【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況
当社グループの当第1四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年6月30日)の連結業績は、次のとおりであります。
<連結業績(コアベース)>
(単位:億円)
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
対前年同四半期増減
売上収益
2,803
3,508
705
25.2%
売上原価
(注)
747
936
189
25.3%
販売費及び一般管理費
(注)
963
1,356
393
40.8%
研究開発費
(注)
749
772
22
3.0%
コア営業利益
(注)
344
445
101
29.4%
一過性の収益
(注)
0
5
5
-
一過性の費用
(注)
-
9
9
-
営業利益
344
440
97
28.1%
税引前四半期利益
294
521
227
77.2%
親会社の所有者に帰属する
四半期利益
189
570
382
202.4%
四半期包括利益合計額
751
1,131
380
50.6%
(注)当社グループは、経常的な収益性を示す指標として、営業利益から一過性の収益・費用を除外したコア営業利益を開示しております。一過性の収益・費用には、固定資産売却損益、事業再編に伴う損益(開発品や上市製品の売却損益を除く)、有形固定資産及び無形資産並びにのれんに係る減損損失、損害賠償や和解等に伴う損益の他、非経常的かつ多額の損益が含まれます。
本表では、売上原価、販売費及び一般管理費、研究開発費について、一過性の収益・費用を除く実績を示しております。
<主要通貨の日本円への換算レート(期中平均レート)>
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
米ドル/円
129.57
137.37
ユーロ/円
138.10
149.46
売上収益
売上収益は、前年同四半期比705億円(25.2%)増収の3,508億円となりました。グローバル主力品エンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン T-DXd/DS-8201)、リクシアナ(一般名:エドキサバン)等の伸長及び円安の進行による為替の増収影響等により、増収となりました。売上収益に係る為替の増収影響は115億円でありました。
コア営業利益
コア営業利益は、前年同四半期比101億円(29.4%)増益の445億円となりました。売上原価は、売上収益の増加に伴い、189億円(25.3%)増加の936億円となりました。販売費及び一般管理費は、エンハーツに係るアストラゼネカとのプロフィット・シェアの増加による費用増等により、393億円(40.8%)増加の1,356億円となりました。研究開発費は、前年同四半期並みの772億円となりました。コア営業利益に係る為替の増益影響は1億円でありました。
営業利益
営業利益は、前年同四半期比97億円(28.1%)増益の440億円となりました。
税引前四半期利益
税引前四半期利益は、前年同四半期比227億円(77.2%)増益の521億円となりました。為替差損益の改善等により、金融収支が130億円改善したため、営業利益に比べて増益額が拡大いたしました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益
親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同四半期比382億円(202.4%)増益の570億円となりました。第一三共エスファ㈱の譲渡決定に伴う税効果会計の影響等により、当第1四半期の法人税等が△49億円となったため、税引前四半期利益に比べて増益額が拡大いたしました。
四半期包括利益合計額
四半期包括利益合計額は、前年同四半期比380億円(50.6%)増益の1,131億円となりました。
<連結業績(IFRSベース)>
(単位:億円)
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
対前年同四半期増減
売上収益
2,803
3,508
705
25.2%
売上原価
748
937
189
25.2%
販売費及び一般管理費
964
1,366
402
41.7%
研究開発費
749
772
22
3.0%
その他の収益
2
6
4
259.4%
その他の費用
-
0
0
-
営業利益
344
440
97
28.1%
税引前四半期利益
294
521
227
77.2%
親会社の所有者に帰属する
四半期利益
189
570
382
202.4%
四半期包括利益合計額
751
1,131
380
50.6%
当社グループのユニット別売上収益状況は次のとおりであります。
① ジャパンビジネスユニット
ジャパンビジネスユニットの売上収益には、イノベーティブ医薬品事業、ワクチン事業及び第一三共エスファ㈱が取り扱うジェネリック事業の製品売上収益が含まれております。
当ユニットの売上収益は、リクシアナ、タリージェ、エンハーツ等の伸長により、前年同四半期比100億円(9.1%)増収の1,190億円となりました。
当第1四半期連結累計期間における主な進捗は次のとおりであります。
・2023年5月、抗悪性腫瘍剤ヴァンフリタの急性骨髄性白血病(AML)1次治療の承認取得及びプロモーションを開始いたしました。
・2023年5月、疼痛治療剤タリージェOD錠を新発売いたしました。
<ジャパンビジネスユニット主力品売上収益>
(単位:億円)
製品名
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
対前年同四半期増減
リクシアナ
抗凝固剤
251
279
28
11.1%
プラリア
骨粗鬆症治療剤・関節リウマチに伴う骨びらんの進行抑制剤
99
107
8
7.9%
タリージェ
疼痛治療剤
89
117
28
31.9%
ビムパット
抗てんかん剤
53
64
11
21.3%
ランマーク
