【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間における日本経済は、ウクライナ情勢を背景とする資源価格の高騰や供給制約に加え、日米金利格差拡大に伴う円安進行など、先行き不透明感はあるものの、行動制限緩和に伴い個人消費が持ち直しつつあることや、設備投資が堅調に推移したことから、緩やかに回復しました。このような状況のもと、当社グループは中期経営計画「PLAN23」の基本方針である「脱炭素社会に向けた戦略投資の強化」と「デジタル化の推進」に取り組みました。
脱炭素社会の実現に向けては、グリーンイノベーション基金事業に採択された「液化水素サプライチェーンの商用化実証」の推進主体となる、日本水素エネルギー株式会社への出資を決定しました。液化水素運搬船や基地設備の建設に向けて、出資各社と連携し、詳細な事業性調査を進めてまいります。総合エネルギー事業では、国のJ-クレジット制度により、お客様の燃料転換によるCO2排出削減をJ-クレジットとして価値化する取り組みを進めており、これを活用したカーボンオフセットLPガス・LNGの販売を開始しました。LPガスのグリーン化に向けた取り組みとしては、社会実装の推進に向けて、一般社団法人日本グリーンLPガス推進協議会を中心とする官民協議に参画しました。また、CO2排出量の算定・可視化の一環として、「イワタニカセットガス」のCO2排出量を算定する取り組みを開始しました。産業ガス事業では、陸上養殖分野での事業拡大を図ることを目的に、リージョナルフィッシュ株式会社へ出資しました。当社は長年培ったガス技術を活用し、同社と陸上養殖効率化に向けた共同実証に取り組んでいます。今後、更なる関係強化により、成長分野である陸上養殖に関する幅広いノウハウを蓄積し、海洋資源保全による持続可能な社会にも貢献します。マテリアル事業では、豪州において、ミネラルサンドの新鉱区を確保したことに加え、カーボンクレジットの創出に向けて、所有地での植林事業を行うことを決定しました。
当第2四半期連結累計期間の経営成績は、売上高4,132億18百万円(前年同期比1,162億12百万円の増収)、営業利益144億97百万円(同8億19百万円の増益)、経常利益184億83百万円(同19億28百万円の増益)、親会社株主に帰属する四半期純利益123億1百万円(同20億5百万円の増益)となりました。なお、当社グループの事業構造はエネルギー関連商品を主力としており、季節変動による影響を大きく受ける傾向にあります。LPガスの消費量は、気温や水温の影響を受けるため、販売量は夏季に減少し、冬季に増加します。このため当社グループは利益が下半期に偏る収益構造を有しています。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
①総合エネルギー事業総合エネルギー事業は、LPガス輸入価格が高値で推移したことや、民生用・工業用LPガスの販売増加に加え、新規連結の影響もあり、増収となりました。一方で、LPガスの市況要因が前年同期比でマイナス(前年同期比16億69百万円の減益)となったことに加え、前年の大型設備案件による反動減が発生し、減益となりました。この結果、当事業分野の売上高は1,689億5百万円(同443億16百万円の増収)、営業利益は39億80百万円(同14億99百万円の減益)となりました。
②産業ガス・機械事業産業ガス・機械事業は、エアセパレートガスについては、中国のロックダウン等の影響により自動車関連業界向けを中心に販売数量が減少したことに加え、電力料金の上昇により製造コストが増加しました。水素事業は、液化水素の販売は伸長しましたが、水素ステーションの増設に伴う運営費用が増加しました。ヘリウムについては世界的な需給ひっ迫により市況が上昇する中、安定供給に努めました。また、機械設備は半導体関連機器が堅調に推移しました。この結果、当事業分野の売上高は1,079億1百万円(前年同期比195億80百万円の増収)、営業利益は65億78百万円(同5億32百万円の増益)となりました。
③マテリアル事業マテリアル事業は、ミネラルサンドについてはサプライチェーンの混乱により市況が高騰する中、安定供給に努めたことで増収となりました。また、次世代自動車向け二次電池材料や低環境負荷PET樹脂等の環境商品が堅調に推移し、ステンレスは新規顧客への販売が伸長しました。この結果、当事業分野の売上高は1,190億47百万円(前年同期比491億4百万円の増収)、営業利益は57億28百万円(同27億94百万円の増益)となりました。
④自然産業事業自然産業事業は、業務用や一般消費者向けの冷凍食品の販売が増加したものの、仕入コストや物流費等が増加しました。また、農業設備の販売は低調に推移し、種豚は飼料価格の高騰により収益性が低下しました。この結果、当事業分野の売上高は143億97百万円(前年同期比26億61百万円の増収)、営業利益は1億62百万円(同4億7百万円の減益)となりました。
⑤その他売上高は29億66百万円(前年同期比5億49百万円の増収)、営業利益は6億40百万円(同9百万円の減益)となりました。
(2) 財政状態の分析①総資産当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ795億59百万円増加の6,380億39百万円となりました。これは、商品及び製品が242億39百万円、有形固定資産が151億84百万円、新規連結の影響によりのれんが148億96百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が76億67百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
②負債当第2四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末と比べ661億76百万円増加の3,443億48百万円となりました。これは、社債が200億円、短期借入金が175億24百万円、長期借入金が156億40百万円それぞれ増加したこと等によるものです。なお、当第2四半期連結会計期間末のリース債務を含めた有利子負債額は、前連結会計年度末と比べ532億61百万円増加の1,644億21百万円となりました。
③純資産当第2四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末と比べ133億83百万円増加の2,936億91百万円となりました。これは、利益剰余金が74億8百万円、為替換算調整勘定が55億70百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べ35億22百万円増加の330億96百万円となりました。
①営業活動によるキャッシュ・フロー当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比べ収入が29億36百万円減少したことにより5億8百万円の支出となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益186億2百万円、減価償却費112億30百万円、売上債権及び契約資産の減少額59億48百万円等による資金の増加と、棚卸資産の増加額245億34百万円、法人税等の支払額96億23百万円、仕入債務の減少額18億86百万円等による資金の減少によるものです。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比べ支出が192億44百万円増加したことにより350億13百万円の支出となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得192億15百万円、有形固定資産の取得138億66百万円等による資金の減少によるものです。
③財務活動によるキャッシュ・フロー当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比べ収入が355億75百万円増加したことにより366億5百万円の収入となりました。これは主に、借入金の純増加額226億17百万円、社債の発行200億円等による資金の増加と、配当金の支払額48億80百万円等による資金の減少によるものです。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は9億62百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状前連結会計年度末以降、当四半期報告書提出日現在において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について新たな発生又は消滅はありません。また、経営戦略の現状についても重要な変更又は著しい変化はありません。