【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症に起因する活動制限が緩和されたことで、経済社会活動の正常化が進んでおります。しかし、世界的な原油不足や円安が継続していることから、原材料費や燃料費の価格は高止まりしており、個人消費や企業活動においてもその影響は大きく、依然として先行きの不透明感は強まっております。
このような経営環境の下で、当社グループは「生活文化創造企業」の経営理念の下、コロナ禍によって新たに発生した社会的ニーズを含めた幅広い社会課題の解決を事業機会と捉え、他にない製品やサービスの開発と事業化に努めてまいりました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の経営成績は、売上高14,542百万円(前年同期比2.7%増)、営業利益1,694百万円(同10.1%減)、経常利益1,784百万円(同10.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,237百万円(同7.2%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(ファインケミカル)
自動車販売において、新車販売は、上海でのロックダウンが6月に解除されたことで各部品の供給網が回復しつつあるものの、安定供給化に至るまでには時間を要していることから、乗用車及び軽自動車の新車販売は第2四半期累計では前期を下回りました。中古車販売は、新車供給の長納期化に伴い需要が中古車に移行しているものの、下取り車数が減少したことで販売可能な車両が不足している状況が続いており、中古車販売も前期を下回っております。
国内の小売業界においては、ホームセンターなどの量販店では、防災関連用品の販売が好調に推移しました。また、新型コロナウイルス感染症拡大防止への警戒心が低下していることから、夏物商材やレジャー用品の消費が増加した一方、衛生用品やインテリア用品などの巣ごもり消費需要によりプラスの影響を受けた製品の販売が落ち着きました。それに加えて、物価高騰により、消費者が生活防衛的な消費にシフトしつつあり、前期に比べやや低調に推移しております。
カー用品専門店では、活動制限が緩和されたことでロングドライブの機会が増加したことや、新車供給の停滞により、既存車のメンテナンス需要が高まったことから、オイルやバッテリーなどのメンテナンス製品の販売が好調に推移しました。また、タイヤの値上げ前の駆け込み需要により、タイヤやホイールの販売も好調に推移いたしました。
①一般消費者向け販売(自動車分野)
ボディケア製品は、レジャーの活発化によりホームセンターなどの量販店や、専門店への来客者数及び家庭での洗車機会が減少したことから、洗車関連製品の販売が低調に推移し、前期を下回りました。
ガラスケア製品は、ワイパーでは既存の得意先において売り場の獲得が進んだことで販売が好調に推移したものの、撥水剤ではセルアウトの不調で販売が低調に推移し、ガラスケア全体では前期を下回りました。
リペア製品は、今期は既存の得意先において売り場の獲得が進んだものの、巣ごもり消費需要の落ち着きに伴い、前期を下回りました。
②業務用製品販売(自動車分野・産業分野)
新車向けの製品販売は、新車販売低迷の影響により当社ブランドの業務用コーティング剤の販売は低調だったものの、一部自動車メーカーでは生産が回復傾向にあることや高価格帯である高機能製品の販売構成比が上がったことで、ОEM製品の販売は好調に推移しました。その結果、新車向けの製品販売全体では前期を上回りました。
また、中古車向け製品販売は、中古車流通量が減少しているものの、当社ブランドの業務用コーティング剤の価格改定の実施もあり、業務用製品販売全体では前期を上回る結果となりました。
③家庭用製品販売(生活分野)
主力のメガネケア製品では、一昨年のコロナ禍初期では除菌関連製品の需要増加に伴い「メガネのシャンプー」の新規顧客獲得につながりました。また今期は、外出機会増加に伴い洗浄ニーズが高まっております。これらの影響から詰替え用製品が好調に推移しました。一方、くもり止め製品では、企画の早期立ち上げや企画導入の確定が遅れたことに加え、需要の一巡により企画売場が減少したことに伴い、マスク関連製品の導入数が減少したことで、前期を下回りました。
OEM製品においても、くもり止め製品の需要が落ち着いたことで前期を下回り、家庭用製品販売全体では前期を下回る結果となりました。
④海外向け販売(自動車分野)
中国では、国内でのロックダウンが度々実施されたものの、販売への影響は限定的でした。販路別の販売促進活動を強化したことでガラスケア製品を中心に好調に推移し、前期を上回りました。
中国を除く東アジアでは、台湾においては、前期に引き続きSNSを活用したプロモーションを実施したことや、量販店向けの企画が成功したことで販売が好調に推移しました。また、韓国においては、化学品規制に対応した処方のボディケア製品「レインドロップ」を今期より上市し、その売上が好調に推移したことから、東アジア全体でも前期を上回りました。
東南アジアでは、経済活動の再開に伴いミャンマーやベトナムへの出荷が増加したことや、EC販売を強化し始めたマレーシアでの出荷が引き続き好調だったことにより、東南アジア全体では前期を上回りました。
ロシアでは、ウクライナ侵攻により当社製品の出荷は、前期からの受注残の出荷を除き大幅に減少となりました。
