【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況① 経営成績の状況当第1四半期におけるわが国の経済は、ウィズコロナの下で緩やかに持ち直しの動きが続きました。個人消費は、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針変更に伴う旅行や外食の拡大、水際対策の緩和によるインバウンド消費の回復等により、持ち直しの動きが見られました。企業の設備投資は、経済活動の正常化が進展することへの期待感等から、好調に推移しました。特にIT投資については、製造業や金融業で投資意欲が高い状態にあり、好調に推移しました。なお、ウクライナ情勢等によるエネルギーコストや原材料価格の上昇により、一部の企業で弱さが見られました。
このような経済環境のもと、当社グループは企業の積極的なIT投資を背景としたSIサービスやITインフラサービスの売上拡大、オフィスMFPの供給回復やレンズ交換式デジタルカメラの新製品が好調に推移したこと等に伴う売上拡大により、売上高は1,548億25百万円(前年同期比5.0%増)となりました。利益については、売上増加に伴う売上総利益の増加により、営業利益は152億85百万円(前年同期比3.3%増)、経常利益は154億23百万円(前年同期比5.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は104億50百万円(前年同期比4.1%増)となりました。
各報告セグメントの業績は以下のとおりです。増減に関する記載は、前年同期との比較に基づいています。
コンスーマレンズ交換式デジタルカメラについては、新型コロナウイルス感染症による制約が徐々に緩和されたことによる撮影機会の増加や、2022年12月に発売した「EOS R6 Mark II」、2023年3月に発売した「EOS R50」等のEOS Rシリーズの増加により、売上は堅調に推移しました。
インクジェットプリンターについては、市場の減少や、供給制約が解消された前年同期の反動により、売上は減少しました。インクカートリッジについては、プリントボリュームの減少等により、売上は減少しました。
ITプロダクトについては、高性能PCの新製品やPC周辺機器の販売が堅調に推移したことにより、売上は増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は314億20百万円(前年同期比0.6%増)となりました。セグメント利益については、広告宣伝費等の販管費の増加により、29億21百万円(前年同期比6.6%減)となりました。
エンタープライズ主要ビジネス機器については、製品の供給が回復したことにより、オフィスMFPの台数は増加しました。レーザープリンターについては、前年同期にあった大型案件の剥落により台数は減少しました。オフィスMFPの保守サービスについては、オフィスにおけるプリントボリュームが減少したものの、カラー出力比率が高まったことにより、売上は増加しました。レーザープリンターカートリッジについては、金融業向けが比較的堅調に推移したことにより、売上は増加しました。
ITソリューションについては、製造業向けや流通業向けのSI案件の売上が増加したことに加え、IT基盤に係る案件を複数獲得したこと、BPOやデータセンター2号棟の売上が順調に推移したこと等により、売上は大幅に増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は546億51百万円(前年同期比 6.8%増)となりました。セグメント利益については、売上増加に伴う売上総利益の増加により、59億7百万円(前年同期比 10.1%増)となりました。
エリア主要ビジネス機器については、製品の供給が回復したことにより、オフィスMFP、レーザープリンターの台数は大幅に増加しました。オフィスMFPの保守サービスについては、大都市圏を中心にテレワークが継続したことにより、オフィスにおけるプリントボリュームが減少したものの、カラー出力比率が高まったことにより、売上は微増となりました。一方、レーザープリンターカートリッジについては、価格改定を見据えた駆け込み需要の反動等により、売上は減少しました。
ITソリューションについては、ビジネスPCの供給が回復したことや、複数のIT基盤構築案件を獲得したことに加え、中小企業のIT環境をトータルで支援する「まかせてIT DXシリーズ」のラインアップを拡充し受注件数が増加したことで、売上は増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は610億23百万円(前年同期比6.8%増)となりました。セグメント利益については、売上増加に伴う売上総利益の増加により49億34百万円(前年同期比9.1%増)となりました。
プロフェッショナル(プロダクションプリンティング)プロダクションプリンティング事業では、主に印刷業向けに、高速連帳プリンター及び高速カット紙プリンター等を提供しております。また、小売業向けにPOP制作関連のビジネスも提供しております。当第1四半期は、前年同期にあった高速連帳プリンターの複数案件の剥落により、売上は減少しました。
(産業機器)産業機器事業では、主に半導体メーカー向けに製造関連装置、検査計測装置等を提供しております。当第1四半期は、前年同期にあった半導体製造関連装置等の複数案件の剥落により、売上は減少しました。
(ヘルスケア)ヘルスケア事業では、主に病院・診療所・調剤薬局・健診施設向けに、電子カルテを中心とした医療情報システム等を提供しております。当第1四半期は、前年同期にあった病院向け大型案件の剥落があったものの、キヤノンメディカルシステムズ(株)からの事業移管及び診療所向けオンライン資格確認システム案件や調剤薬局向け電子処方箋案件が増加したことにより、売上は大幅に増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は117億25百万円(前年同期比8.4%減)となりました。セグメント利益については、売上減少に伴う売上総利益の減少により、19億25百万円(前年同期比12.1%減)となりました。
