【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当社は2022年度を初年度とした中期経営計画「Challenge2024」を策定いたしました。経営方針として「事業ポート
フォリオの最適化により企業価値の向上を目指す」を掲げ、その方針に沿った「成長事業の加速化」「研究開発の拡充」「既存事業の収益性改善」「ESG経営の高度化」「事業インフラの再構築」という5つの戦略を軸に具体的な施策を実行しています。
それに加え2023年5月に、経営環境の変化に柔軟に対応することで、中期経営計画「Challenge2024」の達成をより
確実とすることを目的に、ローリング方式にて中期経営計画の見直しを行い、当社のROEおよびPERの向上を目指した
具体的な施策を追加した中期経営計画「ローリングプラン2023」を策定いたしました。
(1)経営成績に関する説明
①経営成績について
当第1四半期連結会計期間の業績につきましては、化学品事業部門(化成品分野・受託評価分野)、ボトリング事業部門、金属加工事業部門(耐熱炉内用金物)等の販売が好調に推移いたしました。一方で、化学品事業部門(電子材料分野、シリコンウェーハ分野)については、世界的な半導体需要の低迷の影響を受けています。
(単位:百万円)
前第1四半期
当第1四半期
差 異
増減率
連結売上高
8,291
8,823
+532
+6.4%
連結営業利益
377
514
+137
+36.4%
連結経常利益
522
677
+155
+29.8%
親会社株主に帰属する四半期純利益
423
505
+82
+19.4%
②セグメント別の状況
当第1四半期連結会計期間より、事業ポートフォリオに基づく事業領域ごとの経営管理への移行に伴い、各事業領域の投資効率、収益性などを明確にすることを目的に各事業セグメントの担当役員を委嘱し、役員の執行業務、責任範囲の明確化を図りました。経営判断や予算策定を行う管理区分の見直しに伴い、報告セグメントを従来の「化学品事業」「ボトリング事業」「産業用部材事業」「エンジニアリングサービス事業」の4区分から、「化学品事業」「ボトリング事業」「金属加工事業」「エンジニアリングサービス事業」の4区分に変更しています。
なお、前第1四半期連結累計期間のセグメント情報は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しています。
主な製品・サービスの状況は下記の通りです。
「化学品事業部門」
化薬分野 =増収増益
・産業用爆薬は、価格改定により増収の一方、それを超える原料価格の高騰などにより減益。
・自動車用緊急保安炎筒は、自動車産業が半導体不足や部品調達遅延の影響から回復した結果として、新車向け
が好調となり増収増益。
・高速道路用信号焔管は、新型コロナウイルス感染症に起因する人流抑制が緩和され、大型連休を中心に需要が
増加し、増収増益。
・煙火関連は、花火大会の開催数が増加傾向にあり、増収増益。
受託評価分野 =増収増益
・危険性評価試験、電池試験ともに電池開発の活況が継続し、増収増益。
化成品分野 =増収増益
・塩素酸ナトリウムは、紙パルプ漂白用途の需要に対し、安定した供給を進め、増収増益。
・過塩素酸アンモニウム(ロケット・防衛用推進薬原料)は、防衛用途の需要が増え、増収増益。
・電極は、顧客在庫調整およびスポット受注減により減収の一方、高付加価値製品の販売増により増益。
・過塩素酸は、国内外の需要増加により増収の一方、原料価格の高騰などにより減益。
電子材料分野 =減収減益
・電子材料関連製品、機能材料関連製品ともに、アジア圏をはじめとする海外需要の低迷が継続し、国内需要も
顧客在庫調整などがあり減収減益。性能向上品や環境規制対応品などの製品開発・営業活動に引き続き注力。
セラミック材料分野 =減収減益
・国内砥石・研磨布紙メーカーの需要低迷により、減収減益。
シリコンウェーハ分野 =減収減益
・世界的な半導体需要の低迷を受け、主要顧客の需要の落ち込みにより、減収減益。高平坦度ウェーハを始めと
する高付加価値製品の開発、既存製品群の生産性向上、顧客の新規開拓といった活動に引き続き注力。
「ボトリング事業部門」
・ペットボトル飲料、缶飲料ともに、個人消費とインバウンド需要の高まりにより好調。加えて、コスト改善に
向けた取り組みの効果が現れ、増収増益。
「金属加工事業部門」
・耐熱炉内用金物は、鉄鋼メーカー向けを中心にアンカー・リテーナともに好調。加えて、生産性向上に向けた
取り組みの効果が現れ、増収増益。
・各種金属スプリングおよびプレス品は、自動車向け・建設機械向けともに好調により増収。一方、原料価格の
高騰などの影響を受け減益。
「エンジニアリングサービス事業部門」
・建築・設備工事は、収益性の高い案件が得られず、増収減益。
・塗料販売・塗装工事は、市場環境の好調により、増収増益。
・構造設計は、収益性の高い案件の増加により、増収増益。
これらの結果下記の通りとなりました。
(単位:百万円)
区分
連 結 売 上 高
連 結 営 業 利 益
前第1四半期
当第1四半期
前第1四半期
当第1四半期
化学品
4,822
5,115
422
420
ボトリング
989
1,100
△238
△170
金属加工
1,726
1,807
62
112
エンジニアリングサービス
874
922
140
173
小 計
8,413
8,946
386
535
その他・消去
△121
△122
△9
△21
合 計
8,291
8,823
377
514
(2)財政状態の状況
総資産は515億1千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億8千2百万円増加いたしました。これは、現金及び預金が3億4千1百万円減少、受取手形、売掛金及び契約資産が3億9千7百万円減少した一方、投資有価証券が6億2千2百万円増加、棚卸資産が2億5千9百万円増加したことなどによるものです。
負債は177億4千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億3百万円減少いたしました。これは、賞与引当金が3億7百万円増加、前受金が2億4千1百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が6億6千9百万円減少、有利子負債が3億3千万円減少したことなどによるものです。
純資産は337億6千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億8千6百万円増加いたしました。これは、その他有価証券評価差額金が4億2千7百万円増加、繰延ヘッジ損益が1億8百万円増加、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等による利益剰余金が2千6百万円増加したことなどによるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の64.8%から65.5%となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の
分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重
要な変更はありません。
(5)研究開発活動 当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は2億4千4百万円であります。 なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。