【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①経営成績の状況当社は、中期経営計画「D-Summit 2023」において、「Ⅰ.日本・韓国・中国地域別戦略の実行」「Ⅱ.日本事業の収益改善」「Ⅲ.モノづくりの強化」の各戦略を推し進めており、当期はその2年目ですが、日本・韓国・中国でバランスよく安定的な収益の獲得ができています。当期においては、新型コロナによる行動制限の緩和および経済活動が正常化するという外的環境の変化も加わり、当連結会計年度の売上高は120,614百万円(前年同期比10.8%増)、営業利益は7,793百万円(前年同期比51.7%増)、経常利益は11,664百万円(前年同期比54.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,550百万円(前年同期比69.4%増)となりました。
②財政状態の状況当連結会計年度末の資産合計は133,562百万円となり、前連結会計年度末に比べ17,187百万円増加しました。流動資産は前連結会計年度末に比べ8,838百万円増加し、82,505百万円となりました。これは主に現金及び預金の増加6,298百万円、商品及び製品の増加1,564百万円によるものです。固定資産は前連結会計年度末に比べ8,349百万円増加し、51,057百万円となりました。これは主に投資有価証券の増加4,572百万円、のれんの増加3,516百万円によるものです。負債合計は前連結会計年度末に比べ3,545百万円増加し、33,262百万円となりました。これは主に未払金の増加2,273百万円、リース債務の増加1,827百万円によるものです。純資産は前連結会計年度末に比べ13,641百万円増加し、100,300百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加8,663百万円、為替換算調整勘定の増加3,760百万円によるものです。以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、0.1%増の74.6%となりました。
③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ1,986百万円増加し、34,744百万円となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、12,906百万円の収入超過(前連結会計年度は13,515百万円の収入超過)となりました。これは増加要因として税金等調整前当期純利益12,971百万円となったことや、減価償却費4,558百万円などがあり、主な減少要因として仕入債務の減少額2,986百万円などがありました。投資活動によるキャッシュ・フローは、8,013百万円の支出超過(前連結会計年度は3,152百万円の収入超過)となりました。これは主に定期預金の増加額3,994百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,961百万円、有形固定資産の取得による支出1,255百万円などによるものです。財務活動によるキャッシュ・フローは、3,963百万円の支出超過(前連結会計年度は3,520百万円の支出超過)となりました。これは主にリース債務の返済による支出2,075百万円、配当金の支払額1,886百万円などによるものです。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
2019年3月期
2020年3月期
2021年3月期
2022年3月期
2023年3月期
自己資本比率(%)
67.8
66.5
72.2
74.5
74.6
時価ベースの自己資本比率(%)
188.9
88.3
131.5
200.7
234.0
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
0.5
1.1
0.9
0.0
0.1
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
82.5
8.1
27.0
230.4
120.2
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い1.各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表数値により算出しております。2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
④生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績当社グループは、生産の状況について、セグメントごとの製品の製造場所等から判断し、日本が大半を占めており、重要性が乏しいため記載を省略しております。
(b) 受注状況原則として受注生産は行っておりません。
(c) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
日本
52,753
106.4
韓国
57,866
107.7
中国
7,663
190.1
調整額
2,330
150.9
合計
120,614
110.8
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。2 セグメントの調整額は、純粋持株会社である当社で計上したものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(a)財政状態の分析(資産の部)当連結会計年度末の資産合計は133,562百万円となり、前連結会計年度末に比べ17,187百万円増加いたしました。増加の主な要因は、流動資産の増加です。流動資産は前連結会計年度末に比べ8,838百万円増加し、82,505百万円となりました。このうち為替による増加額が3,626百万円あり、実質5,212百万円の増加になります。主な増加要因は現金及び預金の増加6,298百万円、商品及び製品の増加1,564百万円によるものです。固定資産は前連結会計年度末に比べ8,349百万円増加し、51,057百万円となりました。これは為替による増加額1,299百万円を除くと実質7,050百万円の増加となります。これは主に、DESCENTE CHINA HOLDING LTD.の持分法による投資利益が増加したことによる投資有価証券の増加4,572百万円、LE COQ SPORTIF (NINGBO) CO.,LTD.の持分を追加取得し子会社化したことによるのれんの増加3,516百万円によるものです。(負債の部)負債合計は前連結会計年度末に比べ3,545百万円増加し、33,262百万円となりました。このうち為替による増加額が1,258百万円あり、実質2,287百万円の増加になります。これは主に、未払金の増加2,273百万円によるものです。(純資産の部)純資産は前連結会計年度末に比べ13,641百万円増加し、100,300百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加8,663百万円、為替換算調整勘定の増加3,760百万円によるものです。以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、0.1%増の74.6%となりました。
