【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間における我が国の経済は、不安定な国際情勢によるエネルギーや原材料価格の上昇、また継続的な円安による物価高の影響によって個人消費を下押ししていることから、景気の先行きは予断を許さないものの、新型コロナウイルス感染症による社会活動への影響が落ち着き、感染症法上の分類が第5類に引き下げられるなど、活動制限等が緩和されたことによってレジャー消費をはじめとした経済活動においては回復基調にあります。
このような経営環境の下で、当社グループは「生活文化創造企業」の経営理念の下、近年で新たに発生した社会的ニーズを含めた幅広い社会課題の解決を事業機会と捉え、他にない製品やサービスの開発と事業化に努めてまいりました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の経営成績は、売上高14,801百万円(前年同期比1.8%増)、営業利益1,674百万円(同1.2%減)、経常利益1,778百万円(同0.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,199百万円(同3.0%減)と、前期に比べ売上高は増加したものの、ポーラスマテリアルセグメントにおける減価償却費の増加やファインケミカルセグメントにおける販売ミックスの変化、原材料費や水道光熱費の増加により原価が上昇したことで、増収減益となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(ファインケミカル)
自動車販売において、新車販売は、半導体不足の改善や車両搭載品の代替などが進んだことで生産が回復基調にあり、前期を上回りました。中古車販売は、新車販売の回復に伴い販売車両が増加したことで前期を上回りました。
国内の小売業界では、ホームセンターをはじめとした量販店の来店客数が減少傾向にあるものの、猛暑が続いたことや活動制限等の緩和による外出機会の増加によって、夏の季節商材やレジャー用品の販売が好調に推移しました。
また、カー用品専門店においても、来店客数が減少傾向にあるものの、外出機会増加に伴う既存車のメンテナンス需要を背景にオイルやバッテリーの販売が好調に推移したことに加え、新車の販売回復によって車内小物やインテリアの販売が堅調に推移しております。
①一般消費者向け販売(自動車分野)
ボディケア製品は、足回り製品の新製品ディグロスシリーズや9月に発売開始したレインドロップトルネードヴォルテックスの出荷が好調だったことなどにより、前期を上回りました。
ガラスケア製品は、猛暑の影響を受けて店頭でのセルアウトが低調に推移したことや、ワイパー製品は得意先での新規導入があった前期に対して今期は在庫補充に留まったことで、前期を下回りました。
リペア製品は、価格改定によって利益率は改善したものの、一部の得意先で出荷が進まなかったことや、猛暑の影響により腰を据えて行う補修機会が減少したことで前期を下回りました。
一般消費者向け販売全体では、ボディケア製品で好調だったものの、ガラスケア製品やリペア製品での減少をカバーするには至らず、一般消費者向け販売全体では前期を下回りました。
②業務用製品販売(自動車分野・産業分野)
新車向け製品販売は、新車の販売回復の影響を受けて出荷が増加していることと、当社ブランドの業務用コーティング製品の値上げを実施したことによって前期を上回りました。OEM製品では、新車の販売回復の影響に加えて高付加価値品の出荷が好調に推移したことで、前期を上回りました。
また、中古車向け製品販売は、中古車販売が好調だったことや、得意先での積極的なアプローチにより高付加価値製品を使用した施工機会が増加したことで前期を上回り、業務用製品販売全体でも前期を上回りました。
③家庭用製品販売(生活分野)
主力のメガネケア製品では、コロナ禍の時に比べてマスクの着用意識が低下したことや記録的な猛暑の影響もあり、くもり止め製品において店頭での売り場が縮小しました。また、秋以降は売り場でも風邪企画の立ち上げにより、陳列アイテムの絞り込みがあったことで販売が低調に推移し、前期を下回りました。
OEM製品においては、くもり止め製品の需要減速の影響から得意先での受注時期ずれが継続したことによって、前期を下回りました。その結果、家庭用製品販売全体では、前期を下回りました。
④海外向け販売(自動車分野)
中国では、プロモーションが奏功しガラスケア製品が好調に推移したことで、前期を上回りました。
中国を除く東アジアでは、韓国においてレインドロップが、昨年の初期導入に対しリピートにとどまったことや、台湾においても撥水剤の出荷が減少したことにより、前期を下回りました。
東南アジアでは、前期の第4四半期で出荷が好調だった反動によって、現地での販売が低調に推移し在庫調整が行われたことで前期を下回りました。
ロシアでは、ウクライナ侵攻の継続により当社製品の出荷は前期に引き続き低調に推移しております。
欧州エリアでは、現地での物価高に伴う消費意欲の低下により販売が低調に推移したことや、前期の巣ごもり消費需要に伴って好調だったボディケア製品の需要が減少したことで、前期を下回りました。
南米エリアでは、主要仕向け地であるブラジルで降水量多かったことによりガラスケア製品の出荷が好調に推移し、前期を上回りました。
