【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
米中貿易摩擦の長期化等に起因する世界経済の不透明な動向が、引き続き第4四半期連結累計期間の業績の低迷をもたらしました。特に、化学品事業部門では電子材料分野が、産業用部材事業部門ではシリコンウェーハとば
ね・座金製品がこの影響を強く受け、いずれの事業部門も売上高および利益を大きく押し下げられました。
また、ボトリング事業部門において第2四半期期間中に発生した一部の製造ラインの不具合に起因する影響
が、第4四半期連結累計期間にも継続しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ47億8千7百万円減少し489億2千4百万円となりまた。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ42億4千4百万円減少し227億1千5百万円となりまた。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ5億4千2百万円減少し262億9百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の連結売上高は497億4千5百万円(前年同期比 43億3百万円減、同8.0%減)となりました。連結営業利益は15億9千9百万円(前年同期比 7億2千9百万円減、同31.3%減)、連結経常利益は17億3千2百万円
(前年同期比 8億1千9百万円減、同32.1%減)となりました。
上記製造ライン不具合に関連した諸施策の費用等として9億4千5百万円の特別損失が発生し、受取保険金とし 2億3千3百万円の特別利益を計上しました。また、投資有価証券の売却による特別利益3億2千万円、老朽化設備
の除却等による固定資産除却損2億7千9百万円を計上しました。これらにより、親会社株主に帰属する当期純利益は6億9千万円(前年同期比 8億8千8百万円減、同56.3%減)となりました。
セグメント別の業績は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
区 分
連 結 売 上 高
連 結 営 業 利 益
前 期
当 期
前 期
当 期
化学品
23,629
22,027
1,250
858
ボトリング
19,617
17,591
425
196
産業用部材
9,056
8,005
297
△40
小 計
52,303
47,624
1,972
1,015
その他・消去
1,745
2,121
355
583
合 計
54,049
49,745
2,328
1,599
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金および現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて3億3千6百万円増加し、46億2千2百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動によって得られた資金は28億9千9百万円(前年同期比5千万円の増加)となりました。税金等調整前当期純利益が10億4千8百万円となり、減価償却費が20億3千6百万円、売上債権の減少額が30億6千9百万円、仕入債務の減少額が21億3千9百万円、法人税の支払額が10億5千3百万円あったことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において投資活動に使用された資金は11億4千5百万円(前年同期比6億8千7百万円の減少)となりました。主に固定資産の取得による支出が14億9千3百万円、投資有価証券の売却による収入が5億5千1百万円あったことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において財務活動に使用された資金は14億2千4百万円(前年同期比4億7千1百万円の増加)となりました。主に借入金の減少額が8億2千5百万円、配当金の支払額が2億8千7百万円あったことなどによります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前期比(%)
化学品事業
9,625
△4.0
ボトリング事業
17,109
△10.8
産業用部材事業
5,264
△10.2
報告セグメント計
31,999
△8.7
その他
-
-
合計
31,999
△8.7
(注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは主として見込み生産によっているため記載すべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
化学品事業
21,666
△6.9
ボトリング事業
17,591
△10.3
産業用部材事業
7,827
△11.0
報告セグメント計
47,084
△8.9
その他
2,660
12.4
合計
49,745
△8.0
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
㈱伊藤園
18,276
33.8
16,002
32.1
3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績
1)財政状態
(総資産)
当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べ47億8千7百万円減少し、489億2千4百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が31億8千8百万円減少、投資有価証券が15億5千1百万円減少したことなどによりま
