【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症に起因する活動制限が緩和されたことで、経済活動の正常化が進んでおります。しかし世界的な金融資本市場の変動や原油不足、円安が継続していることで依然として先行きの不透明感は強まっております。
このような経営環境の下で、当社グループは「生活文化創造企業」の経営理念の下、コロナ禍によって新たに発生した社会的ニーズを含めた幅広い社会課題の解決を事業機会と捉え他にない製品やサービスの開発と事業化に努めてまいりました。
その結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高22,470百万円(前年同期比2.7%増)、原材料及び光熱費が上昇した影響を受け、営業利益2,601百万円(同11.8%減)、経常利益2,750百万円(同11.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,904百万円(同9.9%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(ファインケミカル)
自動車販売において、新車販売は半導体の搭載量が少ない車両を中心に生産が徐々に回復しつつあるものの、半導体不足や部品の安定供給に時間を要していることから、乗用車及び軽自動車の新車販売は第3四半期累計では前期を下回りました。中古車販売は、新車供給の長納期化に伴い需要が中古車に移行しているものの、下取り車が減少していることで販売可能な車両が不足している状況が継続し、前期を下回りました。
国内の小売業界においては、ホームセンターなどの量販店では、暖房用品や防寒用品、除雪用品などの季節商材の販売が好調に推移しましたが、物価高騰により消費者が生活防衛的な消費にシフトしており、前期に比べやや低調に推移しております。
カー用品専門店では、来店客数は前年に比べやや低調だったものの、既存車を乗り続ける為に必要な車両メンテナンスの需要が高まったことで、タイヤやオイル製品の販売が堅調に推移しました。
①一般消費者向け販売(自動車分野)
ボディケア製品は、レジャーの活発化によりホームセンターなどの量販店や、専門店への来客者数及び家庭での洗車機会が減少したことから、洗車関連製品の販売が低調に推移し、前期を下回りました。
ガラスケア製品は、ワイパーでは既存の得意先において売り場の獲得が進んだことや、メンテナンス需要の高まりによって販売が好調に推移したものの、撥水剤では洗車機会の減少に伴うセルアウトの不調で販売が低調に推移し、ガラスケア全体では前期を下回りました。
リペア製品は、今期は既存の得意先において売り場の獲得が進んだものの、巣ごもり消費需要の落ち着きに伴い、前期を下回りました。
②業務用製品販売(自動車分野・産業分野)
新車向けの製品販売は、上半期は新車販売低迷の影響で当社ブランドの業務用コーティング剤の販売は低調だったものの、一部のメーカーでは新車販売が回復傾向にあることや、高価格帯である高機能製品の販売構成比が上がったことで、ОEM製品の販売は好調に推移しました。その結果、新車向けの製品販売全体では前期を上回りました。
また、中古車向け製品販売は、中古車流通量が減少傾向にあるものの、当社ブランドの業務用コーティング剤の価格改定実施により単価が上がったことで前期を上回り、業務用製品販売全体では前期を上回る結果となりました。
③家庭用製品販売(生活分野)
主力のメガネケア製品では、コロナ禍初期では除菌関連製品の需要増加に伴い「メガネのシャンプー」の新規顧客獲得につながりました。また今期は、外出機会増加に伴い洗浄ニーズが高まっております。これらの影響から詰替え用製品が好調に推移しました。
一方、くもり止め製品では、需要の一巡によりマスク関連製品や企画の導入数が減少しました。また11月の気温が平年に比べ高かったことで企画の追加導入が後ろ倒しになり、前期を下回りました。
OEM製品においても、くもり止め製品の需要が落ち着いたことで前期を下回り、家庭用製品販売全体では前期を下回る結果となりました。
④海外向け販売(自動車分野)
中国では、国内での一時的なロックダウンや新型コロナウイルスの感染者数が増加傾向にあったものの、販売への影響は限定的でした。販路別の販売促進活動を強化したことでガラスケア製品を中心に好調に推移し、前期を上回りました。
中国を除く東アジアでは、台湾においては、前期に引き続きSNSを活用したプロモーションの実施や、量販店向けの企画が成功し上期以降も販売が好調に推移しました。また、韓国においては、今期より上市した化学品規制に対応した処方のボディケア製品「レインドロップ」の売上が好調だったことや、ガラスケア製品の販売も好調に推移したことで、東アジア全体でも前期を上回りました。
東南アジアでは、上期以降もミャンマーやベトナムへの出荷が増加したことや、EC販売を強化し始めたマレーシアでの出荷が引き続き好調だったことにより、東南アジア全体では前期を上回りました。
ロシアでは、ウクライナ侵攻により当社製品の出荷は、前期からの受注残の出荷を除き販売が減少しました。