(b)経営成績の分析連結実績及び連結当初計画(百万円)
①2023年3月期実績
②2023年3月期当初計画
①-②計画対比
③2022年3月期実績
①-③前年対比
売上高
120,614
114,000
6,614
108,892
11,721
営業利益
7,793
6,000
1,793
5,138
2,655
経常利益
11,664
10,000
1,664
7,556
4,108
親会社株主に帰属する当期純利益
10,550
7,000
3,550
6,229
4,320
セグメント別売上高実績及び当初計画(百万円)
①2023年3月期実績
②2023年3月期当初計画
①-②計画対比
③2022年3月期実績
①-③前年対比
日本
52,753
51,000
1,753
49,589
3,164
韓国
57,866
56,000
1,866
53,726
4,139
中国
7,663
6,000
1,663
4,032
3,631
日本・韓国において、当初計画策定時に比較して『デサント』の売上が好調に推移したことに加え、新型コロナ感染拡大による事業への影響は軽微でした。また、日本において返品及び値引き等の販売ロスを想定以上に抑制できたことにより、売上高・売上総利益が当初計画対比で大きく増加し、それに伴い営業利益も当初計画対比増益となりました。2022年8月8日に「持分法適用関連会社の異動(連結子会社化)及び特定子会社の異動に関するお知らせ」にて公表したとおりNLCSを子会社化しました。同社の株式取得に伴う段階取得に係る差益等の特別利益2,132百万円から事業構造改善費用等の特別損失825百万円を差し引き、特別損益として1,306百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益も計画対比大幅増益となりました。当社の事業はまだ成長の途中段階であり、さらなる発展に向けて、「D-Summit 2023」の最終年度として次の戦略に取り組んでいます。更なる収益拡大に向けて各ブランドにおけるコンセプトを再設計し、ブランディングを実行しています。コーポレートブランドである『デサント』は日本において2023年春夏シーズンより従来の商品構成を『デサント』と『MOVESPORT』に二分化しました。『デサント』は主に自社流通で展開し、高付加価値商品を中心とする「オルテライン」コレクションを拡充し、プレミアムスポーツブランドとしてのポジション明確化を図ります。一方で『MOVESPORT』は卸流通を中心に展開する新レーベルとして立ち上げ、「日常をもっとスポーツのように。」をコンセプトとし、SNSでのマーケティングコミュニケーションに注力します。その他のブランドにおいても、顧客提供価値と注力すべき分野を明確化したブランディングを実施していきます。ブランド価値を明確化することで日本事業は引き続き収益性の向上を目指し、DTC事業による売上構成比率55%以上を目指してまいります。ブランディングの実行に加え、日本事業ではDTC事業の拡大に向けて、既存の直営店の収益性向上に着手し、年間を通して直営店舗のリニューアルに取り組んでいくほか、2022年12月には当社会員サービスである「CLUB DESCENTE(クラブデサント)」とLINE IDの提携活用を開始、2023年2月には『デサント』のブランドページ上に著名人のインタビュー記事を発信するウェブマガジン「DESCENTE magazine(デサントマガジン)」をオープンする等、潜在顧客への情報発信を強化していきます。また、ポップアップストアの出店を行い、直営店展開に向けたテスト販売を継続していきます。経営指標としては売上ではなく利益を重視するという方針は前期から変えず、販売ロスの抑制や販管費のコントロールに引き続き取り組みます。その達成のため、ブランド別・流通別の営業利益率や在庫月数等をKPIとして設定し、進捗状況を定期的に確認することで、状況に応じて迅速、適切な対応を行っております。韓国事業は、新規顧客へのアプローチおよび既存顧客とのコミュニケーションを強化しています。アイテムとしてはシューズに注力し、その構成比をあげるべく研究開発拠点での開発商品のレベルアップに取り組みます。事業の主力である『デサント』ブランドでは、ランニングシューズ、エナザイトスーパーV2を活用したオンライン、オフライン両面でのイベントを積極的に実施していきます。また若者でも入りやすい店舗づくりを意図し、色遣いをブラックからグレーに変える等リニューアルする試みを継続して行い、該当店舗では従来にない若者の入店数が増加しています。また、前期に引き続き成長を遂げた『アンブロ』では、20~30代の若者を対象としたストリートファッションをイメージしたブランドとして、若者に人気のある聖水(ソンス)エリアへのポップアップストアの出店を行うなど、新しい取り組みを進めていきます。中国事業は、『デサント』ブランド事業をさらに拡大させるとともに、当連結会計年度に子会社化したARENA(SHANGHAI) INDUSTRIAL CO., LTD.が展開する『アリーナ』ブランド、LE COQ SPORTIF(NINGBO) CO., LTD.が展開する『ルコックスポルティフ』ブランド、また既存の上海デサント商業有限公司が展開する『マンシングウェア』ブランドの事業に関しても規模拡大及びブランディングの強化を行っていきます。『ルコックスポルティフ』では140年の歴史があるフランス発祥の本物のスポーツブランドとしてのイメージを再構築し、ブランドの価値を打ち出していくことで単なる街着ではない、洗練されたウェアとして差別化をしていきます。上記の各地域別戦略に加え、中期経営計画の柱の1つであり、当社の競争力の源泉である高品質・高機能商品を生み出し続けるモノづくりの強化策として、2023年4月10日に発表したとおり自社の国内主要工場である水沢工場を刷新します。高付加価値商品「水沢ダウン」の専用工場である水沢工場を国内自社3工場のマザーファクトリーと位置づけ、環境配慮・地域共生・働きがいの実現にも取り組みます。自社工場のブランディングとして、水沢工場の「水沢ダウン」に続き、吉野工場はポロシャツ、西都工場は『アリーナ』水着を代表とする接着縫製に特化した専用工場として設定し、モノづくりに磨きをかけています。その取り組みの一歩目として、吉野工場にて『マンシングウェア』の「10 YEARS POLO SHIRTS」の生産を開始しました。このポロシャツは10年間着用することを想定した独自の品質基準(200回の洗濯試験等)をクリアした高品質な商品として発売を開始しています。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 ・キャッシュ・フローの状況の分析当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
・資本の財源及び資金の流動性当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、店舗等への設備投資、子会社への増資等によるものであります。また、必要な運転資金及び設備投資につきましては、自己資金または銀行借入により調達するものとしております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。