(注)各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものであります。詳細は「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
② 財政状態の状況(資産)当第1四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ121億71百万円増加し、5,559億11百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末と比べ112億65百万円増加しました。商品及び製品の増加74億76百万円、現金及び預金の増加73億68百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少43億78百万円等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末と比べ9億5百万円増加しました。保有上場株式の時価評価等による投資有価証券の増加6億43百万円等によるものであります。
(負債)当第1四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ79億44百万円増加し、1,513億12百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末と比べ82億37百万円増加しました。支払手形及び買掛金の増加83億96百万円等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末と比べ2億93百万円減少しました。退職給付に係る負債の減少4億46百万円等によるものであります。
(純資産)当第1四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末と比べ42億27百万円増加し、4,045億99百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益による増加104億50百万円、配当金の支払64億83百万円等によるものであります。
(2) キャッシュ・フローの状況当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ73億68百万円増加して、920億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローの資金の増加は182億29百万円となりました。税金等調整前四半期純利益152億32百万円、仕入債務の増加83億91百万円、売上債権の減少43億42百万円等による資金の増加と、法人税等の支払74億12百万円、棚卸資産の増加73億9百万円等による資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は44億37百万円となりました。有形固定資産の取得による支出28億67百万円等による資金の減少によるものであります。
これらの結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計した、当第1四半期連結累計期間のフリー・キャッシュ・フローの資金の増加は137億92百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は64億42百万円となりました。配当金の支払64億8百万円等によるものであります。
(3) 経営方針・経営戦略等当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指して、「2021-2025 長期経営構想」及び「2022-2025 中期経営計画」を策定いたしました。長期経営構想については、当社グループの企業理念である「共生※」の考え方に基づき、事業活動を通じ社会課題を解決することが、社会と当社グループ双方の持続的な発展、いわゆるサステナビリティ経営そのものであるとした上で、策定しております。中期経営計画については、長期経営構想における基本戦略に基づき、2025年ビジョン及び経営指標の実現に向けた実行計画として推進いたします。
※「共生」は1988年にキヤノングループが、文化、習慣、言語、民族などの違いを問わず、すべての人類が末永く共に生き、共に働き、幸せに暮らしていける社会をめざすとし、掲げた企業理念です。
(2025年ビジョン)社会・お客さまの課題をICTと人の力で解決するプロフェッショナルな企業グループ
(基本戦略)1.事業を通じた社会課題解決による、持続的な企業価値の向上2.高収益企業グループの実現・ITソリューション事業を成長の中核とした事業変革・顧客基盤を活かした顧客層別営業体制の強化・キヤノン製品事業の付加価値向上と更なる高収益化3.経営資本強化による、好循環の創出・人材の高度化・エンゲージメント向上による事業成長の加速・戦略的事業投資による事業成長の加速
(2025年の経営指標)売上
6,500億円(内、ITソリューション売上 3,000億円)営業利益
580億円ROE
9.0%
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、93百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 資本の財源及び資金の流動性当社グループの資金の源泉は主として、営業活動によるキャッシュ・フローによっております。また、当社と連結子会社間におけるグループファイナンスの実施により、グループ内資金の有効活用を図っております。運転資金、設備資金等、通常の資金需要につきましては、原則として営業活動によるキャッシュ・フローによる自己資金で充当することとしております。
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