欧州エリアでは、ウクライナ侵攻に起因する物流不安から上期以降も景気が減速し、一部の国への出荷が落ち込んだことで前期を下回りました。
その他エリアでは、主要仕向け地であるブラジルにおいて、現地での在庫調整に伴い出荷が落ち込んだことで前期を下回りました。
海外向け販売全体では、ロシアや欧州エリア等での販売減少をアジア圏の販売でカバーしたことにより、前期を上回る結果となりました。
⑤TPMSの企画開発販売(自動車分野)
第3四半期はOEM製品の出荷が進み前期と同水準で推移したものの、一部トラックメーカーの出荷停止に伴う新車販売向け製品の出荷の落ち込みをカバーしきれず、前期を下回る結果となりました。
⑥電子機器・ソフトウエア開発販売(産業分野)
3Gの停波に伴う4Gへの通信規格切り替え需要や新規案件の受注は好調に推移しております。また、前期は製品を構成する半導体関連部材の供給が滞っていた影響から、製造・出荷を見合わせておりました。今期はコネクタなどの入荷が不安定ではあるものの、状況はやや改善しており、前期を上回る結果となりました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間のファインケミカル事業の売上高は、新車販売低迷に伴うTPMSの企画開発販売の落ち込みや、コロナ禍から経済社会活動の正常化が進んだことにより、一般消費者向け販売の巣ごもり消費需要や家庭用製品販売に落ち着きが見られたものの、業務用製品販売や海外向け販売、電子機器・ソフトウェア開発販売が好調に推移したことで、11,121百万円(同0.2%増)となりました。また、営業利益は、原材料や光熱費高騰の影響に加え、販売ミックスの変化により原価率が上昇したことで、1,434百万円(同17.4%減)となりました。
(ポーラスマテリアル)
①産業資材部門(産業分野)
半導体市場は5GやIoTの進展に伴い潜在的な需要は継続するものの、電子デバイスの需要が一巡したことや広告収益モデルのITサービスが設備投資を凍結した影響でHDDの落ち込みにより低い成長率に留まる見込みで、著しく高かった需要が落ち着き始めている状況です。
国内向け販売は、主力の半導体製造用途分野で一部在庫調整が発生し、前期をやや下回りました。また、医療用途向け販売は、医療用フィルターの出荷が好調でしたが前期に比べ器械類の出荷が落ち込みました。その他の販売については、空圧機器やフィルターが好調だったものの、コロナ禍の回復に伴い前期に比べてインク吸収体の需要が落ち着きました。これらの結果から、国内向け販売は前期を下回りました。
海外向け販売は、コロナ禍以前と比べると高い水準で半導体需要が継続しており、メモリ向けが前期並み、プロセス向けは出荷が好調に推移し、大手以外の半導体メーカーにおいても出荷が増加しております。医療用途においても吸液材等の用途で他社品からの切替えが進んだことで前期を上回る結果となり、産業資材部門全体でも前期を上回りました。
②生活資材部門(自動車分野・生活分野)
国内向け販売は、自動車用製品は専門店を中心にセルアウトが不調だったものの、上期に続き家庭用製品の販売が好調だったことやスポーツ向け製品の需要がコロナ禍以前の水準に回復したことで、前期を上回りました。
海外向け販売は、コロナ禍からの回復基調にあるインドネシアや韓国への出荷が好調だったものの、主力仕向け地である米国において、急激なインフレによる生活必需品以外の消費停滞の影響で販売が減少したことにより、前期を下回りました。生活資材部門全体では、海外向け販売の減少を国内向け販売がカバーしたことで、前期を上回りました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間のポーラスマテリアル事業の売上高は6,206百万円(同7.4%増)となりました。また、営業利益は、原材料や光熱費高騰による変動費の上昇や、新工場の稼働開始に伴う減価償却発生による原価上昇に加え、販売増加に伴う物流費や人件費の増加により、832百万円(同4.0%減)となりました。
(サービス)
①自動車整備・鈑金事業(自動車分野)
鈑金事業では、自動車の修理単価は前期と同水準で推移しています。入庫台数の回復には至っていないものの、滞っていた部品供給が一部回復したことで出庫台数や修理単価が一時的に増加し、前期を上回りました。美装事業においては、自動車用プロテクションフィルムにかかる施工・物販が好調に推移したことで、全体でも前期を上回る結果となりました。
②自動車教習事業(自動車分野)
普通車の入所者数については、前期は緊急事態宣言などの影響から外出を制限され、時間のできた学生の入所が増加したため、休日や時間外に教習時間を追加することで対応しておりました。今期は職業用免許の取得需要が高まるなど、コロナ禍の影響は徐々に弱まりつつあり、高齢者講習や企業研修についても受講者数が回復しましたが、教習事業全体では特需対応のため教習数を増やしていた前期を下回る結果となりました。
③生活用品企画販売事業(生活分野)