す。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ26億8千1百万円減少し205億3千9百万円となりました。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ21億6百万円減少し283億8千5百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前期末に比べ42億4千4百万円減少し、227億1千5百万円となりました。これ
は、支払手形及び買掛金が21億7千7百万円減少、未払法人税等が3億4千9百万円減少、繰延税金負債が3億8千5百万円減少、その他流動負債に含まれる未払消費税が2億4千7百万円減少、有利子負債が9億9千万円減少した
ことなどによります。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ29億5千2百万円減少し126億2百万円となりました。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ12億9千1百万円減少し101億1千2百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前期末に比べ5億4千2百万円減少し、262億9百万円となりました。これは、当期純利益等の計上により利益剰余金が4億3百万円増加、その他有価証券評価差額金が9億5千5百万円減少したことなどによります。
この結果、1株当たり純資産は、前期末に比べて24.06円減少し1,106.00円となり、自己資本比率は前期末の49.8%から53.6%となりました。
株主資本は、前連結会計年度末に比べ4億1千5百万円増加し236億1千3百万円となりました。
その他の包括利益累計額は、前連結会計年度末に比べ9億5千8百万円減少し25億9千6百万円となりました。
2)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の連結売上高は前連結会計年度の540億4千9百万円から43億3百万円減の497億4千5百万円、前年同期比8.0%減となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、前連結会計年度の452億8千7百万円から35億5千2百万円減の417億3千5百万円となりました。売上に対する比率は前年同期の83.8%から0.1%増の83.9%となりました。
また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度の64億3千2百万円から2千1百万円減の64億1千1百万円となりました。売上高に対する比率は前年同期比の11.9%から1.0%増加し12.9%となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
営業利益は、前連結会計年度の23億2千8百万円から7億2千9百万円減の15億9千9百万円となりました。営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、前連結会計年度の2億2千3百万円の収益から、9千万円減の1億3千3百万円の収益計上となりました。
その結果、経常利益は前連結会計年度の25億5千1百万円から8億1千9百万円減の17億3千2百万円となりました。
特別利益から特別損失を差し引いた純額は、前連結会計年度の1億9千6百万円の損失から6億8千3百万円の損失計上となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の23億5千5百万円から13億6百万円減の10億4千8百万円となり、法人税、住民税及び事業税や法人税等調整額を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度の15億7千9百万円から8億8千8百万円減の6億9千万円となりました。
b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
米中貿易摩擦の長期化等に起因する世界経済の不透明な動向が、引き続き第4四半期連結累計期間の業績の低迷
をもたらしました。特に、化学品事業部門では電子材料分野が、産業用部材事業部門ではシリコンウェーハとば
ね・座金製品がこの影響を強く受け、いずれの事業部門も売上高および利益を大きく押し下げられました。
また、ボトリング事業部門において第2四半期期間中に発生した一部の製造ラインの不具合に起因する影響が、
第4四半期連結累計期間にも継続しました。
なお、2020年3月期においては、当社グループにおける新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、軽微
でありました。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2019年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「ワクワク21」を策定し、スタートさせました。
最終年度である2021年度の数値目標は売上高650億円、営業利益30億円、ROE8%を掲げております。(策定時の判
断に基づくものであり、経営環境の変化や会計基準の変更等により数値の変更が見込まれます。)
「利益指向で事業の足場固めを積み重ね、新たな取り組みに向けて経営資源を投入する」ことを掲げ、付加価値
の高い製品やサービスを創出し、新たな事業領域を切り拓いていくための諸施策を遂行します。
グループ経営理念である「信頼と限りなき挑戦」の下、少子高齢化やAI・IoT、SDGs等の社会課題と向き合い、研
究開発、新規事業、M&A、海外事業等への取り組みをより積極的に行い、既存・周辺事業についても基盤強化を図っ
