【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況① 経営成績の状況当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、ウィズコロナの新たな段階への移行が進む中で、緩やかな持ち直しの動きが続きました。個人消費は、旅行や外食等のサービス消費で緩やかな持ち直しが見られました。企業の設備投資は、海外経済の緩やかな回復や国内の経済・社会活動の正常化が進み、持ち直しの動きが見られました。特にIT投資については、製造業や金融業で投資意欲が高い状態にあり、好調に推移しました。一方で、半導体不足やサプライチェーンの混乱による供給制約、ウクライナ情勢等による原材料価格の上昇、足元での円安進行等により、一部の企業で弱さが見られました。
このような経済環境のもと、当社グループは企業の積極的なIT投資を背景としたSIサービスやセキュリティ関連の製品・サービスの売上拡大、国内の半導体メーカーの活発な投資を背景とした半導体製造関連装置等の売上拡大により、売上高は4,280億79百万円(前年同期比7.5%増)となりました。利益については、エンタープライズセグメントを中心に、主にITソリューション事業で高付加価値な製品やサービスの構成比が高まったこと等により、営業利益は378億53百万円(前年同期比42.0%増)、経常利益は386億14百万円(前年同期比38.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は266億70百万円(前年同期比31.5%増)となりました。
各報告セグメントの業績は以下のとおりです。増減に関する記載は、前年同期との比較に基づいています。
コンスーマレンズ交換式デジタルカメラについては、昨年発売した「EOS R3」や6月に発売した「EOS R7」、7月に発売した「EOS R10」等のEOS Rシステム搭載のミラーレスカメラ等が増加したことや、EOS Rシリーズのユーザーが増加していることによりRFマウントの交換レンズの販売が拡大し、売上は大幅に増加しました。
インクジェットプリンターについては、高単価製品が好調に推移したこと等により、売上が大幅に増加しました。インクカートリッジについては、カラープリントボリュームの減少等による市場の縮小に伴い、売上は減少しました。
ITプロダクトについては、PCの周辺機器等が供給不足の影響を受けましたが、ゲーミングPC等が好調に推移し、売上は微増となりました。
これらの結果、当セグメントの売上高は939億28百万円(前年同期比6.8%増)となりました。セグメント利益については、売上増加に伴う売上総利益の増加により、95億20百万円(前年同期比13.0%増)となりました。
エンタープライズ主要ビジネス機器については、第2四半期まで製品の供給不足の影響を大きく受けたものの、当第3四半期に供給が回復したことにより、オフィスMFP、レーザープリンターの売上は大幅に増加しました。オフィスMFPの保守サービス、レーザープリンターカートリッジについては、大手企業を中心にテレワークが継続し、オフィスにおけるプリントボリュームが減少したことにより、売上は減少しました。
ITソリューションについては、製造業向けや金融業向けのSI案件の売上が増加していることに加え、セキュリティやデータセンター2号棟の売上が順調に推移したこと等により、売上は大幅に増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,489億89百万円(前年同期比8.8%増)となりました。セグメント利益については、売上増加に伴う売上総利益の増加に加え、販管費の削減に努めたことにより、129億45百万円(前年同期比41.2%増)となりました。
エリア主要ビジネス機器については、第2四半期まで製品の供給不足の影響を大きく受けたものの、当第3四半期に供給が回復したことにより、オフィスMFP、レーザープリンターの売上は増加しました。オフィスMFPの保守サービスについては、大都市圏を中心にテレワークが継続したこと等により、オフィスにおけるプリントボリュームが減少し、売上は減少しました。一方、レーザープリンターカートリッジについては、4月の価格改定を見据えた駆け込み需要が第1四半期にあったこと等により、売上は増加しました。
ITソリューションについては、標的型攻撃やフィッシングなど情報セキュリティに対する脅威が高まっていることを背景に、IT支援クラウドサービス「HOME」やウイルス対策ソフト「ESET」等のセキュリティの売上が増加しました。また、お客さまのIT機器等の保守や運用サービスについては、獲得に引き続き注力し、受注件数を伸ばしたこと等により売上が増加し、ITソリューション全体の売上は増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,672億23百万円(前年同期比1.1%増)となりました。セグメント利益については、売上増加に伴う売上総利益の増加に加え、販管費の削減に努めたことにより、117億46百万円(前年同期比32.6%増)となりました。
プロフェッショナル(プロダクションプリンティング)プロダクションプリンティング事業では、主に印刷業向けに、高速連帳プリンター及び高速カット紙プリンター等を提供しています。また、小売業向けにPOP制作関連のビジネスも提供しています。当第3四半期連結累計期間は、印刷業のお客さま向けに連帳プリンターが好調に推移したこと等により、売上は増加しました。
(産業機器)産業機器事業では、主に半導体メーカー向けに製造関連装置、検査計測装置等を提供しています。当第3四半期連結累計期間は、国内の半導体メーカーの投資が引き続き活発であることを背景に、半導体製造関連装置や保守サービスが好調に推移し、売上は大幅に増加しました。
(ヘルスケア)ヘルスケア事業では、主に病院・診療所・調剤薬局・健診施設向けに、電子カルテなど医療情報システム等を提供しています。当第3四半期連結累計期間は、病院向けの電子カルテ及び医療IT基盤の構築等にかかる複数の大型案件に加え、診療所や調剤薬局向けにオンライン資格確認の導入案件があったこと等により、売上は大幅に増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は332億62百万円(前年同期比45.7%増)となりました。セグメント利益については、売上増加に伴う売上総利益の増加に加え、販管費の削減に努めたことにより、51億76百万円(前年同期比164.7%増)となりました。
