【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第1四半期連結累計期間における日本経済は、物価上昇や海外景気の先行きに不透明感があるものの、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う社会経済活動の活性化により、個人消費や企業収益が持ち直すなど、緩やかに回復しました。このような状況のもと、当社グループは2024年3月期を初年度とする5ヵ年に亘る中期経営計画「PLAN27」を発表し、基本方針である「社会課題解決」と「持続的成長」に向けた事業拡大に取り組みました。
水素エネルギー社会の実現に向けては、豪州の褐炭を活用したCO2フリー水素サプライチェーン構築を推進するとともに、豪州クイーンズランド州における再生可能エネルギー由来のグリーン水素を大規模製造するプロジェクトについて、基本設計作業を開始しました。また、発電等の大量需要への大容量水素供給システムの実現に向け、三菱重工業株式会社との液化水素昇圧ポンプの開発・販売の覚書や、住友精密工業株式会社との大型液化水素気化器の共同開発契約を締結するなど、他社との連携を進めました。総合エネルギー事業では、関東・首都圏エリアでのLPガス供給体制の強化および合理化の一環として、根岸液化ガスターミナルにおいてシリンダー充填所の建設に着手しました。また、一般家庭等への高効率ガス給湯器導入により得られるCO2削減効果を国のJ-クレジット制度の認証を受けて環境価値化に取り組むとともに、北九州水素タウンにおいて水素100%燃焼給湯器の実証試験に着手し、家庭での低・脱炭素化を推進しました。産業ガス・機械事業では、中国・華東地域の旺盛な需要を捉え、水素工場に加えて、更なる事業拡大を目的にエアセパレートガス製造設備の拡張を図りました。マテリアル事業では、タイの金属加工事業において、空調機器の需要増加を受け、着実に製造・販売を拡大しました。
当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高2,019億9百万円(前年同期比18億94百万円の減収)、営業利益85億12百万円(同3億15百万円の減益)、経常利益106億14百万円(同7億15百万円の減益)、親会社株主に帰属する四半期純利益71億72百万円(同10億7百万円の減益)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。なお、当第1四半期連結会計期間より、会社組織の変更に伴い、事業セグメントの区分方法の変更を行っており、当第1四半期連結累計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
①総合エネルギー事業総合エネルギー事業は、LPガス輸入価格の下落や気温高の影響等により減収となりました。利益面においては、LPガス小売部門の収益性は改善したものの、市況要因が前年同期比で37億73百万円の減益と大幅なマイナスになりました。この結果、当事業分野の売上高は769億61百万円(前年同期比145億51百万円の減収)、営業利益は16億円(同36億62百万円の減益)となりました。
②産業ガス・機械事業産業ガス・機械事業は、エアセパレートガス及び水素ガスについては、半導体、電子部品業界向けを中心に販売数量が減少しましたが、製造コスト増加への対応に努めたことにより収益性は改善しました。また、水素関連設備の販売が堅調に推移しました。特殊ガスについては、ヘリウムが世界的な需給ひっ迫により市況が上昇する中、安定供給に努めました。機械設備は、自動車関連向け設備やガス供給設備の販売が伸長しました。この結果、当事業分野の売上高は621億83百万円(前年同期比137億71百万円の増収)、営業利益は48億99百万円(同34億22百万円の増益)となりました。
③マテリアル事業マテリアル事業は、ミネラルサンドや次世代自動車向け二次電池材料は、販売先での在庫調整の影響等により、販売数量が減少しました。一方で、バイオマス燃料や飲料ボトル向けPET樹脂の販売が伸長したことに加え、輸入ステンレスやエアコン向けを中心とする金属加工品の販売も堅調に推移しました。この結果、当事業分野の売上高は553億20百万円(前年同期比9億63百万円の減収)、営業利益は27億69百万円(同54百万円の増益)となりました。
④その他売上高は74億43百万円(前年同期比1億50百万円の減収)、営業利益は6億10百万円(同2億90百万円の増益)となりました。
(2) 財政状態の分析①総資産当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ13億31百万円減少の6,546億72百万円となりました。これは、投資有価証券が92億23百万円、商品及び製品が80億81百万円、デリバティブ資産等の流動資産「その他」が37億2百万円、原材料及び貯蔵品が13億17百万円それぞれ増加したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が232億56百万円減少したこと等によるものです。
②負債当第1四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末と比べ110億20百万円減少の3,327億52百万円となりました。これは、繰延税金負債等の固定負債「その他」が41億7百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が96億69百万円、未払法人税等が48億29百万円、賞与引当金が23億59百万円それぞれ減少したこと等によるものです。なお、当第1四半期連結会計期間末のリース債務等を含めた有利子負債額は、前連結会計年度末と比べ1億59百万円増加の1,396億13百万円となりました。
③純資産当第1四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末と比べ96億89百万円増加の3,219億19百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が64億84百万円、利益剰余金が17億2百万円、繰延ヘッジ損益が13億66百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は6億7百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは2024年3月期を初年度とする5ヵ年に亘る中期経営計画「PLAN27」を2023年6月21日に発表し、当該期間における基本方針及び指標等を開示いたしました。