【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の分析 当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続する中、各国における経済活動再開の動き等により景気に持ち直しの動きが見られるものの、サプライチェーンの混乱やウクライナ情勢の影響等を背景とした各種価格の高騰、急速な為替の変動など、景気の先行き不透明な状況が続いているものと考えられます。
このような経営環境下にあって、当社グループは、2020年4月よりスタートした第8次中期経営計画において、「100年企業への3rd Stage -持続成長につながる盤石な経営基盤の確立-」を経営コンセプトに掲げ、デジタルトランスフォーメーション(DX)の動きに対応すべく、成長ドライブへの戦略投資を推進するとともに、各部門の強みの相乗効果による断トツの競争優位性の確立に努めてまいりました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の経営成績は、売上高は60,455百万円(前年同期比9.3%増)、営業利益5,604百万円(同24.3%増)、経常利益6,244百万円(同25.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益3,703百万円(同15.1%増)となりました。
(経営成績のポイント)・アマノ単体は、各社のDXへの取組みや業務効率改善に向けたシステム投資が旺盛となっている中で「働き方改革」の追い風も継続し、情報システムがソフトウエアを中心に伸長したほか、環境システムは堅調な工作機械の受注動向により伸長継続。一方で、パーキングシステムは持ち直しの動きがあり増収となるも、上期計画は大幅未達。・国内グループ会社では、駐車場管理受託事業が好調でコロナ前の業績に近づいたほか、就業管理のクラウドサービスは顧客からの引き合いが増え引続き伸長。・海外では、円安効果もあり、北米、欧州、アジアともに増収。このうちアジア地域では、中国がロックダウンの影響を受けて環境システムを中心に業績が下振れたものの、韓国や香港でパーキングシステムが伸長し、全体では二桁の増収。 セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。
時間情報システム事業
当事業の売上高は、44,707百万円で、前年同期比4,326百万円の増収(10.7%増)となりました。事業部門別の状況は以下のとおりであります。
・情報システム 14,596百万円(前年同期比8.5%増) 当事業部門は、国内では2019年4月の働き方改革関連法施行後、2024年に適用業種の拡大が予定される中、生産性の向上や多様な人材活用に加え、テレワーク等による労働スタイルの変化により、人事労務管理に対する企業のデジタル化、ネットワーク化に引続き注目が集まっております。 当社はこのような市場環境において、「HR(Human Resources)のアマノ」として就業・給与・人事の3in1に入室・セキュリティを加え、システムの所有から利用までのトータルソリューション提案活動の強化に取り組んでまいりました。 当期の国内実績は、アマノ単体が前期に比べ、ソフトウェアは560百万円増収(14.3%増)、ハードウェアは38百万円減収(3.3%減)、メンテ・サプライは82百万円増収(3.8%増)となりました。ソフトウェアの増収は、中堅・大規模向け「TimePro-VG」の受注が堅調なことに加え、中小規模向け「TimePro-NX」に回復が見られたことによるものです。ハードウェアの減収は、各社のオフィス面積縮小等の影響を受けたことによるものです。アマノビジネスソリューションズ社が展開するクラウドサービスは、引続き堅調に推移いたしました。 海外の実績は、北米のアキュタイムシステムズ社、欧州のホロクオルツ社ともに増収となり、海外全体では495百万円増収(前年同期比8.6%増)となりました。
・時間管理機器 1,305百万円(前年同期比1.7%増) 当事業部門は、標準機の恒常的な需要がある一方で、低価格化の動きが継続しております。 当社はこのような市場環境において、使いやすさの向上と機能を強化した勤怠管理ソフト付きタイムレコーダー「TimeP@CKシリーズ」の拡販に注力するとともに、ユーザークラブ(有償会員サービス)による顧客基盤の拡充に取り組んでまいりました。また、Wi-Fi機能を標準搭載しクラウド接続も可能な小型タイムレコーダーによる新たな利用方法の提案を行ってまいりました。 当期の国内実績は、前期に比べ、標準機は増収となったものの、勤怠管理ソフト付きタイムレコーダーが減収となり、全体では74百万円減収(6.9%減)となりました。 海外の実績は、北米、アジアが増収となり、海外全体では109百万円増収(前年同期比41.5%増)となりました。 ・パーキングシステム 28,805百万円(前年同期比12.3%増) 当事業部門は、国内では駐車場運営の効率化や管理コストの削減、駐車場利用者への利便性向上、場内の安全・安心の取り組みやインターネットとの連携による予約や決済、チケットレスやキャッシュレスによる非接触のシステム等、駐車場経営に求められるニーズは益々多様化しております。 当社はこのような市場環境において、大手駐車場管理会社との連携を一層強化するとともに、中小駐車場管理会社には駐車場データセンターを介した各種サービスの提供などに注力してまいりました。また、車番チケットレスシステム等新たな決済方法への対応も行うことでシステム機器の機能・操作性の向上を図り、駐車場運営の効率化提案や駐車場利用者へのサービス向上提案を強化してまいりました。併せて、駐輪場、セキュリティゲートシステム、有料道路等の市場拡大にも取り組んでまいりました。 当期の国内実績は、アマノ単体が前期に比べ、受注が回復しつつあるものの管理会社向け案件の減少等により駐車場機器は262百万円減収(4.9%減)、メンテ・サプライは389百万円増収(9.1%増)となりました。アマノマネジメントサービス社による運営受託事業は、回復基調が続き増収、受託車室数は投資の継続により前期末比26,700台増加(4.1%増)となりました。 海外の実績は、北米のアマノマクギャン社が増収、アジアは韓国、香港等の運営受託事業が増収となり、海外全体では2,669百万円増収(前年同期比25.5%増)となりました。