てまいります。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(化学品事業部門)
化薬分野においては、産業用爆薬は土木向けの受注の減少により減販となりました。自動車用緊急保安炎筒
は、新車販売台数と車検入庫台数の減少により減販となりました。高速道路用信号炎管は増販となりました。煙火
関連はテーマパーク向けの需要減により微減となりました。これらにより、分野全体として減販となりました。
受託評価分野においては、危険性評価試験は減販、電池試験は微増となり、分野全体としては減販となりまし
た。
化成品分野においては、固体推進薬の原料である過塩素酸アンモニウムは打ち上げスケジュールが計画通りに進
み増販、過塩素酸と除草剤も増販となりましたが、パルプ漂白用の塩素酸ナトリウムは市況の影響により減販とな
り、分野全体としては減販となりました。
電子材料分野においては、近赤外線吸収色素は大幅な増販、アルミ電解コンデンサ向け材料・チオフェン系材
料・電池材料向けの過塩素酸リチウムは増販となりました。一方で、米中貿易摩擦の影響を受けて機能性高分子コ
ンデンサ向けピロール関連製品と電気二重層キャパシタ用電解液は大幅な減販に、イオン導電材料などの機能材料
が減販となり、分野全体としては減販となりました。
セラミック材料分野は工作機械・砥石業界向けの不調の影響を受けて減販となりました。
その他では、販売商社である佳里多(上海)貿易有限公司、三協実業株式会社ともに減販となりました。
これらの結果、当事業部門全体の売上高は220億2千7百万円(前年同期比 16億1百万円減、同6.8%減)、営業
利益は8億5千8百万円(前年同期比 3億9千1百万円減、同31.3%減)となりました。
また資産は、前連結会計年度の262億1百万円から10億2百万円増の272億3百万円となりました。
(ボトリング事業部門)
第2四半期期間中に一部の製造ラインの不具合が発生し、当該ラインの稼働を一時的に停止し、全面的なリニュ
ーアルを実施いたしました。当該製造ラインのリニューアルは第2四半期期間中にすべて完了しており、以降は安
定稼働を再開していますが、諸施策の費用等が第4四半期累計期間においても影響を及ぼしました。
これらの結果、当事業部門全体の売上高は175億9千1百万円(前年同期比 20億2千5百万円減、同10.3%減)、
営業利益は1億9千6百万円(前年同期比 2億2千9百万円減、同53.8%減)となりました。
また資産は、前連結会計年度の71億3千5百万円から17億2千9百万円減の54億6百万円となりました。
(産業用部材事業部門)
米中貿易摩擦等の影響により、半導体向けシリコンウェーハ、自動車・建設機械向けばね・座金製品とも減販と
なりました。
耐火・耐熱金物は、リテーナは増販となりましたが、主力製品であるアンカーの減販と不採算品目からの撤退等
により全体では減販となりました。
これらの結果、当事業部門全体の売上高は80億5百万円(前年同期比 10億5千万円減、同11.6%減)、営業損失
は4千万円(前年同期は2億9千7百万円の営業利益)となりました。
また資産は、前連結会計年度の85億7千6百万円から9億3千8百万円減の76億3千8百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性
(契約債務)
2020年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
年度別要支払額(百万円)
契約債務
合計
1年以内
1年超3年以内
3年超5年以内
5年超
短期借入金
3,140
3,140
-
-
-
長期借入金
4,906
1,634
2,423
847
-
リース債務
1,520
163
1,034
199
122
上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に
含めております。
(財務政策)
当社グループは、必要な資金は銀行等金融機関からの借入及び増資等の最適な方法により調達しております。借
入金のうち、短期借入金は主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入金(原則として5年以内)は主に設備投
資に係る資金調達であります。
③重要な会計上の見積もり及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたり、開示すべき財政状態および経営成績の報告数値に影響を与える見積りや仮定設定を行わなければなりませんが、当社経営陣は、売上債権等の貸倒見積額、たな卸資産の評価、繰延税金資産の回収可能性等に関して継続してその妥当性の評価を行い、過去の実績や状況に基づき合理的な判断を行っております。
新型コロナウイルス感染症の影響により沈滞している社会経済活動が、概ね2021年3月期の下期以降には回復でき
る環境が整ってくることを前提として、固定資産の減損及び繰延税金資産の回収可能性の判断等の会計上の見積りを
行っております。
なお、当該見積もりは現時点の最善の見積もりであるものの、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動への
影響については不確定要素が存在し、将来において、第二波、第三波と感染が広がることで、世界経済の低迷がより
長期化した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に少なからず影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)
連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。