【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により制限されていた社会経済活動が徐々に正常化へと向かい、個人消費は緩やかに持ち直しの動きがみられたものの、原油や原材料価格の高騰および急速な円安進行による物価上昇を受け、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。
国内の自動車関連業界の動向といたしましては、世界的な半導体不足の影響を受け減少していた新車生産台数は回復基調へ転じましたが、部品供給不足の影響は長期化しており、引き続き低水準で推移しております。加えて、中古車においては、下取り車の流通量の減少により登録台数は依然低迷しております。また、カー用品関連においても、原油や原材料価格の高騰などによる物価上昇の影響もあり、厳しい市場環境におかれております。
当社グループにつきましては、新型コロナウイルス感染拡大防止に努め、ご来店される地域の皆様、お取引先様、従事する従業員の健康と安全を最優先に、安心してご来店、就業できる環境整備に努めております。
このような環境下において当社グループは、社会・クルマ・人の暮らしの変化を捉え適応することで、市場競争力の向上に努めております。当社グループが向かうべき方向性を示す「5ヵ年ローリングプラン」では、より成長の可能性の高い領域への集中を図り、持続的成長と企業価値向上に向けてネットワークおよび事業基盤の強化と事業の推進をしております。
この結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高1,781億41百万円(前年同期比3.6%増加)、売上総利益598億20百万円(同4.3%増加)、販売費及び一般管理費500億8百万円(同3.0%増加)、営業利益98億11百万円(同11.4%増加)、経常利益98億69百万円(同4.5%増加)、親会社株主に帰属する四半期純利益70億38百万円(同14.3%増加)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
〔国内オートバックス事業〕
国内オートバックスチェン(フランチャイズ加盟法人店舗を含む)の全業態の売上高は、前年同期比で既存店4.2%の増加、全店4.4%の増加となりました。
国内オートバックスチェンでは、原油や原材料価格の高騰などによる物価上昇の影響が懸念されましたが、個人消費に持ち直しの動きがみられたことに加え、販売促進を強化したことなどにより、堅調に推移いたしました。特に、新車・中古車の登録台数が減少したことによる、既存車に乗り続けるために必要な車両のメンテナンス需要の高まりを受け、関連商品とそれにともなうサービス工賃が好調に推移いたしました。加えて、12月の寒波や降雪により冬季用品需要が前年同期と同じく高水準で推移いたしました。
タイヤについては、メーカー値上げを受け、5月と9月の二度にわたり店頭での価格改定をいたしましたが、品ぞろえや販売促進、既存車のメンテナンス需要により堅調に推移いたしました。さらに、12月の寒波や降雪の影響によりスタッドレスタイヤが好調で、売上が増加いたしました。カーエレクトロニクスについては、新車減産の影響による低迷が続き、売上が減少いたしました。オイルやバッテリーについては、効果的な販売促進に加えメンテナンス需要の高まりにより好調となりました。
プライベートブランドについては「AQ.(オートバックスクオリティ.)」を中心に展開を進めており、2022年9月に発売したAQ.のスタッドレスタイヤ「North Trek N5(ノーストレック エヌファイブ)」が好調となりました。また、心躍るガレージライフを提案するブランド「GORDON MILLER(ゴードンミラー)」を展開するなど、さまざまなお客様のニーズを捉えた価値ある商品の開発・販売を推進しております。
車検・整備については、より安全・安心に車を走らせたいというお客様のニーズを背景に、スキャンツールを使用して車両の状態を電子的に確認する車両診断のサービスが好調に推移いたしました。また、運転支援機能や自動運転機能が付いた先進安全自動車の整備を行う「自動車特定整備制度」への対応を進め、車検指定工場の全店が特定整備認証(電子制御装置整備)を取得しております。さらに、公式アプリの機能拡充により、簡単にピット作業予約が可能になるなど、お客様の利便性向上に向けた取り組みを推進しております。車検実施台数は、上期の車検対象車両台数の減少を背景とした厳しい市場環境により、前年同期比0.1%減少の約46万9千台となりました。
車買取・販売は、中古車の単価上昇や買取台数の増加を背景にオークションへの販売が好調に推移いたしました。これらにより、国内オートバックス事業における総販売台数は前年同期比12.3%増加の約24千2百台となりました。
