年度末の67.1%から66.5%となりました。