【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
①新中期経営計画発表
2022年度を初年度とした新中期経営計画「Challenge 2024」を策定し、2022年6月15日に開示いたしました。
前中期経営計画の振り返りを踏まえた経営方針として「事業ポートフォリオの最適化により企業価値の向上を目指す」を掲げ、その方針に沿った「成長事業の加速化」、「研究開発の拡充」、「既存事業の収益性改善」、「ESG経営の高度化」、「事業インフラの再構築」という5つの戦略を軸に具体的な施策を実行してまいります。また、コーポレートガバナンスのさらなる強化に努め、「利益ある成長」と「ESG」を具現化し、社会に信頼される企業グループを目指します。
②統合報告書発行
2022年10月7日に統合報告書「カーリットレポート2022」を発行し、当社ホームページに掲出いたしました。
本報告書では、2030年のありたい姿「持続可能な社会に貢献するために、“化学”と“技術”の力を合わせ、人びとの幸せな暮らしを支えたい」からバックキャストして策定した新中期経営計画の方針、業績目標、環境・社会への取り組みをはじめ、サステナビリティ経営の実践に向けた気候変動への対応や人的資本に関する取り組みなどのESG情報の開示を拡充いたしました。
(1)経営成績に関する説明
①経営成績について
当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、化学品事業部門における化成品分野・電子材料分野・セラミック材料分野および産業用部材事業部門における半導体用シリコンウェーハ等の販売が好調に推移いたしました。一方で、原材料価格・エネルギーコストの高騰に対しては、その影響の低減に努めました。また、投資有価証券売却益1億6千8百万円を特別利益として、三協実業株式会社の売却に伴う関係会社株式売却損5千万円を特別損失として計上しております。
なお、前期におきましては、支払補償費1億3千9百万を営業外費用として、受取保険金9千6百万円を営業外収益として計上いたしました。また、南澤建設株式会社の株式を取得したことに伴う負ののれんの暫定値2億9百万円および投資有価証券売却益1億円を特別利益として計上いたしました。
これらの結果下記の通りとなりました。
(単位:百万円)
前第3四半期
当第3四半期
差 異
増減率
連結売上高
25,022
26,564
+1,541
+6.2%
連結営業利益
1,756
1,740
△16
△0.9%
連結経常利益
1,951
2,012
+61
+3.1%
親会社株主に帰属する四半期純利益
1,717
1,459
△258
△15.0%
②セグメント別の状況
主な製品・サービスの状況は下記の通りです。
「化学品事業部門」
化薬分野 =減収減益
・産業用爆薬は不採算製造拠点からの撤退による減収に加え、原材料価格・エネルギーコストの高騰により減益
・自動車用緊急保安炎筒の新車向けは増収。車検交換向けはガラス破壊具付きが豪雨災害対策と安全意識向上により
増収。利益面では、原材料価格の高騰などにより減益
・高速道路用信号焔管は交通量の回復と工事規制需要の増加に加え、適正価格の維持により増収増益
・煙火関連は花火大会の一部再開により増収増益
・宇宙産業分野では固体推進薬の開発を顧客と共同で進行中。推進薬の製造およびモータ部品の組立を行い、今年度
中には納入予定
受託評価分野 =増収減益
・危険性評価試験・電池試験とも電池開発の活況継続により増収となった一方で、電力価格の高騰などの影響により
減益
化成品分野 =増収増益
・塩素酸ナトリウム(紙パルプ漂白剤)は適正価格の維持により増収増益
・亜塩素酸ナトリウムは繊維漂白および電子材料分野での販売が低迷し減収減益
・過塩素酸アンモニウム(ロケット・防衛用ミサイル推進薬原料)はロケット推進薬向けの増販により増収となった
一方で、利益面では原材料価格・エネルギーコストの高騰の影響により減益
・電極は適正価格の維持に加え、新規のメッキ用途の受注により増収増益
・過塩素酸は適正価格の維持に加え、需要の増加により増収増益
電子材料分野 =減収減益
・電子材料関連製品は電気二重層キャパシタ用電解液は増収となった一方で、パソコン需要の減退や上海のロック
ダウン・電力制限の影響により減収減益
・機能材料関連製品は近赤外線吸収色素が認証センサーなどの需要拡大により増収となった一方で、上海のロックダ
ウンの影響によるスマートフォンおよびFPD市場の不調などにより減収減益
セラミック材料分野 =増収増益
・適正価格の維持に加え、シェア拡大および新規拡販により増収増益
「ボトリング事業部門」
・ペットボトル飲料は需要の回復に加え、新規製品の受注により増収
・缶飲料は自販機向けコーヒーの販売減少により減収
・委託品は新規品の受注などにより増収
・エネルギーコストの高騰により減益
「産業用部材事業部門」
・シリコンウェーハは顧客の在庫調整、原材料価格・エネルギーコストの高騰の影響があったものの増収増益。
適正価格の維持と、各種センサー・マイクロフォン等に使用されるMEMS(微小電気機械システム)およびTC-SAW
フィルター向けの高平坦度ウェーハを始めとする高付加価値製品の開発・販売に注力
・耐熱炉内用金物は都市ごみ焼却向けを中心に、主要製品であるアンカー・リテーナとも好調により増収増益
・各種金属スプリングおよびプレス品は自動車向けは減産の影響により減収となった一方で、建機向けの好調継続
により増収増益
「エンジニアリングサービス事業部門」
・建築・設備工事は南澤建設の新規連結寄与により増収となった一方で、収益性の高い案件の減少により減益
・塗料販売・塗装工事は市場環境の好調継続と新規拡販により増収増益
・構造設計は収益性の高いサービスの好調継続により増収増益
これらの結果下記の通りとなりました。
(単位:百万円)
区 分
連 結 売 上 高
連 結 営 業 利 益
前第3四半期
当第3四半期
前第3四半期
当第3四半期
化学品
12,570
13,179
900
778
ボトリング
3,246
3,464
116
31
産業用部材
6,869
7,360
423
591
エンジニアリング
サービス
2,793
2,987
330
407
小 計
25,481
26,992
1,770
1,808
その他・消去
△458
△427
△13
△68
合 計
25,022
26,564
1,756
1,740
(2)財政状態の状況
総資産は531億9千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ31億1千9百万円増加いたしました。これは、現金及び預金が10億9千1百万円増加、受取手形、売掛金及び契約資産が18億5千万円増加、棚卸資産が8億6千2百万円増加した一方、有形固定資産が5億9千2百万円減少、投資有価証券が8千9百万円減少したことなどによります。
負債は210億5千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億8千1百万円増加いたしました。これは、支払手形及び買掛金が9億4千6百万円増加、有利子負債が8億6千4百万円増加したことなどによります。
純資産は321億4千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億3千7百万円増加いたしました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等により利益剰余金が10億7千5百万円増加、その他有価証券評価差額金が7千5百万円増加、為替換算調整勘定が6千万円増加したことなどによります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の61.7%から60.4%となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の
分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重 要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は7億6千2百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。