国内における出退店は、新規出店が3店舗、退店が2店舗、業態変更が1店舗あり、2022年3月末から1店舗増加の589店舗となりました。
これらの結果により、国内オートバックス事業の売上高は1,381億5百万円(前年同期比3.4%増加)となり、セグメント利益は147億45百万円(前年同期比0.4%減少)となりました。
〔海外事業〕
海外事業における売上高は102億46百万円(前年同期比23.5%増加)、セグメント損失は1億33百万円(前年同期は2億17百万円のセグメント損失)となりました。
小売・サービス事業においては、ウクライナ情勢や世界的なインフレの影響を受けたものの、売上は増加し、卸売事業においては新規取引先の開拓などにより、売上が伸長いたしました。
フランスにおいては、インフレなどの影響を受けたものの、価格適正化などの対策を講じたことにより、売上が増加いたしました。シンガポールにおいては、メンテナンス需要の増加によりピットサービスが好調となり、売上が増加いたしました。マレーシアにおいては、116店舗に拡大したオーソライズドディーラーへの卸売が好調で、売上が大幅に増加いたしました。中国においては、ロックダウンの影響が強かったものの、12月以降の規制緩和により中国国内外への卸売が堅調に推移し、売上が増加いたしました。オーストラリアにおいては、カーエレクトロニクス商品や無線機が好調で、新たな卸売先の開拓や専売品の導入などの営業活動により、売上が増加いたしました。
海外における出退店は、新規出店が14店舗あり、2022年3月末の62店舗から76店舗となりました。
〔ディーラー・BtoB・オンラインアライアンス事業〕
ディーラー・BtoB・オンラインアライアンス事業における売上高は377億74百万円(前年同期比0.6%増加)、セグメント利益は7億7百万円(前年同期は25百万円のセグメント損失)となりました。
ディーラー事業は、世界的な半導体不足による新車減産の影響を強く受け売上が減少いたしましたが、効率的な運営に努め、前年同期を上回る営業利益を確保いたしました。2022年12月に電気自動車メーカーであるBYDの日本法人BYD Auto Japan株式会社とのディーラー契約を締結いたしました。これにより、株式会社オートバックス・ディーラーグループ・ホールディングスが運営する正規ディーラーは、BMW、MINI、AudiにBYDが加わり4ブランドとなります。
BtoB事業においては、社用車のメンテナンスやカー用品などの法人一括払いが可能となる「オートバックス法人会員制度」への加入件数が順調に増加いたしました。また、車検・整備・タイヤ販売を行う子会社やホイールの卸売を行う子会社においても、車両のメンテナンス需要と12月の寒波や降雪により、売上は堅調に推移いたしました。さらに、他業種への卸売の拡大を図るため、卸売専用プライベートブランド商品の開発を進めております。
オンラインアライアンス事業は、2022年11月にインターネットショッピングモール内で「オートバックス楽天市場店」をオープンし、オートバックス公式通販サイト「オートバックスドットコム」とともに、ECサイトによる販売チャネルの拡大とお客様の利便性向上を図っております。また、飲酒運転の根絶を目指し、社用車を運転する前後のドライバーの酒気帯び状態をチェックし、その情報をクラウド上で管理する法人向けサービス「ALCクラウド」が順調に拡大しております。
〔その他の事業〕
その他の事業における売上高は46億15百万円(前年同期比22.8%増加)、セグメント損失は3億75百万円(前年同期は5億49百万円のセグメント損失)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
当第3四半期連結会計期間末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ319億19百万円増加し、2,218億30百万円となりました。主に受取手形及び売掛金、未収入金等が増加したことなどによるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ279億61百万円増加し、949億80百万円となりました。主に支払手形及び買掛金が増加したことなどによるものです。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ39億57百万円増加し、1,268億49百万円となりました。主に利益剰余金の配当があった一方、親会社株主に帰属する四半期純利益による増加および退職給付制度終了にともなう退職給付に係る調整累計額の取崩しなどによるものです。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
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