がん骨転移による骨病変治療剤
49
50
0
0.7%
テネリア
2型糖尿病治療剤
56
53
△3
△4.5%
エンハーツ
抗悪性腫瘍剤
(抗 HER2 抗体薬物複合体)
24
44
19
80.1%
エフィエント
抗血小板剤
49
61
13
26.5%
カナリア
2型糖尿病治療剤
41
41
1
1.4%
ロキソニン
消炎鎮痛剤
46
40
△6
△12.7%
エムガルティ
片頭痛発作の発症抑制薬
14
17
3
17.7%
② 第一三共ヘルスケアユニット
第一三共ヘルスケアユニットの売上収益は、ルル、ロキソニン等の伸長により、前年同四半期比19億円(12.3%)増収の171億円となりました。
③ オンコロジービジネスユニット
オンコロジービジネスユニットの売上収益には、第一三共Inc.(米国)の製品売上収益及び第一三共ヨーロッパGmbHのがん製品売上収益が含まれております。
当ユニットの売上収益は、欧米におけるエンハーツの伸長により、前年同四半期比431億円(156.6%)増収の706億円、現地通貨ベースでは、302百万米ドル(142.1%)増収の514百万米ドルとなりました。
<オンコロジービジネスユニット主力品売上収益>
(単位:億円)
製品名
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
対前年同四半期増減
エンハーツ
抗悪性腫瘍剤
(抗 HER2 抗体薬物複合体)
267
694
427
159.7%
エンハーツ(米)
200
516
315
157.3%
エンハーツ(欧)
67
178
111
166.8%
TURALIO
抗腫瘍剤
8
12
4
53.3%
④ アメリカンリージェントユニット
アメリカンリージェントユニットの売上収益は、ヴェノファー等の増収により、前年同四半期比36億円(7.7%)増収の507億円、現地通貨ベースでは、6百万米ドル(1.6%)増収の369百万米ドルとなりました。
<アメリカンリージェントユニット主力品売上収益>
(単位:億円)
製品名
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
対前年同四半期増減
インジェクタファー
鉄欠乏性貧血治療剤
141
132
△9
△6.5%
ヴェノファー
鉄欠乏性貧血治療剤
124
158
34
27.3%
GE注射剤
176
183
8
4.3%
⑤ EUスペシャルティビジネスユニット
EUスペシャルティビジネスユニットの売上収益には、がん製品を除く第一三共ヨーロッパGmbHの売上収益が含まれております。
当ユニットの売上収益は、リクシアナ、Nilemdo/Nustendiの伸長により、前年同四半期比44億円(11.8%)増収の415億円、現地通貨ベースでは9百万ユーロ(3.3%)増収の278百万ユーロとなりました。
<EUスペシャルティビジネスユニット主力品売上収益>
(単位:億円)
製品名
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
対前年同四半期増減
リクシアナ
抗凝固剤
286
323
37
12.9%
Nilemdo / Nustendi
高コレステロール血症治療剤
13
30
17
126.8%
オルメサルタン
高血圧症治療剤
54
47
△7
△12.6%
⑥ ASCAビジネスユニット
ASCA(注)ビジネスユニットの売上収益には、海外ライセンシーへの売上収益等が含まれております。
当ユニットの売上収益は、ブラジルにおけるエンハーツの伸長等により、前年同四半期比76億円(23.8%)増収の395億円となりました。
(注)Asia, South & Central Americaの略。
当第1四半期連結累計期間における主な進捗は次のとおりであります。
・2023年6月、中国においてエンハーツを新発売いたしました(適応:HER2陽性乳がんの2次治療)。
(2) 財政状態
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は2兆6,161億円となりました。その他の金融資産(流動)が減少した一方で、現金及び現金同等物、並びに営業債権及びその他の債権の増加等により、前連結会計年度末より1,072億円の増加となりました。
負債合計は1兆862億円となりました。引当金(流動)が減少した一方で、営業債務及びその他の債務、並びにその他の流動負債の増加等により、前連結会計年度末より232億円の増加となりました。
資本合計は1兆5,299億円となりました。配当金の支払による減少があった一方で、四半期利益の計上及びその他の資本の構成要素の増加等により、前連結会計年度末より840億円の増加となりました。
親会社所有者帰属持分比率は58.5%となり、前連結会計年度末より0.9%増加しております。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、期首に比べ777億円増加し、5,197億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益521億円による資金の増加があった一方で、棚卸資産の増加等により、462億円の支出(前年同四半期は208億円の支出)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資による支出があった一方で、定期預金の払戻による収入等により、1,404億円の収入(前年同四半期は263億円の収入)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により、325億円の支出(前年同四半期は297億円の支出)となりました。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費(IFRSベース)は772億円(前年同四半期比3.0%増)となり、売上収益に対する研究開発費の比率は22.0%となりました。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に重要な変更はありません。