環境関連システム事業
当事業の売上高は、15,747百万円で、前年同期比801百万円の増収(5.4%増)となりました。事業部門別の状況は以下のとおりであります。
・環境システム 9,263百万円(前年同期比0.5%減) 当事業部門は、新型コロナウイルス感染症の影響で低迷が見られた設備投資需要は改善に向けた動きが出ているものの、中国における外出禁止措置や地政学リスクの悪化等により、事業環境に不透明感が出てきているものと考えられます。 当社はこのような市場環境において、国内では工作機械や電子部品、次世代自動車開発への投資が続く自動車関連企業を中心に汎用機の提案活動強化による需要の取り込みに注力するとともに、比較的需要の安定している製薬・食品・化粧品市場での受注拡大に取り組んでまいりました。海外では日系企業の投資動向を注視しながら、海外グループ会社との連携強化、エンジニアリング・販売・サービス体制強化、さらには現地調達の拡大によるコスト競争力の向上を進めてまいりました。 当期の国内実績は、アマノ単体が前期に比べ、堅調な工作機械受注を背景に汎用機は229百万円増収(7.0%増)、受注案件の減少により大型システムは167百万円減収(7.3%減)、メンテ・サプライは176百万円増収(9.2%増)となりました。 海外の実績は、中国における外出禁止措置の影響でアジアが減収となり、海外全体では265百万円減収(前年同期比15.6%減)となりました。
・クリーンシステム 6,484百万円(前年同期比15.0%増) 当事業部門は、企業の清掃コスト削減の動きが継続する中、ビルメンテナンス業界における作業員の人手不足問題に加え、コロナ禍における衛生意識の高まりに伴い、これまで以上に清掃作業の効率化と品質の向上、清掃ロボットの活用に対する提案ニーズが高まっております。 当社はこのような市場環境において、ロボット洗浄機「EGrobo」による清掃作業の自動化提案、安全性・操作性を向上した自動床面洗浄機「EGシリーズ」の拡販に加え、電解水生成装置を組み合わせた衛生管理向上提案等に取り組んでまいりました。 当期の国内実績は、アマノ単体が前期に比べ、自動床面洗浄機の増加により清掃機器は51百万円増収(5.7%増)、メンテ・サプライは20百万円減収(1.9%減)となりました。 海外の実績は、北米のアマノパイオニアエクリプス社が増収となり、海外全体では803百万円増収(前年同期比24.2%増)となりました。
(参考情報)
〔所在地別情報〕
(単位:百万円)
売上高
営業利益又は営業損失(△)
第2四半期累計期間
増減
増減率(%)
第2四半期累計期間
増減
増減率(%)
2022年3月期
2023年3月期
2022年3月期
2023年3月期
日本
34,372
35,628
1,256
3.7
5,516
6,663
1,147
20.8
アジア
9,130
11,289
2,158
23.6
181
584
402
221.3
北米
7,461
9,142
1,680
22.5
△238
△541
△302
―
欧州
4,952
5,095
142
2.9
710
659
△51
△7.2
計
55,917
61,155
5,237
9.4
6,170
7,366
1,196
19.4
消去又は全社
△590
△700
―
―
△1,660
△1,761
―
―
連結
55,327
60,455
5,128
9.3
4,509
5,604
1,095
24.3
(注) 1.国又は地域の区分は、地理的近接度によっております。2.本邦以外の区分に属する主な国又は地域(1)アジア……………シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、韓国、中国、フィリピン、ベトナム(2)北米………………アメリカ、カナダ、メキシコ(3)欧州………………フランス、ベルギー、スペイン
〔海外売上高〕
(単位:百万円)
海外売上高
連結売上高に占める海外売上高の割合(%)
第2四半期累計期間
増減
増減率(%)
第2四半期累計期間
増減
2022年3月期
2023年3月期
2022年3月期
2023年3月期
アジア
9,151
11,402
2,250
24.6
16.5
18.9
2.4
北米
7,059
8,520
1,460
20.7
12.8
14.1
1.3
欧州
4,750
4,980
229
4.8
8.6
8.2
△0.4
その他の地域
582
517
△65
△11.2
1.0
0.8
△0.2
計
21,544
25,420
3,876
18.0
38.9
42.0
3.1
連結売上高
55,327
60,455
(注) 1.国又は地域の区分は、地理的近接度によっております。2.本邦以外の区分に属する主な国又は地域(1)アジア……………シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、韓国、中国、フィリピン、ベトナム(2)北米………………アメリカ、カナダ(3)欧州………………フランス、ベルギー、スペイン(4)その他の地域……中南米3.海外売上高は、当社及び連結子会社の本邦以外の国又は地域における売上高であります。
(2) 財政状態の分析 総資産は、161,666百万円(前連結会計年度末比2,323百万円増加)となりました。・流動資産:原材料及び貯蔵品の増加等により1,358百万円増加・固定資産:リース資産(純額)の増加等により964百万円増加
