【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、ウィズコロナの下、行動制限の緩和が進み、持ち直しの動きが続いております。今後も回復基調が続くものと期待されますが、供給面での制約や原燃料価格の高騰に加え、ウクライナ情勢の長期化や中国での感染拡大による経済活動の停滞、急激な為替変動、世界的なインフレの進行等の影響もあり、先行きは不透明な状況となっております。
このような環境のもと、当社グループは、第7次中期経営計画「EMPOWER THE NEXT-22」の最終年度を迎え、「レジリエントな事業基盤の構築」、「マーケットイン型開発の推進」、「SDGsへの取り組み」および「企業文化・組織風土の改革」の4つの基本方針に基づき、全社一丸となって具体的な施策に取り組みました。
「レジリエントな事業基盤の構築」では、化学品事業、機能材事業、ヘルスケア事業の3つの事業をコア事業と位置づけ強靭化戦略を推進しています。当第3四半期連結累計期間においては、化学品事業では、さらなる原燃料価格上昇に対応した価格改定を実施するとともに生産効率改善のための更新投資・コストダウンに引き続き取り組みました。機能材事業では、前年度に生産体制を強化したアリルエーテル類の拡販をさらに推し進めました。ヘルスケア事業では、今期中の完成を目指して医薬品原薬・中間体および医薬品精製材料の設備投資を進めております。
「マーケットイン型開発の推進」では、NEDOのグリーンイノベーション基金事業として採択された全固体電池用超高イオン伝導性ポリマーの開発を進めております。「SDGsへの取り組み」では、サステナビリティ委員会の活動を開始し、設定したKPIの達成に向けた取り組みを推進しております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、777億5百万円と前年同期比19.0%の増加となりました。利益面におきましては、営業利益は139億5千1百万円と前年同期比41.8%の増加、経常利益は149億5千6百万円と前年同期比40.7%の増加、親会社株主に帰属する四半期純利益は103億3千4百万円と前年同期比36.9%の増加となり、当第3四半期連結累計期間の各段階利益は過去最高を大幅に更新し、年間の過去最高益も上回りました。
セグメント別の概況は以下のとおりです。
(基礎化学品)
クロール・アルカリは、かせいソーダを中心に原燃料価格上昇の影響を受けましたが、価格改定の効果もあり、売上高は増加しました。
エピクロルヒドリンは、当第3四半期に入り需要は低下しましたが、原燃料価格上昇にともなう価格改定の効果や為替の影響もあり、売上高は増加しました。
以上の結果、基礎化学品の売上高は335億9千3百万円と前年同期比22.1%の増加となりました。
(機能化学品)
合成ゴム関連では、エピクロルヒドリンゴムは、世界の自動車生産台数が増加に転じた影響もあり、アジア向けを中心に売上高は増加しました。アクリルゴムは国内外で新規採用が進み、アジア向けを中心に売上高は増加しました。
ダップ樹脂では、欧州および中国での絶縁ワニス用途を中心に販売が増加したため、売上高は増加しました。
アリルエーテル類では、欧米で塗料および電子材料用途を中心とするシランカップリング剤向けの拡販が進んだことに加え、為替の影響もあり、売上高は増加しました。
医薬品精製材料は、欧米並びにアジア向けの糖尿病治療薬用途等の需要が拡大し、売上高は増加しました。医薬品原薬・中間体は、糖尿病の合併症治療薬中間体、骨粗鬆症治療薬原薬および不眠症治療薬中間体の販売が拡大したため、売上高は増加しました。
以上の結果、機能化学品の売上高は390億3千万円と前年同期比16.4%の増加となりました。
(住宅設備ほか)
生活関連商品の販売が堅調に推移した結果、住宅設備ほかの売上高は50億8千1百万円と前年同期比19.1%の増加となりました。
当第3四半期連結会計期間末における当社グループの財政状態は次のとおりです。
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて、7.6%増加し1,390億2百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べて、9.1%増加し896億1千7百万円となりました。これは、主として受取手形、売掛金及び契約資産が34億9百万円、電子記録債権が24億1千万円、商品及び製品が15億2千9百万円それぞれ増加したことによります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて、5.0%増加し493億8千5百万円となりました。これは、主として有形固定資産が5百万円減少し、投資有価証券が23億4千7百万円増加したことによります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べて、15.5%減少し382億4千2百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べて、18.8%減少し323億6千3百万円となりました。これは、主として支払手形及び買掛金が26億4千9百万円増加し、1年内償還予定の新株予約権付社債が87億3千3百万円減少したことによります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて、8.6%増加し58億7千8百万円となりました。これは、主として繰延税金負債が6億2千7百万円増加したことによります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて、20.1%増加し1,007億6千万円となりました。これは、主として、利益剰余金が81億1千7百万円、資本剰余金が26億1千8百万円増加し、自己株式が48億2千8百万円減少したことによります。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた問題はありません。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループが支出した研究開発費の総額は18億4千4百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。