欧州エリアでは、ウクライナ侵攻に起因する物流不安から景気が減速し、一部の国への出荷が落ち込んだことで前期を下回りました。
その他エリアでは、主要仕向け地であるブラジルにおいて、現地語版製品の販売拡大やプロユース関連製品の新規開拓により出荷が好調に推移したことで、前期を上回りました。
海外向け販売全体では、欧州エリアでの販売減少分をアジア圏を中心とした他エリアでカバーしたことで、前期を上回る結果となりました。
⑤TPMSの企画開発販売(自動車分野)
一部トラックメーカーの出荷停止に伴い、新車への装着予定であった製品の出荷が後ろ倒しとなったことで出荷が減少し、前期を下回る結果となりました。
⑥電子機器・ソフトウエア開発販売(産業分野)
3Gの停波に伴う4Gへの通信規格切り替え需要や新規案件の受注は好調に推移しております。また、前期は製品を構成する半導体関連部材の供給が滞っていた影響から、製造・出荷を見合わせておりました。今期はコネクタなどの部品の入荷が不安定ではあるものの、状況はやや改善しており、前期を上回る結果となりました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間のファインケミカル事業の売上高は、海外向け販売や電子機器・ソフトウエア開発販売が好調に推移したものの、コロナ禍から経済社会活動の正常化が進む中で、巣ごもり消費需要が落ち着いたことや、TPMSの企画開発販売が苦戦したこと、家庭用製品販売の売上高が落ち着いたことなどにより、7,112百万円(同1.4%減)となりました。また、営業利益は、原材料や光熱費高騰の影響や、販売ミックスの変化により原価率が上昇したことから、販売費及び一般管理費において、営業活動の強化に伴い増加傾向にあった営業費用を抑えたものの、売上総利益の減少を補うには至らず、952百万円(同17.5%減)となりました。
(ポーラスマテリアル)
①産業資材部門(産業分野)
半導体市場は、前期に比べるとその成長率は下がるものの、依然成長を維持することが予測されています。
国内向け販売は、主力の半導体製造用途分野において一部在庫調整なども発生しておりましたが、前期並みの水準で推移しました。医療用途においても医療用フィルター各種の需要が増加したことから出荷が好調に推移しておりましたが、前期はコロナ禍からの回復に伴い出荷が重なったインク吸収体の出荷が今期は落ち着いたことから、前期を下回る結果となりました。
海外向け販売は、旺盛な半導体需要を背景に、東アジアへの半導体洗浄用途製品の出荷が好調だったことや、HDDの研磨、二次電池用途向けで銅箔用砥石の出荷が順調に推移したことに加え、医療用途においても吸液材等の用途で他社品からの切替えが進んだことで、前期を上回る結果となり、産業資材部門全体でも前期を上回りました。
②生活資材部門(自動車分野・生活分野)
国内向け販売は、自動車用製品は専門店を中心にセルアウトが不調であったことに加え、OEM製品の出荷も苦戦しましたが、家庭用製品において製品認知度の向上に伴い、販売が好調に推移したことから、前期を上回る結果となりました。
海外向け販売は、主力仕向け地である米国において、急激なインフレに起因した生活必需品以外への消費停滞などの影響により、現地出荷が進まず苦戦しておりましたが、インドネシアや韓国向けの出荷が重なったことで全体の売上をカバーし、前期を上回る結果となりました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間のポーラスマテリアル事業の売上高は4,038百万円(同10.9%増)となりました。また、営業利益は、原材料や光熱費高騰による変動費の上昇や、新工場の稼働開始に伴う減価償却発生といった原価上昇要因による影響はあったものの、上記、売上高の増加により538百万円(同1.6%増)となりました。
(サービス)
①自動車整備・鈑金事業(自動車分野)
自動車の修理単価は、前期と同程度の水準で推移しているものの、入庫台数の回復には至っておりません。一方、美装事業において自動車用プロテクションフィルムにかかる施工・物販が好調に推移したことから、全体では前期を上回る結果となりました。
②自動車教習事業(自動車分野)
普通車の入所者数については、前期は緊急事態宣言などの影響から外出を制限され、時間のできた学生の入所が増加したため、休日や時間外に教習時間を追加することで対応しておりましたが、今期は一転して社会人の構成比が高まるなど、コロナ禍の影響は徐々に弱まりつつあります。また、高齢者講習や企業研修についても受講者数が回復しているものの、特需対応のため教習数を増やしていた前期を下回る結果となりました。
③生活用品企画販売事業(生活分野)
コロナ禍で急激に高まった通販需要は落ち着きを見せている中、1アイテム当たりの販売数量は前期並みの水準を維持しておりましたが、マスク関連商品の特需がなくなったことで、前期を下回る結果となりました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間のサービス事業の売上高は、自動車整備・鈑金事業が美装事業の強化により売上を伸ばした一方、生活用品企画販売事業や、教習事業においてコロナ禍の影響が緩和されたことによる需要減をカバーしきれず、2,707百万円(同0.2%減)となりました。また、営業利益は87百万円(同10.1%減)となりました。
(不動産関連)
①不動産賃貸事業(生活分野)
