【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和により社会経済活動の正常化が進み、持ち直しの動きが続きましたが、原燃料価格の高騰や物価上昇に加え、ウクライナ情勢の長期化、世界的な金融引締めが続く中で中国経済の先行き懸念など海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスク等の影響もあり、依然として厳しい状況で推移いたしました。
このような環境のもと、当社グループは、本年4月に発生した水島工場の製造設備不具合を踏まえ、設備管理の強化策や積極的な更新維持投資について盛り込んだ新中期経営計画「Shape the Future-2025」(2023年~2025年度)を公表いたしました。新中期経営計画は、創立120周年となる2035年におけるありたい姿を見据え、その通過点である「2025年のあるべき姿」の実現に向け、「既存事業の継続的基盤強化」、「新製品創出力の強化」、「サステナビリティ経営の推進」の3つの基本方針としており、当社グループはその基本方針に沿った具体的な施策を着実に実行してまいりました。
「既存事業の継続的基盤強化」においては、安定したキャッシュの創出と成長分野への積極的な投資により事業基盤の拡充を図ってまいります。基礎化学品事業では、顧客への安定供給を確保するため製造設備不具合の復旧活動に全社一丸となって取り組んでおります。機能化学品事業では、主要製品の需要が低下するなかで、新規開拓によりアクリルゴムの販売数量を着実に伸ばすことができました。ヘルスケア事業では、糖尿病治療薬や急速に拡大する肥満治療薬向けの医薬品精製材料の需要拡大に対応するため、松山工場での新製造設備建設の決定に続き、尼崎工場でも第2期増強として製造設備の新設を決定いたしました。松山工場では2024年9月の完成を目指して本年11月より建設に着工、尼崎工場においても2026年度の完成を目指して2024年1月より建設に着工する予定となっており、医薬品精製材料への投資計画は順調に進んでいます。
「新製品創出力の強化」では、NEDOのグリーンイノベーション基金事業として採択された全固体電池用超高イオン伝導性ポリマー等の次世代蓄電池用材料の開発は当初計画どおりに進捗しています。新たな研究施設として電池研究棟の建設にも既に着手しており、次のグローバルニッチトップ製品へと着実に育ててまいります。
「サステナビリティ経営の推進」では、コーポレートガバナンス・コードへの適切な対応として、TCFD対応・GHG排出量の算定等に取り組むとともに、新たに統合報告書を策定いたしました。また、当社経営ビジョンに掲げる「社員とともに成長する企業」を目指して昨年度の管理職人事制度の改定に続き、本年4月より一般社員の人事制度も改定いたしました。今後は新しい人事制度の下で、業務改革活動のさらなる浸透、従業員エンゲージメントの向上、次世代を担う人材の育成に取り組んでまいります。
水島工場の製造設備不具合の影響もあり、当第2四半期連結累計期間の売上高は、466億2千2百万円と前年同期比10.2%の減少となりました。利益面におきましても、営業利益は49億1千7百万円と前年同期比49.4%の減少、経常利益は60億2千万円と前年同期比44.5%の減少、親会社株主に帰属する四半期純利益は40億4千2百万円と前年同期比46.1%の減少となりました。
なお、ヘルスケア事業が当社第3の収益の柱として順調に成長してきたこともあり、第1四半期連結会計期間より、報告セグメント区分を、「基礎化学品」、「機能化学品」、「ヘルスケア」、「商社部門ほか」の4部門に変更しております。これに伴い、以下の前年同期比較においては、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み換えた数値で比較しております。
セグメント別の概況は、以下のとおりであります。
<基礎化学品>
クロール・アルカリは、水島工場の製造設備不具合の影響や需要低下により一部製品において販売数量が減少したものの、原燃料価格高騰に伴う製品価格の上昇もあり、売上高は増加しました。
エピクロルヒドリンは、製造設備不具合の影響による販売調整に加え、エポキシ樹脂の需要低下や海外市況の軟化により、売上高は減少しました。
以上の結果、基礎化学品の売上高は182億6千6百万円と前年同期比13.0%の減少となりました。
<機能化学品>
合成ゴム関連では、エピクロルヒドリンゴムは自動車生産台数の回復に伴い、売上高は増加しました。アクリルゴムは国内外で新規採用が進んだため、アジア向けを中心に売上高は増加しました。
ダップ樹脂は、中国向けは堅調に推移しましたが、国内および欧米での需要低迷により、売上高は減少しました。
アリルエーテル類では、欧米および中国で塗料用途を中心としたシランカップリング剤向けの需要低下に加え、市況の軟化により、売上高は減少しました。
以上の結果、機能化学品の売上高は134億7千7百万円と前年同期比11.3%の減少となりました。
<ヘルスケア>
医薬品精製材料は、欧米並びにアジア向けの糖尿病治療薬用途等の需要が順調に拡大し、売上高は増加しました。
医薬品原薬・中間体は、核酸医薬原薬、抗潰瘍薬中間体および不眠症治療薬中間体の販売が拡大したため、売上高は増加しました。
以上の結果、ヘルスケアの売上高は53億7千2百万円と前年同期比1.9%の増加となりました。
<商社部門ほか>
生活関連商品は販売が堅調に推移したため売上高は増加しましたが、ガラス繊維等を中心に電子材料および自動車向け商材が低調に推移したため売上高は減少しました。
以上の結果、商社部門ほかの売上高は95億7百万円と前年同期比9.1%の減少となりました。
当第2四半期連結会計期間末における当社グループ財政状態は次のとおりです。
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて、6.1%増加し1,464億3千9百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べて、3.8%増加し930億5千9百万円となりました。これは、主として現金及び預金が66億7百万円増加したことによります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて、10.3%増加し533億7千9百万円となりました。これは、主として投資有価証券が43億1千2百万円増加したことによります。
負債は、前連結会計年度末に比べて、5.3%増加し405億1千万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べて2.6%増加し331億4千4百万円となりました。これは、主として支払手形及び買掛金が11億4千7百万円増加したことによります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて、19.3%増加し73億6千6百万円となりました。これは、主として繰延税金負債が13億円増加したことによります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて、6.4%増加し1,059億2千8百万円となりました。これは主として、利益剰余金が28億9千8百万円、その他有価証券評価差額金が29億7千7百万円それぞれ増加したことによります。
(キャッシュ・フローの状況)
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、36億7百万円増加し404億5千万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、51億4千9百万円の収入(前年同四半期は59億2千2百万円の収入)となりました。これは主に、増加要因として税金等調整前四半期純利益が59億2千5百万円、減価償却費が18億6千3百万円、減少要因として棚卸資産の増加額が17億1百万円、法人税等の支払額が33億3千7百万円となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、8億1千5百万円の支出(前年同四半期は30億5百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が11億3千1百万円であったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、11億6千7百万円の支出(前年同四半期は13億3千9百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額が11億4千3百万円であったことによるものです。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた問題はありません。
(3)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループが支出した研究開発費の総額は14億1千1百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。