【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績 当第3四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が和らぐ中で、経済活動の正常化が進み、日本・欧米などの先進国経済の持ち直しの動きがみられ、自動車業界においても、半導体や部品供給不足による影響を受けながらも、米国、中国では徐々に生産の回復がみられました。他方、ウクライナ情勢長期化に伴う原材料やエネルギー価格の高騰や、世界的なインフレの影響など、依然として事業環境は先行きが不透明な状況が継続しました。わが国経済においては、人出の回復を受けてサービス消費を中心に経済活動は回復に向かった一方、商品市況の高騰などが下押し要因となり、日本経済の回復ペースは緩やかなものにとどまりました。自動車業界は半導体や中国のロックダウンによる部品サプライチェーンの混乱による減産の影響を一部では受けたものの、総体的には堅調な需要に支えられ、半導体の搭載が少ない一部の車種では生産制約の改善も徐々にみられております。当社グループの業績においては、原材料価格高騰に伴い、グループを挙げて売価への転嫁を行っておりますが、原材料やエネルギーのコスト増が一段と進行した影響を受けました。
このような市場環境下、当社グループの当第3四半期連結累計期間における業績につきましては、自動車関連用の軸受では半導体やサプライチェーンの混乱による部品供給不足の影響により、本格的な生産の回復には至っていないものの、堅調な需要に支えられ、売上高は前年同四半期に比べ微増しました。また、アルミダイカスト製品では電動自動車用部品の新規納入が増えた事により、売上高は大幅に増加しました。加えて船舶、建設機械関連やエネルギー分野における堅調な需要の推移や為替の円安影響を受け、売上高は前年同四半期比15.1%増収の87,596百万円となりました。利益面につきましては、営業利益は、前年同四半期比55.2%減益の1,826百万円となりました。また、経常利益は、前年同四半期比48.9%減益の2,020百万円となり、当社の連結子会社であるDMキャスティングテクノロジー(タイ)Co., Ltd.の固定資産減損を第2四半期で計上した影響(1,957百万円)等に伴い、親会社株主に帰属する四半期純損失は、2,375百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純利益1,941百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。なお、セグメント間の内部売上高又は振替高は、セグメントの売上高に含めております。 ① 自動車用エンジン軸受日本国内の当第3四半期連結累計期間の新車販売台数は、半導体や部品の供給不足の影響などは依然残るものの、第2四半期時に比べて一部で改善の兆しが見られ、微減にとどまっております。海外においては前年同四半期に比べ、米国、欧州では減少しておりますが、中国では増加に転じました。また、タイでは政府による経済活動や消費を促進する政府支援策などにより国内向けの販売は増加しております。そのような状況下、当社グループの国内の売上高は前年同四半期比で増加し、海外の売上高も為替の円安影響を受け増加したことから、当セグメントの売上高は前年同四半期比15.6%増収の49,435百万円、セグメント利益は、前年同四半期比21.7%減益の5,085百万円となりました。
② 自動車用エンジン以外軸受海外の売上高が為替の円安影響を受け増加したものの、国内の売上高は前年同四半期に比べ減少したことから、当セグメントの売上高は前年同四半期比1.3%減収の14,911百万円、セグメント利益は、前年同四半期比21.6%減益の1,998百万円となりました。
③ 非自動車用軸受・船舶分野2022年12月末の手持ち工事量は2,173万総トンと前年同四半期末と比べ増加しており、世界経済の回復に伴う海上荷動きの増加、好調なメンテナンス需要の継続に加え、LNG船(液化天然ガスを運ぶタンカー)など、受注環境の好転や開拓によるシェアアップで、売上高は前年同四半期に比べ、大幅な増加となりました。・建設機械分野主に北米、中南米や東南アジア(インドネシアなど)の好調な需要環境が続き、サービスパーツなどの需要も好調に推移した事も寄与し、当社グループの売上高も前年同四半期に比べ増加しました。・一般産業分野におけるエネルギー分野エネルギー市場においては、電力不足に伴い火力発電向けのガスタービンや蒸気タービン用軸受の需要増、また、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い停滞していたプラント案件が動き出した事による需要の高まりやメンテナンス部品の需要増などから、売上高は前年同四半期比で増加しました。これらの結果、当セグメントの売上高は前年同四半期比29.9%増収の10,592百万円、セグメント利益は、前年同四半期比28.5%増益の1,519百万円となりました。
④ 自動車用軸受以外部品・アルミダイカスト製品タイの自動車産業については回復がみられ、前年同四半期に比べ、国内生産は増加しております。当社においては、タイの自動車産業における需要回復に伴う売上増やタイの新工場(DMキャスティングテクノロジー(タイ)Co., Ltd.)における電動自動車用部品の新規納入も増え始め、売上高は前年同四半期に比べ大幅に増加しました。セグメント利益については電動自動車用部品の本格生産開始に伴い増加したコストの改善遅れ及び新規受注品でのコスト増により、前年同四半期に比べ減少しました。・曲げパイプ、ノックピン、NC切削品などの部品世界的な半導体供給不足の影響を受けた事によるマイナス影響はあったものの、為替の円安影響を受け、前年同四半期に比べ微増となりました。また、セグメント利益については原材料やエネルギー価格の高騰などの影響を受け、減少となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は前年同四半期比25.4%増収の12,768百万円、セグメント損失は1,676百万円(前年同四半期はセグメント損失1,034百万円)となりました。
⑤ その他販売代理店向け金属系無潤滑軸受の在庫調整に伴う減収の影響があるものの、ポンプ関連製品事業の工作機械向け潤滑装置は堅調に推移し、また、材料価格高騰に伴う売価への転嫁活動を行った影響により、売上高は前年同四半期に比べ微減にとどまりました。また、利益の面では売価への転嫁活動が寄与し、増加となりました。これらの結果、電気二重層キャパシタ用電極シート、金属系無潤滑軸受事業、ポンプ関連製品事業及び不動産賃貸事業等を加えた当セグメントの売上高は前年同四半期比0.8%減収の1,560百万円、セグメント利益は前年同四半期比5.9%増益の266百万円となりました。
(2) 財政状態(総資産)当第3四半期連結会計期間の総資産は前連結会計年度末に比べ7.1%増加し、177,950百万円となりました。これは主に受取手形及び売掛金、商品及び製品、仕掛品が増加したことによります。(純資産)当第3四半期連結会計期間の純資産は前連結会計年度末に比べ3.7%増加し、71,216百万円となりました。これは主に利益剰余金が減少した一方、為替換算調整勘定が増加したことによります。(自己資本比率)当第3四半期連結会計期間の自己資本比率は前連結会計年度末に比べ1.4ポイント減少し、34.9%となりました。
(3) キャッシュ・フロー当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、19,347百万円となり前年同四半期末に比べ1,076百万円(5.9%)の増加となりました。当第3四半期連結累計期間に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動において使用した資金は、103百万円(前第3四半期連結累計期間は9,763百万円の獲得)となりました。これは主に減価償却費による資金の獲得が7,149百万円あった一方、棚卸資産の増加が2,715百万円、売上債権の増加が2,273百万円、法人税等の支払額が2,251百万円あったことによります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動において使用した資金は、4,883百万円(前第3四半期連結累計期間は5,976百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出3,750百万円によります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動において獲得した資金は、4,240百万円(前第3四半期連結累計期間は4,376百万円の使用)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出が5,528百万円あった一方、短期借入金の増加が6,149百万円、長期借入れによる収入が5,634百万円あったことによります。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に関する重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は1,538百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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