【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態および経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和により社会経済活動の正常化が進み、持ち直しの動きが続きましたが、原燃料価格の高騰や物価上昇に加え、ウクライナ情勢の長期化、世界的な金融引締めが続く中で海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスク等の影響もあり、依然として厳しい状況で推移いたしました。
このような環境のもと、当社グループは、2023年4月4日に発生した弊社水島工場製造設備の不具合の影響により、「既存事業の継続的基盤強化」、「新製品創出力の強化」、「サステナビリティ経営の推進」の3つの基本方針からなる新中期経営計画の公表を延期しておりますが、当社が取り組むべき基本方針は変更せず、当該設備の早期復旧に全力を挙げながら、その基本方針に沿った具体的な施策を着実に実行してまいりました。 「既存事業の継続的基盤強化」においては、安定したキャッシュの創出と成長分野への積極的な投資により事業基盤の拡充を図ってまいります。基礎化学品事業では、顧客への安定供給を確保するため製造設備不具合の復旧活動に全社一丸となって取り組みました。機能化学品事業では、主要製品の需要が低下するなかで、新規開拓によりアクリルゴムの販売数量を着実に伸ばすことができました。ヘルスケア事業では、糖尿病治療薬や急速に拡大する肥満治療薬向けの医薬品精製材料の需要拡大に対応するため、松山工場での新製造設備建設の決定に続き、尼崎工場でも第2期増強として製造設備の新設を決定いたしました。
「新製品創出力の強化」では、NEDOのグリーンイノベーション基金事業として採択された全固体電池用超高イオン伝導性ポリマー等の次世代蓄電池用材料を中心に、次のグローバルニッチトップ製品の早期上市を目指した開発を進めました。
「サステナビリティ経営の推進」では、コーポレートガバナンス・コードへの適切な対応として、TCFD対応・GHG排出量の算定等に取り組むとともに、当社経営ビジョンに掲げる「社員とともに成長する企業」を目指して昨年度の管理職人事制度の改定に続き、本年4月より一般社員の人事制度も改定しました。今後は新しい人事制度の下で、業務改革活動のさらなる浸透、従業員エンゲージメントの向上、次世代を担う人材の育成に取り組んでまいります。
水島工場の製造設備不具合の影響もあり、当第1四半期連結累計期間の売上高は、231億9千3百万円と前年同期比9.9%の減少となりました。利益面におきましても、営業利益は28億7百万円と前年同期比45.5%の減少、経常利益は35億4百万円と前年同期比40.8%の減少、親会社株主に帰属する四半期純利益は24億4百万円と前年同期比42.1%の減少となりました。
なお、ヘルスケア事業が当社第3の収益の柱として順調に成長してきたこともあり、当第1四半期連結累計期間より、報告セグメント区分を、「基礎化学品」、「機能化学品」、「ヘルスケア」、「商社部門ほか」の4部門に変更しております。これに伴い、以下の前年同期比較においては、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み換えた数値で比較しております。
セグメント別の概況は以下のとおりです。
<基礎化学品>
クロール・アルカリは、水島工場の製造設備不具合の影響により一部製品において販売数量が減少したものの、原燃料価格高騰に伴う製品価格の上昇もあり、売上高は増加しました。
エピクロルヒドリンは、製造設備不具合の影響による販売調整に加え、エポキシ樹脂の需要が国内外で減少した影響により、売上高は減少しました。
以上の結果、基礎化学品の売上高は90億4千5百万円と前年同期比11.8%の減少となりました。
<機能化学品>
合成ゴム関連では、エピクロルヒドリンゴムはOA用途向けの需要が落ち込んだため、売上高は減少しました。アクリルゴムは国内外で新規採用が進んだため、アジア向けを中心に売上高は増加しました。
ダップ樹脂は、欧州および東アジアでの需要低迷に加え、米国で在庫調整が長期化している影響もあり、売上高は減少しました。
アリルエーテル類では、欧米および中国で塗料用途を中心にシランカップリング剤向けの需要が低下したため、売上高は減少しました。
以上の結果、機能化学品の売上高は64億8千3百万円と前年同期比11.7%の減少となりました。
<ヘルスケア>
医薬品精製材料は、欧米並びにアジア向けの糖尿病治療薬用途等の需要が順調に拡大し、売上高は増加しました。医薬品原薬・中間体は、核酸医薬原薬や抗潰瘍薬中間体の販売は拡大したものの、前年度は売上が第1四半期に集中した影響により、売上高は減少しました。
以上の結果、ヘルスケアの売上高は22億8百万円と前年同期比10.1%の減少となりましたが、年間では前年度を上回る見通しです。
<商社部門ほか>
生活関連商品は販売が堅調に推移したため売上高は増加しましたが、ガラス繊維等を中心に電子材料および自動車向け商材が低調に推移したため売上高は減少しました。
以上の結果、商社部門ほかの売上高は54億5千4百万円と前年同期比4.0%の減少となりました。
当第1四半期連結会計期間末における当社グループの財政状態は次のとおりであります。
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて、0.9%増加し1,392億2千9百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べて、0.9%減少し887億9千7百万円となりました。これは、主として有価証券が50億円減少したことによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて、4.2%増加し504億3千2百万円となりました。これは、主として投資有価証券が26億3千4百万円増加したことによります。
負債は、前連結会計年度末に比べて5.7%減少し362億8千3百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べて、9.6%減少し292億9百万円となりました。これは、主として未払法人税等が27億5千8百万円、賞与引当金が4億6千6百万円それぞれ減少したことによります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて、14.6%増加し70億7千4百万円となりました。これは、主として繰延税金負債が10億2千2百万円増加したことによります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて、3.4%増加し1,029億4千5百万円となりました。これは、主として利益剰余金が12億5千9百万円、その他有価証券評価差額金が18億1千4百万円それぞれ増加したことによります。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた問題はありません。
(3)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループが支出した研究開発費の総額は6億6千8百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。