【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間における日本経済は、世界的な金融引き締めや中国経済の先行き懸念などによる海外景気の下振れリスクがあるものの、コロナ禍からの社会経済活動の正常化により、個人消費が持ち直し、企業収益や設備投資が改善するなど、緩やかに回復しました。
このような状況のもと、当社グループは2024年3月期を初年度とする5ヵ年に亘る中期経営計画「PLAN27」を発表し、基本方針である「社会課題解決」と「持続的成長」に向けた事業拡大に取り組みました。
水素エネルギー社会の実現に向けては、モビリティ分野の用途拡大を見据え、大阪・関西万博において国内初となる水素燃料電池船の旅客運航を行うことを決定しました。また、東名高速道路の足柄サービスエリア(SA)(下り)に、高速道路のSA・パーキングエリアでは国内初となる水素ステーションを開業し、需要拡大に向けた取り組みを進めました。さらに、トーヨーカネツ株式会社と共同で大型液化水素貯槽の研究開発を行うこととなり、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成金に採択されました。
総合エネルギー事業では、LPガスの更なる安定供給に向けて、災害に強い基幹センターの整備を図るとともに、政府の補助金も活用しながら、遠隔でのガス栓の開閉や検針が可能な通信機器、自動充填設備等の導入を進め、配送合理化への取り組みを進めました。
産業ガス・機械事業では、国内での半導体製造体制を強化する政府方針のもと、ヘリウムガスの備蓄設備に対して経済産業省からの助成金交付が決定し、日本市場でのさらなる安定供給体制の強化を進めます。
なお、LPガスと産業ガスの安定供給に欠かせない配送車に関して、東京都と福島県の拠点において、業界初となる燃料電池トラックによるシリンダー配送を開始し、サプライチェーンの脱炭素化に向けた取り組みを進めました。
マテリアル事業では、価格が高騰している銅の使用量やコストの削減を目的に、銅鉄合金溶加材を用いた銅とステンレスの溶接技術を独自に開発しました。空調業界の冷媒配管等で使用される銅の一部を価格安定性の高いステンレスに変更することが可能となり、今後、溶加材メーカーと共同で量産体制を構築し、市場への供給を目指してまいります。
当第2四半期連結累計期間の経営成績は、売上高3,942億11百万円(前年同期比190億6百万円の減収)、営業利益145億91百万円(同2億69百万円の増益)、経常利益181億87百万円(同1億20百万円の減益)、親会社株主に帰属する四半期純利益120億62百万円(同5億43百万円の減益)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
なお、第1四半期連結会計期間より、会社組織の変更に伴い、事業セグメントの区分方法の変更を行っており、当第2四半期連結累計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
【総合エネルギー事業】
総合エネルギー事業は、LPガス輸入価格が低位に推移したことや、気温高の影響等により減収となりました。利益面においては、LPガス小売部門の収益性が改善したことに加え、ガス保安機器等が堅調に推移したものの、LPガスの市況要因(前年同期比56億74百万円のマイナス)により減益となりました。
この結果、当事業分野の売上高は1,433億29百万円(同253億6百万円の減収)、11億99百万円の営業損失(前年同期は営業利益39億10百万円)となりました。
【産業ガス・機械事業】
産業ガス・機械事業は、エアセパレートガス及び水素ガスについては、半導体、電子部品業界向けを中心に販売数量が減少しましたが、製造コスト増加への対応に努めたことにより収益性は改善しました。特殊ガスについては、飲料、化学業界向けに炭酸ガスが堅調に推移したことに加え、世界的な需給ひっ迫の中、ヘリウムの安定供給に努めました。機械設備は、パワー半導体向け設備やガス供給設備の販売が増加しました。
この結果、当事業分野の売上高は1,268億41百万円(前年同期比189億39百万円の増収)、営業利益は108億52百万円(同44億50百万円の増益)となりました。
【マテリアル事業】
マテリアル事業は、次世代自動車向け二次電池材料について、販売先での在庫調整の影響等により販売数量が減少し、減収となりました。一方で、バイオマス燃料や飲料ボトル向けPET樹脂の販売増加に加え、海外でのミネラルサンド事業が伸長しました。また、ステンレスやエアコン向けを中心とする金属加工品も堅調に推移しました。
この結果、当事業分野の売上高は1,085億37百万円(前年同期比124億64百万円の減収)、営業利益は62億59百万円(同4億68百万円の増益)となりました。
【その他】
売上高は155億3百万円(前年同期比1億76百万円の減収)、営業利益は13億35百万円(同5億24百万円の増益)となりました。
(2)財政状態の分析
①総資産
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ141億39百万円増加の6,701億43百万円となりました。これは、投資有価証券等の投資その他の資産が219億58百万円、有形固定資産が64億78百万円、商品及び製品が25億2百万円、電子記録債権が18億20百万円それぞれ増加したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が188億57百万円減少したこと等によるものです。
②負債
当第2四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末と比べ36億29百万円減少の3,401億43百万円となりました。これは、短期借入金が203億54百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が115億65百万円、電子記録債務が66億4百万円、未払法人税等が35億96百万円、契約負債が22億50百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
なお、当第2四半期連結会計期間末のリース債務等を含めた有利子負債額は、前連結会計年度末と比べ215億84百万円増加の1,610億38百万円となりました。
③純資産
当第2四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末と比べ177億69百万円増加の3,299億99百万円となりました。これは、利益剰余金が65億92百万円、その他有価証券評価差額金が63億45百万円、為替換算調整勘定が29億98百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べ63億60百万円減少の268億95百万円となりました。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比べ収入が103億17百万円増加したことにより98億9百万円の収入となりました。
これは主に、税金等調整前四半期純利益192億36百万円、売上債権及び契約資産の減少額181億7百万円、減価償却費122億69百万円等による資金の増加と、仕入債務の減少額190億80百万円、法人税等の支払額97億7百万円、棚卸資産の増加額45億84百万円、契約負債の減少額22億62百万円等による資金の減少によるものです。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比べ支出が51億90百万円減少したことにより298億22百万円の支出となりました。
これは主に、有形固定資産の取得177億80百万円、無形固定資産の取得26億14百万円、投資有価証券の取得12億28百万円等による資金の減少によるものです。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比べ収入が240億12百万円減少したことにより125億93百万円の収入となりました。
これは主に、借入金の純増加額195億97百万円による資金の増加と、配当金の支払額54億56百万円等による資金の減少によるものです。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は11億15百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは2024年3月期を初年度とする5ヵ年に亘る中期経営計画「PLAN27」を2023年6月21日に発表し、当該期間における基本方針及び指標等を開示いたしました。