保有物件において一部賃貸における事務所の撤退などが発生したことで、前期を下回る結果となりました。
②温浴事業(生活分野)
前期は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されたことにより、営業時間の短縮やアルコール提供中止などの対応を行っておりました。今期は、通常通りの営業活動を行えていることに加え、コラボイベントなどの実施により新規利用者も増加したことから来場者数が回復傾向にあり、前期を上回る結果となりました。
③介護予防支援事業(生活分野)
コロナ禍が長引いていたことから、登録者数は低水準で推移しております。また、新型コロナウイルス感染症が拡大傾向になると欠席者数が増加することから、全体の利用者数が減少し、前期を下回る結果となりました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の不動産関連事業の売上高は684百万円(同17.0%増)となりました。また、営業利益は112百万円(同11.2%増)となりました。
当第2四半期連結会計期間末の財政状態の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、60,211百万円(前連結会計年度末は59,231百万円)となり、980百万円増加いたしました。これは主に、売上債権が205百万円増加したことや棚卸資産が426百万円増加したこと、ポーラスマテリアルの新工場完成により建物及び構築物が1,710百万円増加した一方、現金及び預金が429百万円減少し、建設仮勘定が1,148百万円減少したことなどによるものです。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における負債は、7,969百万円(前連結会計年度末は7,839百万円)なり、130百万円増加いたしました。これは主に、ファインケミカルにおいて海外への販売が好調であったことから、仕入債務が222百万円増加したことや、未払金及び未払費用が151百万円増加したこと、未払法人税等が108百万円減少したことや、役員退職慰労引当金が113百万円減少したことなどによるものです。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産は、52,241百万円(前連結会計年度末は51,391百万円)となり、849百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が846百万円増加したことなどによるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、900百万円の流入(前年同期は999百万円の流入)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益が1,777百万円、減価償却費が373百万円となったこと、棚卸資産が425百万円増加したことや法人税等の支払額641百万円などを要因としております。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、915百万円の流出(前年同期は707百万円の流出)となりました。これは主に、ポーラスマテリアルの新工場建設などに伴って有形固定資産の取得による支出860百万円が発生したことや、投資有価証券の取得による支出700百万円、また投資有価証券の売却及び償還による収入701百万円を要因としております。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、414百万円の流出(前年同期は522百万円の流出)となりました。これは主に配当金の支払額390百万円を要因としております。
以上の結果、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は19,459百万円となり、前連結会計年度末と比較して425百万円減少いたしました。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、重要な変更及び新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。
(5) 研究開発活動
当社グループは多様化、高度化、精密化した顧客のニーズに対応していくため、ファインケミカル事業とポーラスマテリアル事業において、製品の研究開発を進めております。
当第2四半期連結累計期間における研究開発活動の状況及び研究開発費の金額は次のとおりであります。
なお、当第2四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、286百万円であります。
(ファインケミカル)
当事業における当第2四半期連結累計期間の研究開発費は135百万円となっております。
なお、当第2四半期連結累計期間において、特許の登録は0件です。
当事業の研究開発活動は合計8名で行っております。
(ポーラスマテリアル)
当事業における当第2四半期連結累計期間の研究開発費は151百万円となっております。
なお、当第2四半期連結累計期間において、特許の登録は1件です。
当事業の研究開発活動は合計27名で行っております。
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