負債は、44,786百万円(前連結会計年度末比1,715百万円増加)となりました。・流動負債:支払手形及び買掛金の増加等により1,162百万円増加・固定負債:リース債務の増加等により552百万円増加
純資産は、116,880百万円(前連結会計年度末比608百万円増加)となりました。・株主資本:配当金の支払や自己株式の取得等により3,969百万円減少・その他の包括利益累計額:為替換算調整勘定の増加等により4,478百万円増加
(3) キャッシュ・フローの状況 当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、55,621百万円と前連結会計年度末に比べ309百万円減少いたしました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、9,085百万円(前年同期比2,631百万円の収入の減少)となりました。・主な収入:税金等調整前四半期純利益6,216百万円の計上、売上債権及び契約資産の減少額4,328百万円の計上、減価償却費4,183百万円の計上・主な支出:法人税等の支払額3,330百万円の計上、棚卸資産の増加額1,937百万円の計上
投資活動によるキャッシュ・フローは、△1,818百万円(前年同期比657百万円の支出の減少)となりました。・主な収入:定期預金の払戻による収入2,046百万円の計上・主な支出:定期預金の預入による支出2,198百万円の計上
財務活動によるキャッシュ・フローは、△9,382百万円(前年同期比2,376百万円の支出の増加)となりました。・主な収入:セール・アンド・リースバックによる収入968百万円の計上・主な支出:配当金の支払額5,200百万円の計上、リース債務の返済による支出2,618百万円の計上、自己株式の取得による支出2,478百万円の計上
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は1,125百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因①
時間情報システム事業及び環境関連システム事業をグローバルに展開しておりますが、売上高及び営業利益への貢献割合は時間情報システム事業が高くなっております。当社グループの業績において高い割合を有する時間情報システム事業について、需要構造の激変、新市場の創出等により市場拡大が見込まれると予測された場合、異業種からの参入又は強力な競争相手の参入が予想されます。この場合、競争相手が当社を凌駕する革新的な製品やソリューションをもって参入してきたとき、当社グループの市場優位性が低下し、業績へ重大な影響を与えることがあります。②
グローバルな事業展開を進めており、海外に生産・販売拠点を保有しております。したがって、当社グループの業績は、海外での取引を円換算する際に、為替相場の変動により影響を受ける状況にあります。③
システム・ソリューションの提案やASP・SaaSサービス、ホスティングサービス等のクラウドビジネスを展開する中で、顧客及び顧客からお預かりした個人情報等の機密情報を取扱っておりますが、サイバー攻撃等の予期せぬ事態によりそれら機密情報や個人情報の紛失、漏洩が起きた場合には、信用の低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。④
大規模地震や世界的な気候変動に伴う風水害等が増加している状況であり、これらの自然災害発生時には、販売拠点である営業所及び製造拠点である事業所の損壊等、人的・物的被害を受ける可能性があります。また、感染症の拡大に伴う従業員の業務従事困難な状況の発生により、事業活動が一時的に継続できなくなる可能性があります。⑤
日本をはじめ北米・欧州・アジア各地域においてグローバルな事業展開を行っております。展開先の国・地域における独自の法令諸規則適用や政治変動による社会混乱、戦争・テロ・感染症発生等により、業務不能な状況となることも想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。⑥ 当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたって、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等に関して見積りを行っております。これらの見積りは、将来に関する一定の前提に基づいて作成しており、国内外の経済活動に多大な影響を与える可能性のある自然災害、感染症の感染拡大等予期せぬ事象の発生により、その前提と大きく異なる場合、業績に影響を与える可能性があります。
(7) 経営者の問題認識と今後の方針について当社は、「人と時間」「人と空気」の分野で新しい価値を創造し、安心・快適で健全な社会の実現に貢献することを経営理念としております。この経営理念のもと、経営環境の変化に対応した最適なガバナンス体制を機軸に、既存事業の拡大に加え中長期・グローバルな視点での新しい事業・市場を創出して持続成長を実現することにより企業価値の最大化を図ります。また、事業活動を通じて確保した適正な利益を継続的に還元して、「お客さま、取引先、株主、従業員、地域社会」の全てのステークホルダーに信頼され評価される企業を目指してまいります。2020年4月からスタートした第8次中期経営計画では、「100年企業への3rd Stage -持続成長につながる盤石な経営基盤の確立-」を経営コンセプトとして掲げ、「成長ドライブへの投資」「各部門の強みの相乗効果による断トツの競争優位性の確立」の2つの重要課題を実行し、本計画の最終年度である2023年3月期に売上高130,000百万円以上、営業利益16,500百万円以上の業績達成を目指してまいります。