コロナ禍で急激に高まった通販需要は落ち着きを見せている中、1アイテム当たりの販売数量は前期並みの水準を維持しておりましたが、マスク関連商品の特需がなくなったことで、前期を下回る結果となりました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間のサービス事業の売上高は、生活用品企画販売事業や、教習事業においてコロナ禍の影響が緩和されたことによる特需がなくなったものの、自動車整備・鈑金事業での出庫台数の増加や美装事業の強化で売上をカバーしたことにより4,097百万円(同0.5%増)となりました。また、営業利益は人件費や燃料費高騰により原価が増加したことや、人件費や販売促進費等の販管費が増加したことにより160百万円(同5.1%減)となりました。
(不動産関連)
①不動産賃貸事業(生活分野)
保有物件において一部賃貸における事務所の撤退などが発生したことで、前期を下回る結果となりました。
②温浴事業(生活分野)
前期は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されたことにより、営業時間の短縮やアルコール提供中止などの対応を行っておりました。今期は、通常通りの営業活動を行えていることに加え、コラボイベントなどの実施により新規利用者も増加したことから来場者数が回復傾向にあり、前期を上回る結果となりました。
③介護予防支援事業(生活分野)
コロナ禍が長引いていたことから、登録者数は低水準で推移しております。下期以降は感染者が増加傾向にあることで全体の利用者数が減少し、前期を下回る結果となりました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の不動産関連事業の売上高は1,045百万円(同13.8%増)となりました。また、営業利益は、温浴施設での光熱費高騰の影響により167百万円(同1.3%減)となりました。
当第3四半期連結会計期間末の財政状態の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、60,078百万円(前連結会計年度末は59,231百万円)となり、847百万円増加いたしました。これは主に、売上債権が904百万円増加したことや棚卸資産が364百万円増加したことに加え、ポーラスマテリアルの新工場完成により建設仮勘定が1,006百万円減少し、建物及び構築物が1,655百万円増加したことと、現金及び預金が1,239百万円減少したことなどによるものです。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債は、7,597百万円(前連結会計年度末は7,839百万円)となり、242百万円減少いたしました。これは主に、ファインケミカルにおいて海外への販売が好調であったことで仕入債務が194百万円増加したことや、「従業員持株会支援信託ESОP」の開始に伴い長期借入金が323百万円増加した一方で、設備未払金の支払に伴い、未払金及び未払費用が649百万円減少したことや、未払法人税等が426百万円減少したことなどによるものです。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、52,481百万円(前連結会計年度末は51,391百万円)となり、1,089百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が1,112百万円増加したことなどによるものです。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、重要な変更及び新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。
(4) 研究開発活動
当社グループは多様化、高度化、精密化した顧客のニーズに対応していくため、ファインケミカル事業とポーラスマテリアル事業において、製品の研究開発を進めております。
当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の状況及び研究開発費の金額は次のとおりであります。
なお、当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、439百万円であります。
(ファインケミカル)
当事業における当第3四半期連結累計期間の研究開発費は210百万円となっております。
なお、当第3四半期連結累計期間において、特許出願は2件、実用新案出願が2件、特許の登録は0件、実用新案登録数が1件ありました。
当事業の研究開発活動は合計7名で行っております。
(ポーラスマテリアル)
当事業における当第3四半期連結累計期間の研究開発費は229百万円となっております。
なお、当第3四半期連結累計期間において、特許出願は2件、実用新案出願は2件、特許の登録は1件、実用新案登録数は2件ありました。
当事業の研究開発活動は合計27名で行っております。
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