現地での販売のスピードが鈍化したことで前期を下回るエリアが多かったものの、中国や南米エリアでの出荷が好調だったことと、他社商品の販売増加によって、海外向け販売全体では前期を上回りました。
⑤TPMSの企画開発販売(自動車分野)
トラックの新車供給の回復を受けて、取付台数が増加したことや既存取付車両への整備・メンテナンスサービス売上が伸長したことにより、前期を上回りました。
⑥電子機器・ソフトウエア開発販売(産業分野)
半導体関連部品の入荷状況が不安定だった前期に比べて改善しつつあるものの、一部の部材供給が遅延していることで出荷が伸び悩み、前期を下回りました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間のファインケミカル事業の売上高は、一般消費者向け製品や家庭用製品販売において販売が減少したものの、海外向け販売が好調だったことや、新車販売回復の影響を受けて業務用製品販売やTPMSの企画開発販売が好調に推移したことなどにより、7,354百万円(同3.4%増)となりました。また、営業利益は、海外販売の伸長による販売ミックスの変化や、海外への出荷増加に伴う貿易保険料の増加、基幹システムの更新に伴い情報端末更新を実施したことなどにより、943百万円(同0.9%減)となりました。
(ポーラスマテリアル)
①産業資材部門(産業分野)
半導体市場は、5GやIoTの進展に伴い潜在的な需要は継続するものの、HDD需要の減退などデジタル関連需要の減少やそれに伴う在庫調整により、市場回復に時間を要しています。今後においては予測しづらい状況ではあるものの、日本国内においては、半導体の新工場設立をはじめ、新たな需要が生まれることが期待されます。
国内向け販売は、主力の半導体向けが堅調に推移しており、フィルターやプリンター用途においては、値上げ実施以降も需要が継続したことで、前期を上回りました。HDD向けは得意先での生産調整が長期化していることで前期を下回ったものの、国内向け販売全体では前期を上回りました。
海外向け販売は、半導体向けにおいて米国への出荷は堅調に推移しているものの、台湾や韓国は主要メーカーの減産の影響を受けたことで、海外向け販売全体では前期を下回りました。
医療向け販売は、国内において、感染症対策としての利用拡大が一部沈静化したことでシート関連製品の出荷に落ち着きが見られたものの、体外検査薬フィルターや薬液塗布材など新たな需要が拡大したことや、海外において吸液材をはじめとした製品で他社からの置き換えが進んだことにより、医療向け販売全体でも前期を上回りました。
海外における半導体向け販売の落ち込みがあったものの、国内での半導体向け販売や医療向け販売が好調だったことで産業資材部門全体でもわずかに前期を上回りました。
②生活資材部門(自動車分野・生活分野)
国内向け販売は、家庭用製品において量販店での売り場展開が縮小したことにより低調に推移したものの、スポーツ用製品が好調だったことや、新車販売の回復に伴い自動車向けOEM製品の出荷が好調に推移した結果、前期を上回りました。
海外向け販売は、コロナ禍からの回復基調にある韓国向けが好調に推移したものの、主力仕向け地である米国において急激なインフレによる生活必需品以外の消費停滞の影響で、販売が減少した分をカバーするに至らず、前期を下回りました。生活資材部門全体においては、海外向け販売での減少を国内向け販売がカバーしたことで前期を上回りました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間のポーラスマテリアル事業の売上高は4,057百万円(同0.5%増)となりました。また、原材料価格やエネルギー価格の上昇の影響に加えて設備増強による減価償却費の増加、販売費及び一般管理費においても、人件費や研究費などが増加したことによって、営業利益は491百万円(同8.7%減)となりました。
(サービス)
①自動車整備・鈑金事業(自動車分野)
鈑金事業では、入庫台数は前期をやや下回ったものの、業務効率化や見積精度の向上、修理用の部品供給が回復したことで中程度以上の事故車の出庫が進み、前期を上回りました。美装事業においても、新車の販売回復の影響から自動車用プロテクションフィルムにかかる施工・物販が好調に推移したことで、自動車整備・鈑金事業全体では前期を上回りました。
②自動車教習事業(自動車分野)
入所者数については前期並みに推移しており、運輸・旅客向けの職業用免許や企業研修の需要が高まりつつあるものの、特需の影響を受けていた普通車免許の需要が落ち着いたことや運行管理における受託先が減少したことにより、前期をわずかに下回りました。
③生活用品企画販売事業(生活分野)
一部生協において物価上昇に伴う消費者の買い控えの影響を受けたことや、感染症法上の分類の第5類引き下げに伴う外出機会が増加によって通販需要が減少したことなどにより、生協向けでの採用アイテム数は増加したものの販売数が減少したことで、前期を下回りました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間のサービス事業の売上高は、自動車整備・鈑金事業での売上が好調だったものの、自動車教習事業や生活用品企画販売事業での落ち込みをカバーするには至らず、2,653百万円(同2.0%減)となりました。また、営業利益は55百万円(同37.1%減)となりました。
(不動産関連)