(注)各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものであります。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
② 財政状態の状況(資産)当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ58億93百万円増加し、5,323億11百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末と比べ100億19百万円増加しました。現金及び預金の増加187億55百万円、商品及び製品の増加50億95百万円、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度は受取手形及び売掛金)の減少156億90百万円等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末と比べ41億26百万円減少しました。保有上場株式の時価評価等による投資有価証券の減少51億93百万円等によるものであります。
(負債)当第3四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ61億56百万円減少し、1,455億85百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末と比べ38億71百万円減少しました。賞与引当金の増加90億84百万円、未払費用の減少38億86百万円、未払法人税等の減少20億45百万円、未払消費税等の減少20億27百万円、支払手形及び買掛金の減少17億79百万円等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末と比べ22億85百万円減少しました。退職給付に係る負債の減少16億74百万円等によるものであります。
(純資産)当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末と比べ120億49百万円増加し、3,867億26百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益による増加266億70百万円、その他有価証券評価差額金の減少34億43百万円、配当金の支払110億22百万円等によるものであります。
(2) キャッシュ・フローの状況当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ187億55百万円増加して、867億84百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローの資金の増加は371億48百万円となりました。税金等調整前四半期純利益389億15百万円、売上債権の減少159億80百万円等による資金の増加と、法人税等の支払137億55百万円、棚卸資産の増加50億50百万円等による資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は75億40百万円となりました。有形固定資産の取得による支出63億37百万円等による資金の減少によるものであります。
これらの結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計した、当第3四半期連結累計期間のフリー・キャッシュ・フローの資金の増加は296億7百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は112億41百万円となりました。配当金の支払110億16百万円等によるものであります。
(3) 経営方針・経営戦略等当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指して、「2021-2025 長期経営構想」及び「2022-2025 中期経営計画」を策定いたしました。長期経営構想については、当社グループの企業理念である「共生※」の考え方に基づき、事業活動を通じ社会課題を解決することが、社会と当社グループ双方の持続的な発展、いわゆるサステナビリティ経営そのものであるとした上で、策定しております。中期経営計画については、長期経営構想における基本戦略に基づき、2025年ビジョン及び経営指標の実現に向けた実行計画として推進いたします。
※「共生」は1988年にキヤノングループが、文化、習慣、言語、民族などの違いを問わず、すべての人類が末永く共に生き、共に働き、幸せに暮らしていける社会をめざすとし、掲げた企業理念です。
(2025年ビジョン)社会・お客さまの課題をICTと人の力で解決するプロフェッショナルな企業グループ
(基本戦略)1.事業を通じた社会課題解決による、持続的な企業価値の向上2.高収益企業グループの実現・ITソリューション事業を成長の中核とした事業変革・顧客基盤を活かした顧客層別営業体制の強化・キヤノン製品事業の付加価値向上と更なる高収益化3.経営資本強化による、好循環の創出・人材の高度化・エンゲージメント向上による事業成長の加速・戦略的事業投資による事業成長の加速
(2025年の経営指標)売上
6,500億円(内、ITソリューション売上 3,000億円)営業利益
500億円ROE
8.0%
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、5億45百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 資本の財源及び資金の流動性当社グループの資金の源泉は主として、営業活動によるキャッシュ・フローによっております。また、当社と連 結子会社間におけるグループファイナンスの実施により、グループ内資金の有効活用を図っております。運転資金、設備資金等、通常の資金需要につきましては、原則として営業活動によるキャッシュ・フローによる自己資金で充当することとしております。
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