①不動産賃貸事業(生活分野)
保有物件において入居数が増加し稼働率が改善しつつあるものの、わずかに前期を下回りました。
②温浴事業(生活分野)
行動制限の解除に伴う各種集客イベントの再開により来場者が増加したことや、コロナ期間は低調であった飲食利用が増加したことなどによって、前期を上回りました。
③介護予防支援事業(生活分野)
感染症法上の分類の第5類に引き下げなどコロナ禍から回復基調にあり、平均利用者数が増加したことで、前期を上回りました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の不動産関連事業の売上高は735百万円(同7.5%増)となりました。また、営業利益は179百万円(同59.3%増)となりました。
当第2四半期連結会計期間末の財政状態の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、61,468百万円(前連結会計年度末は60,377百万円)となり、1,091百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が268百万円増加したことや、ファインケミカルセグメントの海外向け販売が好調だったことにより売上債権が290百万円増加したこと、棚卸資産が347百万円増加したこと、償却が進み建物及び構築物が174百万円減少したこと、ポーラスマテリアルセグメントにおいて設備投資を実施したことなどにより、機械装置及び運搬具が332百万円増加したことなどによるものです。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における負債は、7,811百万円(前連結会計年度末は7,604百万円)となり、207百万円増加いたしました。これは主に、仕入債務が188百万円減少したことや、未払金及び未払費用が194百万円増加したこと、未払法人税等が117百万円増加したこと、金融市場が好調に推移し保有株式等の含み益が増加したことなどで繰延税金負債が61百万円増加したこと、ESОPの実施に伴う長期借入金が53百万円減少したことなどによるものです。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産は、53,656百万円(前連結会計年度末は52,772百万円)となり、884百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が781百万円増加したことや、その他有価証券評価差額金が140百万円増加したことなどによるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、1,289百万円の流入(前年同期は900百万円の流入)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益が1,772百万円、減価償却費が440百万円、ファインケミカルセグメントの海外向け販売が好調だったことにより売上債権が289百万円、棚卸資産が347百万円増加したことや法人税等の支払額462百万円などを要因としております。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、396百万円の流出(前年同期は915百万円の流出)となりました。これは主に、ポーラスマテリアルセグメントでの設備投資などで有形固定資産の取得による支出458百万円を要因としております。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、533百万円の流出(前年同期は414百万円の流出)となりました。これは主に配当金の支払額417百万円や自己株式の取得による支出80百万円などを要因としております。
以上の結果、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は20,174百万円となり、前連結会計年度末と比較して360百万円増加いたしました。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、重要な変更及び新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。
(5) 研究開発活動
当社グループは多様化、高度化、精密化した顧客のニーズに対応していくため、ファインケミカル事業とポーラスマテリアル事業において、製品の研究開発を進めております。
当第2四半期連結累計期間における研究開発活動の状況及び研究開発費の金額は次のとおりであります。
なお、当第2四半期連結累計期間における研究開発費の総額は306百万円であります。
(ファインケミカル)
当事業における当第2四半期連結累計期間の研究開発費は157百万円となっております。
なお、当第2四半期連結累計期間において、特許の登録は4件です。
当事業の研究開発活動は合計9名で行っております。
(ポーラスマテリアル)
当事業における当第2四半期連結累計期間の研究開発費は149百万円となっております。
なお、当第2四半期連結累計期間において、特許の登録は0件です。
当事業の研究開発活動は合計30名で行っております。
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